料理とワインの店:BISTRO KRI-KRI
   

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  某月某日
   

  新宿の某Oデパートのワイン売り場である。
  頭に三角巾をしたおばさんが「お味見、いかがですか」と誘う。イタリアのワインだった。ワインは好物である。主人の仕事に関係もある。さっそく小さなプラスティック・カップを受け取って、さて赤を、と思ってるとおばさんが勝手に白を入れた。仕方なくちょっとだけ口につけて「赤をください」と言った。するとおばさん、「ハイハイ、赤もね」と瓶の口をこちらに向けて待っている。どうやら白を早く飲んでしまえという意味らしい。こちらは車の運転がある。舐める以上に口にはできぬ。だいたいいつもテイスティングは吐器を使っている。


「別のコップにもらえますか?」
「別のですか?」
 おばさんはメガネを持ち上げて嫌な顔をした。邪険な様子で新しいカップを取り、「ほれ」と言わんばかりに突き出す。こっちだって両手が空いているわけじゃない。買い物袋を下げている。だから、白の方をテーブルに置こうとすると、
「ああ、そんなとこ置かないでください」
「じゃあ、どこに置けばいいんですか?」
「どこにってお客さん、ワイン捨てるところなんてないですよ。じゃもうそこ置いてっ、いいからっ。後であたしがトイレにでも捨てるから」
 と、トイレのところを唾でも出るほど強く発音した。挙げ句、
「お客さんはあまり飲めないようだから、ちっとね」
 赤ワインを香りも嗅げないほどうっすらと入れた。

   
   

 これでキレなきゃ釈迦かキリストだ。カップを持ったままフロアー・マネージャーを探した。おばさんは姿を消した。
「たとえちょっとでも飲めないときもあるし、気に入らないときもあります。ワインをこぼす器くらい用意したらどうですか?」
「そうですね。それは失礼しました。彼女は首にしますから」
「べ、別にそこまでしなくても…」
「いえもう首です」


 気になって翌日行ってみると、同じおばさんが「ほれ」とワインをすすめていた。フロア・マネージャーと顔が合うと、「あ、昨日はどうも。よく言っておきましたから」
 だったら、最初から首にするなんて言うな。

 
 
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