料理とワインの店:BISTRO KRI-KRI
   

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  某月某日
   

  とうとう「ボス」になってしまった。
 アナウンサーも画家の楳図かずおも美術史家の平岡という人も、もう誰もかれもボスと呼んでいる。「ヒエロニムス・ボス」と。
 

 二年ほど前、やはり何かの美術番組を観た折には、まだまだ私の入り込む余地があった。つまり、ナレーションでは「ボス」と言っていたが、ゲストの唐十郎は紛れもなく「ボッシュ」と言っていた。あの時の美術史家はたしか小池という人だったが、この人は間をとって「ボッス」なんて言っていた。

 たいした違いではないのかもしれない。だが、長年「ボッシュ」に馴染んだ世代にはボスやボッスは何だか犬の名前のようでグエーがワリい。
 理由は様々だろう。最初に日本に紹介された時の発音が間違いであったとか、現地読みを英語読みにかえたとか、その逆とか。又、現地でも呼称のはやりすたりがあるとか、最後に、いい加減でとか。

 名前というものは繊細なもので、一文字でも違うと印象が変わってしまう。
  たとえばここに薫という名前の人がいたとする。その人が、子付けで「薫子ちゃん」なんて呼ばれたら自分のことのようには思えないだろう。郵便物だって「香」だの「かほる」だの、果ては「香織」だなんて書かれてきたひにゃ不愉快に感じることこの上あるまい。
  一度なら許すかもしれない、誰でも間違いはある。しかし二度、三度となれば躊躇なくポイと捨ててしまうだろう。他人に来た手紙をリチギに読むこともないからだ。

 ちょっと外れるが、手紙といえば「奥様」というのがある。当然その前に家の主の名前が書かれているわけだが、あれも不愉快なものだ。ていねいそうに「御奥様」なんてしたってダメだ。第一、うちなんか奥があるような広い家でもない。「ごめんください」と入ったらすぐにトイレだ。裏様とでもしたほうがよっぽど合っている。

 あれは名前を訊く気もないし、訊いても覚えてもいない、しかし書いておかなきゃうるさかろう、という意味だ。しかし最初に郵便箱をのぞくのはこの裏様なのだ。封を切って欲しかったら連名にすべし。

 宛名書きの話は続く。
 ひところ藤田まことの「婿殿」というのがあったが、「なになに殿」と書いてくるのもクセモノだ。個人的な見解だが、あれは相手を立てているようでいて何だか上の者が下の者に使うような雰囲気がある。それが証拠につい最近まで区役所あたりから届く知らせは「殿」であった。つまり、暗に「役人はエライ」と言っているような感じだった。今はほとんど「様」で来る。役人も少しは考えるらしい。

 大昔は、どうだったのだろう。「殿」は殿様が住んでいる家屋の総称であったとすれば、かなり身分の高い人に使われていたのだろうか。
 何時頃から「殿」の権威は失墜してしまったのか。つくづくと横の「夫殿」を見る。

 

   
   

 

 
 
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