料理とワインの店:BISTRO KRI-KRI
   

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  某月某日
   

  隣にマンションが建つとき、振動や騒音、排気ガスがキツいので毎朝明治神宮へ逃げていた。


 宝物殿の前に芝生がある。緑の起伏が美しく空も大きい。細長い池があってカワセミがチャポンチャポンやっていた。橋の下には肥えた鯉たちと戦車のようなスッポン。
 スズメが青い羽毛を飛ばしている。ジグザグと追いかけて地面に着くなり押え込む。何度でもやっている。こちらの視線も木の上から地面へとジグザク行き来する。
 ムクドリの群れがザザッーとやって来て、スズメはどこかへ飛び去った。青い羽毛だけがゆっくり舞っている。ムクドリは芝生を掃除するように忙しく移動していく。
 暗がりに木から落ちた子ガラス一羽。親が来るとカアカアパタパタ。あとはこっちを気にしながらじっとしている。…ボク黒イ石ダモンネ、来ナイデヨネ…。
 小さな水路にはつがいのカルガモがいる。ヨチヨチ歩きながら地面をつついている。何を思ってか急に飛び立って宝物殿を越えていく。

 芝生には所々に大きな木がある。それぞれの木の下には毎日同じ人が寝ている。ハンガーでシャツを乾かしている人もいる。その芝生で私とカラシザンショの木を取り合った男がいる。私が先に寝転んでいると、他所へ行く。そのうち他所へ行かなくなった。すぐ近くでラジオのイヤホーンをつけ週刊誌を読むようになった。とうとうこちらが負けて湧き水近くの芝生に場所を替える。

 正面を初老の男性がやってくる。芝生の上を四角く歩いているのだ。わざわざ私を踏みつけんばかりにして通りすぎる。どうやらそこを自分専用の歩道だと理解しているようだ。彼を「将軍」と命名する。鋭い眼光、きぜんとした歩き方。どこから見ても威厳がある。しかし将軍は宝物殿前で豹変する。松の枝にぶら下がって餓鬼のように足をバタバタさせるのだ。大きな枝が苦しそうにしなっている。マイクが「節度あるご利用を…」といっている。将軍は日本語を理解しないらしい。日課を終えると白いハンティングをかぶってゆっくり歩き去る。

 やがて「エロジジイ」のお出ましだ。いつも侵入が禁止されている森の中から突然現れる。ジッパーを上げながら現れることもある。トイレが我慢できないらしい。
 森から出て来ると、へんな体操をする。カエルのラジオ体操みたい。少し卑猥。白髪頭を振り乱し、薄笑いを浮かべている。気味が悪くて読書に集中できない。
 向こうの方で自転車の監視員が、上半身を焼いていた学生に注意している。巡回車もたまにやってくる。だが、森の中に毎朝エロジジイが隠れているとはツユ知らない。

 

   
   

 

 
 
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