料理とワインの店:BISTRO KRI-KRI
   

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  某月某日
   

 
 昼時の混雑したうどん屋である。楕円形のカウンターの隅に案内された。注文を終えて前をみると男性が二人こっち向きに座っている。衝立の窓越しとはいえ、けっこう近い。その二人に同時にうどんがきた。同時に箸をとり、同時にスープをのむ。だが二人が顔を見合わせることはない。真向かいの私を見ることもない。一人の腕がもう一人の腕に当たったが「失礼」と言うわけでもない。当てられた方も気にしていない。二人ともコートを着たままである。置くところはたしかに無い。でも私のように椅子の背にかけている人も多い。うどんを食べながら汗が出ないのだろうか。それとも脱ぐ気にならぬほど寒かったのか。窮屈に箸をつかって肩が凝りはしないのか。しばし前の二人を観察して時間をつぶす。私の視線など感じる風もなく、相変わらず下を向いたままうどんを食べ続けている。一人は白髪、一人は黒髪、しかし顔つきからすると同年輩である。60前後と見た。二人とも眉間に皺を寄せている。熱いのか、やはり窮屈なのか。眉間の皺が、白髪の方は哲学的で黒髪は数学的である。どんぶりの中に人生の根源を探しているのか、本数を数えているのか。どちらにしろ関係ないことだ。二度と会う人たちではない。そろそろ真摯に自分のうどんを待とう。今しなければならないことに専念する、これこそが理想の人生テツガクではなかったか。しかしやってみると、真摯にうどんを待っているのは私の食欲なのである。頭の方はずいぶんとヒマなのだ。たまには数学的な思考で埋めてみるのもいい。うどんの消費税計算である。さて、550円が消費税プラスするといくらになるか?頭が急に忙しくなった。忙しくはなったが結果はでない。頭の中がもやもやしてくる。いや、これはうどんの湯気だ。私のうどんがきていた。うどんの容器は朱色の盆にのっている。と、盆の上にご飯粒が見える。私の頼んだのはうどんだけである。ライスはついていない。それなのにご飯粒がついてきた。テツガクはみるみる元気をなくす。それにしても飯粒はやけに白い。しかも「、」そっくりに置かれている。元気がなくなった上に落ち着かなくもなってくる。ひょっとして、これは、私には永遠に「。」がこない、ということかもしれなくて、もしこれが、ハルサメや糸コンニャク、だったりしたら、あの二人のように、細く長く眉間に皺を、寄せなくてはならないのだろうが、消費税計算、もできない私に、数学も哲学もない、わけだし、「。」がない以上、私は、う、どんを食べ、終えること、もでき、なくて、表へ出、る、こともできない、かもし、れな、いという悲、惨な考え、がいつま、でも、い、つ、ま、で、も、、、、、、、、、、、

   
   

 

 
 
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