料理とワインの店:BISTRO KRI-KRI
   

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  某月某日
   近所のスーパーへ行ったら、入るなり甘い香りがドーッと押し寄せてきた。真ん中のイベントコーナーがチョコレートで埋め尽くされている。バレンタインデーだった。この変な習慣はそろそろ衰退するかと思いきや、外国の高級ブランドチョコだの、有名ショコラティエの作品だのと、中元歳暮化して益々盛況の感がある。


 それにしても、女性たちはどのように本命と義理の差をつけているのか。そりゃまず値段だろう。本命は有名ブランドもしくは日本初上陸もの、独自に取り寄せた稀有ものも有りか。義理のほうはおしゃれな雰囲気の小物をまとめ買い。いやいや近頃は手作りという手もあるらしい。本命は手作りで差別化をはかる。これだと味は義理のほうがいいに決まってる。たいして旨くもないものを、男性は喜んで食うものか。ま、手料理やら手編みやらが好きな生き物だから、味や見ばえはどうでもいいのかもしれない。自分のために時間を割かせたという優越感がオイシイのだ。

 さて手作りの甲斐あって目出度く結ばれた後はどうするのだろう。ずっとチョコを上げ続けるのだろうか。女性のほうが惚れて結婚したなら、やはりそうだろうな。お返しなんて無くたってナンノソノ、幸せ感に、プレゼントがワインやネクタイにまで広がっていく。すると値段が張って長続きはすこぶる難しい。家計にひびくのは女性にとって一大事。いつのまにかまたチョコに戻ったりして。
 やがて倦怠期がくる。チョコの似合ない歳にもなった。だが、やめるタイミングがつかめない。子供にもまだ手がかかるし、趣味もますます増える。お洒落なチョコを探すゆとりなんか無い。「あら、もうバレンタイン?」と、その辺で行き当たりばったりに買うようになる。本命が義理になってる。夫も会社で若い女性にもらう方がずっと嬉しい。釣った魚からのエサには冒険がない。「ひょっとしてオレに気が・・」という夢がない。義理チョコの中に気になる女性のチョコがあれば天にも昇る思いだろう。子供にもやらず、こっそり一人で「ふふ」とかじる。めくるめく空想で目が真ん中へ寄っている。妻のチョコなんか目に入るわけがない。

 さて妻は、お手軽に買ったくせに自分のチョコが置き去りなのが面白くない。やがて「えいっ」とばかりに捨ててしまう。捨てても夫は気づかない。やがて「ねえ、アタシのチョコどうしたの?」と粘った声をだす。「あ、あれね、食った食った、ウマかった、サンキュ」ことさらに明るい返事。
「うそっ、カビが生えてたから捨てたわよ」と、カビのあたりから声がホラー調になる。
「バカ、カビなんか生えるわけないじゃないか」こちらは普段出したこともないキンキン声。このキンキンが乱闘のゴングであった。
 翌年から、夫は妻の分を先に食べるようになる。あとの騒動が面倒くさいからだ。しかし食べ方がよくない。ムリやり押し込んで呑み込む。様子を見ていた妻はますます激昂する。「大事なのは、後でゆっくりって、わけねー」と、またホラー。
 だから最初から、チョコは義理だけにしておけばいいのだ。結婚生活とは、愛情のバロメーターが無いほど傷つけあわずにうまくいく。

   
   

 

 
 
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