料理とワインの店:BISTRO KRI-KRI
   

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  某月某日
   犬を飼うとママになる。子どもが、いようがいまいがママになる。銀座に店を持たずともママになる。
 初代ドーベルマンが小さかった頃、動物病院で、「ハヤテちゃんのママ、お薬できてますよ」と言われた。二十年以上前のことである。
「すみませんママってやめてもらえませんか?産んだわけじゃないんで」
 若い獣医は意外そうな顔をした。どの飼い主も喜ぶものと思っていたのだろう。しかし、犬に名字をつけたり、ママだのお母さんだの呼ぶのは変だと、その頃は考えていた。カルテには飼い主の名前だってちゃんと書かれているのだから。


 犬の散歩で知り合う人たちも、しかしこの呼び名を使っている。重宝だからだ。たくさんの犬の名前の他に、いちいちその飼い主の名前を覚えるのは苦労である。これには納得せざるを得ない。私自身、本元の犬の名前ですらなかなか覚えられない。ジェニーだったかジェニファーだったか、アリスだったかアンナだったか。
 オス、メスも分かりにくい。実際わが家の犬はメスだったが、大方の人は「ハヤテくん」と呼んでオスと勘違いしていた。タロウというメスやアヤというオスもいた。ますます混乱し、覚えられないのである。

 そんなわけで飼い主まではとうてい記憶力が及ばいだ。苦しまぎれに「○○の飼い主さん」などと長ったらしく言っていた。しかし、成り行き上、「ママ」や「お母さん」を使うことも増えてきた。自身が十兵衛のお母さんと呼ばれるのにも少し慣れてきた。
不思議なのは、呼び方の違いである。これが実にはっきりとしている。「お姉さん」は二十代前半まで、ママはヤング主婦層、四十代前半が限界か。その上はお母さんになる。同じ意味なのに洋風と和風で年齢差をあらわす。苦肉の策といえば言えるが、線引きがある以上、悲喜こもごもだろう。
  時には犬の名前抜きで「お母さん、お母さん」と呼ばれる。これにはつい、「あんたの母親じゃない」と言いそうになる。

 これが、水商売の世界だと少し違う。「ババさん」と呼んだ方がいいような女性までが「ママ」である。「お母さん」は和食系に限定されるか。しかしおでんやあたりでも実際は「ママ」が多い。言いやすいのだろう。
 山梨で、「このワンちゃん男のコですか?」と言って笑われたことがある。オスというと生々しい気がするのと、飼い主へのおべっかも少しは入っていた。家族以上に大切にしているであろうからである。これは犬を飼っていない人からみれば噴飯ものなのかもしれない。
  「ママ」にもおべっかの要素がないとはいえない。その範疇で私もママと呼ばれることがある。あくまでも「おこぼれ」なのだ。
 「お母さん」は、なんとなく最後通告のようなニュアンスがある。あんたはもう二度と「ママ」なんて呼ばれる歳じゃないのよね。
 なんとか線引きのない呼び名はないものだろうか。「ミズ」にならって「マズ」とか。マズい?

 

   
   

 

 
 
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