料理とワインの店:BISTRO KRI-KRI
   

ホーム
  ご来店になる前に
  歴史
  お知らせ
  メニュー
  最近のおすすめメニュー
  おすすめワイン
  マスターのコーナー
  マスターの奥さんのコーナー
  おもろいお客さん
  花族
  畑情報 嵐のち晴れ
  リンク集
  地図
  更新情報
   

 
 
  ますたーのおくさんのコーナー  
     
  ひびこれぎもん  
 
 
  某月某日
   

 公園のベンチ。
 ランチを食べ終わって雑誌を読んでいた。ふと気配を感じて顔をあげた。男性が右向きに歩いている。シャッシャッシャッシャッ、かなりな早足である。そのまま目を離さずに通り過ぎるのを見ている。何の気なしに左側に首を向けると、同じような男性が同じように足早に歩いて行く。あれっと思って右側を見る。さっきの男性は変わらぬテンポで歩いている。また左を見る。右を見る。服装がまるで同じなのだ。淡いグレーのシャツに濃紺のパンツ。帽子はシャツと同色で探偵の金田一さんが被るような縁がフレアになっているタイプ。少し猫背で肩幅が広い。そんな馬鹿なともう一度確認する。やはり同じ服装である。顔はどうであったろう。右に去った方の顔は斜め後ろからチラと見た。鼻の丸い、下唇をムギュッと結んだ六十格好の男性であった。左は後ろ姿しか見ていない。
 

 両方とも私からは同じ距離にある。ということは正に私の前ですれ違ったに違いない。その時私は雑誌を見ていて、その瞬間を目撃してはいない。しかし二人はどう思ったろう。向こうから歩いてくる人間が自分とそっくりの格好をしていたら。ちょっとは気になるのではないか。それともある程度の年齢の人が普段着る洋服などさほど違いがないものだろうか。だから気にしないのか。とにかく足音に変調はなかった。ん?足音?右の人はいいとしても、左に去った方の足音を私は聞いたろうか?それともまるで同じだから一つにしか聞こえなかったのだろうか。
 

 それからは雑誌どころではなくなった。追いかけていってよくよく顔を見てみようか。しかしどっちを?どっちにしても片方を見終った頃にはもう片方はどこかへ消えているだろう。消える・・・。というより、最初から居なかったとしたら。つまり私の錯覚。歳をとって目が急に物事をシンメトリに見てしまうようになったとか。だが今、目の前に何一つとしてシンメトリはない。しかし間歇的シンメトリ症候群なんてのがあるかもしれない。今シンメトリでなくても、又いつかなるかもしれない。
 

 世間ではよく自分にそっくりな人間が三人いる、なんて言うが、そのうちの一人が同じ服装をして同時刻に反対方向に歩いていたからといって何か意味があるだろうか。意味がない存在なら何人いても、いないと同じだろうに。
 私的には、私に似ている三人は美人でスタイルが良く頭も良い人でありたい。しかし、だったら似ても似つかぬ別人だわな。
 とにかく同じ顔のやつに目の前を歩かれたり、あっち向きのベンチで同じ雑誌をんでいられたりしたらウンザリだろう・・・ん?・・誰かいる・・・。あっち向きのベンチに後ろ姿を見せて私と同じジャケットを着て・・・キャアーッ。

 

   
   

 

 
 
    「犬系」も読む
     
    ページの一番上へジャンプ