料理とワインの店:BISTRO KRI-KRI
   

ホーム
  ご来店になる前に
  歴史
  お知らせ
  メニュー
  最近のおすすめメニュー
  おすすめワイン
  マスターのコーナー
  マスターの奥さんのコーナー
  おもろいお客さん
  花族
  畑情報 嵐のち晴れ
  リンク集
  地図
  更新情報
   

 
 
  ますたーのおくさんのコーナー  
     
  ひびこれぎもん  
 
 
  某月某日
   デパ地下、生鮮食料品のレジ。「ありがとうございました」と女性店員が胸の前で両手先をチョンとそろえる。三つ指の現代形らしい。近頃はだいぶ慣れたが、はじめて見たとき、首に故障でもあって頭を下げられないのかと思った。そのうちネコもシャクシもチョンになった。
  チョンの間なんて言葉もあるくらいだから、素早くお辞儀を終えて次の客に対応するということなのだろう。喩えが上品ではなかったか。チョン掛けというのもあるぞ。間に合わせでかける羽織の紐。
 とどのつまり、いちいち頭を下げていたのでは売り上げに響くということだ。加えて客のせっかちさ。自分の列がもたもたすると舌打ちでもしそうな形相だ。「あっちの方が早かった」とか「シマッタ、こっちはレジが一人だ」なんて頭はそのことでいっぱい。そのくせ順番が来てからポイントカードを探す間の悪さ。これ、実は私。ああ、後ろのおっさんの形相がぁ・・・。

 次に考えられるのは、レジの台の高さ。変に頭を下げるとゴツンとトレーに当たる。レジの中には他の店員もいる、おしりがドンと当たってつんのめってまだ客が取っていなかったトレー上の小銭を床にばら撒く可能性も。
 レジの幅の問題もあるな。お辞儀をすると、客とチョウ至近距離になってしまう。相手はハンサムな男性客ではない。ほとんどが主婦かおっさんである。化粧臭さや加齢臭の真っ只中に鼻をつっこみたくはない。というわけでチョン。
 たまに男性店員もチョン。恰幅のいい男性がこれをやると「ああ、胃が痛い」と同形。

 ここで取って置きの説をご披露しよう。
 ご承知のごとく世は空前のペットブーム。特に小型犬。若い女性の一人住まいに大型犬は無理だからだ。小さな子供のいる家庭も然り。独居老人ともなればもっとそうだろう。小型犬の中ではダックスフントがダントツの人気らしい。実際この犬は可愛い。顔は都会的だし頭もいい、性格もなつっこい。
 このダックスフントこそがチョンの本元なのではないか。
 凶暴そうな犬と遭遇したときに抱き上げられ、チョンと前で合わせた短い両手(前足)。あれは「いつも守ってくれてアリガト」という彼らなりの感謝の表現なのだ。うっとり飼い主を見上げる顔にそれが表れている。あんな顔や仕草をされたら、誰だって「いいのよ、お前のためなら、たとえ火の中、猛犬の中」と思ってしまう。そのうち自分もレジでチョン。ペットは飼い主に似るなんて言うが、今や飼い主はペットに似る。
 つまり、ネコもシャクシもじゃなく、イヌもシャクシもだった。

   
   

 

 
 
    「犬系」も読む
     
    ページの一番上へジャンプ