デストレイン




僕は待っていた。


時計を取り出して目をやる。

もうそろそろだ。

しかし、それらしい人影はない。


30分前から待っているので不安になってくる。

場所を間違えたか?

いや、それはない。

ここは確かに八重洲中央口在来線改札だし、

一目で電車の利用客ではないとわかる

異様な若者であふれている。


奇しくも誕生日である今日この日。


伝説のクソゲー
比類無き最強のクソゲー
変なところしかないクソゲー

などと言われるデスクリムゾンが再販されるのだ。

しかも

全国縦断デストレイン〜死の新幹線〜と名付け

社長自ら各地を回って手渡しで。

そして今、東京駅で、僕は待っていた。



宴は唐突。




顔を上げると

目の前に紙を掲げる三人組!

もちろんそこには

デス

の文字。


あ、あのにこやかな男の人が

エコール・真鍋社長か!

思っていたより若いな。

・・・そして着物姿ッ。

カッコイイ。


僕も含めて一斉に磁石に吸い寄せられるかのように

静かに、素早く密集する。


ここでは迷惑になるので場所を変えましょう。

か、かなりの人数だぞ。

それがゾロゾロと列をなしてバスターミナルのあたりへ。


そこには すでに取材の方々が待ちかまえている。

ではさっそく危険物をバラまきましょうか!

ご、ご本人自らそういう認識なんすか。

誕生日プレゼントなんかにはしないでくださいね。
嫌われますから。

・・・。


では使用上の注意を。


体調の悪いときにはやらない方がいいですね。


一昨日、わたしたちも久しぶりにプレイしましたが
やっぱりトリップしました。
作った本人でさえそうなのだから、
初めてやるあなたたちはトリップして当然です。



変なものが見えてもそれは仮想現実の世界ですからね。
現実ではありません。



あと、時々ゲームが止まりますが、それは仕様です!
とりかえることはできません。




そして東京駅での栄えあるお客第一号として
六千円と引き替えに
真鍋さんからデスクリムゾンを受け取ったのだった。

さらに全員に行き渡った頃
撮影会&サイン会!

ジャケットの裏表紙にサインしてもらう。


せっかくだから でおねがいします!

せっかくだから エコールマナベ

やりやがったな でおねがいします!

やりやがったな エコールマナベ

オーノー でおねがいします!

おうのう エコールマナベ


・・・ひらがな っていうところが気に入っているらしい。

次々にサインしてもらう若者たち。


私たちは、あまりゲームを売ろうという気はないのです。

作りたい物を一生懸命つくる!


その結果、変なものができてしまいましたが。



5,6年後、

デスクリムゾンとは、なんだったのか。

そう考えたときに


ネットで最も話題にしやすかった初めてのゲーム

といわれるようになりたい。


そのために色々言われても辛抱です。

人間辛抱です。



これ(ゲーム本体)だけでは確かに高い。

でもデスクリムゾンはネットと共にある!


ネットで繰り広げられている話題も含めてデスクリムゾン!

デスクリムゾンはネットと一体となって進化している!




そして締めはこれ。


せっかくだから!

くりむぞーん!


真鍋社長の「せっかくだから」のかけ声に合わせて

参加者一同が「くりむぞーん」と吠えた。



そして僕の手の中には

夢でない証拠に


せっかくだから エコールマナベ


とサインされた若気の至りがある。





せっかくだから俺はこのリンクを選ぶぜ

エコールHP

Crimson Fairytale