18禁ゲーム。
アンダーグラウンドの世界ですね。
僕は恥ずかしくて大きな声では言えません。
だから小さな声で書きます。
今の世の中、
広告と流通で売っている
そんな商品が多くはないですか?
TV、ラジオ、電車の中吊り広告などなど。
あちらこちらで名前を見たり聞いたり。
そしてお店に行ってみると、
名前の聞いたことのある、見たことのある商品ばかりが
ドッサリと平積みになっていたりするわけです。
他の聞いたことのないような商品は、種類も品数も少なくて、
買う方としては、あまり選択肢がありません。
名前を聞いたことがある、というのは何となく安心感を与えますし、
大抵の人は、ドッサリ置いてあるCMの商品を買うことになるでしょう。
しかしそういう商品には新発売の物も多くて、
それが本当に「良い物」であるのかどうかは
誰も知らない、わからない、
という状態なわけです。
こうなると、品物の品質がどうこうよりも、
広告を打って、大量に流通させる、
という方に重きを置く商品が増えるのは当然でしょうね。
そしてそれは、もの凄くお金がかかることなんでしょう。
18禁ゲームの世界は、そういう世界とは無縁です。
今のところは。
また、
「こういう物を作っておけば売れるだろう」
「 (同) 安全だろう」
というような安易なチャレンジの放棄が表のゲームには
目立つように思います。
こういう傾向も、18禁ゲームの世界では少なくなります。
びっくりするようなゲームが飛び出してきたりするのです。
くそゲーも多いですが、
名作や、爆笑ものの迷作もたくさん出現するという
実験場のような世界、とでも言えばいいのでしょうか。
例えば、「がんぶる!」という作品。
ホウキに乗った見習い魔女が主人公で、
コミカルな敵キャラが魅力のシューティングゲームですね。
僕はドンくさくてシューティングなんてマトモにできた試しがないのですが、
これはできました。
何故か。
なんとシューティングにもかかわらず、経験値制を導入!
さらに無限コンティニュー制と合わせて、
負ければ負けるほど強くなる!
という夢のようなシステムを実現しているからです。
僕の場合は、
2面で苦戦して、3時間に及ぶ激闘の結果、
1面クリアー時にLv5だったのがLv18に
所持金が7千から17万になり
コンティニュー回数は実に72回を数える
なんてことになりましたが・・・。
多くの人が楽しめる、理想的な難易度調整。
どうして今までこういうゲームが家庭用ゲーム機で出なかったのでしょうか。
シューティングゲームとしての出来も悪くなく
Hシーンも取って付けたようなものばかりなので
それらを外せば、即コンシューマー機に移植できる
という声がネット上でも多く見られました。
18禁ゲームを語るときに落としてはならないのが
恋愛シミュレーションというジャンルでしょう。
そして、その時に避けては通れないのが
その言葉の意味するところの異常性と危険性の問題でしょうね。
僕は恋愛シミュレーションという言葉が嫌いです。
そりゃあ、
一部の中には、本当に狂ったようになっている人もいるらしいですが、
やっぱりそれは一部の人間であって、
大多数のプレイヤーは、そういう風には捉えていないと思います。
恋愛物のドラマや映画を観ている
これが一番近い状態だと思います。
主人公に自分の名前を入れる(ここでまず、少し抵抗があると思いますが)
ことで、その後の選択と、それによって発生する結果に責任を持つことになります。
そして、責任を持つことによって、より深い感情移入ができるようになる。
それだけの違いだと思います。
数年前に家庭用ゲーム機で、「やるドラ」(自分でやるドラマ)
というゲームがヒットしましたが、
このことを、良く言い表していると思います。
キャラに「萌える」というのは
映画・ドラマに登場する、俳優のファンになるのと同じでしょう。
相手が2次元であるために、異常に見えますが、
3次元であるアイドルやタレントとも、
架空性においては似たようなものだと思います。
また、もう少し言うなら、
俳優そのものではなく、演じられた登場人物のファンになる、
というような心理の方が、より近いかもしれません。
僕が初めてプレイした、このテのゲームは「ToHeart」でした。
プレステに移植され、果てはテレビアニメにまでなったそうですね。
泣きました。
ええ、泣きましたとも。
クリックしながら、涙でよく見えないディスプレイを前にして、
せっかくのHシーンで泣いている俺は
バカか?!
バカなのか?!
と少し悩みましたが、ごく普通の反応だったようです(笑)。
映画で感動するのと変わらないわけです。
この路線をもう少し進めると、
「ONE」や「Kanon」という作品が出てきます。
泣きゲー、
トラウマメイキングソフト
などと呼ばれているそうです。
ここまで来ると、Hシーンは非常にソフトになります。
いや、むしろ邪魔である、という声も多く聞きます。
どちらも家庭用ゲーム機に移植されましたし、
「Kanon」に至っては
Hシーンを抜いた「全年齢対象版」(通常版)まで発売されているようです。
こうなると、
じゃあ、18禁ソフトである必要はないんじゃないの?
という声が当然あるでしょう。
確かにその通りなのですが、
あえて答えるとするなら、こうです。
冒頭でも触れたように
先に挙げてきたような名作は
流通や広告から縁遠い18禁の世界だったからこそ生まれたのではないか、
と言うことです。
が、やはり無理矢理な答えですね。
結局これは、
18禁ゲームに何を求めるのか
という議論になって、
それは人それぞれである、という結論にしかならないと思います。
別に、感動を求めて泣いたって構わないでしょうし、
純粋にHだけを求める、というのも当然ある考え方です。
そして、自分の求めるものに合ったソフトを買うことになる、
それだけのことではないでしょうか。
ここまで書いてきたように、今、輝きを放っている18禁ゲームの世界ですが
いつまでもこのままの状態である、ということはないでしょう。
斬新なシステム、爆笑もののテキスト、などなどは
きっと、不安定な世界の偶然の産物なのでしょうね。
今のおもしろい状態が崩れたとき、
おそらく僕は18禁ゲームを買うのをやめると思います。
それまでは目が離せないというわけですけど(笑)。
最後に、Hシーンとストーリーが融合した稀有な名作を一本挙げておきます。
「加奈 いもうと」
18禁だからこそ、描ききれる世界だと感じました。
僕は、まだエンディングをひとつしか観ていないので、
それ以上のことは言えないですが。
本当に最後の最後に蛇足ながら。
この文章中に挙げたようなソフトは、ホントに音楽が良いです。
2000.10.23
<参考>ラジオ「枯堂夏子のウラカタ天守閣」
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