三木二寸のあれも言いたいこれも言いたい

花粉症の不思議
2001年5月1日


 今年の花粉症はすごかったですね。あなたもつらい思いをされませんでしたか。
 杉花粉症の原因は、杉の花粉だといわれます。
 ところが、杉の多い山間部に住んでいる人はほとんどかからずに、杉山から遠く離れた都会の人に多くの患者がみられます。不思議だとは思いませんか。
 これは、杉の花粉は風にのってずいぶん遠くまで運ばれるということで、説明されています。
 事実、花粉の飛散量というのが測定されていて、杉の木が近くにないところでも、ずいぶんたくさんの花粉が飛んでいることが実証されています。
 しかし、杉山の近くにある山村では杉の花粉は飛んでいないという報告は、聞いたことがありません。少なくとも都会と同程度には飛んでいると考えるのが常識でしょう。
 私は、空気そのものが汚されていることが花粉症の原因だと考えています。
もちろんアレルゲンが杉花粉であるから杉の花粉症であり、その意味で杉の花粉が杉花粉症の原因であることは間違いないのです。
 しかし、なぜ体には無害なはずの杉の花粉に対して過敏な反応をするようになったのでしょうか。有名な寄生虫が少なくなったからという説や、戦後の植林で杉がたくさん植えられたからというのは、杉の花粉そのものがアレルギーを引き起こすものだということが前提になっています。
 確か、私の花粉症が始まった頃(もう20年くらい前、年がばれるか)、「暮らしの手帖」で、町の耳鼻科のお医者さんが、交差点の近くに住んでいる人に花粉症が多いことに疑問をもって調査・研究した結果、疫学的には自動車の排ガスとの因果関係が認められた、という記事を読んだ記憶があります。これはディーゼルから出る微粒炭素粉が引き金になっているという説になっています。
 私は、寄生虫説や植林説よりは、よっぽど説得力があると思っています。
 もともと抗体反応というのは、体の防御機構です。体のある場所で、無限にたくさんの種類の錠前細胞が常に作られて体中に運ばれていきます。体に異物質が進入してくると、この錠前に当てはめるのです。そしてその物質がなにか有害であったら、ぴったり合う錠前細胞をブラックリストにのせるのです。次にこの錠前に合う鍵物質が進入してきたら、防御機構を総動員してこの物質を撃退しようとするのです。これが過敏に反応して、実際には無害な物質に過剰反応してしまうのが、アレルギーです。
 とすれば、杉花粉がブラックリストに載せられたのには、何か理由があるはずです。寄生虫や植林では、説明がつきません。杉花粉が体に何らかの有害な働きをしたというのでしょうか。私の知るかぎりでは、杉花粉は全く無害であるのに反応するから、困るのです。つまり、杉花粉は濡れ衣を着せられているのです。
 ディーゼル粉には限らないかもしれませんが、汚れた空気を吸って体に有害物質が入ってきた、その時どこにも飛んでいるごくありふれた杉花粉も一緒に吸い込んでいて、犯人にされてしまった。  あるいは、その有害物質と杉花粉が形が非常に似ていて、有害物質用に作った錠前が、杉花粉にぴったり合ってしまった。
 あるいは、有害物質と杉花粉がくっついた形で体内に入ってきたために、杉花粉の方が犯人にされてしまった。
 などなどが原因だと、私は固く信じています。もっとも、私はただの花粉症患者であって、医学的には全く素人であることを告白しておきます。


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