三木二寸のあれも言いたいこれも言いたい

景気の回復と雇用
2001年5月1日



 景気は下げ止まってきたというが、と書いているうちに、またまた景気が悪くなってきて、参議院選挙を前に、緊急経済対策が議論されている。
 景気の方は「一進一退」であるが、雇用は悪化の一方である。
もともと、雇用は、「遅効指数」といわれていて、景気の回復があってから改善されるものらしいが、といって、現在のように、企業のリストラ、スリム化を背景にした経済力の回復であるならば、雇用の回復は若干心配といわざるを得ない。
 ずいぶん旧聞になるが、1997年4月1日付け中日新聞で、ドイツ情報調査経済研究所顧問のヘルムート・ラウマー氏が「春遠いドイツ経済」と題して書いているコラムを読むと、ドイツの国際経済上の地位が上がったにもかかわらず失業率が改善されないという話が載っている。「シェアホルダー・バリュー(株主尊重)」の考え方が行き渡り、人員削減を予告した企業の株価が上がるのだそうだ。「株主の利益を優先すべきか、社会的責任を憂慮すべきか、苦しい選択を迫られる大企業」なのだそうだが、そもそも経済は何のためにあるのだろうか。
 われわれ勤労者が、経済をコントロールする力を、労働関係だけではなく、市場の中で身につける必要はないのだろうか。つまり、無理なリストラをする企業に対しては、購入しないとか、そのための情報公開を行うとかの対抗手段を講じる必要があるのではないだろうか。


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