騎乗練習

さてさて、いよいよ騎乗しましたね。
これで馬装点検も騎乗姿勢もとれて準備が整いました。
では、いよいよ馬に乗って運動開始です。(^^ゞ
指導員について教わると、指導員は号令をかけますが、それは乗っているあなたに対してでもあり、運動している馬に対しても発せられています。
命令口調なのは馬を言うこと聞かすためと、元々軍隊がらみのスポーツだからでしょうね。。

用語について
馬体の名称で、前足の事を前肢(ぜんし)、後ろ足の事を後肢(こうし)と説明しましたが、ここでは前足から肩までを含めて前躯(ぜんく)、後ろ足から腰までを含めて後躯(こうく)と呼びます。


騎手の仕事

馬の上で騎手がすることって何だと思いますか?
答えは何もしないことです。
馬を動かすのではなく、馬に動いてもらうようにするのです。
そして、我々は馬の動きを邪魔しないように乗ることが重要です。


常歩(なみあし)

まず、常歩というものをさせます。
人間で言うと、「歩き」にあたる運動です。
とりあえず常歩をさせるためには、自分の脚で馬のお腹を強めに蹴ってください。
いわゆるアクセルですね。
そうすると、馬は肢を引きずるようにして歩きます。(笑)
本当の常歩運動はこういうものではないのですが、ここではそんな事気にしません。
とにかく歩けば良いんです。
馬が歩き出すと、少し大きく揺れます。
その揺れには力を抜いてついて行きましょう。
そして、1歩ごとに踵で馬のお腹を蹴ってください。
蹴り方は、力まないで両足を外へ広げてそのまま振り下ろすような感じです。
馬が元気よく歩き出してくると、段々と馬は頭を上下に振りながら歩きます。
騎手は力を抜いてついていきます。そうすると、馬の動きに合わせて、自分の拳が前後に軽く動くはずです。腰も力を抜いて馬に対して大人しくついて行くようにしましょう。


停止(ていし)

馬を止めたり馬の速度を落とす動作は「姿勢」のページでも紹介しましたが、まず、ふくらはぎで馬のお腹をしっかり(強く)挟み込み、上体を引き起こし、その際の背中の力を使って手綱を自分のお臍のほうに引き寄せます。
そうすると、あらフシギ、馬がピッタリと止まった。
停止の際によく「手綱を引いてください」とだけいう場合がありますが、このやり方はあまり良いやり方ではないと思ってます。
まず、両足のふくらはぎで馬のお腹を圧迫するという動作ですが、この動作によって馬は前へ進む動作を取ろうとします。その際に後躯から踏む込んでくるような形になるので、ハミに対して馬が乗っかってくるような感じになります。(手ごたえを感じます)その状態で騎手が状態を引き起こすと、丁度坐骨に体重が乗ってきて馬に自分の体重をダイレクトに伝えられる形になります。そうすると、馬は更に頭を引き起こしてきますので、それを手綱で受け止めて更に自分の方へ馬の頭を引き寄せるようにすると、馬は前へ進もうとした勢いを残したまま停止します。
この前へ進もうとする勢いを「前進気勢」と言います。


速歩(はやあし)

速歩は人間で言う、ランニングくらいの運動にあたる動きです。
常歩や停止が出来るようなったらやってみましょう。
速歩の出し方も基本的に常歩と同じです。
ただ、速歩を出す前には必ず上体を起こして本当に軽〜〜〜〜〜〜〜〜く手綱を引き気味にします。
で、脚でポン!と蹴れば速歩になります。
速歩はハッキリ言ってとても揺れます。
震度4〜5くらいの直下型地震ってカンジでしょうか・・・・なもんで、初めての方はもし練習用の鞍の胸具詫鐶に革のロープがついている場合がありますので、それを持つと結構助かりますよ。そのロープはターミナルという名前です。
それで馬の揺れに耐えましょう。
耐えると言っても、力んではいけません。
力を抜いて、自分の体の中で揺れのエネルギーを吸収します。
この馬の揺れのことは反撞(はんどう)と呼びます。
人間の体は65%が水分ですから、力を抜けば十分馬の反撞についていけます。
速歩の間も基本的に、脚で蹴ることを忘れずに。1歩ごとに脚で蹴らないと、馬は止まって良いかな〜?と思い、止まってしまいます。


軽速歩(けいはやあし)

軽速歩は軽快な速歩です。
何がどう軽快になるのかと言うと、通常の速歩で反撞をまともに食らっていると結構反撞を抜くのが大変になってくるので、長距離を進むことができません。
なので、こちらから反撞をうまく抜けるように動いてしまって反撞を感じなくさせれば良いのです。
そうすると、馬も背中で騎手の体重が強くかからなくなるので、速歩ののテンポもリズムも軽快になってきます。これが軽速歩です。
軽速歩のやり方は馬の速歩のリズムに合わせて騎手は立つ、座るの運動を繰り返します。
立ち上がるときは、自分の力で立つのではなくて馬の反撞でお尻が跳ねますのでその反撞を利用して立ち上がりましょう。そうすることで、無理な力を使わずに軽快に行うことができます。
軽速歩で一番重要なのはリズムとテンポです。
馬のリズムとテンポに合わせて軽速歩を行ってください。
軽速歩の時は、立つ座るの運動の中で、座る時に脚を使います。なので、2歩に1回の割合で脚を使うことになります。
軽速歩の場合もあくまでも体の力は抜いてください。
特に軽速歩の場合は膝や足首が硬くなりがちですので、その辺をよくリラックスさせて乗りましょう。



馬の反撞を利用して、リラックスした状態で軽く腰を前に出す。

軽速歩でうまく立てない時は、まず立ち上がる感覚を覚えましょう。
まずは馬が止まった状態で立ち上がってみるのが良いと思います。
立ち上がるコツは上に立ち上がろうとするのではなく、体を前へ出すようにします。
鞍の前橋に座るような感じですね。
停止している状態で出来るようになったら、常歩にして同じように練習します。
そうして、立ち上がる感覚を身に付けましょう。


下馬(げば)

馬に乗ったら今度は降りなきゃ行けません。
馬から下りることを下馬と言います。
下馬にもちゃんとした方法がありますので手順を守って正しい下馬をしましょう。
乗馬中の事故で下馬のタイミングで発生する物も少なくありません。

まず、降りる前に左手で手綱を纏めて持って右手で馬の首や肩を叩いてあげて馬を落ち着かせましょう。
これを愛撫と言います。


次に、手綱を持った左手は首(背峰)の付け根あたり、右手は鞍の前橋を抑えます。
右足の鐙を外します。
右足はそのまま馬を跨いで、左足で鐙に立ちます。

両腕を伸ばして体を真っ直ぐにして、腕の力で馬に体重を掛けます。
そのまま左足の鐙を外して、左手の手綱は放さないようにして静かに飛び降ります。

飛び降りたら、右手で引馬ができるように手綱を持ちます。


さて、下馬の際にありがちなのが左足の鐙を外さないで下りることですが、コレは本気で危ないです。
私もインストラクターやっててこう言う下りかたされるとヒヤリとします。
この下りる瞬間に馬が動いたりして足が滑って鐙に足首まで入ったりすると、後頭部から落ちますしそれで馬が暴れたら、そのまま引きずられかねません。
なので、下馬の際はマジメに手順を守りましょう。

乗馬は楽しくする事も大事ですが、何よりも安全に行わなければいけませんからね。


とりあえず、乗り始めた方はこういったカンジで馬の動きに慣れましょう。
そして馬の動きに慣れてきたら、少しずつ悪い癖を修正していくようにしましょう。

注意!ここの乗り方はあくまでも、全くの初心者を対象としています。
くれぐれも、この乗り方で固まらないように必ず次のステップへ進みましょう。


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