乗馬のお仕事

馬に携わる仕事は色々ありますが、ここでは乗馬クラブに焦点を当てます。
ちなみに、暴露系では有りませんので悪しからず。
どちらかと言うと、理想系です。(^^ゞ


スタッフになりたい
乗馬クラブで働きたいとか思っている人もいらっしゃるかと思います。
ここでは、乗馬クラブのスタッフになるためにはどうすればよいのか?なんてことは書きません。
そんな事は乗馬ライフあたりで求人広告出しているクラブがありますから、そこで調べて面接でもしていただければ結構だと思いますから。

ここで触れるのは内側から見た乗馬クラブ。すなわちスタッフとはどう言うものなのかという事を私の知っている範囲内で書きます。

これはクラブによって大きく異なってくるかと思いますが、自分の体験、他人の体験をもとに載せます。


第何次産業?
乗馬クラブの仕事で思いつく事って何ですか?
馬の世話や管理、調教など思いつかれるかと思います。
それ以外にも大事な仕事があります。
それは、お客様との接客ですね。

乗馬クラブはお客様がいらっしゃって、乗馬をされるときに頂く騎乗料、指導料、お客様個人の馬をお預かりして頂く預託料などが主な収入源です。
乗馬クラブはサービス業であり、社会科の産業の分類では第3次産業になりますね。

しかし、普段の仕事の9割は馬の世話などの肉体労働でまるで第一次産業のような労働になります。
特に観光地などはウィークデーにお客様がいらっしゃる事は稀ですので、尚更ですね。
あと、乗馬は昔から軍隊系のノリもあって(事実、太平洋戦争まで騎馬隊が組織されていました)、現在でも体育会系なノリがかなり色濃く残っていたりします。

そして、残念ながら以下のような指導員/経営者は乗馬クラブでよく見かけます。
-偉そうな態度でお客様に接している
-敬語一つまともに使えない(タメ口になる)
-禁煙/喫煙エリアを守らず、ひどい場合にはタバコを吸いながら指導をしたり、厩舎内作業時や飼いつけ時にもくわえタバコで作業している。
-親しいお客様と楽しげに話をしていて、初めていらっしゃった方に対して素っ気無い態度で接する。
-お客様に対して挨拶が出来ない。
-指導中、大声で怒鳴る。

これ以外にもまだまだ沢山ありますが、きりが無いのでこの辺にしておきましょう。

今は、指導者講習などで指導員を目指す方にはこう言った指導がされますが、現実はその乗馬クラブの方針によってお客様に失礼な態度を取るところがまだまだありますね。(現役じゃないのでいくらでも言えたりして。(^^;;)
でも、乗馬クラブの仕事はサービス業であるという事を忘れないで下さい。


一番大切なものは?
乗馬クラブというところは、牧場やトレーニングセンターと全く違います。
一番大切なものは、お客様の安全です。
お客様が落馬してケガをされたり、そのケガが元で後遺症障害が起こったり、最悪死亡されたりした場合ははっきり言ってクラブ存亡の危機ですね。
こう言った事故は、一指導員やスタッフの不注意から発生することもあります。
お客様が馬の傍にいるときは、他の作業をしていても絶対に目を離さないようにしなければなりません。

お客様が落馬をする原因として、殆どの場合クラブ側の責任といわれても仕方が無いかもしれません。
ケースごとにちょっと纏めてみましょう。

ケース クラブやスタッフに問われる事
騎乗者の技術が足りなくて落馬する。
(駈歩や、軽速歩、鐙上げ、障害練習、外乗等)
騎乗者の技術を的確に判断できずに、高レベルな馬に乗せた。また騎乗者の技術にあわせた適切な指導が出来ていない。 騎乗者は指導を受けているときは指導員の言う事を聞くしか出来ません。自分でヤバイと感じても、指導についていく事でイッパイなのでそれを伝える事ができません。
馬が暴走して落馬する。 馬が張っている、運動不足でストレスが溜まっている馬に乗せたなど、馬匹管理責任を問われる場合があります。
咬癖のある馬に噛まれる。 クラブ側はその馬の癖はあらかじめ分かっている筈なので、その馬に近づかないよう注意する事をしなかった。
蹴癖のある馬に蹴られる。 同上

以上の事から、指導員やスタッフはお客様の技術レベルを瞬時に見分けて、そのお客様に合った馬と指導を行う必要があります。
また、お客様が勝手に危険な馬に近づかないよう、しっかりと気を配る必要があります。

次に大切な事は、もちろんお客様に満足して帰っていただくことですね。
お客様もお金を使ってわざわざ足を運んでくださっていますので、精一杯楽しい気持ちで帰っていただけるようにしなければいけません。
これは、画一的にニコニコしてゴマをすっててもダメですね。
お客様が何を求めてこられたかを確認して、その要求をできる限り満たしてあげる事が大事です。
例えば、本気で上達したくて来ている方と、安らぎを求めて来ている方では根本的に違うわけです。

安らぎを求めて来ている方は時間を馬と共有できる感じの和やかな雰囲気を作ってさしあげるといいかもしれません。
そして、本気組相手の場合は大学馬術部さながらの超本気レッスンでいきましょう。(^^ゞ

そして、必ずその1鞍の間に何かしらの上達した成果を感じさせてあげる事です。
お客様本人が「あ、うまく出来た!」と思えたら、きっと満足してくださいます。

と言うことは、1鞍の間に上手に乗れるようにしなければいけないと言う事ですね。
インストラクターさんは大変ですね。(^^ゞ


ちなみに、ただ大声でやればいいとか、つっけんどんな態度でお客様が質問できないような雰囲気を作るのは論外だと思ってます。


そして、大切にしなければいけないものはまだあります。

馬です。
全てがそうとは限らないかと思いますが、少なくとも馬が好きでこの世界に入る方もいらっしゃると思います。
常に、馬の体調や精神状態に気を配って、更に運動不足にならないようにしっかり運動させて、調教をしていつも最高の状態に保たなくてはいけません。
朝、馬房に行ってから夜の見回りまで、常に馬に気を配っていなければなりません。
夜間は、大きな乗馬クラブとかだと宿直当番があるところもあると思います。
その場合は宿直さんは定時見回りをちゃんと行い、その際に餌の食い、ボロや尿の量やコンディションをチェックして、馬の目や耳や鼻に異常な兆候がないか、熱は無いかなど、しっかり確認しなければいけません。

私のいた所のような家族経営クラスのチビッコ乗馬クラブは寝てるときも気が抜けませんね。
なるべく、馬房の近くに家があると馬房からの異音などに気づきやすくて良いです。


実際に働くと・・・・
実際に、乗馬クラブ屋さんでスタッフとして働くとどのような一日を過ごすのでしょうか?
私の経験を元にした簡単なケースを載せておきます。
ご参考までに・・・・・・

5:30起床
身支度整えて馬房へ

6:00朝飼い
馬の朝ご飯です。
水桶の汚れた水もこのタイミングで替えます。

6:30スタッフ朝食
馬がちゃんと餌を食べているのを確認したら、急いで朝ご飯を食べます。

7:00厩舎掃除
馬小屋のボロを捨てて、尿で汚れたオガクズも棄てて新しいオガクズを補充します。

8:00練習馬の馬装
お客様が来たらすぐに乗れるように練習馬のチェックと馬装をします。

8:30練習/運動開始
お客様がいらっしゃったら乗馬にご案内して午前の乗馬練習、指導を開始します。
お客様がいらっしゃらない予定の場合、練習馬の運動/調教を行います。

11:30厩舎掃除
午前中、外に出ていない馬の小屋を掃除して、通路などもキレイにします。

12:00午前の運動終了
練習馬達の馬装を解除して馬小屋に入れて休ませます。
その間にスタッフは昼食を取ります。

13:00練習場の馬装
お客様が来たらすぐに乗れるように練習馬のチェックと馬装をします。

13:30練習/運動開始
お客様がいらっしゃったら乗馬にご案内して午前の乗馬練習、指導を開始します。
お客様がいらっしゃらない予定の場合、練習馬の運動/調教を行います。

15:30厩舎掃除
厩舎内の汚れたところをキレイにします。

16:00練習馬の手入れ、チェック
練習や運動が終わった馬から馬装を解除して手入れを行い、馬体や動きに異常が無いか確認します。

17:00夕飼い
馬の夕食です。
この時に、もう一度水桶の汚れ具合をチェックし、汚れている水桶は洗浄してきれいな水に取り替えます。
更に、もう一度厩舎内の掃除をします。

18:00〜20:00夕食等
この時間に夕食等を取ってしまいます。

20:00見回り、厩舎掃除
全頭、異常がないかチェックして、水を補充し小屋内のボロを取ります。

以上が一日の仕事の流れですね。


如何でしょ?
実際にお仕事されている方は、ああ、それそれ!って思ったり、そこはウチの方がラクチン!って思ったりウチって悲惨だなぁ・・なんて思ったりする方もいるかもしれませんね。

そして、これから乗馬クラブで仕事をしてみたいと言う方は、まあここの話は参考程度にしておいてあとは実際に当たって砕けろ!です。(苦笑)


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