6AH4全段差動アンプ


このアンプを製作しようと思ったきっかけは、木村さんのHPを拝見したことでした。いままで真空管アンプと言えば正面に真空管を行儀よく並べ、いかにも「真空管鑑賞装置」といったデザインが多いと感じていました。そんな中、正面方向をあまり意識せず側面からも上部からもバランスの取れたデザインの木村さんの6AH4を使ったアンプは、工業デザイン美的なイメージがあり大変魅力的でした。以下は、そのHPを参考にさせていただき、製作したものです。
 差動回路と言えば、今ではオーディオ用アンプでも当たり前のように採用されていいますが、真空管しかない時代では効率の悪さが原因なのかオーディオアンプの回路にはあまり採用されなかったようです。定電流素子やICを使ったカソード回路も、真空管の動作設計方法の手順を簡素化できる斬新な考え方を解りやすく解説されており、回路は初心者の私にも大変身近なものでした。

真空管は?

使用する真空管は6AH4というトライオードGT管です。
真空管も少しずつ手持ちが増えてくると、自分なりの好みができてきますが、ST管、GT管、mt管その他にも800番台の送信管等色々な形状がある中で、私はGT管が好きです。最もオーソドックスな形状で、手ごろな大きさなのがきにいっているのですが、中でもゲッターがシルバートップの物は大好きです!6AH4では、このタイプはSYLVANIAにしかありません。是非ともこの真空管を入手しなければっ!!!

しかし、アンプを製作しようと思い立った時には、既にこの真空管は日本で「入手困難球」となっていました。秋葉原で4本この真空管を購入すると1万円を超える価格で、どこの店でも在庫があるということではありません。大量に製造されたテレビ球では、2A3や300Bのように再生産されることもないでしょう。
音の良い真空管は、他にもたくさんありますから、あまり拘らず部品集めを始めました。
上の写真は向かって左が6AH4GT、右は5687です。(どうです?美しぃでしょっ!)5687はドライバ―に使うつもりでしたが、製作にかかった時は手持ちが1本しかなく12AU7を使うことにしました。

右の写真は6189(12AU7)SYLVANIA製、μ=18程度の3極管ユニットが2つ入った複合管です。Ppは片ユニット2.75Wパラレル接続で5.5Wになります。内部抵抗が10KΩ前後で、広帯域な増幅回路を構成することができ(真空管回路としてはの話ですが・・)4〜50年前はドライバー管として多く採用されました。

当面、この球を使ってみることにしました。

回路図
 回路図は上図のとおりです。12AU7のドライバ段のみでは少々利得が不足しましたので、初段FETによる3段構成にしました。増幅素子として半導体を使うことには拘りのある方も多いと聞きますが、私はそれほど気にしません。信号の通り道をよく考えてみると、回路上拘っても仕方のない部分がたくさんあり、保守的に拘るより真空管アンプの特徴をうまく引き出す役割に「石」を活用するということでよいのではないかと思います。

製作について


右の写真は、FET 2SK30Aによる初段差動増幅回路です。
平ラグにディスクリートで組み上げたものですが、2段アンプをしばらく使用した後の改造ですから、取り付ける場所を作るのに苦労してしまいました。
結局、リアのスピーカーターミナル部にスペーサーを使って固定しています。それほど不安定ではなく、配線も問題なくできました。NFBも半固定VRで調整し、軽くかかった状態です。


左の写真は内部配線です。カップリングコンデンサは無難な選択ですがASC製です。カップリングコンデンサも音質にまつわる色々な話が多くあり、何がなんだか判断に迷うのですが、結局自分の好みの音色と満足度で決定するものなのでしょう。「これが一番良い!」などとは到底書くことができません。

私としては、一般的に広く使われているものを選択したつもりです。音質はこれによって大きく変化があったとは思いませんでしたが、それなりに満足感を得ることができました。

試聴感は・・・・。

本来、周波数測定を掲載するのでしょうが、ちょいと手抜きです。測定結果では、低域側はさすがにプッシュプルアンプの伸びがありますが、高域については配線のせいかもしれませんが、少々不満な結果でした。しかし、これは測定データーのことであり、聴いた感じは全く不満がありません。低音の重量感がありダンピングの効いた音がします。全体に中域に厚みがありヴォーカルがいい感じに聞こえます。ジャズもなかなかのもので、つい大き目の音量で長時間きいてしまいます。シングルアンプだと「もう少し力強さが・・・」ppアンプだと「もう少し繊細さが・・・」という願望の2つを少しづつ叶えてくれている感じ?でしょうか。

その後、誓うアプローチで10台位のアンプを作成していますが、なかなかこのアンプを超えるものができません。しばらくは、我が家のメインアンプです。



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