(原題=American Werewolf in London)

Year: 1981
Country: USA / UK
Runtime: 97
監督ジョン・ランディス
脚本ジョン・ランディス
制作総指揮ピーター・グーバー
ジョン・ピーターズ
撮影ロバート・ペインター
特殊メイクリック・ベイカー
音楽エルマー・バーンスタイン
出演デビッド・ノートン....David Kessler
グリフィン・ダン....Jack Goodman
ジェニー・アガター....Alex Price
ジョン・ウッドヴァイン....Dr. Hirsch
ブライアン・グローヴァー....Chess Player
フランク・オズ....Mr. Collins
story
 休暇を利用して、英国北部を気ままに旅するアメリカ人のデビットとジャック。流れ着いた田舎町のパブで休憩しようとするが、 店内の異様な雰囲気に追い出されてしまう。店を出る際に客が気になる言葉を投げつける「荒地は危ない。月に気をつけろ」。 気を取り直して旅を続ける二人だが雨が降り始める。幾分か歩いた後、雨はあがるが雲の隙間から満月が顔を覗かせ、 月夜に照らされた足元を見るといつしか荒地に迷い込んでいた。そして獣の遠吠えが・・・。

review
  監督、ジョン・ランディスが脂ののった時期に撮った作品。最近の彼の作品は質が落ちる一方である。復活を願う。

 監督自身、この映画のコメディ性を否定しているが、私はどこをどうブッタ切ってもコメディだと思う。世間一般ではホラーコメディと して認知されているが、ホラーはちょっとしたオードブルに過ぎない。もちろん、一流のシェフが料理した一流のオードブルではあるが、 コメディ性を引き立たせる為のものであって、けしてメインではない。かと言って普通のディナーコースでもないところが傑作たる所以。 オードブルをキャビアのゼリー包みとすれば、メインディッシュは勝津産の鰻重。そう、まったくかみあってないのだ。 こんな料理をだされたら、もう笑うしかないだろ?
 個々は”正常”だが、共存させると”異常”。それは劇中で随所に繰り返される。 最初に狼男に変身する場所は何の変哲もないリビングルーム。しかもバックミュージックは能天気な曲「ブルームーン」ときた。 たしかにムーンだから狼男に相応しいかもしれないが、曲のテンポがテンポだけに違和感がある。二度目の変身場所はポルノ映画館。 バックミュージックはアレの声だ。どこにでもあるような日常(正常)に忽然と表れる狼男(異常)。 ところが正常と異常の食い合わせが次第に快感へと変わる。
もの悲しいラストも次の瞬間には裏切られる。あぁ、この映画はコメディなんだなとクスリと笑うのが正しい観賞の仕方なのだ。

変身シーンは今でも見応え有り。けしてCGにはだせない味、じっとりとした質感がある。

DVD(国内版)の映像、音響、特典はまずまず納得のできる仕上がり。値段もお手頃(3800円)ですし。特に音響はさすがに素晴らしいものがあった。 欲を言えば予告編とスタッフのフィルモグラフィーは載せて欲しかったなあ。 それにしても、この邦題はなんとかならんのか。

other

ジョン・ランディス
(John Landis)

Date of birth
1950/08/03

location
Chicago, Illinois, USA
制作年 監督作品
1998 スーザンズ・プラン
1998 ブルース・ブラザース2000
1996 ステューピッド/おばかっち地球防衛大作戦
1994 ビバリーヒルズ・コップ3
1992 イノセント・ブラッド
1991 オスカー
1988 星の王子ニューヨークへ行く
1987 アメリカン・パロディ・シアター
1986 サボテン・ブラザース
1985 スパイ・ライク・アス
1984 眠れぬ夜のために
1983 マイケル・ジャクソン、スリラー
1983 トワイライトゾーン
1983 大逆転
1982 カミング・スーン
1981 狼男アメリカン
1980 ブルース・ブラザース
1978 アニマル・ハウス
1977 ケンタッキー・フライド・ムービー
1971 シュロック

 

 

大使館員コリンズを演じたフランク・オズは、映画監督やマペットマスターとして名高い。デビットの夢に出てくるテレビの人形劇 も彼によるもの。ラストクレジットに人形の名前(Miss Piggy)が含まれている遊びも。

フランク・オズ
(Frank Oz)

Date of birth
1944/05/25

location
Hereford, England, UK
制作年 主な監督作品
2001 スコア
1999 ビッグムービー
1997 イン&アウト
1992 ハウスシッター
1991 おつむて・ん・て・ん・クリニック
1988 ペテン師と詐欺師
1986 リトル・ショップ・オブ・ホラーズ
1984 マペット、めざせブロードウェイ
1982 ダーククリスタル
制作年 主な出演作品
1998 ブルース・ブラザーズ2000....ウォーデン
---- スターウォーズ....ヨーダ(声、マペット操作)
1980 ブルース・ブラザーズ....刑務所員
---- セサミ・ストリート....声、マペット操作

 

 

特殊メイクを担当したリック・ベイカーは、この年に新設されたアカデミー特殊メイクアップ賞を受賞。以降、ノミネート10回内受賞5回。 ランディスとはデビュー作品「シュロック」で人猿を制作して以来の付き合い。以降も類人猿を得意とし、「プラネット・オブ・エイプス」では500体ものマスクを制作。 ベイカーの師匠はディック・スミス(エクソシスト、猿の惑星、アマデウス”アカデミー受賞”、他多数)、弟子にはロブ・ボーティン(ハウリング、遊星からの物体X、他多数)がいる。

リック・ベイカー
(Rick Baker)

Date of birth
1950/12/08

location
Binghamton, New York, USA
制作年 アカデミー特殊メイクアップ賞受賞作品
2000 グリンチ
1997 メン・イン・ブラック
1996 ナッティ・プロフェッサー
1994 エド・ウッド
1987 ハリーとヘンダソン一家
1981 狼男アメリカン

 

 

 

 

デビットとジャックを演じたデビッド・ノートンとグリフィン・ダンは当時無名の俳優で、 監督に初めて対面したその場で、大したオーディションもやらずに抜擢された。その意図は映画にリアリティを持たせる為、 そのへんにいるような人間を起用したかった。現に主役のノートンはとりわけハンサムでも無く魅力にも乏しい。 その後の俳優人生も今一つパっとしていない。ランディスの目に狂いは無かったようだ。

劇中に出演することで有名なランディスは車に引かれてガラスに突っ込む男を熱演(頭にバンド、眼鏡、髭ずら。冒頭より90分)。 彼は貧乏時代にスタントマンで日銭を稼いでいた。

ランディス作品に必ず表れる文字「See you next Wednesday」はポルノ映画館の看板に書かれている。由来は昔に書いた脚本(ボツ)の題名らしい。

オープニング、最初の変身シーン、ラストクレジットに流れる曲はバージョンこそ違えど同曲「ブルームーン」。

リメイク的な作品として「ファングルフ/狼男アメリカンinパリ」(1997)がある。こちらはランディスはノータッチ。 作品的には少々物足りないが、並以下でもない。観る価値はあるかもよ。

関連サイト
http://www.americanwerewolf.com/landing5.html
http://www.houseofhorrors.com/american/american.htm

 

 

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