その3------ 名馬の条件 ------

 「無事是名馬」、という言葉があります。
読んで字のごとく、
「健康で元気な馬は、即ち名馬なのだ」
という意味です。

 昨日(2000.4.30)の天皇賞で4着になったステイゴールドという馬がいます。
彼は天皇賞や有馬記念、宝塚記念といったGTの常連さんなのですが、
実はまだ重賞(GT,GU,GV)では一回も勝っていないんです。

 弱い相手なら弱いなりに、相手が強ければちょこっとだけ本気を出して(笑)
なんとなく2〜4着に落ち着いてしまう、なんとも憎めないお馬さんなのです。

 ちょっとタイプは違うのですが、
おんなじようになかなか「ここぞ」という所では勝てずに、ファンが歯がゆい思いをしている
お馬さんに「ローゼンカバリー」君がいます。
(彼はそこそこ勝っているんですが・・・なんか歯がゆい(笑))
なぜか彼らの人気はものすごいものがあり、
人気だけだったらその時の一番人気馬も負かしてしまうほどです。

 彼らの魅力は何なんだろう?
って、1ファンである僕は考えました。
その結論なんですが、結局は
「勝てなくても、いつも僕らの前にその元気な顔を見せてくれるから」
って事に尽きるんじゃないかな、って思います。
顔なじみに会う懐かしさ、っていうか。

 もちろん、「今日(こそ)は勝ってくれるんじゃないか」
って期待している気持ちもあるんですけど、それよりは
 「勝てなくてもいいから無事に(レースから)帰ってきてね」
っていう気持ちの方が強かったりします。

 今までに多くの「名馬」と呼ばれた馬たちが、不慮の事故から命を落としてきました。
ガラスの足を持っているサラブレッドたちには、競馬は毎回命がけの勝負なんです。
いつまでも無事で走りきり、元気で引退することがどれだけ難しいことか。
競馬を知れば知るほど解るような気がします。

 だからいつも、自分の好きな馬が走る時はこう考えてしまうんです。
「勝てなくてもいいから、無事に帰ってきてくれ」
って。