クオーツ時計も日々進化しています。時計の精度を上げることはもちろん、サイズの小型化、付加機能の搭載、それに伴う部品の開発など工場に求められるリクエストは多いようですね。盛岡セイコー工業はクオーツ時計部品の開発・製造において世界有数の技術を持っています。

 マイクロモーターの展示。下のボタンを押して動かすことができます。

クオーツ時計の分解展示

様々な機械部品

 クレドールやグランドセイコーなどの高級機械式時計も盛岡セイコー工業で製造しています。これはクレド−ルに搭載される手巻機械を展示用にスケールアップしたもの。家のオブジェに欲しいです(笑)。

 実物の自動巻機械をプラスチックの筒にいれ回転させていました。ローターの動きや車との噛み合いが観察できます。やはり時計機械は美しいですね。

 体温で発電するサーミックもセイコーインスツルメンツの開発・製造です。発想・機能もさることながらデザインが素晴らしい。

 アルバ製品など廉価なクオーツ時計が盛岡セイコー工業の主力製品となっているようです。広大な敷地面積の工場では多くの製造ラインが並び、凄いスピードでクオーツ時計を大量生産。年間生産は1000万個を超えるとのこと。

 時計のOEMも積極的に手掛けているようです。ナイキの液晶デジタルもこの工場で製造されていました。

 話題になった地球ウォッチ。腕時計という製品で社会活動にも参加しています。今ではセイコーインスツルメンツの顔のような(?)腕時計ですね。これだけの“芸術品”が定価32000円。素晴らしいコストパフォーマンスです。

 機械式のグランドセイコーはこの工場で製造されていました。盛岡セイコーは国産機械式時計の「聖地」と言えそう(笑)。製造現場のレポートは以下で。、

 1階のロビー以外は撮影禁止です。世界最先端の時計製造工場ですから当然ですね。これは時計部品の製造行程かと思われます。巨大なラインが多数並んでいました。

※見学パンフレットから

 年間に1000万個以上の腕時計を製造するだけあって、非常に高速なラインです。クオーツの製造行程では完全なオートメーション化が進んでいました。

 一方、機械式時計の部品の製造、組立は沢山の人手がいるようです。クオーツのラインと機械式時計のラインは全く雰囲気が異なりました。

※見学パンフレットから


 1階ロビーの見学を終えると、工場を案内いただく社員の方がみえました。まずは会議室で工場の解説ビデオを見ます。お茶を飲みながら簡単な時計談義。女性社員の方が私の時計について聞いてきたので、4Sのローレルであることを説明し時計を見せました。彼女は「それは良い時計ですね」と搭載されている機械についても理解してコメント。さらに「機械番号」のことまで話が進みましたので時計ファンには嬉しい限り。
 ビデオが終わるといよいよ工場見学です(残念ながら工場内は撮影禁止)。いきなり通されたのがGS、クレドールの機械組立作業場。もちろん全て手作業です。その場所に案内頂いた社員の方に雑誌で読んだ知識をちょいと披露しました。
「GSは盛岡セイコーで部品を作って、千葉の大野分室でケーシングされるのですよね」
すると
「今年の4月から盛岡工場でケーシングまで行うようになりました。今では一貫生産ですよ」 !!!
 
 ガラス越しに作業場をよく見ると「世界の腕時計56(2002.4)」でも紹介された名工・大平晃氏も作業されていました。雑誌では大野分室にいると紹介されていましたが、盛岡セイコー工業に機械式時計製造を集約するなかで異動されたようです。

 興奮しながらガラス越しに作業場をじっくり見学。天性の素質がないとできないと言われる「テンプの平振れ取り」の作業をされていたのは若い男性職人(?)さん。どんな時計をしているか見てみると4Sのアルピニストをされていました。これの黒文字盤です。もちろんGSの微調整をされる方ですから、独自にチューンナップされいることでしょう。
 ちなみに大平晃氏はGSを、ヒゲゼンマイの玉付けをされている方はクレドールの両面スケルトンをされていました。
 色々とマニアな話をしている2人の会話は筒抜けのようで、作業されていた方々はチラチラと私とらいちんサンのほうを見ていました。作業の邪魔をして御免なさい(汗)。 2002.9 update

   

  

次に進む