お馬鹿劇場
Ver.7


 ある昼下がりのことである。
 それは、いきなり激しさを醸し出していた。
 すでに、リナは紐で絡め捕られている。
 紐が擦れる度にリナは、声を上げている。

「っあはぁん・・ああ・・・あん!
 もう、ゼルったらぁぁ、上手ぅv・・・じゃあ、今度は・・・あたしの番ね。」

「ったく・・・よく言うな、お前が!
 俺を脅してヤラセてるんだろうが。しかしなんだって、お前は・・・こんなに好きなんだ?」

 ゼルガディスの言葉に恥じらいの表情でもって答えるリナ。
 ほんのりと染まった頬がなんとも言えず艶かしい。
 恥じらいの表情のままリナはゼルガディスに掛けられた紐を解く。
 その紐を手にゼルガディスの傍に寄り・・・瞬時に、リナはゼルガディスを手の紐で絡め捕っていたのだ。
 そして、いきなり激しく責め始めた。彼に絡む紐を締めたり緩めたり・・時に、素早く、又時に柔らかく。その巧みな動きと絡む紐のこすれ具合は、ゼルガディスにえもいわれぬ感覚を味わわせるのだった。

「・・っあ・・・うっ・く。お、おい・・リナ・・い、何時の間に、こんなテクを・・・」

 ゼルガディスの声に微量だが焦燥感の混じり始めたことを素早く察知したのだろう。
 先程の恥じらいは何処へいったのだろうか?あろうことか、リナの口元には名状しがたい笑みが浮かべていたのだ。

「うふふふふ。ゼルでもこんなことするのね。・・・いいわよ。あたしのテクニックで感じさせたげる・・・タップリと絡めて・・ね。」

 ゼルガディスは驚きを隠せなかった。それもそのはずだろう。彼は常にリードし続けてきたのだから。

「リナ、お前さん、一体・・・・うあっ!よせ、そこは・・ああっ、裏までヤルな!・・・余計に食い込むぞ・・くっ!」

 リナは不意に指を動かし始めた。まるでゼルガディスの思考能力を消滅させる勢いで、だ。

「このまま、イカせるのもいいかもね・・・クスクス・・」
「・・ううっ・・くっ・・やめ・・・ああっ!それはダメだっ!」

 ゼルガディスに絡みつき、擦り上げる感覚。目前で繰り広げられる巧みな技。もう、そろそろリナのテクニックにゼルガディスが陥落するだろうと思われた。しかし! !

「ふっ、リナ。なかなかヤるようだが・・・まだまだだな。捌き方が足りん!もっと、こうやるもんだ!!」

 不意に、彼は体位を逆転させた。今までの全てが演技ででもあったのだろうか?いや、そうではない事を、額に光る汗が物語っていた。
 そして、絡め捕られていたはずのゼルガディスが、リナ以上のテクニックで以って報復措置を始めたのだ。
 激しい動きがリナを襲う。彼が、今までこんなに激しくする事などなかったのに。

「あっ・・そんなとこ、動かしちゃイヤぁぁ!あっ・・そこよぉ・・いやいやっ・・・ちがうったらぁんっ!こっちの穴に突っ込まないと・・・あぁん!」

「・・フン。いちいち俺に指図するな!イイんだろうが・・んん?どうなんだ、言ってみろ!!」

 つい今しがたまでの優しいゼルガディスはもう何処にもいなかった。
 リナは、ただただ恐怖に震えながらも、彼の織り成す刺激に全てを委ねるしかなかった。

「ああああぁぁぁ・・・もう、もう・・おっ、お願い・・ゼル。」

「ようやく、素直になったな。リナ。いいか?お前とここまで出来るのは俺だけだ。・・そうだな・・・忘れられないように、こうしてやる!」

 ようやく、素直になったリナに満足したのか、ゼルガディスはその紐で以ってフィニッシュ・ブローをかけたのだ。リナの尖った先端に紐が絡められていた・・・。


「ああぁぁっ!!」

 目前には恍惚に震える彼女の顔。
 だが、ゼルガディスの膨れ上がった欲望は今だ、費えてはいなかった。
 彼は更に動き出そうと・・しかし!



「はぁーーい、OK!!そこまでで十分ですよ!撮影終了でぇーす。」

「いやぁ、しかしすごかったなぁ。あんな技。こんどヤってみるか・・」

 なんと、そこに正義の使者様&光の剣の勇者様の声がひびく。
 そして、すぐ側のアストラルでは・・・・。


 『ま・・・まさか、ギャラリーがいたのでしょうか? いやそれよりも!!撮影?今の行為が何かに撮られていたという事ですか? もう、ここにいることなど・・・、ましてや我慢など限界です!!』

 ―― ヴィィィン ――

 空間を歪めて現れたのは、秘密大好き獣神官であった。
 見れば彼の両目からは滂沱の涙が滴っている。


「リィナァさぁぁぁん、僕というものがありながら(TT)
 こんな、こんなに激しく・・・それも、皆の前でなどと・・・許しません!断じて許す事などできません!!
 特にゼルガディスさん、僕のリナさんを縛るとはなんて羨ましい・・・ではなくて、僕も縛られたかった・・でもありません!!!
 とっ、とにかく!貴方は永遠の悪夢に沈めてあげます。ラウグヌト・ルシャヴナ!!」


 そして、いきなり獣神官の手の中から黒の力が放たれようとした。その時。

「誰が誰のものよ!いい加減なこと言わないでよ、ゼロス!・・大体、そんなにダメなわけ!?あやとり。」


「はい?・・・・・・ア、アヤトリ・・・・・?」



 ぴきっ!!


 あはれ、獣神官は目を皿にして動かなくなってしまった・・・。


「しっかし、すごかったよなぁ・・二人とも。」

「ええ、あれだけのテクシャンはあたしも見た事ないですよー」

 ガウリイとアメリアの賞賛に気をよくするリナと、なにやら落ち込んでいるゼルガディス。

「ふっふーん!これでも、あたしは昔、あやとりリナちゃんって言われてたんだから!
 って、あたしはともかく一番以外だったのはゼルよねー。まさかあたし以上のテクニシャンとは・・・特に最後のフィニッシュはすごいわ。なんたって小指の先に引っ掛けただけで綺麗な流星ができたんだもの。」

 だが、そんな賞賛の声どころか、全ての雑音がゼルガディスには、聞こえていないようだった。

「お、俺は、俺は・・リナの便利なアイテムか?
 ・・・いや、違う!俺はクールで残酷な魔剣士のはずだ・・・・」

 なにやら、どこぞで聞いたような台詞を口走っている。その目は何処かに逝ってしまったようだ・・。
 だが、ホップ&ライトな会話は無常にも流れ続けるのだった・・・。

「ほんとですぅ。記念に撮影しておいてよかった。また、皆で研究(?)しましょうね。これさえあれば、明日のあやとり大会は優勝間違い無しです!ねっ、リナさん!・・・でも、ゼルガディスさん、なんでこんなに上手なんですかぁ?」

「そーだぞ。ゼル。俺なんか全然ダメだもんな。」

「うーん。秘密って言われてたけど・・・まっいっか。催眠術で無理やり聞き出したんだけど・・・なんかねー、レゾに仕込まれたんだってー。あやとり。ほっんとレゾって変わってるわよねぇ。・・でも、そうすると、その血を受け継いでいるゼルも変わりモン(死)ってことよねーー。アハハハハハハ!」

「そういや、そうだよなぁ・・ハハハッ」

「アハハハハ・・・・だめじゃないですかぁ、催眠術なんてー。そんなのゼルガディスさん可哀想ですよー・・・・」

 リナを含め三人の楽しげな笑い声に晒されるゼルガディス。
 だが、彼の反応は無かった・・・。だが、よく見れば微かに肩が揺れている。

「ふっふっふっふっふっ・・・・・くくくく・・・・・あーーーはっはっはっはっ!」

 ゆっくりと笑い声の主が振り返る。
 彼の目は遥かなる蜃気楼を見つめている。
 その常軌を逸した表情に3人の笑みが徐々に強張っていくのだった。
 ああ無常・・・。
 苛烈なる現実は、クールな間抜け魔剣士ゼルガディスのシナプスの一部を昇天させてしまったようだ。
 結果・・・愉快な超絶あやとりテクニック!撮影現場を地獄の業火が席巻したのだった。

 その修羅の後には・・雪のように真っ白な彫像が佇んでいた・・・それが獣神官ゼロスのなれの果て、であると知る者はいなかった・・・・。



群狼の島――獣王宮内、玉座の間。

只今戻りました・・・・。
えっ?・・・なにか疲れてるように見える・・ですか?
なんでもありません、ゼラス様。では、今週のご報告を致します。
特になにもありませんでした。ええ、ほんっとうになんにも!!
まぁ、ただ、ちょっと不愉快な事がありましたけど。でも、ご報告するようなことではありません!!
・・・えっ?!なんのことか話せ?・・・・・そっ、それは・・・その・・・。
まぁ、いいぢゃありませんか・・・詰らない事ですよ。
・・へっ?・・・いいから話せって・・?・・(滝汗)
はっ・・話さないとお仕置き・・・・そっ、そんなぁ・・(;;)
・・・!!わわっ!やめて下さい、ゼラス様!!
ひぃえぇぇぇぇ!!やめてーーーっ!!うわわぁぁぁぁぁぁん!!
だっ、誰か助けてくださいぃぃぃぃ!!(TT)


完 (改稿 2007.2.14)


・・・・・・・・・・・・・。
最早、何も言う事は御座らん。
某には死!あるのみ!!
でござる。
住刃 斬殿・・・・
何卒、何卒、お許し下されたく、御願い奉り候。

三下管理人 きょん太拝