外は良い日和である。
だが、この場所は―――とても・・・そう、とても狭い部屋だった。
この良いお日和に何ゆえ薄暗く狭い場所に若い男女が潜んでいるのか・・・・。
天井も低く、少し手を伸ばせば互いの頬に触れられるのでは・・・・と思わせるほどの場所。そんなところで今、一組の男女が熱いモノに支配されていた。
その二人の片割れ、リナのモノにはすでに熱くたぎった液体が溢れている・・・そして、今までただ、沈黙を守っていた男、ゼルガディスが彼女のモノへ浸入し、慣れた手つきでかき回し始めたのだ。
「あっ・・・・・だめよ。ゼルぅ・・・・・」
とたんに上がるリナの声。
リナのかすれた声がゼルガディスの耳朶を打つ。だが、ゼルガディスは一向耳を貸す様子もなくひたすらリナのモノをかき回し続けている。リズミカルに時には軽く時には深く。
「ねっ、ね・・お願い・・・お願いだから・・・。」
「・・・・・・。」
普段のリナとは思えない媚を含んだ仕草だったが、それでも、ゼルガディスは無言のままだった。彼は何も感じてはいないのだろうか?
いや、そうでもないらしい。ポーカーフェイスを装ってはいるものの、神経がリナへ向けられている事は彼の瞳の色が物語っていた。
だが、そうこうするうちにもゼルガディスの手は更に激しくリナのモノの中で蠢いていくのだ。そう、ここからは熱く、はげしく。
「あっ!あっ・・・・ああぁぁぁぁ・・・・・・・いや・・・いやいやっ!」
リナの一際切ない声が響いた時、ようやく、ゼルガディスの瞳とリナの瞳がぶつかった。
「リナ。この程度なら、大した事はないだろう・・・大人しく諦めろ。」
「いやよっ!こんなの。こんなの・・・・あたしは・・・・ああぁん!!!」
更に続くかと思われたリナの抗議は、ゼルガディスの行為によってあえなく消えていた。そんなリナの様子に満足したのだろうか、彼の冷徹な面にわずかばかり笑みが浮かんでいる。
「あ・・・ああ・・・・あっ!!やだやだ・・・・ゼル、もう止めてよぉ。」
「おや?リナ、どうした?そんな目に涙を溜めて。何かあったか?んん?」
もう、限界だったのだろうか、リナはゼルガディス何を言われているのかも分からないようだ。ただ、ゼルガディスの前で手を握り締め、その身を震わせるばかり。
対するゼルガディスは、彼女に優しくする様子は微塵もなく、冷徹な唇に薄く笑みをのせているばかり。
「ねえ、いいでしょ?あたし・・・あたし、こんなの・・このままなんて・・・絶対、いやよぅ!!!」
「くっくっくっ・・・イイ様だな。これが世に名高い『リナ=インバース』とはな。・・・・・可愛いものだ、実際は。この程度でな・・・。」
低くうめくように笑うゼルガディスにリナは己の欲望をぶつけてきた。もう、彼女には恥も外聞も無かったのだろう。
「お願いっ、お願いだから、早く入れてぇ!!!」
リナの激しい言葉にゼルガディスは少しだけ気を取られたようだ、形の良い眉がピクリと動いたのだから。が、そんな彼女の激しさも結局、徒労に終わろうとは。
「だめだ。今日は俺の好きにする約束だったはずだ。だから・・・・このままで我慢してもらうぞ!!」
「いやぁぁぁぁぁぁ!!」
ゼルガディスの非情さがリナの表情を絶望に染める。
そして、いっそう激しい行為の後、その動作がゆっくりと止まっていき、ようやく満足したのか、ゼルガディスはリナのモノを解放した。
だが、リナにとってはこの後も苦い関門が待っていたのだ。
ゼルガディスはリナのモノをかき回していたモノを彼女の鼻先に突きつけ言い放つ。
「さて。ちょうどイイ頃合だ。リナ、味見をしてもらおうか。」
ゼルガディスの非情の言葉がリナを凍らせたその時!!!
「そこまでです!!」
狭い室内に響き渡る愛らしい声。
その声の主は・・・アメリア・ウィル・テスラ・セイルーン!!!
まごうことなき正義の使者!!
「ゼ・・・ゼ・・・ゼルガディスさん。
わ、私は・・・信じていたんですよ!
例え姿は違っても、貴方のその身の内に、激しく燃える正義の焔を!それなのに!!
やはり貴方はまだ、残酷な魔剣士のままだったんですか!!!
昼日中から、か弱い女性になんとゆーことを・・・ってまあ、リナさんはか弱いとは言えませんけど・・」
いつもと変わらず一呼吸も入れずに悪を諭す正義の使者!そして、判決の刻が来る。
「・・・・本当は・・ここでゼルガディスさんをきちんと諭し、元の正義の道へ戻す事こそ私の務めなのでしょう。
しかし!例え、正義を共に行ってこようとも、罪は罪。それが仲間であるなら尚の事償わなければなりません!!
分かって下さい、ゼルガディスさん!!
行きます、正義の平和主義者キィィックッッッ!!!」
罪を断せよと正義の使者は激しい炎を揺らめかせ・・・地を蹴った!!
「おい・・・茶をたしなむのがそんなに悪なのか?」
ゲイン!!・・・・・・・・ドサッ・・・・・・・・
ゼルガディスの先ほどと露ほどにも変わらぬ非情の声と、妙な打撃音が同時に木霊する。
見れば、正義の使者は―――床に倒れ伏していた。
なぜか。
そう・・・狭い部屋で力いっぱいジャンプをしたのだ、彼の使者様は。
当然のことながら、頭に天井の洗礼を受け、その後、部屋の『タタミ』にも礼拝したのである。
なんとも、かんとも・・・。
「さあ、リナ。この間からの約束だからな。ちゃんと飲んでもらうぞ!」
「ええーーーっ!いやよ!!苦いんだもん、お茶って。
どうしてもあたしに飲ませたいなら、そこにお砂糖とミルクを入れてよ!ってさっきからずぅぅぅぅっと言ってるじゃない!!なのに・・ゼルのいけず!!」
「いけずで結構!
なんとでも言え。これはこの苦いお茶がお茶菓子の甘さを際立たせるんだ。
とにかく!これはこのまま一滴残さず飲み干してもらおうか!!
そのために俺にわざわざ茶碗まで買わせたんだろうが!!・・・この出費にかけて・・・・必ず!全部!!飲んでもらうぞ!!!」
ゼルガディスの鋭い眼光がリナを貫く!!
が、当のリナは気づいているのかいないのか、
「ぜぇーーーーったい、い・や・よ!!!」
竹を割ったようにスパパンっと言葉を発するリナ。だが、その体が足が、落ち着きなくもじもじと揺れているのにゼルガディスは気がついていた。がとりあえずは知らぬ振りをしたまま、
「飲めば・・・ここにある茶菓子を全部やるが?」
「えっ!ほんと(はぁと)!!・・・・って、でもでも、お茶飲まなきゃいけないしー・・・うーーん、うーん・・・・。」
頭を抱えて悩み出すリナをニヤリと笑うゼルガディス。中々リナの食欲を把握しているようである。さすがは策士!
しかし、どこにでも落とし穴はあるものである。
つい今しがたまで頭を抱えていたはずのリナがこちらを見てニンマリ笑っているではないか。
「ゼールー?あたし、やっぱり飲まない!!」
「なぜだ?いらんのか?茶菓子・・」
「無いのに?」
リナの一言に、自分の脇に置かれていたはずの菓子へと視線を向ける。
「っ!!」
なかった。
リナの言うとおり影も形も。呆然とするゼルガディスを尻目にリナは勝ち誇ったように宣言する。
「わかった?!これであたしが、にっがーーいお茶飲めなくなったって!それじゃそーゆーいうことで!」
リナの嬉しげな声が響く。その声を聞きながら、ゼルガディスは『一体自分は何のために茶碗まで買ってやったのか?!』と無邪気な彼女へ怒りの矛先が向くのを感じていた。
その感情は、彼の瞳に剣呑な色で染め上げ、そして・・・。
「ほほぅ・・・どうあっても!!俺の『茶』が飲めん。とそう言うんだな?リナ。・・・いいだろう。」
「いいの、ほんと!さっすが、ゼル、物分りのいい男って好きよ〜〜!・・・って、きゃぁぁぁぁ!!」
リナの表情が歓喜に沸き立った―――のと、地獄に突き落とされたのはほとんど同時だった。
ゼルガディスはきちんと正座し続けていたリナを押さえつけると、彼女の足を突っつき始めのだ。そう、リナは痺れを切らしていた。それをゼルがディスはきっちり気づいていた。
「いや!!いやいや!許して、ゼルーーー!!きゃーーーー!!」
「約束通り『茶』を飲むならな。」
「ひぃぃえぇぇぇぇぇぇ!!」
そうしてこの後、激しい報復措置に自称天才美少女魔道士様は、数え切れないほどの涙を流しつつ、残酷な魔剣士殿に謝る事になったのである。―――だが、傍目から見れば単にいちゃついているようにしか見えなかったのは、私の気の迷いだろうか?
彼らの傍らで、断末魔の蛙のようにひきつけをおこしていた正義の勇者様や天井裏から羨ましそうに眺めていた某ノホホン○神官にも聞いてみたい事ではある。
それでは、この辺で・・・っとと。
はて?誰か忘れていないか?と仰る。
それは・・・残るお一人の動向について。ですな?
残るお一人は・・・春の花咲く野原の中で、水母よろしく漂っておられました。
お茶菓子片手に。ですので、ここではあえて、除外させていただきたく。よろしく。
完!(改稿 2007.2.14)
ああ〜〜〜。
懲りてません。またしても馬鹿満開です。とほほ・・・・(;;)
いやもう、ラブラブ書きたいと渇望しているわりに蓋を開けてみれば、この体たらく。まじめなゼルリナな方々からいつ糾弾されても仕方ない。
わかっちゃいるけど、これしか書けない。ああ・・・・誰か、誰か・・・・・弟子にして下さい!!そして、ラブラブの真髄を伝授して下さいっ!!!
で、今回は、「おおっ!ナイスだ、ビバ!○○!!」な、紫なキャベツ様へ献上させていただきます。
三下管理人 きょん太拝