闇に生きる存在(もの) |
きみは知らない。 何故この計画が持ち上がったのか。
「ラーシャートの件はおそまつだったけどね」 「……ああ……まあ、あれは……ね」 確かに指摘された通り。曲がりなりにもガーヴ直属の部下だ。多少は使えるかとも思ったが……。 「ガーヴを倒したおかげで、こっちの言いなりになった、まではよかったんだけど…… まさか、あっさり倒されるとは思ってなかったよ。 よっぽどダイコン役者だったんだろうね。 ……まあ、あんなのが部下やってたんじゃあ、ガーヴもだいぶ苦労したろうね」 「ゼロスの方が使えるって訳?」 目を見張った。 そんな質問が来るとは思ってもいなかったのだ。 「――ゼロス?」 呟いて、目を伏せる。思い出すのは本心を見せぬ笑み。いつもニコニコとして、愛想が良く見える。実際は違うの だと一体どれほどの者が知っているのだろうか。 実力相応の自信を持っていると言えば聞こえはいいが、悪く言えば生意気。 「あいつの方が使えないよ。ラーシャートと比べるんだったらね」 「…………え……?」 今度は彼女の方が目を見張った。
きみは、知らない。 ゼロスがきみに、どんな感情を抱いているのか。 それをぼくが、どう思っているか。
これでようやく、滅びを迎えられる。そう思った矢先、に。計画は失敗に終わってしまったのだ、と――――。 「――だからどうだというのだ?」 「……あ……!?」 思い知らされた。 「……あ! あ……! ああああああああああああああああああ!」 そんな――――嘘だ。こんなところで、こんなミスで、計画が破綻するなんて。 「――まさ……か……!?」 計画は根本の所で間違っていたのだ。思い違いをしていたのだ。……間違いに、気付かなかった。それが敗因。
立てた計画は完璧だった。穴など見つけようがないほど。 後は計画通りに全てが動き、滅びが待っている筈だった。ぼくは滅びを待っていれば良かった。 待っていれば、全てが思い通りになる筈だったのに。 間違いさえ、なければ。
「滅びを与えてあげるよ。冥王フィブリゾ。 ――お前の望んだ、その通りに、ね」 ちがう……違う! ぼくは、こんな結末を望んでなんかいない!
望んだのは、滅び。 純粋な願い。世界を、全てを滅ぼし、自らも滅びる。 ただ、それだけだったのに。――――つくられたときは。
きみと共に滅びたい。それが最初の望み。きみと滅びを迎えられるなら、それで良かった筈だった……。
だから……今度こそ。きみと共に、滅びる為に…………。
ぼくは、きみを、手に入れる。
――終劇。 稿了 平成十一年八月二十五日水曜日 改稿 平成十二年二月二十二日火曜日 |
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読まないほうがいい、三下コメント モッ、ヒョッ、ヒョッ、ヒョッ、ヒョッ・・・・・・・・・。(馬鹿) |
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