僕が家に帰ると、そこにはリナお姉ちゃんと、知らない顔の男がいた。制服から推測すると、リナお姉ちゃんと同じ中学の生徒みたいだ。
「あ、フィブお帰り。」
「ただいま、リナお姉ちゃん。
 その人だれなの?」
彼氏なんて言わないでほしい。
「ゼルガディスっていう学校の先輩、勉強を教えてもらおうと思って来てもらったの。
 あっ、ゼル、この子は私の弟のフィブリゾ。フィブリゾ、挨拶は。」
「こんにちは、ゼルガディスさん。」
内心こんな奴なんかには挨拶なんてしたくないと思っていた。
リナお姉ちゃんは鈍くてきずいていないけれど、こいつはリナお姉ちゃんの事が好きなんだろう。
「フィブ、私これからちょっとケーキ買ってくるから留守番していてね。」
僕はリナお姉ちゃんを玄関まで送って行く。
「フィブ、お願いだからゼルに変なこと言わないでね。」
その時、リナお姉ちゃんの顔に少し赤みが刺すのを見た。

リビングに戻ると、あいつは、のんきにコーヒーを飲んでいた。
「あんた、リナお姉ちゃんのなんなの?」
僕の口調の変化に、こつつは面白いくらい動揺している。
「何なのといわれても困る、今のところ先輩だろう。」
「いまのところて言うからには、やっぱりリナお姉ちゃんの事が好きなんだ。」
こいつは驚いた顔をしている。
「ぜったいリナお姉ちゃんに気持ちを伝えさせない。」
「それは、お前もリナの事を好きだからか。」
なぜ分かったんだろう。
「ああそうだ。リナお姉ちゃんを好きで何が悪い。」
「悪くは無いと思う、リナはとっても綺麗だからな。
 でっ俺の気持ちをリナに言うつもりか。」
こいつ、僕を脅すつもりか?
「あんたの気持ちは、言わないでおいてやる。その代わり僕のこともいうなよ。」
「ああ、いいだろう。」
「最後に一つだけ質問しても言いか、あんた本当にリナお姉ちゃんを愛しているのか。」
「フィブリゾだったな、お前と同じ気持ちだろう。」
なるほど、本気と言うわけか。
「つまり、本気ってこと?」
「ああ、そうだ。」
「もし、リナお姉ちゃんを不幸にしたら許さない、それだけは覚えておけ。」
思いっきり睨み付ける。
そのとき玄関の開く音がして、僕はこいつを睨み付けるのをやめた。
「ただいま。」
「おかえりなさい。リナお姉ちゃん。」
「フィブは、チーズケーキだよね。買ってきたよ。
 ゼルはケーキ食べる?」
「今日はいいや。俺もう帰るは。」
「そう、残念。また今度勉強を教えてね。」
リナお姉ちゃんに見送られてあいつは帰っていった。

僕たちは、リビングにもどって、ケーキを食べた。
「素敵な人でしょゼルって。
私、ゼルのこと好きなんだ。」
そんな言葉は聞きたくなかった。
「リナお姉ちゃん頑張ってね。僕応援するよ。」
心にも無い言葉た。
「ありがとうフィブ。私頑張るよ。
じゃあ、ゼルに習ったところ復習してくるね。」
リナお姉ちゃんは、リビングを出ていった。

僕はやりきれない気持ちで一杯だった。
当たり前の事かも知れないけりど、リナお姉ちゃんが僕の気持ちに気がついてくれないからだ。
しょせん僕は弟かもしれない、けれどリナお姉ちゃんを思う気持ちは、誰にも負けないつもりでいる。
だからいつも邪魔をしようと思っていた。
けれどあいつは、リナお姉ちゃんのことを本当に愛している。
まだリナお姉ちゃんをあいつに渡したくないとは思うけれど、あいつならリナお姉ちゃんを幸せに出来るかもしれない。
 けど、絶対に邪魔をしてやる。リナお姉ちゃんをまだあいつに渡したくないからな。
僕はそんなことを思いながら、リナお姉ちゃんの出ていった部屋のドアを見つめていた。



どうでもいい、三下のコメント

もう、フィブリゾ可愛いです。
私は、「リナお姉ちゃん」の台詞でコロリとやられました(はぁと)
確かに、フィブリゾって性格ヒネてると思いますが、これくらいなら十分かわいくていいですねぇ。
この後のゼルの苦労が思いやられる・・・・どんなエピソードがあるんでしょうね。
できれば、この続きを見てみたいです。皆様、是非、坂神様にお願いして下さいね。
本当に、素敵なお話をありがとうございました。

三下管理人 きょん太拝