『Deep in my heart, Deep in my soul』
人を好きになる、それはどういう気持ちだ?
わからない。
守りたいって何だ?
わからない。
大切な人
皆には愛しく思う人がいるのに
俺には何でいないんだ、好きな奴が?
大切に思う気持ちがどうして、わからないんだ?
なぜ、人を好きになれない?
Why?
「ぜる〜、お願いがあるんだけどさぁ〜」
「何のお願いだ?」
「あのさぁ〜剣術の練習、付き合ってくれない?」
「・・・そんなの旦那に頼めばいいだろ。」
「ガウリイさぁ〜、熱だしちゃって。今アメリアに看病されてるの。あんな馬鹿でも風邪ひくのね〜。」
「・・・」
「ねぇ〜、おねがい〜。ゼル暇でしょ〜。」
「・・・」
「一つだけゼルのお願いも聞いてあげるから〜」
「・・・今日だけだぞ。」
「やった!!ありがと、ゼル。じゃ〜夜ご飯の後、裏の丘の杉の木の所ね。」
俺だけに判らない感情
アメリアは俺の事が好きだといった。
それに答えられないと言ったら、泣いた。
肩を震わせ大粒の涙を流した。
俺には「恋」という感情が無いと言うと、
俺の為に悲しんでくれた。
この少女を好きになれれば、どんなに良い事だろう。
あの抜けた旦那にも好きな奴がいる
甘栗色の少女
いつもリナの傍にいて、守りたいと言っていた。
俺の感情はいつから欠けているのだろう?
別に笑ったりしないわけじゃ無い。
可笑しけりゃ笑うし、悲しいと気が沈む
だが誰かの傍にいたいとは思わない。
命に変えて守りたい人はいない
人なんて信じられない。
いつ裏切られるか判らない。
魔族のあいつにも好きな奴がいるらしい。
誰だ?と聞いても、お得意のポーズで答えてはくれないが・・・
どこに俺の感情は消えたのだろう?
どうして好きには、なれないんだろう?
いつから、こんな風になったんだろう?
俺は人間以下。
魔族にまである感情を欠落している。
Why do I not know, how to love someone?
「ふぁ〜疲れた〜。さすが、ゼル。強いわ。」
「・・・そうか、お前さんも動きが良くなって来てるぞ。」
「そう!もう少し練習したらゼルより強くなっちゃうかもよ、剣術!」
「それは困る。」
「何で困るの?」
きよとんとした瞳で不思議そうにこちらを見る。
・・・何で困るんだろう?
俺にも判らない、気が付かない内に呟いていたのだ。
「そうしてもだ。」
「・・何かよく判らないけど、いいや。ゼル大丈夫?へンだよ、なんか。」
「平気だ。それよりお願いを一つ聞いてくれるんだったよな。」
「うん。何がいい?」
「・・・答えてくれ、お前は好きな奴はいるか?」
少女の顔が赤くなる。
「な!何でそんな事聞くの?」
「答えろ、いるのか?」
「・・・う・・うん。いるよ。」
少女は恥ずかしそうに野原の上に寝転がり丸まる。
チクッ
何かが胸の中で痛かった。
俺はリナとも違った。
俺にはない気持ちが、リナにはある
俺意外の皆にはこの感情がある
「そうか・・・」
「・・・ゼルは?・・い・・いるの?」
戸惑いながらリナが聞いた。
ズキッ
胸が切り裂かれたように痛い。
意味のない怒りが俺を支配する。
その怒りは身直にいる、リナにぶつけられる・・・
俺はリナの手首を持ち、上に乗り、押し倒す。
「ちょ!!ちょっとゼルー!!放して!」
「教えてくれ、どうしたらその感情は生まれる?どうやってその気持ちを手に入れた?」
「・・・え?」
「俺にはその気持ちが判らない。守りたい?助けたい?傍にいたい?訳が判らない!何故そう思うんだ?」
「・・・その人が、大切だから。傍にいないと狂ってしまうから。」
「何故狂う?人間は一人でも生きていける!裏切られるなら、信じない方がいい。」
「裏切られるとは、かぎらないよ。」
「お前に何が判る!!」
俺はリナの手首を握る手に一層力を込めた。
「・・・何も・・判らないよ。ゼルはいつも自分の事は言わないから。・・・ねぇ、ゼルが思っている事もっと教えて、力になりたいよ。」
にっこりとリナは笑った。
アメリアとは違う。同情の瞳ではなく、助けたい一心の瞳。
「・・・俺は、人を大切に思った事がない。愛しいと思った事はない。」
「本当に?」
「ああ。」
「・・・私が思うに・・・これは、レゾの所為。前言ってたでしょ、レゾが裏切ったって。だから信じたく無くなっちゃったんだよ。」
俺の手からするりと抜け、俺を優しく包み込むする。
「・・・胸によく聞いて。目を閉じて。一番頭に浮かぶのは誰?」
目を言われるとうり、閉じる。
「何も見えない。」
闇だけが拡がる。何もない、人も物も音も空間も何もない・・・
Total Darkness.
「本当に?よ〜く見て。探して。」
「何もない。」
「よく見て。」
「誰もいない!何もない!」
俺が声を荒げ叫ぶ。
「じゃ、きっといないんだ今は。」
「・・・そういう物なのか?」
「・・・そうだよ。」
少しの沈黙。リナは起き上がり隣に座った。
辺りは真っ暗だ。でも目を閉じるともっと暗い。
闇は深く、心を誘惑する。
何もわからない。訳が分からない。
どうでも、よくなって来た。もう、どうでも・・・
「もういい。」
「え?」
「もういい。分からない。どうでもいい。」
「ゼル!どうでも良くないよ。」
「もういい・・・」
「・・・私はね!!・・・う・嬉しいよ!!」
「なぜ?」
「ゼルが誰も好きじゃないなら、私にも・・・チャ・・・チャンスあるでしょ。・・・ゼルの彼女になる・・・ 」
リナは赤面していた。下を向き、前髪で赤い顔を隠そうとしている。
ときん
胸の中、奥深くで
水雫が落ちるような小さな音が、静けさの中で響く。
何とも言えない感情。
胸の中が熱くなる。
「・・・ゼル、顔赤いよ。」
言われて初めて気付く。
「・・・ゼル?」
心配そうに少女がこちらを見る。
その顔を見て、思わず手を回していた。
リナの肩に・・・
「ゼル?!」
「・・・今だに分からない。でも胸の中で何かが変わった!リナの言葉で何かが!!」
「ちょっと落ち着いて、ゼル!!痛いってば!!」
俺は嬉しい余り、リナを強く抱き締めすぎていた。
「胸の中が暖かい。安心出来る。」
「ゼル、その気持ちがね、恋だよ、きっと。」
「・・・そうなのか。この気持ちが・・・」
ずっと求めていた感情。
無くなっていた気持ち
欠けていなかった。
奥に閉まってあっただけ。
リナに肩に頭を凭れさせる。
「わかった、今わかった。お前が好きだ。」
「え?!」
「好きだ、リナ。」
俺に腕を巻き付けリナは耳に囁く。
「私も好きよ、ゼルが・・・」
目と目が逢った。
その顔を見て、また心が熱くなる。
ときん、ときん
胸の中に光が宿る。
リナが光を宿してくれる。
小さいけど強い光。
だんだん拡がって行く光。
暖かい。
生きる希望が見える。
生きる理由がある。
「放さない。逃がさない。」
「大丈夫安心して、私は裏切らないから。」
信じてる・・・
好きだ・・・
あいしてる・・・
愛してる・・・
fin.
セラフィーナ様よりの一言
下手だ、どうにかしてー(脳死)こんなんですいません。
ゼルが壊れてる、君はこんなのじゃなーい!!
もう少し修行して来ます。
コメント、批判なんでも書いてもらえると嬉しーです。
セラフィーナ Selaphina
『Deep in my heart, Deep in my soul』 の意味は『心の奥深く、魂の奥深く』です。