絶対ゼルリナでしょ♪


それはある夜俺とリナが密会した後に起こった、
「じゃーね、ゼル。二日後に・・・」
リナそう言い屋根の下に降りていた時、

がったん!!

足を踏み外し、リナは一直線に下に落ち頭が石に当った。
「リナ?!おい大丈夫か?!」
俺は急いで下へ魔法を使い降りる。
「リナ?!」
駆け寄るとリナは目を回していた。俺はすぐにリナを担ぎ宿の中へと連れて行き宿にいた医者を真夜中に叩き起こした。




「全く近ごろの若いもんは、年寄りを真夜中に叩き起こしあがって・・・(ブツブツ)」
俺はギロリと医者を見て、聞いた。
「何か言ったか?」
「・・・べつに」
「でリナの容態は?」
「きでつじゃ。朝になれは大丈夫。」
「そうか、礼を言う。」
とだけいい俺は医者を部屋に押し返し、リナを俺のベッドにちゃんと寝かせた。そこでニュースを聞いてガウリイとアメリアが駆け付ける。
「リナは大丈夫か??」
「リナさん。平気だですか??」
「今、寝てる。」
「そうか。にしても何でお前その場に居たんだ??」
「え??」
「リナが落ちた時良く気がついたな、こんな真夜中なのに。」
す・・・鋭い所をつくな!!
「ただの運だ。」
目をそらして俺はガウリイに言った。
「ふ〜ん」
納得したように旦那はリナの傍へいって椅子に座った。

俺が今まで座っていた、リナの傍の席に・・・

「ゼルガディスさん、だいじょうぶですか?」
ぼ〜っとしている俺を心配そうに見るアメリア。
「大丈夫だ。お前こそ寝ろよ。明日持たないぞ。」
「そうですね。ではリナさんの事お二人に頼みますね。」
「アメリア、おやすみー。」
旦那が後ろから声をかける。
「よく寝ろよ。」
俺が言うとアメリアは頬を少し赤らめそそくさと立ち去った。何でだ??

「ガウリイ、お前はどうする?」
「俺はもう少しリナの傍にいる。」
「そうか。それなら息抜きに俺は外歩いてくる。」
「わかった。」
そう言っておれは部屋から立ち去った。

ガウリイがリナの傍にいるのが許せなかった。
リナの傍には俺だけがいかった。
リナには俺だけを見ていて欲しい。
羽が生えた天使を俺だけの物にしたい・・・

俺はその夜部屋には帰らなかった。



次の朝、宿のレストランに行くと三人は仲良くテーブルに座っていた。
「あっ!ゼルガディスさん!おはようございます。」
俺の姿をいち早く見つけたアメリアが言った。
「よっ、ゼル。今までどこ行ってたんだ?」
「・・・」
リナは何も言わなかった。なぜだ?いつも挨拶をするのに・・・
恥ずかしそうに瞳を見つめリナは、
「・・・誰?ガウリイとアメリアの知っている人?」
と聞いた。

・・・・・
『えぇ〜〜〜〜〜!!』

宿場に三人の叫び声がとどろいた。


一様簡単にガウリイ、アメリアそして俺は今までの俺とリナの経緯を話した。
「そうだっけ。忘れた。」
「リナさーん、記憶喪失になるなんて。」
「こりゃー大変だ!!・・・記憶喪失って何だ?」

ガキッ

俺のひざ蹴りでガウリイの旦那は血の海へと沈んだ。
「ガウリイさん?!ゼルガディスさん、何でそんな・・・」
俺の顔を見たアメリアは何も言わなかった。

アメリアの顔を見ると恐怖で震えている。アメリアの瞳に見えた顔を見て俺自身驚く。
そこに居たのは殺人鬼になりかけた時の過去の無表情の俺が居た。目の鋭い、怒っているのかどうか分からない、魔族に似た表情・・・

「・・・」
俺は駆け出した。
「ゼルガディスさん、走って行かないで下さい!!ゼルガディスさん!!!」

宿に三人を残し俺は街の中をがむしゃらに走り抜けた。

タッタッタッタッタ

俺の後をつけてくる足跡が一つある。その軽やかな足取りで、誰かすぐわかった。裏路地に向かい建物の角を曲がった所で止まる。追跡者もそこを曲がり、目とめが火花のように合った。

「・・足、・・早いのね、・・ゼルディガスって・・・」
息を切らしたリナが言う。
「ゼルガディスだ」
「ごめん、ごめん、ゼルガディスね。」

性格や喋り方は変わらない・・
ガウリイやアメリアは覚えていても・・

俺の事は・・・

「・・・話したい事がある。」
「何?」
「お前に、俺の事を、旦那やアメリア達とで説明しただろ・・・」


「・・・うん。・・ごめんね、・・・・思い出せなくて。」
リナの頬を一筋の涙が落ちる。

愛しいお前の泣き顔が見たいわけじゃない。
俺も失格だな、泣かせないって約束したのに・・・

「そうじゃない。」
穏やかに言ってリナの方を向く。

「俺が言いたいのは・・・」
そう言ってリナの頬の涙を手で拭ってやる。

「俺は・・・俺達は・・・」
風が彼女の栗色の髪を舞い上がらせる。

「・・付き合って・・いたんだ。・・二人に内緒で・・・覚えてるか?」


「・・・そうなの?」
「・・覚えてないか・・・」
俺はため息をつき、目をリナから放して地面を見つめた。

「・・・ひっくひッく」
押し殺すように、リナが泣いた。彼女が一番なにがなんだかわからず、辛いはずなのに、八つ当たりした自分を攻めた。

辺りには風のふく音しか聞こえない。

「・・リナ、別に攻めているわけじゃない。お前の所為じゃない・・」
言い聞かせるようになだめ、顔をあげた。

だが彼女は泣いたままだった。

俺はいつも泣かないリナの涙に戸惑いながら、彼女の肩に腕を回し抱き寄せた。

「安心しろ、きっと全て思い出せる。」
「・・・ごめん、・・ごめんなさい・・・」
泣きながらリナは誤り、俺の胸にもたれた。

かわいい・・・
意外に素直に誤るその姿が・・・
少し震えた肩が・・・
愛しく、守りたい彼女が・・・

俺は赤面しつつリナを抱き、
手であごを引き上げ、
「泣くなよ。お前に泣かれると困る。」
と言い、

ちゅっ

優しくキスした。
リナは戸惑い、焦り俺の腕から離れようとした。
逃げられないようにうまく抱き寄せ、俺はまたキスをした。
舌を少し入れ、マッサージしてやると甘い吐息が一層荒くなり、俺を狂わせる。

「・・んっ・・あぁ・・」

リナは息苦しそうに体を動かす。俺はそこでキスを止め、放してやる。

「・・・ちょっとゼル?!何するのよ!!」
「・・・え?」

愛しい少女から放たれた名前『ゼル』

「お前元に戻ったのか?!」
「元に戻ったって?何から?」

さっきの弱々しさを夢かと思わせるくらい輝く意志の強い赤い瞳。

俺は愛している彼女は引き寄せまた抱き締める。

「もう放さない。俺のだ。」
リナは戸惑い赤面しつつ、
「・・知らなかったの?私は前からゼルのだよ。」
と言い最高の笑顔を見せた。

俺の大好きな天使の笑顔を・・・

fin.