簡易版フロアルール集(Ver.3.14.0)  刊行にあたって  「デッキってどうやって作るの?」  「大会に出るにはどういった注意が必要?」  こういった質問が,ときどき聞かれることがあります.  「フロアルール(Floor Rule)」とは,マジックのデッキを作成し,プレイするに当たって必要なルールをまとめた公的なルールです.文字どおり,マジックのプレイの基底(Floor)をなすルールとなっています.  この冊子は,そのフロアルールや,プレイする上で重要となるいくつかのルールやマナーを,簡単にまとめたものです.  実際のプレイの運行の際に,大会の運用の際に,暇つぶしに,ご利用していただければ幸いです.  これを作成するにあたって,いくつかの資料を参考にさせていただきました.DCI のFloor Rule が参照した資料の最大のものですが,この文章とは直接のつながりを持ちません.誤りなどに関する一切の責任は,筆者が負うものです.  この文章を作成する際に,わかりやすさを重視する為に正確さを削った部分があります.正確なルーリングについて知りたい方は,Wizards of the Coast 社のウェブページ http://www.wizards.com/  あるいはHobby Japan 社のウェブページ http://www.hobbyjapan.co.jp/  のFloor Rulingを参照して下さい.  この文章の著作権を放棄します.自由に再構成・配布を行っていただいて結構です.ただし,再配布者は,その利用者から疑問が出た場合にはそれに解答を与える義務と,誤りや疑問点などを発見した場合に,筆者に報告する義務をもつものとさせていただきます.  それでは,よいゲームを. (初版;1998.1.15  改訂;2003.5.18) 野村和信 nomra@terra.dti.ne.jp  目次 1.デッキを作る  1−1.デッキ  1−2.構築環境(03/2/23)  1−3.限定環境(02/10/3) 2.大会に出る  2−1.大会への参加の仕方(98/6/25)  2−2.大会中でのマナー(99/6/21)  2−3.フリープレイでのマナー  2−4.観戦者のマナー(01/11/23)  2−5.大会の進行(02/10/3)  2−6.大会のルール(01/11/23) 3.大会の運用  3−1.大会のルール(02/10/3)  3−2.ジャッジについて(00/10/22)  3−3.ジャッジの心得(98/9/4)  3−4.ジャッジへのペナルティ(99/9/28)  3−5.拡張K値(02/10/3)   4.ルールに関する疑問の解き方(02/11/3) 付録1.簡易用語辞典(98/12/8) 付録2.マジック各エキスパンション情報(01/10/26) 1.デッキを作る  1−1.デッキ  マジックの対戦を行うためにはまず,「デッキ(Deck:発音的には「デック」のほうが正しいのですが,この簡易ルール集では,一貫して「デッキ」と呼んでいます)」を作成しなくてはなりません.  「デッキ」とは,数多く存在するマジックのカードの中から,必要なカードを選択し,ルールに沿った形であつめたものです.  この「デッキを作成する為のルール」というのは,「フォーマット(format)」と呼ばれており,現在いくつかのものが考案されています. (なお,「レギュレーション」というのは現在正式なルールでは用いられていない呼び方です(99/12/19)).  フォーマットには,大きく分けて, 「構築環境(Constructed)」 「限定環境(Limited)」  の2種類のものが存在しています.前者は事前に用意したデッキを使用し,それを使用してゲームを行うもので,後者はその時点で与えられたカードを使用して,その時点で新たにデッキを作成するものです.  大会以外のゲームであっても,これらのルールに従って,デッキを作成するべきでしょう.通常は,「スタンダード(Standard:Type II とも呼ばれます……なお,インターネット上でローマ数字の「II」という記号や○に2の入った記号を使うのは控えるようにお願いいたします.相手の環境によっては見ることができないことがありますので)」という形式にそって,作成されたデッキを用いてゲームが行われます(99/5/6変更).  なお,記述中「一般的」とあるのは,フロアルールには定められていませんが,実際にゲームが行われる際に,そのルールが使用されることが多い,ということを示しています.  1−2.構築環境(03/2/23)  構築環境は,使用できるカードによっていくつもにさらに分類されています.  総合的なデッキ構築の約束事として,以下のようなものがあります. ・メインデッキ(Main deck;「2−4.大会の進行」で詳しく説明します)は60枚以上で作成する.枚数に上限はないが,65枚以下で作成されることが多い. ・サイドボード(Sideboard;「2−4.大会の進行」で詳しく説明します)は,作成する場合には,15枚ちょうどで作成する.作成しなくてもよい.16枚や14枚など,15枚ちょうどでないサイドボードは許可されない. ・基本地形(basic land;沼・島・森・山・平地とその冠雪地形(Snow-Covered Land;Ice Age にあった特殊な地形))以外は,同名のカードはメインデッキとサイドボードにあわせて4枚までしかいれることができない. ・そのフォーマットで指定されたエキスパンションのカードか,それらのエキスパンションに同名のカードが含まれているカードのみで作成する.つまり同じ名前のカードが正当なエキスパンションに含まれてさえいれば,本来なら使用できないエキスパンションに含まれるカードを使用してもよい(99/10/27). ・ポータル1・2,ポータル三国志,スターターセット,アンソロジーのカードは,上の条件を満たすもののみを使用できる(99/10/27). ・アングルードのカードは,上の条件を満たすもの(つまり,基本地形)のみを使用できる(98/9/9). ・α版のカードは,不透明のスリーブに入れかつマークドカードでなければ使用できる(99/9/3逆転). ・さまざまな言語のカードを含んで,デッキを作成しても構わない. ・禁止カード(banned card)は1枚も入れてはいけない. ・新たに発売されたエキスパンションは,発売日が15日までであればその次の月の1日から,発売日が16日以降であればその次の次の月の1日から使用することが可能. ・すべてのカードは,「オラクルの文章に,公式な訂正を加えたもの」として扱われる.誤訳や,版の変更および公的な訂正によって,異なるカードテキスト(やカード名)を持つカードは,このルールに従って読みかえられる.  オラクルはインターネットを使用できる方でしたら,以下のウェブページ http://www.wizards.com/default.asp?x=dci/oracle  から取得できます(98/11/21). ・以前の「すべてのカードは最新版の英語のカードに,訂正を加えたもの」として扱われる,というルールは撤回されました.現在ではすべて,オラクルの記述に従って処理されます.ただし,オラクルが取得できない環境にいるかたでしたら,以前のルールに従ってもかまいません(98/11/21).  禁止カードは,3月1日,6月1日,9月1日,12月1日に告知され,その1ヶ月後から効力を持ちます.禁止カードの変更は,インターネットを使用できる方でしたら,以下のウェブページ http://www.wizards.com/dci/judge/main.asp?x=judge/resources/br_list  から確認できます.  Standard 環境のデッキは,以下のルールに従って作成されます. ●Standard(Type II) ・1つの基本セットと,2つのスタンドアロンブロック(Stand Alone Block)から構成される. ・「スタンドアロンブロック」とは,1つの独立型エキスパンション(Stand Alone Expansion;現在,Ice Age, ミラージュ,テンペスト,ウルザズサーガ,メルカディアン・マスクス,インベイジョン,オデッセイ,オンスロートの8つ)と,そのあとに発売された2つのエキスパンションから構成された,エキスパンションのグループのこと. ・2003年7月1日以降,使用可能なエキスパンションは以下の通り.  基本セット;   第7版  エキスパンション;   オデッセイブロック(オデッセイ,トーメント,ジャッジメント)   オンスロートブロック(オンスロート,レギオン,スカージ) ・マスクスブロックの3つのエキスパンションは,オデッセイブロックブロックの次のブロックのエキスパンションが使用可能になった時点から,使用できなくなる. ・基本セット(第7版)は,次の基本セット(第8版)が使用可能になった時点で使用できなくなる. ・現在,禁止カードは存在しない.  これ以外には,以下のようなフォーマットが存在します. ●Type I(Classic)(99/9/3) ・今までに出版されたカードの内,禁止カードではない全てのカードを使用することができる. ・現在,制限カードの存在する唯一のフォーマットである. ・制限カード(restricted cards)はメインデッキとサイドボードをあわせて1枚までしか入れることはできない. ●Type 1.5(Classic-Restricted)(99/9/3) ・今までに出版されたカードの内,禁止カードではない全てのカードを使用することができる. ●Extended  このフォーマットでは,3つのスタンドアロンブロックが組になって交替します.これによりExtended には最小6ブロック,最大8ブロックのスタンドアロンブロックが存在することになります.基本セットは発売時期に応じて,スタンドアロンブロックと同時に交替します(02/5/18).  2003年7月1日以降,Extended で使用可能なエキスパンションは以下の通りに変更になっています.  基本セット;第6版,第7版  エキスパンション;  テンペストブロック(テンペスト,ストロングホールド,エクソダス)  ウルザブロック(ウルザズサーガ,ウルザズレガシー,ウルザズデスティニー)  マスクスブロック(メルカディアン・マスクス,ネメシス,プロフェシー)  インベイジョンブロック(インベイジョン,プレーンシフト,アポカリプス)  オデッセイブロック(オデッセイ,トーメント,ジャッジメント)  オンスロートブロック(オンスロート,レギオン,スカージ)  Dual ランドは使用禁止になります. ●Stand-Alone Constructed ・1つの「スタンドアロンブロック」に含まれているカードを使用してデッキを作成する方法 ・「スタンドアロンブロック」とは,1つの独立型エキスパンション(Stand Alone Expansion;現在,Ice Age, ミラージュ,テンペスト,ウルザズサーガ,メルカディアン・マスクス,インベイジョン,オデッセイ,オンスロートの8つ)と,そのあとに発売された2つのエキスパンションから構成された,エキスパンションのグループのこと. ・現在,下の8つの形式が存在する.  アイスエイジブロック(Ice Age, Homelands, Alliances)  ミラージュブロック(ミラージュ,ビジョンズ,ウェザーライト)  テンペストブロック(テンペスト,ストロングホールド,エクソダス)  ウルザブロック(ウルザズサーガ,ウルザズレガシー,ウルザズデスティニー)  マスクスブロック(メルカディアン・マスクス,ネメシス,プロフェシー)  インベイジョンブロック(インベイジョン,プレーンシフト,アポカリプス)  オデッセイブロック(オデッセイ,トーメント,ジャッジメント)  オンスロートブロック(オンスロート,レギオン,スカージ)  1−3.限定環境(02/10/3)  限定環境は,使用できるカードによってではなく,与えられたカードを用いてどうやってデッキを作成するのか,という事によって,いくつかに分類されています.  現在,DCI で公認を受けている限定環境戦は,Sealed, Booster Draft, Rochester Draft の3つです.他にも,遊び方はいろいろと開発されています.  総合的なデッキ構築の約束事として,以下のようなものがあります. ・メインデッキ(Main deck;「2−4.大会の進行」で詳しく説明します)は40枚以上で作成する. ・サイドボード(Sideboard;「2−4.大会の進行」で詳しく説明します)は,与えられたカードのうち,メインデッキに含まれなかったカードすべてが相当する. ・サイドボード変更後,メインデッキの枚数が変更しても構わない.しかし,デッキの総枚数(サイドボード+メインデッキ)は変更できない. ・5枚以上の同名のカードを使用可能. ・禁止カード(banned card)は存在しない.ただし,「アンティ戦でない場合には,デッキから取り除かれる」と記述されたカードは,使用できない.ジャッジは,カードを事前に用意し,その中からランダムに選択されたカードを代わりに貸し与えること. ・いったん与えられたカードを取り替えたりすることはできない.  使用するカードは,必ず未開封のものがもちいられます.一般的には以下のどちらかの方法によってカードを集めます. ・一人か,少数の人間が代表して購入し,それを用いてプレイする. ・各自が購入する.  下の方法を選択した場合,使用後のカードの配分が問題になります.これには,一般的に以下のどちらかの方法に従ってカードを配分します. ・使用したカードが,そのままその人の所有物になる.(Sealed では,こちらが一般的です) ・使用したカードいったん集め,勝利点の多い方から順番に,1枚ずつカードを得る.一周した後,そのままの順番で取得する方法と,逆順で取得する方法が考えられる.(Draft では,こちらの方法が一般的です)  なお,大会において枚数多寡のあるパックを受け取ったプレイヤーは,その旨をヘッドジャッジに申告する必要があります(01/11/23). ●Sealed ・与えられたカードから必要なものをそのまま選び出して,デッキを作成する形式. ・一般的に,「未開封のトーナメントパック(スターター)1つと未開封のブースターパック2つ」が与えられる. ・必要な基本地形は,不要な土地カードと1対1で交換することによって得ることができる.交換枚数の上限はない(01/11/23逆転). ・ただし,プレミアカード(フォイルドカード)の土地を交換することはできない.(01/11/23). ●Booster Draft ・一般的に,6人か8人がグループを作成する. ・一般的に,各自に与えられるカードセットは,ブースターパック2パックか3パック. ・必要な基本地形は,与えられる.枚数の上限はない. ・カードの供給方法は以下の通り. 1)グループが,輪になって座る. 2)各自が合図に従って1つめのブースターパックを開ける. 3)その中から1枚のカードを選択する.  (このとき,選択できなかった場合には「軽度のプレイミス」としてペナルティが与えられ,カードを取得できません(02/10/3変更)) 4)その残りのカードを左隣の人間に渡す. 5)3と4を,カードがなくなるまで繰り返す. 6)選択したカードを見る機会.これ以外の時点では選択したカードをみることはできない. 7)各自が合図に従って次のブースターパックを開ける. 8)その中から1枚のカードを選択する. 9)その残りのカードを前とは逆隣の人間に渡す. 10)8と9を,カードがなくなるまで繰り返す. 11)6〜10を,必要なら繰り返す.  制限時間を用いる場合,以下の時間が制限時間として課せられます(02/10/3). パック内の残りカード;制限時間 15-14 枚;40 秒 13-12 枚;35 秒 11-10 枚;30 秒 9- 8 枚;25 秒 7- 6 枚;20 秒 5- 4 枚;15 秒 3- 2 枚;10 秒 ●Rochester Draft ・7人か8人でグループを作成する. ・与えられるカードセットは,参加人数1人につき3パック. ・必要な基本地形は,与えられる.枚数の上限はない. ・カードの供給方法は以下の通り. 1)グループが,輪になって立つ. 2)最初のプレイヤーが1つめのブースターパックを開け,テーブル上に表を向けて並べる(01/11/23).  このとき,カードの追加は行わない(00/8/27) 3)カードを並べ終えた後,30秒の時間があたえられる.ジャッジは時計でその時間を計ること(01/11/23). 4)ジャッジが,「4,3,2,1,ドラフト」と秒読みを行う. 5)ジャッジの「ドラフト」の宣言と同時に,1人がカードの中から1枚を選択する.  (このとき,選択できなかった場合には「軽度のプレイミス」としてペナルティが与えられ,カードを取得できません(02/10/3変更)) 6)一般的に,取得したカードを自分の目の前に表を向けて置く.すでにカードがある場合には,その上に重ねて置く.下のカードを見ることはできない. 7)4〜6を,取る人間を隣にずらしながら繰り返す. 8)最初にカード取得を行った人間の逆隣の人間がカードを取得した後,次の4の秒読みのとき,その人物が続けてカードを取得する. 9)7を,取る人間を逆にずらしながら繰り返す. 10)すべてのカードを取得した段階で,いったん終了する.(7人の場合には,最初のプレイヤーが3枚カードを取得した段階で終了する(02/10/3)) 11)2〜10を繰り返す.そのとき,前回最初に取った人間の隣の人間から,カードの取得を行うこと. 12)11を,参加人数回くりかえす. 13)選択したカードを見る機会.一般的に,これ以外の時点では,選択したカードを見ることはできない. 14)2〜13を,前回とは逆向きに3回繰り返す. 2.大会に出る  2−1.大会への参加の仕方  大会に出るためにはまず,「ぎゃざ」やマジックの販売店の張り紙広告などを探して,大会を探す必要があります.  広告などで条件について充分確認しておいて,そのフォーマットにそったデッキの作成や,(必要ならば)予約などをすませておいて下さい.  あとは,受付時間内に以下のものを準備して会場に行けば,大会に参加することができます.  大会に参加するためには,以下のものが必要です. ・ライフカウンター  ライフの増減を示すことができるものであれば,特に限定はありません.おはじき(グラスカウンター)が良いようです.最悪,貨幣や,筆記用具と紙でも構いません. ・筆記用具  ボールペンかシャープペンシルを持参して下さい.(なくても借りることはできます) ・デッキ  構築環境のトーナメントであれば,そのフォーマットに従ったデッキが必要です.限定環境では必要ありません.  できれば前日までに,メインデッキは60枚以上あるか,サイドボードは15枚ちょうどか,使用できないカードが含まれていないか,について確認して下さい.  これらが守られていないことが発覚した場合には,大会の規模などに応じて適切なペナルティが与えられます(99/4/18訂正). ・DCI マナメンバーカード  DCI 公認のトーナメントの場合,これを忘れずに持っていく必要があります.  ただし,まだこれを持っていない方は,DCI 公認トーナメントでは必ず受付で無料で発行していますから,気にする必要はありません.  紛失した場合には,そのむね申し出れば,一度だけであればあらたに登録しなおすことができます(同じ番号のカードを再発行することはできません). ・参加費用  規定の参加費用をもっていかなければ,当然参加できません.  2−2.大会中でのマナー  大会では,見ず知らずの人と勝敗をかけて対戦することになりますから,当然,相手を気遣うためのマナーが必要となってきます.  もっとも重要な「マナー」は,以下のものです. ・『自分がやられたら嫌だと思うことを,相手に対して行わない』  相手も自分と同じ人間であり,楽しみや真剣勝負などを求めて大会に出てきているわけです(受付やジャッジの人も同様に人間なんです(涙)).  そこあたりをできる限り念頭に置くようにこころがけ,「自分の言動が相手にどう見えるのか」を意識して行動するように心がけてください(99/6/21).  より具体的には,以下のようなマナーを守るようにして下さい. ・いかさま(つみこみ,ライフの操作,等々)を行わない. ・宣言は一つひとつはっきりと行う. ・敗北のいいわけや,相手をののしったり馬鹿にしたような言動をしない. ・相手のカードを触るのは,許可を取ってから. ・ルールで怪しい点があれば,すぐにジャッジを呼ぶ. ・ジャッジの指示には従うこと.(ジャッジの指示で不審な点がある場合には,ヘッドジャッジの指示に従うこと)  2−3.フリープレイでのマナー  基本的に,フリープレイにおいて必要とされるマナーは,大会で必要とされるものと同一です.やはり,『自分がやられたら嫌だと思うことを,相手に対して行わない』ことが肝要です.  フリープレイには規則などを決める人間がいませんから,なにごとも相手との話し合いが重要になってきます.TPOに合わせたデッキを用いることが必須ですが,そのTPOを考えるのは,自分ではなく対戦相手である,ということに常に注意する必要があります.  少なくとも事前に,「デッキのフォーマット」や「デッキのレベル(大会用のデッキか,通常クラスか,ファンデッキか)」くらいは確認しておきましょう.  2−4.観戦者のマナー(01/11/23)  筆者は個人的に,「大会にプレイヤーとして参加するより前に,雰囲気などをつかむために,一度は観戦者として大会を見てみること」をお勧めしています.  「観戦者」も「大会の参加者」であることには変わりません.それなりのマナーが要求されています. ・テーブルから1m以上離れること ・試合中のプレイヤーとは,いかなる会話もしてはならない ・(公的な許可を得ない限り)記録をとることはできない  というルールが存在しています.また,不用意な発言をするなどして,プレイヤーの集中を乱すなどの行為は,するべきではありません.  プレイヤーは,観戦者が邪魔であると感じた場合には,観戦を許可しない権利があります.ジャッジに申し出てください.  ただし,プレイヤーは報道担当者の観戦を断ることはできません(01/11/23).  また,問題のある行動をおこなった観戦者は,会場から除外などの処分を受けることがあります.  2−5.大会の進行(02/10/3)  大会は一般的に,シングルエリミネーション形式(勝ち抜きトーナメント形式)か,スイスドロー形式によって行われます.  スイスドローとは,ゲームごとの勝敗によって点数をつけ,似た点数をもつもの同士での対戦を重ねていく方式です.こちらの方式では,必ず指定回数のマッチを行うことができます.  「マッチ(match)」は最大3回の「ゲーム(game)」からなります.  ゲームは1回のマジックのプレイに相当します.「2本先取」の形式では,最初に2本のゲームで勝利した人間が,「3本戦」の形式では,3回のゲームを行い,より多くの勝ち点を得た人間が,マッチの勝利者となります.  時間切れなどで,それに満たないゲームしかしなかった場合には,より多くの勝ち点を得ていた人間が,ゲームの勝利者となります.  「時間切れ」になったゲームは,引き分けとして扱われます(01/11/23逆転). (なお,「デュエル」という用語は正式には廃語になっており,「ゲーム」という用語が用いられるようになっています(99/9/3)(99/10/23)). 大会での1マッチは,以下のような手順で行われます. ・メインデッキ・サイドボードの確認(01/11/23)  必要ではありませんが,ちらっとでも確認しておくべきです.  構築環境でも,限定環境でも,マッチの最初には大会の一番初めで使用されたメインデッキとまったく同じカードがメインデッキに含まれていなくてはなりません.  もし,サイドボードのカードや前の対戦相手のカードが混入していることが発覚した場合には,なんらかのペナルティ(1ゲームの敗退扱い以上)を得ます(99/10/23修正).  サイドボードは,対戦相手のわかりやすい場所に置いておかなければなりません(01/11/23).  以下,ゲームごとに繰り返されます. ・デッキのシャッフル  自分のデッキを,よく切り混ぜる必要があります  土地とそれ以外のカードを分け,それを1対2においていく方法は,「つみこみ行為」です(通常,その行為が発見された場合,即座に失格とされます).そのあとにシャッフルをよくおこなっても,です.相手がこの行為を行っているのを発見した場合,ジャッジを呼んでその指示に従ってください. ・デッキのカット  相手のデッキを,カットまたはシャッフルする権利があります.  このあと,相手がシャッフルした場合には戻ってきたデッキをカットする権利が与えられます.カットしただけのデッキをカットしたり,戻ってきたデッキをシャッフルした場合にはペナルティの対象となりますので気をつけて下さい(「中度のプレイミス」として扱われます(02/10/3)).  主催者からアナウンスがあった場合,この時点で対戦相手のデッキを必ずシャッフルしなければいけません(01/11/23).  大きな(ルール適用レベル3以上の)大会においては,このアナウンスが常に行われます(01/11/23).  ただし,シャッフルすることを忘れた場合でも,特にペナルティが与えられることはありません(01/11/23). ・先攻/後攻の決(01/11/23)定  じゃんけんなどで,先攻/後攻の権利を決定します.この勝利者が,決定権をもちます.すでにゲームを行っている場合には,そのゲームの敗者が決定権を持ちます.前のゲームが引き分けであれば,そのゲームで決定権を持っていた人が,再び決定権を持ちます(00/3/3再訂正).  先攻は最初のドローステップがスキップされます.  先攻/後攻を宣言しなかった場合,それを決定する権利を持っていたプレイヤーが先攻を得ます(01/11/23). ・カードを7枚ひく  カードを7枚ひいて,手札にします.  この残りが,「ライブラリ(library)」となります.  8枚以上ひいた場合には,(大会であれば)ジャッジをよんで下さい.大会でない場合には,相手にランダムに手札から抜いてもらい,それをライブラリに戻すなどの処理を行います(99/4/18)  この場合,その大会において1回目に犯したミスであれば警告を受け,手札をライブラリに戻してシャッフルしたあと,手札が1枚少ない状態で(すなわち1回余分にマリガンを行った状態で)試合を開始することになります(00/5/7). ・マリガンの宣告  「マリガン(Mulligan)」とは,初期の手札があまりに偏っていた場合に,それを入れ替えるためのルールです.現在存在するマリガンのルールは以下のようなものです.「ランドマリガンルール」はもはや存在していません.公認大会では採用することもできませんのでご注意下さい.  手札がどのようなものであったとしても,「マリガン」を宣言することが可能です.ただし,引き直すときに,前回の手札より1枚だけ少ない枚数のカードしかひくことはできません.  このとき,カードを相手に見せる必要はありません(98/12/8).  「相乗り」はできません.独自に「マリガン」を宣告して下さい.  何度でも行うことができます.しかし,宣告するたびに初期の手札枚数が1枚ずつ減少していきます.  マリガンの宣告後,ひいた手札をライブラリの中に戻し,シャッフル/カットの手順を経た後,ふたたびカードを引いて手札にします.  マリガンは必ず,先攻を取ったプレイヤー側から完全に終了させます.先攻側のプレイヤーが「もうマリガンしない」と宣言したあとでなければ,後攻側のプレイヤーはマリガンを宣言することはできません(手札を見ることはできます)(00/2/13). ・ゲームを行う ・サイドボードの交換  デッキには,メインデッキのほかに,構築環境では15枚,限定環境では適当枚数のサイドボードが存在します.構築環境では,サイドボードを作る必要はありません.しかし,作成する場合には,必ず15枚ちょうどである必要があります.  各ゲームの終了後,プレイヤーはこの中からカードを選択し,デッキの中に入れることができます.  構築環境では必ず,入れた枚数と同じ枚数のカードを抜く必要があります.サイドボードは常に15枚ちょうどでなくてはいけません.交換後,サイドボードをテーブル上に並べて,相手にサイドボードが15枚あることを確認してもらってください.  限定環境では,1対1で交換する必要はありません.40枚以上であれば,メインデッキの枚数が変わったとしても,問題はありません.  ここまでを,ゲームごとに行って下さい.  最後に, ・メインデッキの初期化  サイドボードと交換したカードを,メインデッキに戻します.  を行って,マッチが終了します. 「ありがとうございました」と,相手に一礼しましょう.  2−6.大会のルール(01/11/23)  大会においてプレイヤーに求められる最大の原理は,「スポーツマンシップ」です(「カードマンシップ」などのつっこみは無視します).いわゆる「スポーツマンシップ」に反するような言動を行ったプレイヤーは,何らかの罰則が課せられます.  イカサマ・暴力・暴言・偵察行為・八百長  などは,行わないようにして下さい.  その他の留意事項としては,以下のようなものがあります. ・遅延行為  ゲームの進行を故意に遅らせて,自分を優位に立たせるような行為は,ペナルティの対象となります. 「サイドボードの入れ替え・デッキのシャッフルはあわせて3分以内」(99/11/6変更). 「ゲーム中のシャッフルは1分以内」  という原則があり,これ以上の時間をかけた場合には,警告が与えられます.  これ以外でも,「故意に時間を引き延ばす行為」というのは,ペナルティの対象と成り得ます. ・手札の位置  手札を机の下にさげないでください.イカサマを防ぐためです. ・カードの向き  カードスリーブへ入れる向き,デッキの中のカードの向きは,一定にそろえておく必要があります.自分のカードで逆向きに入っているカードを発見した場合には,すぐに対戦相手に断ってから,逆向きに入っているカードを直すようにしてください.  逆向きに入っていることが確認された場合には,警告が与えられます.特に,特定のカードだけ(土地など)が逆を向いていた場合には,「つみこみ」とみなされ,最低でも1ゲーム敗北のペナルティをうけます(99/10/27訂正). ・公開情報  ライフの残量,ライブラリの残り枚数,墓地のカードの内容,ゲームから除かれたカードのうち伏せられていないカードの内容,手札の枚数は,すべてのプレイヤーに公開された情報です.  これを対戦相手に尋ねられた場合,正確に提示しなければいけません.もし偽って答えた場合には,警告の対象となり得ます. ・遅刻  (大会のレベルにもよりますが)試合開始時点でテーブルについていない場合には,「1ゲームの敗退あつかい」,試合開始から10分後にテーブルについていない場合には「1マッチの敗退扱い」になります(00/2/13).  なんらかの事情で遅刻した場合には,そのむねをマッチ終了までに大会スタッフに伝えてください.それまでに伝えなかった場合には,棄権と見なされ以降の試合に参加できなくなります(98/11/21). ・ジャッジへの申告(01/11/23)  ジャッジに対して,誤解を招くような情報や,嘘を伝えることは,「いかさま」として処理されます(01/11/23).  逆に,プレイヤーの権利には以下のようなものがあります. ・ルールの上申  ジャッジの行ったルールの裁定に疑問があった場合,ヘッドジャッジにその旨を申告して,その裁定を仰ぐことができます.いったんヘッドジャッジが下した裁定は,その大会では絶対です.  その後に誤った裁定であることが判明したとしても,「巻き戻して」裁定が下しなおされることはありません(00/7/1). ・同意による引き分け(Intentional Draw)  双方のプレイヤーは,そのマッチの勝敗がつく前であればいつでも「同意による引き分け」を申し込むことができます.相手は,なんのデメリットなくこれを退けることができます.これを受け入れた場合,そのマッチは「引き分け」あつかいになります(99/10/27変更). ・時間延長の申請  ジャッジによる裁定に時間が1分以上とられた場合,その時間分の時間延長を申請することが可能です.  ジャッジは,裁定に時間がかかった場合には,時間延長を申請できることをプレイヤーに伝えなければなりません(99/11/6変更). ・プレイの見学(98/12/8)  自分のマッチの終了後,他の人のプレイを見学してもかまいません.  ただし,大会によってプレイの見学が禁じられていることもありますので,その場合にはその指示に従って下さい.  また,このときには基本的に,2−4.「観戦者のマナー」に従って行動するようにして下さい.プレイヤーと会話したり,なんらかのメモを取る行為は禁止されています. ・メモの取得(01/11/23)  マッチが行われているときに,いかなるメモを取得して良いように変更になりました(01/11/23).  ただしマッチの最中に,外からのメモを参照してはいけません(01/11/23).  また,メモの記入がマッチの妨げになるのであれば,それは時間稼ぎとしてペナルティが与えられます(01/11/23). ・投了(01/11/23)  投了時にヘッドジャッジに申請するというルールは撤回されました.  プレイヤーは自由に投了を行ってください. (もちろん談合によってゲーム結果を変えようとする行為はペナルティに値します)  どちらが「投了」するかについて,じゃんけんなど無作為な方法で決定することはできません(01/11/23). ・オラクルの提示(02/10/3)  プレイヤーはゲーム中の必要な時点において,ジャッジに対してオラクルのカードテキストの提示を求めることができます. (ただし,大会主催者がオラクルのカードリストを持っていない場合に文句をつけてはいけません)  オラクルの提示の際には必ず,正確な名称を申請する必要があります.効果や,名称の一部だけを指定して調べてもらうことはできません. (対戦相手が助け舟として,正式な名称を言うことは禁じられていません.しかしジャッジが勝手に推測して検索することは禁じられています.また,対戦相手が正式な名称を言わなかったとしてもペナルティが与えられることはありません) 3.大会の運用  3−1.大会のルール(02/10/3)  大会に参加する前の段階のプレイヤーはこの章を読む必要はありません.大会によく参加する,という方は,一度くらいは目を通しておくと良いかもしれません.  大会において,プレイヤーが不適切な行動をとった場合,なんらかのペナルティが与えられます(99/10/27変更).  実際の行為以上に,「故意かどうか」「繰り返し行ったかどうか」が判定の基準となります.こういった場合には,順を追って重いペナルティが与えられていくことになります.また,ジャッジの判断により,基準より重い(あるいは軽い)ペナルティが与えられることもあります.  「ペナルティ」は,単純な罰則として与えられるべきではありません.それは,そのプレイヤーが誤ったことを行っていると自覚させ,以降その行為を起こさなくするために行われるべきです.「ペナルティ」はより多くの人が快く,公平なゲームを楽しめるようにするために与えられるものです.  プレイヤーに与えられるペナルティとしては,以下のものがあります. ・注意(Caution)  口頭で行われる,軽いペナルティです.記録に残りません.  ジャッジはヘッドジャッジに関係なく,このペナルティを自由に与えることができますが,そのあとヘッドジャッジに対して,違反の内容などを申告するべきです. ・警告(Warning)  これ以上のペナルティが与えられた場合,そのペナルティと違反内容がスコアシートと警告記録用紙に記載されます.その大会のヘッドジャッジが公認ジャッジであれば,その違反内容と罰則はDCI に送られます.  ジャッジは,これらのペナルティに値する違反を発見したときには警告をそのプレイヤーに与えた後,可能な限りすみやかにヘッドジャッジに連絡を行ってください. ・ゲームの敗北(Game loss)  その違反行為が現在進行中のゲームになんらかの優位性をもたらすのであれば,現在のゲームが自動的に敗北した扱いになります.そうでない場合には,次に行われるゲームが(それが次のマッチに行われるものであるとしても)敗北扱いとなります. ・マッチの敗北(Match loss)  現在進行中のマッチが敗北扱いとなります.違反行為がマッチとマッチの間に行われた/発見された場合には,その次のマッチが自動的に敗北扱いとなります. ・失格(Disqualification)  即座に現在行われているマッチが敗北扱いになり,以降の試合への参加資格を失いますが,それ以前に入賞資格を満たしている場合には受賞資格を得ます. ・受賞資格没収失格(Disqualification without prize)  重大な違反行為に適用されます.ただちに失格と同等のペナルティが与えられます.入賞資格を満たしているとしても受賞することはできません.  このペナルティは,「注意」→「警告」→「ゲーム敗北」→「マッチ敗北」→「失格」(→「受賞資格没収失格」)の順に重くなっています.  実際にどのような条件になった場合ににそれぞれのペナルティが与えられるのかについては,統一的な指針が出されています. http://www.wizards.com/dci/judge/main.asp?x=UTR_Intro  の「Penalty Guidelines」が該当します(02/10/3修正)  この統一指針については,大会のレベルにしたがって,プレイヤーにあたえられる罰則が変化する仕組みになっています.  大きな大会では,「デッキチェック」を行うことがあります(02/10/3).  (ルール適用レベル3以上の大会ではデッキチェックが必ず行われます.またそれ以下のルール適用レベルの大会でも,大会参加者の10%以上のデッキをチェックすることが推奨されています)  これは事前に登録していたデッキ登録シートと,対戦が始まる前のデッキ・サイドボードを比較し差異がないかどうかを確認する行為です.  積み込みが行われていないかどうか,マークドカードでないかどうかの確認もあわせて行います.  差異が発見された場合,そのほかの違反行為が発見された場合のペナルティについてはペナルティガイドを参照してください.  デッキチェックを行ったプレイヤーには,デッキチェックにかかった時間に3分間足した時間が,縁長時間として与えられます.  担当ジャッジは,延長する時間について,プレイヤーに宣言してください.  3−2.ジャッジについて(00/10/22)  大会では,最終決定などを行う人間として,1人のヘッドジャッジ(Head Judge)が必要です.この下に数人のジャッジ(Judge)をおきます.  これは,「プレイが公平に行われている」ように監督するための人間です.いかさま,ミスなどが行われていないかを監視し,必要ならばプレイヤーにペナルティを与えます.  ヘッドジャッジは,最終的な決定権を持ちます.できるだけ正確な裁定をするように心がける必要がありますが,誤った裁定を行っていたことが大会のあとに確認されたとしても,何もペナルティはありません.  ただし,故意に誤った裁定を下した場合には,DCI から資格剥奪などの処分をうけることもあります.  また,その大会中誤った裁定を下したことが発覚した場合には,それ以降その誤ったルールではなく正しいルールに従って裁定を下すことが求められます(00/2/13). (http://www.wizards.com/dci/judge/JL_0100_File.asp?jl20000119o参照)  DCI 公認の大会を開く際に,「DCI 認定ジャッジ」がヘッドジャッジを勤めることが,必要になってきます.  「認定ジャッジ」は,以下の5つのランクにわけられています. レベル5ジャッジ;世界で2人しかいない レベル4ジャッジ レベル3ジャッジ;大きな大会では,このレベルの人間がヘッドジャッジを勤める レベル2ジャッジ;一般の大会では,このレベルの人間がヘッドジャッジを勤める レベル1ジャッジ;手伝い要員  レベルが充分でない人間,あるいは認定ジャッジでない人間がヘッドジャッジを勤めない場合には,その大会におけるDCI ランキングの変動ポイントが減少することになります. (逆にいえば,その不利益をうける覚悟さえあれば,公認レベルを持たない人間がヘッドジャッジを勤めても問題はないわけです)  「認定ジャッジ」の資格認定試験は,日本ではDCI ジャパンが行っています.以前にDCI 公認大会のヘッドジャッジを務めたことのある人は,近くの地域で資格認定試験が行われる場合に,DCI ジャパンに問い合わせてください(99/7/24訂正).  すべての認定ジャッジには,「有効期限」が定められています.詳しくは,WotC 社のページ http://www.wizards.com/  のジャッジの項目や,送られてくる配送物を参照してください(00/10/22).  3−3.ジャッジの心得(98/9/4)  いかなる大会においても,ジャッジというものは,「プレイヤーに気持ちよくプレイさせる」ことを第一目的として働かなくてはなりません.  ジャッジはそもそも,不適切なカードの使用,不適切なルール適用,不注意のゲーム進行への影響,いかさまなどから,プレイヤーを守るために存在しているものです.  ジャッジの存在は,「トーナメントの円滑な運営」「トラブルの防止」のためであり,「ペナルティをあたえる権限」があるのは,それを達成するために存在しているのだと肝に命じて下さい.  プレイヤーに対して威圧的な態度をとったり,侮蔑的な態度をとることは,フロアルールによってプレイヤーに禁じられているよりも重く,ジャッジに対して禁止された行為です.  日本人プレイヤーはもともと,訴訟沙汰になれておらず,なあなあで済ませる傾向がありますが,「問題が生じること」に対する恐れを解き,この消極性をなくすのもジャッジの重要な仕事の一部であると考えて下さい.「問題」が生じたときにそれを看過することは,より大きな「問題」を生むことになります.  3−3.ジャッジへのペナルティ(99/9/28)  ジャッジも大会の構成者ですから,その行為いかんによってはジャッジに対しても何らかのペナルティが与えられることになることもあります.  DCI 認定ジャッジがヘッドジャッジを勤めるDCI 公認大会ではそのペナルティはDCI 本部に送付されることになります.  特に気をつけなければならないジャッジのルール違反は「助言(coaching)」でしょう.  ジャッジが,その言動によって「大会の結果を変えるかもしれない情報」をプレイヤーに与えることは,厳しく禁じられています.  たとえば,「どういった手順を踏めば,その状況を突破できるか」「あのときどうしていれば,最適な手順であったか」といった情報がこれにあたります.その試合が終わった後でも,(その後の試合結果を変えるかもしれませんので)こういったことをプレイヤーに説明するのはペナルティに相当します.もちろん,その大会終了後であれば説明してもかまいません.  ジャッジは「まだ発生していない状況(コンボの結果など)」に関して説明を行うことは禁止されています.その状況が実際に完了するよりも前には「Yes」または「No」で回答できる質問にしか回答することはできません.その状況が完了したあとには,プレイヤーから求められた場合には解説することは妥当です.  その大会全体に適用される,ルールに関する宣言(エラッタの説明など)はこの助言には相当しません.  なお,「ルールの誤った適用」に関しては,それが故意によるものでない限り,フロアルールの著しい逸脱を除けばジャッジやヘッドジャッジに対してペナルティが与えられることはありません.  3−5.拡張K値(02/10/3変更)  公認大会の位置付けのためのシステムです.  「K値」というのは,その大会で変動するDCIランキングの最大値で,これが大きいほど重要な大会であることになります.  おおざっぱにいうと以下の指針にしたがって,「K値」が決定されます. 「K値16」  認定ジャッジ不在,ルール適用レベル1(非常に寛大),8人以上  通常のDCI 非公認の草の根大会ではこれに準拠するべき. 「K値24」  認定ジャッジレベル1以上,ルール適用レベル2(寛大),デッキリスト提出の義務,16人以上 「K値32」  認定ジャッジレベル2以上,ルール適用レベル3(通常),デッキリスト提出の義務,デッキチェックの義務,32人以上  プレイヤーに対しても,ルールに対する理解が求められる.一般の大会では,ここまでするのは困難.  以降は,認定ジャッジレベル3以上のヘッドジャッジが必要となりますので,一般の大会では気にする必要はありません.興味のあるかたは自力で調べて下さい.  「ルール適用レベル」というのは,ペナルティガイドラインに存在する,ルールの厳格さの指針です.この「指針」にしたがってペナルティをあたえるようにしてください. 4.ルールに関する疑問の解き方(02/11/3リンク訂正)  通常のプレイでは間違わなくても,ちょっとつっこんだことが生じたときには,「どういったのが正しいルールなのか」ということが最大の要点となることもあります.  この「どういったのが正しいルールなのか」を調べるにはどうやったら良いか,ということについて,簡単にまとめてみました. ・友人に聞く  まあ,基本です.  しかし,その友人が間違っていることもあることをわすれずに(筆者も,よく間違いをおかします).  できれば,その友人の言ったことについて,以下の方法等をとって確認を取りましょう. ・説明書をよみこなす  第6版の入門セットを買ったときについてくる説明書は,かなり優れもののルール解説書です.これを読みこなせるようになれば,かなりの問題も解決するようになります.  これを得るためだけに,日本語版を購入しても惜しくはないです.  説明書に書かれた質問をしなくなったら,ルール的には「初心者」の域を脱したと見ていいでしょう.  なお,ネット上では http://www.hobbyjapan.co.jp/  の「Magic」の「Rule」の場所から,この文章を読むことが可能です(99/6/21). ・「簡易ルール集」を読む 「簡易版カード別ルール集1〜2」「簡易版マジックルール集0〜2」「簡易版フロアルール集」を作成いたしました.筆者にメールをいただければ,最新版を送付させていただきます.ルールが分からなくなった場合には,これを参照するようにして下さい.  なお,インターネット上では, http://www.terra.dti.ne.jp/~nomra/scrs/tebiki.html  にて公開しておりますので,こちらでも取得することが可能です(99/9/1). ・ネット上のQ&Aコーナーを利用する.(99/6/21追加)  私がお勧めのQ&Aコーナーは下の2つ.  Hobby Japan の掲示板 http://www.hobbyjapan.co.jp/  「ミシュラの工房」等さまざまなページ共有のQ&A掲示板 http://www.duelists.org/~mamiya/bbs/qabbs/treebbs.cgi  なお,上の2つを利用する際には,次の3つの条件を*必ず*守るようにしてください. i) カード名称を正確に書く.  上の2つは初心者も参考にする一般的なページです.このとき身内でしか通用しないカードの愛称や英語名のカタカナ書きを使用すると,初心者のかたが意味を把握することが非常に困難になります.カードリストで検索するなどして,正確なカード名称を使用するようお願いいたします. ii)まず自分で調べる.  まずはルールブックを見て,その疑問に対する答えがすでにないかどうかを確認したあとで,疑問を出してください.もし良くわからなかった場合などは*なになにを参照したけれども,ここがわからなかったので,詳しく解説してください*と明記した上で質問を出してください. iii)タイトルをしっかりつける.  よく「質問」や「教えてください」などのタイトルがをつける人がいますが,これはぜひともやめてください.あとから参照するときに,非常にわかりにくくなります.  上の3つさえ守れれば,気軽に精度の高い回答を得ることのできるよい場所になります.どうぞ,ご利用ください. ・包括的ルールを読む.(00/10/22訂正)  これ以降は「自分が中級者になったな」と感じるようになったら,読むようにして下さい.  「包括的ルール集」は,マジックのルールを網羅した優れたルール集です.ネット上では, http://judge.magic.asuka.net/ COMPREHENSIVE RULES  で見ることが可能です. ・ オラクルを読む.(99/6/21追加)  現在の,「正式な」カードテキストが書かれている文章です.  かなり面倒ではあるのですが,「正式な」テキストを参照する必要がある場合には,以下のページを参照してください. http://www.wizards.com/default.asp?x=dci/oracle ・GRS&CRSを読む(99/6/21変更)  とりあえず場所は, http://www.crystalkeep.com/magic/index.html  の「Official Rulings Summaries」にあります. 付録1.簡易用語辞典 カット(cut):相手のデッキの一部からカードを取りだし,そのまま他の部分に置く行為. カードスリーブ:カードが傷つかないように使用される,カード一枚一枚を入れるようなビニールの袋のこと.マジック販売店にて発売. パワーナイン:Ancestral Recall(UL, U, r),Time Walk(UL, U, r),Timetwister(UL, U, r),Black Lotus(UL, A, r),Mox Emerald, Jet, Pearl, Ruby, Sapphire(UL, A, r),という9つの過去に存在した超凶悪カードの総称.Type I でのみ使用可能.1枚ン万円する. プロキシー/代用カード(proxy):カードに紙を貼り付けたりして作成した,本来のカードとは別の働きを持つようにしたカード.大会では使用できない(ヘッドジャッジが作成した代理カードであれば使用できる).大会でない場合には,対戦相手の了承をとれば使用できる. メタゲーム:大会に参加する際,対戦することが多いと見られるデッキ(流行中のデッキや,その対抗デッキ)を見きわめ,それに対応できるようなデッキやサイドボードを作成すること. マークド(marked):裏から見ても,そのカードであることが判別できるカード.大会でも,大会でない場合でも使用できない. リフルシャッフル:トランプでよくおこなわれる,カードを曲げて両側から落としこむようなシャッフルのやりかた. フェローシャッフル:デッキを2つにわけ,それを互いに横からおしつけるような形で,混ぜ合わせるシャッフルのやりかた.カードスリーブを使用していない場合に行うと,カードが傷む. ヒンズーシャッフル:カードを何枚かの山に均等に(あるいは枚数差をつけて)配るような形で置いていくシャッフルの方式(99/6/21). レアリティ:カード購入の際に入っている確率を示す.入っている確率が高い順に,コモン,アンコモン,レアと呼ばれ,およそコモンはアンコモンの3倍,アンコモンはレアの3倍の確率で入手出来る.エクソダス以降では,エキスパンションシンボルがそれぞれ黒,銀,金で示されている(98/11/21). ミント:まだ使用されておらず,どこにも傷などのはいっていないきれいな状態のカードを指す(00/5/7). ニアミント:ミントほどではないものの,ほぼ外傷がなく新品同様の状態のカードを指す(98/11/21). プレイド:使い込まれて傷が入ったカード.摩耗のため裏から見て判別がつく場合もある(98/11/21). シャーク:相手の無知につけこんで,釣り合いのとれないトレードを求める人物のこと.そのかもになる人物のことをグッピーとよぶ(98/12/8). アクティブプレイヤー:active player/current player 威嚇行為:intimidation エクステンデッド:Extended マリガン:mulligan 解釈:interpretation カット:cut 観戦者:spectator 観戦:observe 強制的な:mandatory 禁止カード:banned card 警告:warinig 現在の:current 限定形式トーナメント:limited tournaments 故意でない:unintentional 故意に:intentional 公開情報:public information 攻撃的な:belligerent 構築形式トーナメント:constructed tournaments サイドボード:sideboard 従わない:disobeying 失格:disqualification シャッフル:shuffle 勝利:win 初期状態:original configuration 助言:coaching 助力:assistance スタンダード:Standard スタンド・アローン・ブロック構築:Stand-Alone Constructed スポーツマンシップに反する:unsportsmanlike スリーブ:sleeve 制限カード:restricted card 宣言:announcement 先攻ドローなしルール :play or draw rule 操作:manipulating 対戦相手:opponent 代理カード:proxy card 他者:outside 警告: warning 遅延行為:stalling 遅刻:tardiness 注意:caution 偵察行為:scouting デッキ:deck 登録:registration トーナメント:tournament トーナメント主催者:tournament organizer 認定トーナメント:sanctioned tournament/DCI-sanctioned event 敗北:lose 敗北扱い:forfeit 引き分け:draw 必須の:mandatory 不正行為:cheating 不適格:illegal プレイヤー:player フロア・ルール:Floor Rule 分:minute ヘッド・ジャッジ:head judge 暴言:profanity マークド:marked マッチ:match マリガン:Mulligan 無作為:random 無視する:disregarding 余分な:extra ルール違反:rule infraction/violation of rule ルール処理:make a ruling 論争:arguing (98/7/30) 付録2.マジック各エキスパンション情報 ●基本セット アルファ版;1993年8月(黒枠,角が丸い),295枚 ベータ版;1993年10月(黒枠,角が正常),302枚 アンリミテッド;1994年1月,302枚 リバイズド;1994年4月(色が白っぽい),306枚 第4版;1995年5月,378枚 クロニクル;1996年12月(元々入っていたエキスパンションのシンボルを持ち,枠が白い.ただし日本語版は日本語版が出版されていない版のもので,枠が黒い),125枚 第5版;1997年3月,449枚 第6版;1999年4月(ローマ数字の6(IV)),350枚 第7版;2001年4月(アラビア数字の7),350枚 ●拡張セット アラビアンナイト;1993年12月(円月刀),78枚 アンティキティー;1994年3月(鉄床),100枚 レジェンド;1994年6月(円柱),310枚 ザ・ダーク;1994年8月(新月),119枚 フォールンエンパイア;1994年11月(王冠),102枚 アイスエイジ;1995年1月(氷晶),383枚 ホームランド;1995年10月(世界),115枚 アライアンス;1996年6月(軍旗),144枚 ミラージュ;1996年10月(椰子),350枚 ビジョンズ;1997年2月(三角),167枚 ウェザーライト;1997年6月(日誌),167枚 テンペスト;1997年10月(暗雲),350枚 ストロングホールド;1998年3月(城門),143枚 エクソダス;1998年6月(架橋),143枚 ウルザズサーガ:1998年10月(歯車),350枚 ウルザズレガシー:1999年2月(金槌),143枚 ウルザズデスティニー:1999年6月(薬瓶),143枚 メルカディアン・マスクス:1999年10月(眼仮面),350枚 ネメシス:2000年2月(戦斧),143枚 プロフェシー:2000年6月(結晶),143枚 インベイジョン:2000年10月(紋章),350枚 プレーンシフト:2001年2月(渦旋),143枚 アポカリプス:2001年6月(仮面),143枚 オデッセイ:2001年10月(魔鏡),350枚 トーメント:2002年2月(魔龍),143枚 ジャッジメント:2002年5月(天秤),143枚 オンスロート:2002年10月(変異),350枚 レギオン:2003年2月(武具),145枚 スカージ:2003年5月(?),?枚