簡易版マジックルール集0Ver. 3.8.0  刊行にあたって  「この場合って,どういったルールが適用されるの?」  「こういうふうに呪文って使えるの?」  マジックをプレイしていく上で,このような質問がよく出てきます.  今回は,「簡易版マジックルール集0」と題しまして,入門者から初級者の間で疑問の出やすいルールを中心に,物語風にルールをまとめてみました.  実際のプレイの運行の際に,ルール理解を深めるために,暇つぶしに,ご利用していただければ幸いです.  これを作成するにあたって,いくつかの資料を参考にさせていただきました.GRS(General Ruling Summary;総合ルール集)やCRS(Card Ruling Summary;カード別ルール集)もその参照させていただいた文献の1つですが,この文章とは直接のつながりを持ちません.誤りなどに関する一切の責任は,筆者が負うものです.  マジックのルールは常に変化するものであり,また最新のエキスパンションの追加などによって,新たに注意すべき点などが現れる場合があります.このため,予告なく文章が改変されることがありますが,御容赦をお願いいたします.またできるだけ最新の正しい情報を手に入れるように努めて,「古い誤ったルーリング」に従ってプレイしないようにして下さい.  この文章の著作権を放棄します.自由に再構成・配布を行っていただいて結構です.ただし再配布者は,その利用者から疑問が出た場合にはそれに解答を与える義務と,誤りや疑問点などを発見した場合に,筆者に報告する義務をもつものとします.  できるだけ正確さを期するよう努力いたしましたが,それでもなおこの冊子の記述に誤りがある場合があります.もし誤りなどを発見した場合には,筆者のほうまでご一報のほうをお願いいたします.  それでは,よいデュエルを. (初版;1998.1.23  改訂版;2003.2.23) 野村和信 nomra@terra.dti.ne.jp 簡易版マジックルール集0目次 0.はじめに  0−1.ドミニアへようこそ! 1.ゲームの進め方  1−1.「魔法」について  1−2.プレイフィールド  1−3.ゲームの進行 2.カードについて  2−1.カードとは?  2−2.色(00/10/22)  2−3.カードの種類(01/11/23)  2−4.トークン(00/2/29) 3.呪文および能力の使用  3−1.呪文および能力の説明  3−2.「コスト」について  3−3.コストの支払い  3−4.呪文/能力のライフサイクル(00/2/29)  3−5.「スタック」 4.ゲームの進行  4−1.ターンの進行(00/10/22)  4−2.戦闘フェイズの進行(01/7/28) 5.呪文/能力の諸ルール  5−1.打ち消す  5−2.ダメージの軽減,移しかえ  5−3.サイクリング(02/11/3)  5−4.変異(02/11/3)  5−5.スレショルド(01/10/26)  5−6.フラッシュバック(01/10/26) 6.パーマネントの諸ルール  6−1.破壊,再生,および「ゲームから取り除く」  6−2.登場効果  6−3.レジェンド/伝説の○○ 7.クリーチャの諸ルール  7−1.タフネスとパワーとダメージ  7−2.召喚酔い(00/8/7)  7−3.壁  7−4.先制攻撃  7−5.飛行  7−6.再生  7−7.渡り  7−8.プロテクション(防護)(00/2/19)  7−9.トランプル(00/8/7)  7−10.Amplify/増幅(03/2/23)  7−11.Double Strike/二段攻撃(03/2/23)  7−12.Provoke/挑発(03/2/23) 0.はじめに  0−1.ドミニアへようこそ!  ようこそ,ドミニアの世界へ.  この世界は現実とは異なり,魔法や魔物が存在する摩訶不思議な世界です.あなたは1人の魔法使いとなり,さまざまな呪文を駆使することによって相手の魔法使いと決闘(デュエル;duel)を繰り広げることになります.  現実のあなたは,魔法を使用することはできません.異世界から呼び出した巨大な魔物を使役することもできません(ひょっとすると,できるかたもいらっしゃるかもしれませんが).  しかし,このドミニアの世界でのあなたは違います.神の偉大な力を借りて魔物どもをなぎ倒すことも,巨大な炎の球を生み出して相手の魔法使いにぶつけることも,神秘の秘宝をつかいこなすことも可能なのです.  ようこそ,ドミニアの世界へ.ここは危険に満ちあふれた,しかしさまざまな楽しみや発見に満ちた世界です. 1.ゲームの進め方  1−1.「魔法」について  この世界の魔法は,すべて「カード(card)」という形に収められています.これは言ってみれば,その魔法の使用方法をまとめた巻物のようなものです.この巻物はいままでに数千のものが発見されており,その数は今後なお増えていくでしょう.  「魔法」を使うためには,その魔法のもととなるエネルギー,「マナ(mana)」が必要です.巨大な効果をもつ魔法を使用するためにはより大きなマナが,小さな魔法を使用する場合には少しのマナが必要となってきます.  マナは,ドミニアを形成する5種類の代表的な地形から常に生み出されています.魔法使いは,これらの地形と精神的なリンクを形成することによって,それぞれの地形が生み出しているマナを得ることができます.このマナを用いて,さまざまな魔法を使役するのです.  マナは,以下の6種類に分類されます. 黒;黒地に骸骨マークで象徴されます.「沼」から生じる,死と邪悪のマナです. 青;青地に水滴マークで象徴されます.「島」から生じる,水と風と精神のマナです. 緑;緑地に木のマークで象徴されます.「森」から生じる,生命のマナです. 赤;赤地に炎のマークで象徴されます.「山」から生じる,大地と炎のマナです. 白;白地に太陽マークで象徴されます.「平地」から生じる,聖なるマナです.  および, 無色;5種類のどこにも属さない,属性を持たないマナです.  「マナ」を生み出すことができるのはこの5つの基本の地形だけではありません.これ以外の特殊な地形もありますし,マナを生成する能力をもつ魔物や秘宝も存在します.  1−2.プレイフィールド  幾千の魔法を一度に頭の中に記憶し,状況に応じて使用することは,いかなる大魔法使いといえども可能ではありません.  このため古の魔法使いたちは,それらの呪文のなかから自らの得意とするものを抜き出し,1つにまとめることにしました.現在「デッキ(deck)」とよばれるものがそれです.  決闘を開始する前に,デッキを利き腕の前の方におきます.そして,デッキの上からカードを7枚とり,「手札(hand)」にします.残りは「ライブラリ(library)」になります.書庫(ライブラリ)から巻物をとりだして手元(手札)におき,いつでも使えるように準備するのだと考えて下さい.  いったん使用された魔法の内,半分ほどのものは,「場(play)」に置かれます.魔法によって呼び出されたさまざまな存在(パーマネント;permanent)はここに置かれ,あなたの命令に従ってさまざまな活動をします.  のこり半分ほどの魔法は,場を経ずに直接墓地(graveyard)と呼ばれる場所に行くことになります.  また,なんらかの効果によって場を離れた存在のほとんども,墓地に埋められることになります.  とりあえず今は,「手札」「場」「ライブラリ」「墓地」という異なる4つの「領域(zone)」が存在する,ということだけを覚えておけば結構です.  1−3.ゲームの進行.  最初に,両方の魔法使い(player)は20点の「生命点(ライフ;life)」を得,7枚の巻物(card)を得て手札にします.  相手のライフを0点以下にすることによって,相手に勝利することができます.これ以外にも相手の書庫を空にしてすべての魔法を封じてしまう方法などが,相手に勝利する方法として存在します.  ライフには上限はありません.状況さえ許せば,30点でも,1億点でもライフを得ることができます.  ライフが同時に双方とも0点以下になった場合には,相打ちとなります.「どちらがよりひどく死んだか」は,この際関係ありません. 2.カードについて  2−1.カードの書式  マジックのゲームにおいて,「魔法」は「カード」という形で取り扱われることはすでに話したとおりです.カードには,それぞれの魔法の使い方,その魔法を使用したことによって得られる効果などが,全て記載されています.  その読み方さえわかれば,あらゆる魔法があなたの支配のもとで使えるようになるのです.  カードに記載されている重要な情報は,以下のようなものです. ・カード名(card name);左上に示してあります.  魔法を,他の魔法と区別するための手段です.  同じ能力を持っている魔法でも,これが異なれば別の魔法とみなされます.  逆に異なるイラストでも,これが同じであれば同一の魔法です. ・マナコスト(mana cost);右上に示してあります.(土地は持ちません)  その魔法を使用する時に必要となるコストです.  何かで「マナコスト(mana cost)」または「点数で見たマナコスト(converted mana cost)」となっていた場合,必ずここを参照して下さい. ・カードの種類(card type);中央左,2つの枠の間に示してあります.  その魔法の種類が示されています.  この部分によって,その魔法が「どの時点で使用可能なのか」「使われたあと,どういう性質をもつ存在を呼び出すのか」が規定されます. ・テキスト(card text);カードの下半分をしめる部分です.  その魔法を使用した際に,得られる効果が書かれています.  「効果」以外に,「その魔法がどういう背景をもっているか」などを語る「フレーバーテキスト(flavor text)」が記されていることもあります.  2−2.色(Color)(00/10/22)  マジックの魔法は,それぞれ唱える時に必要となるマナの色(マナコスト)に応じて,5つの「色(color)」に分類されています.それぞれの色が各々特性を備えています.これらの長所を良く活かし,短所を良く補う者こそが,「大魔術師」となるのです. ・黒(Black);  死と暗黒,邪悪さを象徴する色です.相手の支配する魔物を一撃で死に追いやったり,墓地の魔物をよみがえらせて操ったりする魔法が数多く含まれています.大きな効力を持つ代わりに,なんらかの術者の代償を要求する魔法も多く存在します. ・青(Blue):  水や大気の動き,あるいは魔法使いの精神の働きを象徴する色です.飛行能力をもつ魔物を数多く有しています.相手の精神に干渉して,魔法が完成する前に打ち消してしまったり,相手側の魔物を自分の支配下においてしまう,などの魔法はこの色の専売特許とでもいうべきものです. ・緑(Green)  大自然の優しさと荒々しさを象徴する,両面的な色です.数多くの魔物や動物を有し,天候を操作して嵐を呼び起こす力を持ちます.また,土地とのリンク以外の方法から魔力を引き出す術を心得ているのも,この色の大きな特性です. ・赤(Red)  火炎・大地・稲妻・溶岩・破壊.それがこの色の象徴しているものです.巨大な魔竜や巨人を召喚したり,爆炎や地震で相手の魔法使いや魔物をなぎ倒します. ・白(White)  神の聖なる力を象徴するのがこの色です.癒しや防御の為の呪文を数多く備え,また神のために働く騎士や神官などを従えることができます.と,同時に神の力を借りて,存在するすべての魔物を破滅に導く巨大なる魔法なども持っています.  魔法の色を判別する手助けとして,カードの地には色が塗られています.  まれに,複数の魔力源に基づいた魔法が発見されることもあります.そういった魔法はカードの背景が金色に塗られており,複数の種類の色のマナコストを持つことで認識されます.  その魔法は,マナコストに示される色の,すべての属性を備えています.  例えば「青黒」というマナコストを持つ多色のクリーチャは,「青いパーマネントを破壊する」という魔法の影響を受けますし,「黒ではないクリーチャを破壊する」という魔法の影響を受けません.  2−3.カードの種類(01/11/23)  魔法は,その性質によって7種類に分類・整理されています (魔法の種類は,カード中央左を参照下さい) ・土地(Land)  「土地とのリンク」を象徴する,特殊なカードです.これは呪文の詠唱などを必要としない純粋な精神の働きで,7種類の魔法系統のうち,唯一「呪文(Spell)」とは分類されていません.このため,マナコストを持たず,打ち消されず,対応もされません.また,土地カードは普通色を持ちません.  土地カードは,他に条件が無い場合には自分のメインフェイズに1枚,なんのコストもなしで手札から場に出すことができます.これを,「土地をプレイする」と呼びます.  5つの基本地形(basic land)……沼・島・森・山・平地……と,それ以外の特殊な地形(non-basic land)にわけられます.  召喚酔い(summoning sickness;後述)の影響をうけません.  次の2つの系統の魔法(ソーサリーとインスタント)は,それが解決されたあと,カードは直ちに墓地に落ちます.  決して場にはとどまらない,ということに注意して下さい.  土地以外の魔法は,1ターンに唱えられる枚数に制限はありません(01/11/23). ・ソーサリー(Sorcery)  長い呪文の詠唱と儀式を必要とする,大きな魔法です.使用可能な時間が限られており,相手が何か行動を起こしたことに対応して使用することはできませんが,その分大きな威力を発揮する魔法が多く含まれています. ・インスタント(Instant)  短い呪文の詠唱で済む,小さな魔法です.ほとんどのタイミングで使用することができます.また,相手が詠唱しはじめたあとで詠唱を開始し,もととなった呪文の効果が発揮されるより前に効果を発揮させることすら可能です.  これから後の4つの系統の魔法(クリーチャ,アーティファクト,アーティファクトクリーチャ,エンチャント)は,「パーマネント(permanent)」を呼び出すための魔法です.いずれも(一部の例外をのぞいて)ソーサリーと同じように長い呪文の詠唱と儀式を必要とし,従って使用可能な時間が限られており,また相手が何か行動を起こしたことに対応して使用することはできません. ・クリーチャ(Creature)  異世界や同じ世界の別の場所から魔物(クリーチャ)を召喚し,自分の命令に従うようにするための呪文です.場に出た魔物はさまざまな特殊能力を持ち,魔法使いの分身となって活躍します. ・アーティファクト(Artifact)  過去や現在の偉大なる魔法使いによって作成された「秘宝(アーティファクト)」を自分の手元に呼び出し,使役します.  純粋なアーティファクトは,召喚酔い(summoning sickness;後述)の影響をうけません. ・アーティファクトクリーチャ(Artifact Creature)  やはり神秘の秘宝を呼び出す呪文ですが,擬似的な生命を与えられ,本当の生命と変わらぬ動きを持つようになったアーティファクトを呼び出します.このため,呼び出された存在はアーティファクトとクリーチャの両方の性質を兼ね備えた存在となります.  召喚酔い(summoning sickness;後述)の影響をうけます. ・エンチャント(Enchant/Enchantment)(00/10/22)  なんらかの存在に対して属性を付与し,増強したり弱めたりする魔法です.どういった存在に対して付与を行うのかということによって,さまざまな区分がなされています.もっとも大きな分類は,個別エンチャント(local enchant)と全体エンチャント(global enchant)の2つです.  エンチャントは,召喚酔い(summoning sickness;後述)の影響を受けません.  全体エンチャントは,「エンチャント(場)(enchantment)」とかかれています.(影響を及ぼすとカード上に書かれている)すべての存在に影響を与えます.  エンチャント(場)は,場に同時に何枚でもおくことが可能です.  個別エンチャントは,「場」ではなく,特定の存在に影響を及ぼす魔法です.「エンチャント(A)(enchant A)」という書式で書かれ,「A」の部分で指定してあるものにしかつけることが出来ません.また,ついている存在が「A」ではなくなった場合,あるいはついている存在が「場」以外の領域(手札,墓地など)に行った場合には,即座にそのエンチャントは墓地に行きます.  通常,個別エンチャントは「つける」パーマネントに対し,半分ずらして重ねて置かれます(00/10/22).  1つのパーマネントにつけられるエンチャントの数には限界はありません. 2−4.トークン(token)(00/2/29)  これは魔法ではなく,呪文などによって創造された存在です.従って特定のカードでは示されていません.  トークンはいくつか異なる点もありますが,大体において普通の魔物などと同じように扱われます.  召喚酔い(summoning sickness;後述)の影響をうけ,普通にエンチャントをつけることもできます.  ただし現実に引き留める力が弱いために,「場」以外の場所についた瞬間に消滅してしまう,というような性質を持っています(00/2/29変更). 3.呪文および能力の使用  これから,すべての魔法を司る法則について触ふれてみたいと思います.これから書き記してあることを注意深く読みとれば,ほとんどすべての魔法を誤ることなく使用することができるはずです.  3−1.呪文および能力の説明  「呪文(spell)」とは,すでに述べたとおり手札から唱えられる,場に出る前の魔法(のうち土地を除いたもの)を指していう言葉です.  「能力(ability)」については,まだ説明がありませんでした.これは「場に出ている」状態のパーマネントが持つ特別な能力です.一般的にはインスタント呪文とおなじ方法に従って処理されます.  魔物やその他の存在が使う,我々魔法使いの使用する呪文の限定されたものであると考えて下さい.  まれに場に出ていない状態で能力を使用できるカードや,インスタント呪文と同じでない処理のされかたをする能力もありますが,その場合には必ずそのことがきちんとカードに記載されています.  逆にいえば,カードに記載されていない限りパーマネントの持つ能力はすべて,場にある状態でのみ使用でき,インスタントの処理方法で解決されることになります.  3−2.「コスト」について  「コスト」とは一般的に,魔法を使用したり維持したりするために支払われる一切のものを示しています.通常魔力のもととなる「マナ」以外にも,さまざまなものが魔力の源として扱われます.  「マナ」のうちそれぞれの色のマナが要求されている場合には,その色のマナを支払って下さい.「灰色の地に数字」が書かれている場合には,その数分のマナを支払って下さい.この場合には,マナの色は一切関係ありません(払われるときには関係がありますが,それ以降ではまったく関係がありません,覚える必要もありません).  例えば,ここに「2赤とかかれているカードがある場合,そのカードは「赤マナ1つ」と,「何色でもかまわないが,とにかく2マナ」を支払えば用いることができる,ということになります.  灰色地に「X」と書かれているのは,好きなだけのマナをつぎ込めるということです.「0マナ」を支払うことすら可能です.色も関係ありません.  「マナ」以外でよく用いられる魔力源として,「タップ(tap)」することを「コスト」として要求するものも多くあります.「タップ」とはそのパーマネントを90度横にして置く行為で,「魔力を使った」状態を示すためによく用いられる概念です.  この逆に,「タップされていない(魔力を使い果たしていない)」,カードが直立した状態のことを「アンタップ(untap)」状態と呼びます.  この他によく用いられる魔力源として,「生け贄(Sacrifice)」があります.これは魔法を完成させたり維持したりするために,すでに場にある存在を生け贄にささげる行為です.生け贄にささげる事ができるのは自分が支配している存在だけで,相手の支配している存在は生け贄にささげることはできません.生け贄にささげられた存在はすぐさま墓地へ落とされます.  他には,魔法使い自身の生き血を要求するものさえあります.「ライフを支払う(pay life)」とかかれたものがそれで,これを受け入れた場合にはライフはすぐに失われます.その支払いを軽減することは不可能です.  こういったおぞましい魔力源を要求する魔法は,やはり黒に多いようです.  3−3.コストの支払い  「何もない場所から魔法を取り出す」.これは多くの魔法使いたちの夢でした.しかし,この夢を実現させた魔法使いは数えるほどしか存在していません.今存在している呪文や能力は,そのほとんどのものがなんらかの形で「魔力源」を要求するものばかりです.例え必要としないものでも,効果の発動には何らかの条件を満たす必要があるなど不自由なものが一般的です.  以下,魔力源の読みとり方について,説明を行います. ○パーマネントにならない魔法(ソーサリー,インスタント)が呪文として用いられる場合,次のものが必要です. ・マナコスト(カードの右上に表示されている値) ・追加コスト(「追加コストとして〜支払う」と書かれているもの) ○パーマネントになる魔法(クリーチャ,アーティファクト,アーティファクトクリーチャ,エンチャント)が呪文として用いられる場合,次のものが必要です. ・マナコスト(カードの右上に表示されている値) ○パーマネントになった魔法が,その状態で能力を使うためには,次のものが必要です. ・起動コスト(カードテキストに,「:」の前に書かれているもの)  3−4.呪文/能力のライフサイクル(00/2/29)  さて,これからが最も重要な部分です.これまでを読んできて疲れを感じているかたは,一度休憩をとったあとで読んだほうがよいかもしれません. −−★−−−−★−−−−★−−−−★−−−−★−−−−★−−−−★−−  解説を再開しましょう.  すべての魔法は,以下のような手順を踏んで,使用されることになっています. 0)周囲の存在から魔力をかきあつめます. 1)使用する魔法を宣言し,それをぶつけるべき対象を選択します. 2)魔力を開放し,実際に魔法を発動します.しかし,この時点ではまだ魔法は効果を発揮してはいません. 3)開放した魔力が実際に形をとり,その効果を現します.  実際には,このイメージを具体的にした形で,呪文や能力は解決されます. 0)マナの生成  ドミニアの大地から精神のリンクを通して得られる5色のマナや,秘宝などが生み出すマナを自分自身の周囲に力場を作り一時的にそこに蓄えます.  一時的にマナを貯めるこの力場のことは,「マナプール」という名前で呼ばれています.  このとき一度に得られたマナを,一度に使用する必要はありません.例えば,邪悪を表す黒マナを3つを生成する魔法「暗黒の儀式」を使用してマナを生成したあと,うち黒マナ2つを使用して魔物を召喚,そのあとでほかの土地のリンクを使用して生み出した青マナなどを利用してその魔物を増強する付与魔法を使用する,ということも可能です.  ただし,この自分の周りの力場にマナをいれたまま放置しておいた場合には,その蓄えられていた魔力が暴走し,自分の生命を削りとることになります.これを「マナバーン」と呼びます.マナバーンが生じた瞬間に蓄えられた魔力は四散し,マナはすべて失われます.  具体的には,それぞれのフェイズ(後述)の終了時に自分のマナプールに存在するマナの量をチェックし,その量だけのプレイヤーのライフが失われ,マナプールが完全に空になります. 1)宣言・対象の選択・コストの支払い  魔法を使う際の予備動作に相当します.  呪文の名前を発音し,対象をすべて指定し,そして呪文や能力を使用するのに必要なコストを支払います.  「魔力源(コスト)の消費」は,宣言と同時に一瞬にして行われます.  それはもうすでに支払われていますので,いったん支払ったコストを取り戻したり,コストの支払いをあとから妨害しようと試みることはできない,ということにくれぐれも注意して下さい.  たとえば,赤マナをマナコストとして要求する呪文があったとき,相手が呪文を宣言したあとで山をタップさせ,その呪文が使われるのを妨害することはできません.マナは呪文が宣言した時点で消費されており,それをあとから防ぎとめることはできないのです.また「何かを生贄に捧げる:〜」とある能力を使用する場合,その生贄は能力を宣言した時点で生贄にささげられ,墓地に落ちます.そのあとにほかの魔法で生贄に捧げられるものを除去し,能力を防ごうとすることはできません.そういった魔法を宣言することすらできないのです.  この段階に入ったときに,魔法は「スタック(stack;後述)」に載せられます(00/2/29変更). 2)対応の機会  魔法は完成したものの,まだ効果を発揮していない段階です.  新しく別の呪文を唱えることによって,「切り返し」をする事ができます.相手の放った雷撃が実際に魔物に当たる前に,その雷撃を消滅させてしまったり,防御のための光の盾を生み出したり,魔物そのものを増強させたりして,雷撃に貫かれて死亡することを免れたりすることができるのです.  「ソーサリー」とパーマネントを生成する呪文は,詠唱に時間がかかるためにこの段階で唱えることはできません. 3)魔法の解決  発動に成功した魔法が,効果を発揮します.  2番で使用された魔法群のうち,最も後に唱えられたものが解決が行われます.  解決された呪文のうち,パーマネントになるものは場に,ならないものは墓場へ行きます.  この段階でもし,魔法を発生させた発生源が場に無かったとしても,それでも魔法は正確に効果を発揮します.発生源がなくなったからといって,その魔法が効果を現さなくなる・・・というのは,ほかのゲームではいざしらず,マジックの世界においては存在しません.放たれた魔法は,それを解き放ったものがいなくなったとしてもやはり飛び続け,相手に命中するのです.  3−5.「スタック」  魔法を処理するための一般的なルールです.  宣言され,すべてのコストを支払われた呪文や能力は,すべて「スタック」というものに乗せられます.  呪文を使った場合,その呪文のカードがすべてのプレイヤーの前に重ねておかれる,と考えるとわかりやすいかもしれません.(パーマネントの能力を使用した場合には,その「能力」がカードの代わりにおかれる,と考えます)  何かの呪文や能力がスタックに積まれているとき,双方のプレイヤーは他の呪文か能力を使用することができます.このとき,「ソーサリー」とパーマネントを生成する呪文を使うことはできません.  どのプレイヤーも呪文や能力を使わない場合には,スタックの一番上の(最後に使われた)呪文か能力を『1つだけ』解決します.  そして,また互いのプレイヤーが呪文や能力を使う機会を再び得ます.  これを繰り返すことによって,呪文や能力は解決されていくわけです.  たとえば,自分がクリーチャを強化する呪文をつかうと,それはスタックに載せられます.自分や対戦相手はそのスタックに重ねて他の呪文や能力を使うことが可能です.対戦相手はそれはたまらないので,その強化が適用される前にダメージでそれを殺そうと火力呪文を使いました.その火力呪文がスタックに重ねられます.  自分はそれを打ち消したい(後述)と思いますが,ちょうど今それを打ち消す呪文は手札にありません.そこでカードを引くための呪文を使い,スタックに重ねます.  自分はもちろん対応はなく,対戦相手はこれをどうしようもないので,対応しません.  そうすると,スタックに最後に重ねられた呪文・能力だけが解決されます.というわけで,自分はカードを引くことができます.  その中に,ちょうど呪文を打ち消すことのできるカードがありました.スタックに載せられた呪文が1つ解決された後には再び対応の機会が生じますので,自分はこれを使用して火力呪文を打ち消すことが可能です.  両プレイヤー再び対応なしで,打ち消し呪文が解決されます.火力呪文は打ち消され,なにもしません.そしてさらに対応がなければ,強化呪文は解決され,巨大化したクリーチャが対戦相手に牙をむいて襲い掛かります... 4.ターンの進行  4−1.ターンの進行(00/10/22)  命をかけて行われる決闘にも,それなりの「ルール」というものが必要です.  特に,「時間」に関しては,十分に注意が払われなければなりません.先人たちはこの「時間」について,試行錯誤しながら一つのルールを作り出していきました.それがこの「ターン進行」と呼ばれるものです.  まず,時間は「自分のターン」と「相手のターン」の2つに分けられます.お互いの魔法使いはこの2つのターンを互いに担当し,攻守を入れ替え(turn)ながら決闘を続けることになります.特殊な例外を除いて「自分のターン」のあとには「相手のターン」が続きます.  ターンはさらに,それを区分した「フェイズ(phase)」という細かな単位によってなりたっています.それぞれのフェイズはさらに細かなステップに分かれます.  ターンを成立させているのは,以下の5つのフェイズです. ○開始フェイズ(beginning phase) ○メインフェイズ(main phase) ○戦闘フェイズ(combat phase) ○第2メインフェイズ(second main phase) ○終了フェイズ(end phase)  それぞれのフェイズの最後に,マナプールに出したまま使われていないマナと同量のライフが失われ(マナバーン;mana burnし)ます.  詳しい解説に入ります. ○開始フェイズ(beginning phase)  さらに以下の3つのステップに分かれます. ・アンタップステップ(untap step) ・アップキープステップ(upkeep step) ・ドローステップ(draw step) ・アンタップステップ(untap step)  魔力を使い果たし,萎えていた存在達が再び息を吹き返す時間です.  自分の支配しているすべてのタップ状態のパーマネントが,一斉にアンタップします.このステップではマナ能力を含みすべての呪文/能力を使用できません. ・アップキープステップ(upkeep step)  維持(アップキープ)のためになんらかの代償を必要とする魔法について,その維持のために必要な行為を行う時間です.  「アップキープの開始時(at the biginning of your upkeep)」  に生じると書かれた能力がすべてこのステップの開始時に自動的にスタックに載せられ,処理されます(00/10/22).  また,なんらかの呪文/能力を行使できる最初のステップであるため,このステップの間になんらかの呪文/能力が使われることも多くあります. ・ドローステップ(draw step)  書庫から巻物をとりだし,ただちに使用できる呪文を増やす時間です.  このステップの開始時に自分のライブラリの一番上からカードを1枚引きます.引けなかった場合には,そのデュエルに敗退します.  忘れられがちではありますが,このステップでも呪文/能力を使用することは可能です. ○メインフェイズ(main phase)  自分が好きに行動を行うことのできる,唯一の時間です.  ソーサリーやパーマネントを呼び出す呪文の使用,それに土地カードをプレイするのは,自分のターンのこのフェイズにしか行えません.(カードに異なることが書いてあれば別ですが)  それ以外の魔法は,相手のターンの間であっても,使用することができます. ○戦闘フェイズ(combat phase)  クリーチャが対戦相手に殴りかかる時間です.  自分のメインフェイズ中に,1度だけ発生させることのできるフェイズです.魔法を自由に使用することができますが,パーマネントを呼び出す魔法およびソーサリーの使用,土地とのリンクは不可能です.  詳しくは,次の節で説明します. ○第2メインフェイズ(second main phase)  初めのメインフェイズと同様,ソーサリーやパーマネントを呼び出す呪文の使用を含めて,自由に呪文/能力を使用することができます.  また,初めのメインフェイズの間に土地をまだプレイしていないのであれば,1枚土地カードをプレイすることができます. ○終了フェイズ(end phase)  さらに以下の2つのステップに分かれます. ・ターン終了ステップ(end of turn step)  「ターンの終了時(end of your turn)」  に生じると書かれた能力がすべてこのステップの開始時に自動的にスタックに載せられ,処理されます(00/10/22/00).  一般的にはなんらかの呪文/能力を使用できる最後のステップであるため,このステップの間に呪文/能力が使われることも多くあります. ・クリンナップステップ(cleanup step)  クリーチャに与えられていた全てのダメージが敵味方関係なく治癒される時間です.  このステップの開始時に,アクティブプレイヤーは,手札が8枚以上あった場合には,7枚になるように手札を選んで墓地へ捨てる必要があります.  その後にクリーチャに与えられていたダメージが敵味方の関係なくすべて取り除かれ,「ターン終了時まで」と指定されていた効果が終了します.  4−2.戦闘フェイズの進行(00/5/13)  自分が異世界から召喚したクリーチャを自由に使役して,それを相手に襲いかからせる「戦闘(combat)」は,マジックの醍醐味の一つです.  まず戦闘を行う意図を相手に伝え,そのあと自分の支配しているクリーチャから,相手の陣地へ向かうクリーチャを選択します.そして相手の魔法使いは,自分の支配するクリーチャによってそれを迎えうちます.  戦闘フェイズは,以下の5つのステップからなります.今,一気に覚える必要はありませんが,早いうちに覚えてしまいたい部分です. 1)戦闘開始ステップ(beginning of combat step) 2)攻撃クリーチャ宣言ステップ(declare attackers step) 3)防御クリーチャ宣言ステップ(declare blockers step) 4)戦闘ダメージステップ(combat damage step) 5)戦闘終了ステップ(end of combat step)  詳しい解説に移ります. 1)戦闘開始ステップ  普通は,意味のないステップです.  「メインフェイズにしか使えない魔法」を除いて,何度でも自由に使うことができます. 2)攻撃クリーチャ宣言ステップ  相手の陣地に対して,自らの支配する魔物たちを攻め込ませます.  このステップの開始時に,攻撃に参加するクリーチャをすべて指定します.その時点でアンタップしているクリーチャだけが,攻撃に参加できます.  攻撃に参加するクリーチャをタップし,攻撃に必要なコストがあれば支払います(01/7/28).  そのあと,「メインフェイズにしか使えない魔法」を除いて何度でも自由に使うことができます. 3)防御クリーチャ宣言ステップ  自分の陣地に攻めてきた魔物たちを,自分の手持ちの魔物で迎撃させる段階です.  このステップの開始時に,防御に参加するクリーチャをすべて指定します.この時点でアンタップしているクリーチャだけが,防御に参加できます.  普通のクリーチャでも,1体の攻撃クリーチャを複数のクリーチャでまとまって防御することが可能です.  特殊なクリーチャを除き,複数の攻撃クリーチャを1体のクリーチャで防御することはできせん.  防御に参加したクリーチャは,タップされません.  そのあと,「メインフェイズにしか使えない魔法」を除いて何度でも自由に使うことができることを忘れないようにしてください.  防御することを指定したあとにいったん防御することが決定したクリーチャがいなくなった場合,ちょうど0/0のクリーチャで防御されたような具合になります.トランプル能力(後述)を持つ攻撃クリーチャならそのままダメージが魔法使いに与えられますし,持たない場合にはダメージを受けません.  防御した魔物が,防御できなくなった(攻撃クリーチャが飛行を得るなどして)としても,ダメージを与えあわなくなるわけではありません.そのまま普通にダメージ配分が生じます. 4)戦闘ダメージステップ  それぞれのクリーチャによるダメージを処理します.  このステップの開始時に,クリーチャによるダメージが確定し,それぞれのクリーチャがパワー分のダメージを,防御されているならばその攻撃/防御クリーチャ同士で,防御されていないならばプレイヤーにそれぞれ与え合います.  防御を宣言した瞬間に,ダメージがスタックに載るわけではないことに気をつけてください.防御を宣言したあと,ダメージがスタックにのるよりも前に,いくらでもインスタントを使用する機会が存在しています(00/5/13). 5)戦闘終了ステップ  普通は,意味のないステップです.  全体的なルールの解説は,これにて終了します. 5.呪文/能力の諸ルール  5−1.打ち消す(counter)  呪文や能力が完成する前に,相手(自分でも可)の呪文や能力を停止させてしまう効果です.  何かを「打ち消す」呪文や能力は,対象とする呪文(や能力)が唱えられたあと,それが解決される前ならいつでも使用することができます.  それを「打ち消す」呪文や能力が解決された場合,打ち消された呪文や能力は,一切効果を示すことはありません.その呪文や能力に支払われたコストはそのまま失われて戻らないようになります.打ち消された呪文は,そのまま墓地へ向かいます.  5−2.ダメージの軽減,移しかえ  相手のダメージを跳ね返したり,消滅させてしまう魔法です.  相手が魔法を詠唱し炎の矢が飛んでくるところを,短い呪文をさっと唱えて「光の盾」を作ってそれをはじき返す・・・というのをイメージして下さい.  ダメージを軽減したり,移しかえたりする魔法を使用した場合,対象となったクリーチャの前に「盾」が発生します.この「盾」は,ターン終了時か,使い果たされるまで有効です.  「ダメージを3点まで」軽減する盾があるクリーチャの前にあるときに,そのクリーチャに対して2点のダメージが与えられた場合,その盾は多少壊れて「ダメージを1点まで」軽減する盾になります.そのあとに再び2点のダメージがそのクリーチャに対して与えられた場合には,それは1点軽減され,残り1点のダメージをそのクリーチャに対して与えるようになります.  5−3.サイクリング(02/11/3)  不必要な魔法書を捨てることにより,新たな魔道書を手に入れる能力です.  「サイクリング」を持つカードは,それがあるときに「サイクリング」のあとに書かれたコストを支払い,そのカードを捨てることによって,新しいカードを1枚引くことができます.  これは,「サイクリングコスト」と「そのカードを捨てる」ことがコストで,「カードを1枚引く」ことが効果な起動型能力として扱われます.  インスタントのタイミングで使用可能です.  「呪文を打ち消す」効果によって,サイクリングを打ち消すことはできません.  5−4.変異(02/11/3)  他の姿に擬態し,己の真の姿を隠す能力です.  「変異」を持つカードは,裏向きの(=対戦相手に見えない)状態で魔法として唱え,場に出すことができます.  場に出た裏向きのカードは「無色2/2,能力やクリーチャの種類を持たない」クリーチャとして扱われます.  対戦相手がその魔法を打ち消したかったり,除去したかったりしたい場合には,「それが本当はどんなカードであるか」がわからない状態で魔法を使わなければなりません.  自分はいつでも,裏向きのカードの内容を確認することが可能です.  基本的にいつでも,「変異」のあとにかかれたコストを支払うことによって,裏向きにされたカードを表向きにすることができます.これに対応することはできません.  表向きになっても,それは同一のクリーチャであるとあつかわれます.その上についていたエンチャントはついたままですし,裏向きで召喚酔いが解けているなら表向きでも解けたままです.    5−5.スレショルド(01/10/26)  自軍の損害が大きい場合に、より大きな力を発揮するカードです。  日本語に訳すると,「限界点」「臨界値」といほどの意味を持っています.  一定の限界値(自分の墓地にあるカードが7枚以上になる)を突破した時点で,そのプレイヤーは「スレショルドを持ち」ます.  その瞬間から,テキストに「スレショルド」という文字を持つカードは,「スレショルド」以下の文章を持つかのように振るまい始めます.  自分がスレショルドを持っていない状態では,スレショルド以下の能力は「眠って」います.  一度スレショルドを達成したあとで限界値を下回った(墓地のカードが6枚以下になった)場合には,再びスレショルドを失います.  スレショルド以下の文章に「その代り」とある場合,スレショルドを達成したあと,スレショルド以外の能力を失います.それ以外の場合,スレショルド達成後も達成前と同じように能力を持っています.  5−6.フラッシュバック(01/10/26)  記憶の底を探り,一度使用した呪文を再び使えるようにする方法です.  日本語に訳すると,「回想」「想起」というほどの意味を持っています.  「フラッシュバック」とカードテキストにあるカードが墓地にあるとき,その呪文は「手札にあるかのように」使用することが可能になります.  ただし,「フラッシュバック」によって呪文を使用する場合には,そのマナコストではなく「フラッシュバック」の後にかかれたコストを支払って使用しなければなりません.  「フラッシュバック」によって使用された呪文は,使用されたあとゲームから取り除かれます.  このコストは,マナコストと同じように軽減されたり増やされたりします.  墓地にあるのならば,一度も使用されていない(手札やライブラリから直接墓地に落ちた)場合でも使用可能です. 6.パーマネントの諸ルール  6−1.破壊(destroy),再生(regenerate),および「ゲームから取り除く」(remove from game)  「パーマネント」とは「永久物」という意味ですが,その言葉通りに「永久に」場に存在し続けるパーマネントはほとんどありません.いろんな原因により,場から取り除かれます.  破壊されたパーマネントは,カードに別のことがかかれていない限り再生(後述)できます.  そして再生できなければ,そのカードは墓地へ行きます.  「ゲームから取り除」かれた場合には,再生できません.墓地にも行かず「ゲーム外」と呼ばれる場所に行きます.ここに行ったカードに手を出すことはできません.  6−2.登場能力  場に出た瞬間に,他の存在に対してなんらかの影響を及ぼす存在もあります.この「登場能力」というのは,それを再現した能力です.「Aが場に出たときにBする(When A comes into play B)」と書かれた能力のことです.  Aを場にだすための呪文か能力が解決されたときに自動的にスタックに乗せられ,解決されます.場に出たクリーチャなどのカードが,出た瞬間に勝手に魔法を使ってくれるのだ,とでも考えてください.それは普通のインスタントのように宣言され,スタックに乗せられて対応を待ち,最終的に解決されます.  Aがどのような手段によって場に出たとしても,この能力は発動されます.  「Aが場にでたあとに」能力が発生するということに気をつけて下さい.そのカード自身もこの能力の対象になり得ます.  「Aが場に出たときにBする(When A comes into play B)」と書かれていた場合には,選択権はありません.Bが可能であれば,必ずそうして下さい.ただし,出来なかったとしてもなんらペナルティはありません.  「Aが場に出たときにBする.しない場合には,Cする(When A comes into play B, or C)」と書かれている場合には,Bが可能であっても,それをしないことによってCを受け入れることも出来ます.  6−3.レジェンド/伝説の○○(Legend)  世界にただ一人(一つ)しかいない,伝説的な人物(存在)を示す能力です.  同じ名前の人物が複数人,同時に場に存在することはできません.召喚しようと試みることは可能ですが,場に出た瞬間に世界そのものから反発力を受け,後から場に出た側が消滅します.  同じ名前のレジェンドが場にでた場合,あとからでた方がすぐさま墓地に行きます.同時にでた場合には,両方とも墓地に行きます.  「レジェンドの召喚」「伝説の土地」「伝説のアーティファクト」などがこのルールに従います. 7.クリーチャの諸ルール  7−1.タフネス(toughness)とパワー(power)とダメージ(damage)  パワー/タフネスとは,魔物の持つ戦闘能力のうち攻撃能力と防御力だけをとりだして,数値として簡略化したものです.  クリーチャはすべて,固有のパワーとタフネスを持っています.これはカードの右下に書かれています.パワーかタフネスが「*」である場合,テキスト中にその決定方法が書かれています.  「パワー」とはそのクリーチャが持つ攻撃力です.戦闘中にこのパワー分のダメージを,相手魔法使いか防御クリーチャに与えます.  「タフネス」とはそのクリーチャの「最大HP」だと考えて下さい.「HP」ではありません.4点のタフネスを持つクリーチャに,2点と1点のダメージが与えられた場合,そのクリーチャは,1点のタフネスを持つクリーチャではなく,「3点のダメージを負った,タフネス4のクリーチャ」になります.  このダメージは,それぞれのターン終了時のクリンナップステップ中に,(敵味方関係なく)すべて自動的に取り除かれます.  なにかで「パワー」もしくは「タフネス」を参照する,とあった場合,カードの右下にある値ではなく,エンチャントなどの修正を加えた,現在の「パワー/タフネス」を参照します.  7−2.召喚酔い(Summoning Sickness)(00/8/7)  呼び出されたばかりの魔物は一時的な失調状態に陥り,その能力を完全に発揮することはできません.「召喚酔い」は,その状態を再現したものです.  自分のターンの最初から,続けて自分の支配のもとにないパーマネントは,「召喚酔い」という状態にあります.  ただし実際に「召喚酔い」の影響を被るのは,クリーチャ(クリーチャとアーティファクトクリーチャ)だけです.それ以外の土地,アーティファクト,エンチャントは「召喚酔い」の影響は受けません.  まず,「召喚酔い」はクリーチャだけでなく,すべてのパーマネントがかかるものだ,という大前提をご了承下さい.  ただ単に,影響を受けるのがクリーチャであるというだけで,それ以外の種類のパーマネント(土地だとか)も,きちんと召喚酔いにかかっているわけです.  つまり,召喚酔い状態のクリーチャがエンチャントになった場合,それは召喚酔い状態のエンチャントなわけですし(もっとも,何も影響はありませんが),召喚酔い状態のエンチャントがクリーチャになった場合にはそれは召喚酔い状態のクリーチャです.  逆に召喚酔い状態でないエンチャントをクリーチャにした場合には,それは召喚酔い状態ではありません(00/8/7).  普通にクリーチャを召喚した場合,「召喚酔い」は呼んだターンと相手のターン中続き,自分のターンに入ってようやくその状態を抜け出します.  「召喚酔い」状態のクリーチャは,「タップ」を起動コストに含む能力を使用できず,攻撃に参加できません.「タップ」を含まない能力や,防御のためならば使用できます.他の能力の効果やコストとしてタップされることも可能です.  7−3.壁(Wall)  「クリーチャー壁(Creature - Wall)」および「壁として扱う(Count as Wall)」と書かれたクリーチャは,壁です.攻撃することができません(壁が攻撃してきたら怖いですよね? ・・・まれに,攻撃する壁も存在しますが).  壁であるくせに,なぜか「クリーチャ」として勘定されます.クリーチャを対象にしたり影響を与える魔法は,すべて普通に効果を現します.  7−4.先制攻撃(First Strike)  相手の反応よりも一瞬だけはやく獲物の喉元にくらいつくことのできる,敏捷な魔物を再現した能力です.  戦闘フェイズの戦闘ダメージステップに,先制攻撃を持つクリーチャが存在していた場合,特別に先制攻撃を持つクリーチャ用の戦闘ダメージステップが発生します.  この戦闘ダメージステップでは,先制攻撃を持つクリーチャだけがダメージを与えることが可能であり,それ以外のクリーチャはダメージを与えることはできません.  その後で,通常の戦闘ダメージステップが処理されます.  その時点で攻撃/防御クリーチャが死亡した場合,先制攻撃を持つクリーチャは死亡したクリーチャの分のダメージを負うことはありません.  この能力は,攻撃時にも防御時にもはたらきます.  7−5.飛行(Flying)  大空を自由に駆けめぐる,翼をもつ魔獣を再現した能力です.  飛行を持つクリーチャを,飛行を持たないクリーチャで防御することはできません.  飛行能力を持つクリーチャは,飛行を持たないクリーチャを防御することができます.  7−6.再生(Regenerate)(00/2/19)  殺されそうになったときに息をこらし,また活動を始めるしぶとい生命力をもったクリーチャを再現した能力です.  生命を司る緑と,死を司る黒のクリーチャにこの能力を持つクリーチャが多いのが面白いところです.  これは,「墓場に行くこと」を防ぐ能力です.  この能力を使用すると,そのクリーチャの前に特殊な「盾」が発生します.これは,ターンが終了するか,そのクリーチャが破壊されるまで持続します.  この「盾」が存在する時点でクリーチャが死亡するに十分なダメージを受けたときか,「破壊(destroy)」とかかれた効果の及んだときにはそのクリーチャは再生し,そのクリーチャが受けていたダメージがすべて取り除かれ,何事もなかったかのようにそのまま場に残ります.  タップ状態でも十分,再生することができますが,再生をしたあとにはクリーチャは必ず,魔力を使い果たしてタップ状態になります.  必ず,クリーチャが墓地に行く前に使用して下さい.「墓地に行ったクリーチャを場に戻す」能力ではありませんので,墓場に行ってしまったあとではもはやこの能力を使用することはできません.  また,再生した場合には「場を離れた」「場に入った」とは見なしません.  7−7.渡り(Landwalk)  岩陰や森に隠れ,相手に気取られずに陣中まで攻め込むクリーチャを再現した能力です.  防御側がそれに相当する土地とのリンクを1つでも成立させていた場合,その土地を渡ってやってくるクリーチャを防御することは不可能です.  たとえ,おなじ渡りの能力を持つクリーチャがいたとしても,です.  この能力は,防御時にはボーナスを与えません.  7−8.プロテクション(防護)(Protection)(00/2/19)  ある種類の魔法に耐性をもち,その効果の大半を無効化するクリーチャを再現した能力です.  プロテクションは,以下の4つの部分から成る能力です. 1)その属性をもつ魔法(呪文,能力)の『対象』にならない. 2)その属性を持つダメージは,自動的に0になる. 3)その属性をもつクリーチャには防御されない. 4)その属性を持つエンチャントにエンチャントされない.  「すべて」に影響をもたらす魔法や,対象(詳しくは簡易マジックルール集1参照)を持たない魔法の場合,その属性のプロテクションを持っていたとしても,その影響を受けます.ただし,「すべて」にダメージを与えるような魔法の場合,2の能力によりダメージを受けません.  7−9.トランプル(Trample)(00/8/7)  圧倒的な巨体をもち,防御した相手を蹂躙(じゅうりん)する巨獣を再現した能力です.  戦闘時,トランプル能力を持つクリーチャを他のクリーチャで防御した場合,トランプル能力を持つクリーチャは,防御したクリーチャが死ぬのに十分なダメージ(防御クリーチャのタフネス引く,このターンにそのクリーチャがうけたダメージ)をクリーチャに防御したクリーチャすべてに与えたあと,残りのダメージを相手の魔法使いに与えられます.  防御クリーチャがトランプルをもっていても,特にボーナスはありません.  適切な色の防護能力をもつクリーチャに防御された場合,そのクリーチャの致死ダメージ分のダメージをそのクリーチャに,残りをプレイヤーに割り振ります.結果として防御クリーチャはダメージなしで生き残りますが,魔法使いはダメージを受けます.  防御したクリーチャがダメージを割り振るよりも前に場を離れてしまった場合,「死ぬのに必要なダメージ」は「0」ですから,そのままダメージは相手の魔法使いにいきます(00/8/7変更).  7−10.Amplify/増幅(03/2/23)  隠された増援軍の力によって,自らの力を増強するクリーチャです.  この能力を持つクリーチャが場に出るとき,そのクリーチャと同一の種族を持つクリーチャカードを手札から対戦相手に見せることによって,そのクリーチャの能力を増強します.  見せたカード1枚につき,「増幅-」のあとに書かれた数値個数の+1/+1カウンターが,そのクリーチャの上に乗せられます.  どの場所から場に出た場合にも,カードを見せることができます.  見せるのは必ず手札からです.「手札として扱う」場所から見せることはできません.このカード自身や,これと同時に場に出るほかのカードを見せることはできません.  見せるクリーチャカードは,そのクリーチャと同じクリーチャの種類を持っていなければなりません.複数のクリーチャの種類を持つ場合,そのうち1つでもあっていれば条件を満たします.  たとえば「鳥・兵士」を出したときには, 「鳥」「兵士」「鳥・ウィザード」「鳥・兵士」「兵士・クレリック」「鳥・兵士・レジェンド」  のどれでも見せることができます.  見せたカードの枚数だけをカウントします.重複分をカウントしません.増幅-1の「鳥・兵士」が場に出るときに「鳥・兵士」を1枚見せた場合,獲得できるのは+1/+1だけです.  これをもつクリーチャがゲームから取り除かれた場合,カウンターはすべて取り除かれます.また場に出ることがあったならば,再びカードを見せることができます.  7−11.Double Strike/二段攻撃(03/2/23)  素早く攻撃することにより,1回の戦闘中に2回ダメージを与えることができる俊敏なクリーチャです.  先制攻撃のタイミングと,通常の戦闘ダメージのタイミングの両方で,ダメージを与えることができます.  この能力を持つクリーチャが戦闘に攻撃した場合,まず先制攻撃のタイミングで戦闘ダメージを与えます.先制攻撃のダメージを処理したあと,この能力を持つクリーチャが場にある場合には,再び戦闘ダメージを与えます.通常,パワーの2倍のダメージを与えるということです.  先制攻撃を持つクリーチャと,二段攻撃を持つクリーチャが1回目のダメージを与えるタイミングは完全に同一です.  二段攻撃とトランプルを同時に持つ2/1の攻撃クリーチャを2/3のクリーチャでブロックした場合,結果として通常1点のトランプルダメージがプレイヤーに与えられます. (このときブロッククリーチャが対応するプロテクションをもつような場合には,1点も与えられません)  7−12.Provoke/挑発(03/2/23)  防御側のクリーチャを挑発し,そのクリーチャを攻撃するようにしむける能力です.  これを持つクリーチャが攻撃したとき,防御側のプレイヤーがコントロールするクリーチャを1体対象に選択し,アンタップさせることができます.対象にされたクリーチャは,可能であればそれを対象に取ったクリーチャをブロックしなければなりません.  アンタップ状態のクリーチャも対象にできます.ブロックできないクリーチャも対象にできます.対象にされた以外のクリーチャもブロックに参加できます.  不可能であれば,ブロックしません.たとえばアンタップさせたあとにクリーチャをタップさせれば,ブロックは不可能ですのでブロックしません.  1体のクリーチャが複数のクリーチャの挑発対象になった場合,どれをブロックするかは防御側プレイヤーが選択します.