簡易版マジックルール集1Ver. 2.10.0  刊行にあたって  「この場合って,どういったルールが適用されるの?」  「こういうふうに呪文って使えるの?」  マジックをプレイしていく上で,このような質問がよく出てきます.  本編は,初心者から初級者までを対象として,疑問の出やすいルールをまとめたものです.  実際のプレイの運行の際に,ルール理解を深めるために,暇つぶしに,ご利用していただければ幸いです.  これを作成するにあたって,いくつかの資料を参考にさせていただきました.GRS(General Ruling Summary;総合ルール集)やCRS(Card Ruling Summary;カード別ルール集)もその参照させていただいた文献の1つですが,この文章とは直接のつながりを持ちません.誤りなどに関する一切の責任は,筆者が負うものです.  マジックのルールは常に変化するものであり,また最新のエキスパンションの追加などによって,新たに注意すべき点などが現れる場合があります.このため,予告なく文章が改変されることがありますが,御容赦をお願いいたします.また,できるだけ最新の正しい情報を手に入れるように努めて,「古い誤ったルーリング」に従ってプレイしないようにして下さい.  この文章の著作権を放棄します.自由に再構成・配布を行っていただいて結構です.ただし,再配布者は,その利用者から疑問が出た場合にはそれに解答を与える義務と,誤りや疑問点などを発見した場合に,筆者に報告する義務をもつものとします.  できるだけ正確さを期するよう努力いたしましたが,それでもなおこの冊子の記述に誤りがある場合があります.もし誤りなどを発見した場合には,筆者のほうまでご一報のほうをお願いいたします.  それでは,よいデュエルを. (初版;1998.2.5  改訂;2003.2.23) 野村和信 nomra@terra.dti.ne.jp 簡易版マジックルール集1目次 1.ゲームの進め方  1−1.ゲームの進行  1−2.プレイフィールド(「領域」について)(00/2/19) 2.カードについて  2−1.カードとは?  2−2.色(00/10/22)  2−3.カードの種類  2−4.土地  2−5.クリーチャ  2−6.アーティファクト  2−7.アーティファクトクリーチャ  2−8.エンチャント  2−9.トークン(00/2/29) 3.呪文および能力の使用  3−1.呪文および能力の説明  3−2.「対象」という概念(01/7/28)  3−3.「マナ」とそれ以外の「コスト」について  3−4.コストの支払い  3−5.呪文/能力のライフサイクル(01/5/6)  3−6.スタック(01/2/6) 4.ターンの進行  4−1.ターン/フェイズ/ステップの進行  4−2.戦闘フェイズの進行(01/7/28)  4−3.戦闘フェイズ指南(01/11/23) 5.呪文/能力の諸ルール  5−1.打ち消す  5−2.キャントリップ(00/10/22)  5−3.形態を持つ呪文/能力(00/10/22)  5−4.Cycling/サイクリング(02/11/3)  5−5.Morph/変異(02/11/3)  5−6.カードテキストの「お約束」(異なるカードテキスト,すべて/それぞれの,カード中のカード名,「あなたの」,持続時間,「A であるかのようにB できる」)(00/2/19)  5−7.フラッシュバック/Flashback(01/10/26)  5−8.スレッショルド/Threshold(01/10/26)  5−9.マッドネス/Madness(02/3/2) 6.パーマネントの諸ルール  6−1.破壊,再生,および「ゲームから取り除く」  6−2.登場能力  6−3.レジェンド/伝説の○○  6−4.カウンター 7.クリーチャの諸ルール  7−1.タフネスとパワーとダメージ  7−2.召喚酔い  7−3.クリーチャの種類  7−4.壁(00/6/9)  7−5.先制攻撃(01/2/14)  7−6.飛行  7−7.渡り  7−8.プロテクション(防護)(00/10/22)  7−9.トランプル  7−10.再生(02/3/2)  7−11.速攻  7−12.呪文や能力の対象にならない  7−13.Amplify/増幅(03/2/23)  7−14.Double Strike/二段攻撃(03/2/23)  7−15.Provoke/挑発(03/2/23) 付録.似ているが違う,間違えやすいルール(99/10/11).  呪文と能力  呪文とパーマネント  カードを引くとカードを手に入れる  土地をプレイすると土地を場に出す  土地のプレイと土地の能力のプレイ  ライフを失う/支払うとダメージを受ける  コストとしてのタップと効果としてのタップ  所有者と支配者  森のカードと緑のカード  召喚酔いとタップ  強制的なディスカードと強制的ではないディスカード  マナコストと点数で見たマナコスト  ターン終了時までとターン終了時に(99/10/11) 1.ゲームの進め方  1−1.ゲームの進行  それぞれのデュエル(duel;マジックにおける1ゲームのこと)が始まる時点で,互いのプレイヤー(player)は20点のライフ(life)と,7枚の手札を得ます. (細かいルールに関しては,「簡易版フロアルール集」に記載しましたので,そちらをご参照ください)  この20点のライフを削ることが,もっとも基本的なマジックの勝利手段です.このほかに,相手に勝利する手段としては,相手のライブラリを削りきる方法などがあります.  ライフには上限はありません.状況さえ許せば,30点でも,1億点でもライフを持つことが可能です.  勝利手段について,正確に記載します. ・ライフが0以下にする  ライフが0点になった瞬間,そのゲームでの敗北が決定します(第6版ルールによる逆転).同時にライフがともに0点以下になった場合には,相打ちとなります.「どちらがよりひどく死んだか」は,関係ありません. ・ライブラリを削る  ライブラリからカードが無くなり,カードが引けなかった時点でそのプレイヤーは敗北します.  「カードを引く」というのは,「ドローステップ(draw step)」におけるカードを引く行為や,「カードを引く(draw card)」と書かれた効果を指します.  たとえライブラリが空になったとしても,「カードを手札に入れる(put into your hand)」と書かれている効果をうけ,カードを手にいれられなかった場合などにはゲームに敗退することはありません.  1−2.プレイフィールド(「領域(Zone)」について)(00/2/19)  マジックを遊ぶためには,それなりの広さをもつ,平坦なフィールドが必要です.  そのフィールドを半分にわけ,それから手前を自分の支配するカードを置くエリア,それから向こうを相手の支配するカードを置くエリアであると認識します.  一般的な置き方としては,自分の領域の利き手側の奥側にデッキから手札をひいたのこりのもの(ライブラリ)を置き,その手前に捨て札を置く場所「墓地」を設定します.手札は普通,手に持っています.机の上に伏せて置いても構いませんが,机よりは下には下げないようにしてください.  残りの場所,自分の領域の中央部分が「場」として認識されます. 場(play(名詞));パーマネント(permanent)が存在する,一般的な場所です.ほとんどのカードは,ここにあるカードにしか影響を及ぼすことはできません.誤解されがちですが,マジックにおいて「場」はただひとつしか存在しません.「対戦相手の場」「自分の場」という概念はなく,すべての「場」は共有されます(00/2/19). 手札(hand);自分の手札です. 墓地(graveyard);使われた呪文や,場を離れたパーマネント,捨札が置かれる場所です.順番をもち,勝手に入れ替えることはできません. ライブラリ(library);カードの山札です.  これ以外に,以下のような「領域(zone)」が存在します. スタック(stack);唱えられた呪文や能力が解決し終わるまでの間,存在している場所です(第6版ルールによる変更). ゲーム外(out of game);「ゲームから取り除く(remove from game)」と書かれたカードによって行く,特殊な場所です.一般的には,墓地のすぐ隣に置かれることが多いようです.カードを「脇に置く(set aside)」と書かれたカードによって行くのもこの領域です.  他に,「アンティ(ante)」ゾーン,「フェイズドアウト(phased out)」ゾーンと呼ばれるゾーンがありましたが,これは現在のスタンダードでは用いられません.  「スタック」(と「フェイズドアウト」)を除く,すべての領域の間を移動したカードは,その経歴をいっさい忘れてしまいます.  手札の枚数,ライブラリの残り枚数,墓地にあるカード,(裏向きに置かれたのではない)ゲーム外のカードは,公開された情報です.相手がそれを知りたいと言ったとき,それを拒否する権利はありません.正確に宣言して下さい.  カードに異なる事が書かれていない限り,呪文/能力は場にあるカードのみに影響を与えます.墓地などに行ったカードに対して影響を与えられるカードは,ほとんどありません. 2.カードについて  2−1.カードの書式  マジックのプレイは,ほとんどすべての場合において,「カード(card)」を元にして行われます.これには,その呪文の種類,使えるタイミング,使用したときに得られる効果,使用するのに必要なコストなどが記されています.  カードに書かれている言葉は,すべての基本的なルールを無視することができます.いわば,カード一つ一つが,小さなルールブックなのです.  この文章内で,ルールに関して 「(例外あり)」  という記載が出てきますが,これは一部のカードによってこのルールが塗り替えられることがある,ということを示しています.そのルールが無視されると明確に書かれていない限り,そのルールは守られなくてはなりません.  マジックのカードには,一定の書式があります.実際にプレイする上で,重要となってくる要素とその位置は,以下の通りです. ・カード名(card name);左上に示してあります.  カードを,他のカードと区別するための手段です.  同じ能力を持っているカードでも,これが異なれば別のカードとみなされます.  逆に異なるイラストでも,これが同じであれば同一のカードです.  異なる言語のカードを使用した場合,最新の英語版で同一のカード名を持つカードであれば,同じカードであるとみなされます. ・マナコスト(mana cost);右上に示してあります.(土地は持ちません)  そのカードを使用する時に必要となるコストです.  何かで「マナコスト(mana cost)」または「点数で見たマナコスト(converted mana cost)」となっていた場合,必ずここを参照して下さい.  土地とトークンのマナコスト参照する場合には,「0」とみなされます(00/2/19変更).  なにかを「コピー」して出てくるトークンはこのルールを無視し,コピーしたクリーチャのマナコストを持ちます. ・カードの種類(card type);中央左,2つの枠の間に示してあります.  そのカードの種類が示されています.  この部分によって,そのカードが「どの時点で使用可能なのか」「使われたあと,どういう性質をもつパーマネントを呼び出すのか」が規定されます. ・テキスト(card text);カードの下半分を占める部分です.  そのカードを使用した際に,得られる効果が書かれています.  2−2.色(00/10/22)  マジックのカードは,それぞれ唱える時に必要となるマナの色(マナコスト)に応じて,5つの「色(color)」に分類されています.マジックにおける「色」とは「黒,青,白,緑,赤」の5つのみを指します.「無色」や「金色」あるいは「ピンク」「抹茶色」という色は存在しません.  カードの色を判別する手助けとして,カードの地には色が塗られています.  「無色(colorless)」は「色」ではなく,「色を持たない」状態を指します.この属性を持つカード(でたままの「土地」と「アーティファクト」)は,すべての「色」の特性を持たないカードです.  複数の色のマナコストを持つカードは,「多色カード(Multicolored Card)」と呼ばれます.  このカードのマナコストの欄に2種類以上の色のマナが書かれ,背景色は金色です.  そのカードは,マナコストに示される色の,すべての属性を備えています.  例えば「青黒」というマナコストを持つ多色のクリーチャは,「青いパーマネントを破壊する」という魔法の影響を受けますし,「黒ではないクリーチャを破壊する」という魔法の影響を受けません.  2−3.カードの種類  カードは,その性質によって7種類に分類・整理されています. (カードの種類は,カード中央左を参照下さい)  カードの種類によってそれが使用できる時点が限定されています. ・土地カード(land card)  土地は,「呪文(spell)」ではありません.このため,マナコストを持たず,打ち消されず,対応もされません.なにかに対応して場に出すこともできません.何かでマナコストを聞かれた場合には,0と見なします.また,土地カードはあとからつけない限り,色を持ちません.  土地カードは,他に条件が無い場合には,自分のターンのどちらかのメインフェイズの間に1枚,なんのコストも無しで出すことができます.これを「土地をプレイする」と呼びます.  「土地を場に置く(put land card)」という効果によって出される土地は,この一枚制限にはかかりません. ・ソーサリー(sorcery)  自分のメインフェイズに,なにも呪文/能力が使用されていない段階にしか使うことができない呪文です. ・インスタント(instant)  アンタップステップを除く,ほとんどの時点で使用できます.  呪文/能力がなにも使用されていない段階か,何かの呪文/能力が成功し,対応を待っている段階か,何かの呪文が解決された段階で使用できます.  呪文/能力の解決中には使用できません.  ミラージュ以降のカードの,「インタラプト」に属する呪文/能力,および「マナソース」に属する呪文は,インスタントであると読み替えて下さい.(マナソースに属する能力は,マナ能力であると読み替えます)  以下の4つの呪文は,「パーマネント(permanent)」を呼び出すための呪文です.いずれもソーサリーが使用できる時点でのみ使用できます(例外あり).  いったん解決されたパーマネントは,「呪文(spell)」ではありません.  パーマネントを作り出すカードは,「パーマネントを呼び出すための呪文」と「その呪文によって呼び出されたパーマネント」の2つの意味を持っています.ややこしいですが,この2つを混同しないことが,マジックのルールに早くなれるためのポイントの一つです. ・クリーチャカード(creature card)  カードの中央右に,「クリーチャー〜(Creature - 〜)」と書かれたカードがこれに相当します.解決された段階で,クリーチャ(creature)を場に出します.  過去のカードの「〜の召喚(Summon 〜)」と書かれたカードもこれに相当します ・アーティファクトカード(artifact card)  解決された段階で,アーティファクト(魔法のアイテム)を場に出します. ・アーティファクトクリーチャカード(artifact creature card)  解決された段階で,アーティファクトクリーチャ(擬似的な生命を与えられた魔法のアイテム)を場に出します. ・エンチャントカード(enchant/enchantment card)  解決された段階で,エンチャントを場にだします.  なにに対して付与を行うのかということによって,さまざまな区分分けがなされています.それに書かれた対象にしか,このカードを使用することはできません.  エンチャント(場)は特定の「パーマネント」にではなく,「場」そのものに影響を与えます.  エンチャントカードは,呪文として唱えられる際に,それがエンチャントするものを明確に「対象(target;後述)」に取ります.  これから,これらの呪文によって生成されたパーマネントについて,詳しく解説を行います. 2−4.土地(land)  5つの基本地形(basic land)……沼・島・森・山・平地……と,それ以外の特殊な地形(non-basic land)にわけられます.  土地は,「呪文(spell)」ではありません.何かでマナコストを聞かれた場合には,0と見なします.また,土地カードは普通色を持ちません.  「土地カードであること」は「マナを出せること」と同じ意味ではありません.カードにマナを出せると書かれた場合にのみ,マナを出せます.  「召喚酔い(summoning sickness;後述)」の影響をうけません. 2−5.クリーチャ(creature)  プレイヤーの分身として戦う存在です.  「召喚酔い(summoning sickness;後述)」の影響をうけます.  クリーチャは,ほかの種類のパーマネントにはない,さまざまな特殊能力を持ちます.7章,「クリーチャに関する諸ルール」をご参照下さい. 2−6.アーティファクト(artifact)  「アーティファクトであること」=「無色であること」ではありません.アーティファクトに色をつけることもできますし,なんらかの呪文/能力によってアーティファクトとなった存在も,色を失うことはありません.さらに付け加えると,なんらかの効果で色を失ったカードが,自動的にアーティファクトになるようなこともありません.  純粋なアーティファクトは,「召喚酔い(summoning sickness;後述)」の影響をうけません. 2−7.アーティファクトクリーチャ(artifact creature)  アーティファクトクリーチャは,アーティファクトとクリーチャの両方の性質をもっています.  アーティファクトクリーチャは召喚酔いの影響を受けます. 2−8.エンチャント(enchant/enchantment)  自分や相手,あるいは場にある存在を強化したり,弱体化させるためのカードです.  エンチャントは,「何を」強化するか,ということによっていくつもにわけられれます.もっとも大きな分類は,個別エンチャント(local enchant)と全体エンチャント(global enchant)の2つです.  全体エンチャントには,「エンチャント(場)(enchantment)」があります.自分の場に出現し,(影響を及ぼすとカード上に書かれている)すべてのものに影響を与えます.  個別エンチャントは,「場」ではなく,特定のパーマネントに影響を及ぼすカードです.「エンチャント(A)(enchant A)」という書式で書かれ,「A」の部分で指定してあるものにしかつけることが出来ません.また,ついている存在が「A」ではなくなった場合には,即座にそのエンチャントは墓地に行きます.  1つのパーマネントにつけられるエンチャントの数には限界はありません.  個別エンチャントの中には,「Bにしかプレイできない(play only on B)」と書かれたものがあります.これは,エンチャント(A)の(A)の部分では限定しきれなかった限定条件の追加部分で,(A)と同じようにその条件を満たさないパーマネントには付けられませんし,条件から外れた場合には墓地に行きます.また,エンチャントしているパーマネントが「場」以外の領域(手札,墓地など)に行った場合には,やはり即座に墓地に行きます.  相手側のパーマネントにつけたとしても,エンチャントの所有権や支配権はやはり自分にあります.相手は,たとえ望んだとしてもそのエンチャントの能力を使用することはできません(例外あり).  いったん唱えられてパーマネントになったエンチャントは,呪文(spell)としては扱われません.  エンチャント(クリーチャ)は,ダメージの色を変化させません.ダメージを与えるのは,あくまでエンチャントされたクリーチャです.0/1の白のクリーチャに+2/+1の黒のエンチャントを付けても,ダメージはやはり白のままです.  エンチャントは一般的にはタップしませんが,タップすることも可能です.自分のアンタップステップに普通にアンタップします.  「呪文や能力の対象にならない」パーマネントにすでについている個別エンチャントは外れません.すでに場に出ているエンチャントは呪文でも能力でもないですので,ずっとついたままです.ただし,新たにエンチャント呪文を唱えてそういった能力を持つパーマネントにエンチャントすることはできません.また,「呪文や能力の対象にならない」効果はその上についている個別エンチャントまでを守りませんので,それを呪文や能力によって破壊することは可能です.  「その色のプロテクション」を持ったパーマネントについたエンチャントは,ただちに外れます.これは,「プロテクション」の一部に,「その色のエンチャントにエンチャントされない」というルールがあるためです(00/2/19変更). 2−9.トークン(token)(00/2/29)  これは,カードではなく,呪文などによって創造されたパーマネントです.従って特定のカードでは示されていません.  トークンは,いくつか異なる点もありますが,だいたいにおいて普通のクリーチャと同じように扱われます.  ただし,「場」以外の領域に行った瞬間に,失われてしまうというような性質を持っています.(破壊された場合,墓地には行きますが,墓地についた瞬間に,それは失われてしまいます.場以外のどの領域に行っても,やはり失われます)(00/2/29変更)  トークンは,それを生み出したカードに書かれている,色・名前・種類などを持ちます.一般的に,トークン名=クリーチャの種類ですが,それ以外にカードの記載(「XXX として扱う(Count as XXX)」)などによって,他にクリーチャの種類を持つこともあります.  トークンは,それを生み出した発生源とは一切つながりを持ちません.発生源が書き換えられたり,なくなったとしても,属性が変化したりなくなったりするわけではありません.ただし,カードに違うことが書いてあれば,同時に失われることもありえます.  生み出したカードに何も書かれていなければ,それは色を持ちません.  何かを「コピー」したものでないトークンのマナコストは,「0」であると見なします(00/2/19). 3.呪文および能力の使用  3−1.呪文および能力の説明  「呪文(spell)」とはすでに述べたとおり,手札から唱えられる,場に出る前のカード(のうち土地を除いたもの)を指していう言葉です.  「能力(ability)」については,まだ説明がありませんでした.これは「場に出ている」状態のパーマネントが持つ,特別な能力です.一般的にはインスタント呪文とおなじ方法にしたがって処理されます.  呪文/能力を使用したことによって得られる結果を「効果(effect)」と呼びます.  まれに場に出ていない状態で能力を使用できるカードや,インスタント呪文と同じではない処理のされかたをする能力もありますが,その場合には必ずそのことがきちんとカードに記載されています.  逆にいえば,カードに記載されていない限り,パーマネントの持つ能力はすべて,場にある状態でのみ使用でき,インスタントの処理方法で解決されることになります.  マジックにおいて,「呪文」と「能力」は明確に区別されます.「呪文に関して影響を与える」と書かれたカードは,呪文のみに影響でき,能力には一切影響を与えません.  3−2.「対象」という概念(01/7/28)  呪文や能力の効果の内容は,一定の書式でカード上に書かれています.  熟練していないプレイヤーがつまずきやすい概念が,まず「対象(target)」という言葉であるようです.「対象」とは,文字どおり呪文/能力の対象のことをさしますが,マジックにおける「対象」とは,一般的な概念とは異なる特別なものであることを,カードを正確に行使するためには了承しておく必要があります.  マジックにおいて「対象にとるかどうか」というのは,カードテキストに「対象(target)」という文字があるかどうかだけが判断基準となっています.テキストに「対象」の文字があれば対象を取っていますし,なければ取っていません.  ただし個別エンチャントだけはこのルールの例外で,これはカードテキストに「対象」の文字は普通存在しませんが,それでもこれを呪文として唱えるときに,エンチャントするパーマネントを明確に対象にとります.  それ以外の場合,場に出た後やプレイする以外の方法で場に直接置かれる場合には,個別エンチャントは対象を取りません(00/10/22).  「すべて/それぞれの(all/each)」という言葉がときどきテキスト中にでてきますが,これらは文字どおり「すべて」のものを指します.(他に限定がない限り)敵味方関係なく,「すべて」のものに影響を与えます.「すべて」に影響を与えるカードは,普通「対象」を持ちません.  対象の書式は,「A個の対象のB(A target B)」という形式にまとめられます.  「B」は,「対象にとれる存在」を指しています.「対象のクリーチャ」と記述があった場合には,敵のものでも自分のものでも,白でも黒でも,タップしているものでもアンタップしているものでも,「場に出ているクリーチャ」であればなんでもその呪文/能力を使用する事ができます.逆に対象にできるものが無い場合には,その呪文/能力を宣言することさえ不可能です.対象をひとつも持たない呪文/能力であれば,影響を与えるものが何もなかったとしても宣言できます.  間違えて,本来対象にできないものを対象にして呪文/能力の使用を宣言した場合には,「巻き戻し」と呼ばれる処置をします.これは簡単にいえば「今のなしね」ということで,そのコストなどをすべてもとに戻し,その間違って宣言した呪文を手札に戻します.それ以降に宣言された他の呪文/能力も戻し,その宣言の一瞬前からゲームのプレイを再開します.(大会で「巻き戻し」が生じた場合には,すぐにジャッジを呼んで下さい)  このとき,その呪文を使うためにマナプールに出しておいたマナやタップした土地も巻き戻され,宣言前の状態に戻ります(第6版ルールによる逆転).  ただしコストとしてランダムにカードを選択した場合,巻き戻しが起きた場合でもそのカードは戻りません(01/7/28).  気付いたときに,すでにターンが進むなどして元の状態に完全に戻すことが困難な場合には,「巻き戻し」されません.そのままゲームを進めてください(00/10/22).  「A」は対象となるものの数で,呪文/能力を使用するときこの個数の対象がなければ,実際にその呪文/能力を宣言することはやはり不可能です.同じものを複数回対象に指定することはできません.  3−3.「マナ」とそれ以外の「コスト」について  「コスト」とは一般的に,呪文や能力を使用するときにカードを使用したり維持したりするために支払われる一切のものを示しています.通常の「マナ」以外にも,さまざまなものがコストとして扱われます.  「マナ」のうち,それぞれの色のマナが要求されている場合には,その色のマナを支払って下さい.「灰色の地に数字」が書かれている場合には,その数のマナを支払って下さい.この場合には,マナの色は一切関係ありません(払われるときには関係がありますが,それ以降ではまったく関係がありません,覚える必要もありません)(例外あり).  灰色地に「X」と書かれているのは,好きなだけのマナをつぎ込めるということです.「0マナ」を支払うことすら可能です(例外あり).色も関係ありません(例外あり).同じカードで「X」が2回以上出てきた場合には,そのXはすべて同じ値である必要があります.  手札以外の場所からパーマネントが場に置かれた場合,X=0として扱われます.  土地などから放出されたマナは,普通はそのまま呪文/能力のコストとして使用されます.ただし,このほかに出たマナをいったん「マナプール(mana pool)」と呼ばれる,特殊な場所に蓄えられることも可能です.出てきた魔力が,目の前にぷかぷか浮かんでいるのだ,とでも考えて下さい.「マナ能力(mana ability)」というのは,このマナプールにマナをためこむための能力です.  呪文/能力のコストとしてのマナを直接支払う以外に,この場所にいったんため込み,それから支払うことも可能です.  フェイズ(後述)の終了時には,マナプールにため込まれたまま使用されていないマナは,「マナバーン(mana burn)」します.これは余っていたマナと同量のライフが自動的に失われるということです.これを軽減することはできません.  「マナ」以外でよく用いられるコストとして,「タップ(tap)」することを「コスト」として要求するものも多くあります.「タップ」とはそのパーマネントを90度横にして置く行為で,「魔力を使った」状態を示すためによく用いられる概念です.  すでに「タップした」状態の存在をタップさせたり,「アンタップ(untap;タップされていない,直立した状態の)した」状態の存在をアンタップさせることは不可能です.特に「コスト」として要求される場合には,タップ状態のものをタップさせたり,アンタップ状態のものをアンタップすることはできません.  ただし,ここで「対象」の項目を読み返して下さい.例えば「対象のクリーチャをタップする」という効果をもつカードがあった場合,このカードは「タップ状態のクリーチャ」にも使用することが可能です! ただ単に,「タップさせる」という効果が失敗に終わるだけです.  「対象のアンタップ状態のクリーチャをタップさせる」呪文ならば,タップしたクリーチャに対して使用することはできません.ここあたり,まず確実に間違いを犯す場所であるので,両者の違いには十二分に注意を払って下さい.  この他によく用いられるコストとして,「生け贄(sacrifice)」があります.これは呪文/能力を使用したり維持したりするために,すでに場にあるパーマネントを墓地に置く行為です.生け贄にささげる事ができるのは自分が支配しているパーマネントだけで,相手の支配しているパーマネントは生け贄にささげることはできません.生け贄にささげられた存在はすぐさま墓地へ落とされます.すでに再生の「盾」が張ってあったとしても,一切それは働きません.  他には,プレイヤー自身に代償を要求するものさえあります.「ライフを支払う(pay life)」とかかれたものがそれで,これを受け入れた場合にはライフはすぐに失われます.軽減することは不可能です.  3−4.コストの支払い  ほぼすべてのカードには,何らかのコストが必要とされています.その読み方について,説明を行いましょう.  パーマネントにならないカード(ソーサリー,インスタント)が呪文として用いられる場合,次のものが必要です. ・マナコスト(カードの右上に表示されている値) ・追加コスト(「追加コストとして〜を支払う」と書かれているもの)  追加コストも,マナコストと同じ扱いを受けます.マナコストを2倍に支払ってより大きな効果を得ることができないように,追加コストを余計に支払うことはできません.  パーマネントになるカード(クリーチャ,アーティファクト,アーティファクトクリーチャ,エンチャントの4つ)が呪文として用いられる場合,次のものが必要です. ・マナコスト(カードの右上に表示されている値)  パーマネントになったカードが,その状態で能力を使うためには,次のものが必要です.例外を除き,パーマネントの支配者だけが,コストを支払って能力を使用することができます. ・起動コスト(カードテキストに,「:」の前に書かれている数字)  パーマネントに「:」が書かれていた場合,それは間違いなく「起動コスト(activation cost)」です.たとえ,「:」の前に「タップマーク」や「0」しか書かれていなくても,です.なければ,それは起動コストではありません(過去のカードに例外あり).  起動コストを複数回,1度にまとめて支払うことはできません.たとえば起動コストが「黒」である能力を,1度に「黒黒」支払って2倍の効果を得る,というようなことはできません.必ず,「黒」を支払ったあとで,改めて「黒」を支払うようにして下さい.  3−5.呪文/能力のライフサイクル(01/5/6)  すべての呪文/能力は,以下のような手順を踏んで使用されます. 1)呪文/能力の宣言 2)対応の機会 3)解決  具体的に追ってみることにします. 1) 呪文/能力の宣言(呪文/能力のプレイ)  以下の順番に従って処理されます(第6版による逆転) i) どの呪文/能力を使うかを宣言する. ii) 呪文の場合,カードを手札からスタック(stack)に移動させる. iii)(もしあるのであれば)形態(mode)を選択する.テキストやコストの「X」を指定するのはこの時点で行う. iv)(あれば)対象をすべて指定する. v) 対象によって効果が異なる場合,それぞれにどのように適用するかを決定する. vi)コストを支払う.(土地などをタップしてマナを出す,など)  マジックの用語では,これらの宣言/行動をまとめて,「プレイする」と呼びます.  適切な対象がなければ,呪文/能力を宣言することすらできません.  コストの支払いは宣言した瞬間に一瞬にして行われます.この段階で「生け贄」に捧げられた存在は,もはや場を離れて墓地へ行ってしまっています.もはやこれを対象にして他の呪文/能力を宣言することすらできません.  vi)の段階で,コストはすべて同時に支払われます.複数の種類のコストがある場合,実際には順番に支払われますが,しかしその順序がコストの支払いそのものに影響を与えることはありません(01/5/6).  この段階が終わったとき,呪文/能力を「プレイする」(あるいは「唱えることに成功する」)ことによって誘発される能力がある場合には,それは自動的にスタックに積まれます.   2)対応(response)の機会  呪文/能力は唱えられたものの,まだ効果を発揮していない段階です.  新しく別の呪文/能力を使用することができます(これを対応する,あるいは「スタックに積む」と呼びます).ここで使われた呪文/能力は,もとの呪文/能力よりも早く解決されます.  「ソーサリー」と,パーマネントを生成する呪文は,この段階で唱えることはできません(例外あり). 3)解決(resolve)  成功した呪文/能力が,効果を発揮します.  1つの呪文/能力を解決している最中には,呪文/能力を新しく使うことはできません.  2番で使用された呪文/能力群のうち,あとから唱えられたものから順に解決が行われます.その呪文/能力が解決された場合,再び2の段階に戻って新たに呪文/能力を宣言することが可能です(第6版ルールによる逆転の中で最大のもの).また,解決によって誘発された能力があれば,それは自動的にスタックに積まれます.  解決された呪文のうち,パーマネントになるものは場に,ならないものは墓場へ行きます.  この段階で,1番で指定した対象がすべて不適切なものになっていた場合,その呪文/能力は打ち消されます.  この段階でもし,能力の発生源が場に無かったとしても,それでも能力は正確に効果を発揮します.放たれた石は,それを投げたものがいなくなっても相手に命中します.  3−6.スタック(01/2/6)  呪文や能力を処理するために,第6版から適用されることになった一般的なルールです.  宣言され,すべてのコストを支払われた呪文や能力は,すべて「スタック」というものに乗せられます.  呪文を使った場合,その呪文のカードがすべてのプレイヤーの前に重ねておかれる,と考えるとわかりやすいかもしれません.(パーマネントの能力を使用した場合には,その「能力」がカードの代わりにおかれる,と考えます)  何かの呪文や能力がスタックに積まれているとき,双方のプレイヤーは他の呪文か能力を使用することができます.このとき,「ソーサリー」とパーマネントを生成する呪文を使うことはできません.  どのプレイヤーも呪文や能力を使わない場合には,スタックの一番上の(最後に使われた)呪文か能力を『1つだけ』解決します.  そして,また互いのプレイヤーが呪文や能力を使う機会を再び得ます.  これを繰り返すことによって,呪文や能力は解決されていくわけです.  ダメージがスタックに載せられるのは,「戦闘ダメージ」の処理時のみです.それ以外の場合に,ダメージがスタックに載せられることはありません.  載せられるのは,「ダメージを与えるという効果」です.例えば《地震/Earthquake(6E)》の場合,「すべての飛行を持たないクリーチャとすべてのプレイヤー」にダメージを与えるという効果がスタックに載せられ,この効果の解決時に,条件を満たすクリーチャとプレイヤーに対して,すべて同時にダメージを与えます.  ダメージ自体がスタックに載せられ,解決されるわけではありません(01/2/6). 4.ターンの進行  4−1.ターン/フェイズ/ステップの進行  ターンはまず,「自分のターン」と「相手のターン」の2つに分けられます.「自分のターン」のあとには「相手のターン」が続きます(例外あり).「自分のターン」を進めている側のプレイヤーは,「アクティブプレイヤー(active player/current player)」と呼ばれます.  ターンはさらに,それを区分した「フェイズ(phase)」という細かな単位によってなりたっています.それぞれのフェイズはさらに細かなステップに分かれます.  ターンを成立させているのは,以下の5つのフェイズです. ○開始フェイズ(beginning phase) ○メインフェイズ(main phase) ○戦闘フェイズ(combat phase) ○第2メインフェイズ(second main phase) ○終了フェイズ(end phase)  それぞれのフェイズの最後に,マナプールに出したまま使われていないマナと同量のライフが失われ(マナバーン;mana burn)ます.  詳しい解説に入ります. ○開始フェイズ(beginning phase)  さらに以下の3つのステップに分かれます. ・アンタップステップ(untap step) ・アップキープステップ(upkeep step) ・ドローステップ(draw step) ・アンタップステップ(untap step)  自分の支配しているすべてのタップ状態のパーマネントが,一斉にアンタップします(例外あり).このステップではマナ能力を含みすべての呪文/能力を使用できません. ・アップキープステップ(upkeep step)  「アップキープの開始時(biginning your upkeep)」  に生じると書かれた能力,およびアンタップステップに誘発された誘発型能力(簡易版マジックルール集2参照)がすべて,このステップの開始時に自動的にスタックに積まれ,処理されます.  そういった能力が解決されたあとに,両プレイヤーは「メインフェイズにしか使えない呪文/能力」を除き,自由に呪文/能力を使用することが可能です.これは,先のような能力がない場合にも使用することが可能です(99/7/7).  呪文/能力を行使できる最初のステップであるため,このステップの間になんらかの呪文/能力が使われることも多くあります. ・ドローステップ(draw step)  このステップの開始時に自分のライブラリの一番上からカードを1枚とり,それを手札に加えます.引けなかった場合には,そのデュエルに敗退します.  忘れられがちではありますが,このステップでも呪文/能力を使用することは可能です. ○メインフェイズ(main phase)  ソーサリーやパーマネントを呼び出す呪文の使用,それに土地カードをプレイするのは,自分のターンのこのフェイズにしか行えません(例外あり).  「メインフェイズの開始時(beginning your main phase)」  に生じると書かれた能力はすべて,このステップの開始時にすべて自動的にスタックに積まれ,処理されます.第2メインフェイズでは処理できないことに気をつけて下さい. ○戦闘フェイズ(combat phase)  自分のメインフェイズに挟まれて,1回だけ存在するサブフェイズです(例外あり).呪文/能力を自由に使用することができますが,ソーサリーとパーマネント作成呪文と土地カードを置くことはできません(例外あり).  詳しくは,次の節で説明します. ○第2メインフェイズ(second main phase)  初めのメインフェイズと同様,ソーサリーやパーマネントを呼び出す呪文の使用を含めて,自由に呪文/能力を使用することができます.  また,初めのメインフェイズの間に土地をまだプレイしていないのであれば,1枚土地カードをプレイすることができます. ○終了フェイズ(end phase)  さらに以下の2つのステップに分かれます. ・ターン終了ステップ(end of turn step)  「ターンの終了時(end of your turn)」  に生じると書かれた能力がすべて,このステップの開始時に自動的にスタックに積まれ,処理されます.  そういった能力が解決されたあとに,両プレイヤーは「メインフェイズにしか使えない呪文/能力」を除き,自由に呪文/能力を使用することが可能です.これは,先のような能力がない場合にも使用することが可能です(99/7/7).  一般的にはなんらかの呪文/能力を使用できる最後のステップであるため,このステップの間に呪文/能力が使われることも多くあります. ・クリンナップステップ(cleanup step)  このステップの開始時に,アクティブプレイヤーは,手札が8枚以上あった場合には,7枚になるように手札を選んで墓地へ捨てる必要があります.  その後にクリーチャに与えられていたダメージが敵味方の関係なくすべて取り除かれ,「ターン終了時まで」と指定されていた効果が終了します.   このステップ内で誘発型能力か状態起因効果(簡易版マジックルール集2参照)が発生しなかった場合には,その時点でターンが終了し,対戦相手のターンに移ります(00/2/19変更).  このステップ内で何らかの誘発型能力が発生した場合,呪文/能力を宣言することが可能になります.そしてそのスタックの中の呪文/能力がすべて解決された後にすべてのプレイヤーがこれ以上何もしないことを宣言した場合には,このステップをまた手札を7枚以下にするところから繰り返します(00/2/19).  4−2.戦闘フェイズの進行(01/7/28)  戦闘フェイズは,以下の5つのステップからなります.今,一気に覚える必要はありませんが,早いうちに覚えてしまいたい部分です. 1)戦闘開始ステップ(beginning of combat step) 2)攻撃クリーチャ宣言ステップ(declare attackers step) 3)防御クリーチャ宣言ステップ(declare blockers step) 4)戦闘ダメージステップ(combat damage step) 5)戦闘終了ステップ(end of combat step)  それぞれのステップで処理すべきことが処理されたあと,「メインフェイズにしか使えない呪文/能力」を除いて,どちらのプレイヤーも呪文/能力を何度でも自由に使うことができます.  詳しい解説に移ります. 1)戦闘開始ステップ  「戦闘開始時に生じる」とかかれたことがすべて自動的にスタックに載せられ,処理されます(普通はありませんが).  その後,メインフェイズにしか使用できない呪文/能力を除いて,自由に呪文/能力を使用することが可能です.  「戦闘中にしかプレイできない」と書かれた呪文によって獲得したクリーチャを使って攻撃したい場合には,このステップの間にその呪文を使用する必要があります(00/10/22).  クリーチャをタップすることによって攻撃することを妨害したい場合には,通常このステップ内でタップさせます(00/10/22). 2)攻撃(attack)クリーチャの宣言ステップ  相手プレイヤーに対して,自分の支配するクリーチャを攻撃させます.相手クリーチャに対して攻撃したり,自分に対して攻撃することはできません.  この時点でアンタップしているクリーチャだけが,攻撃に参加できます.このあとに,攻撃クリーチャがタップしたりアンタップしたとしても,戦闘の結果には関係はありません.  攻撃に参加するクリーチャをタップし,攻撃に必要なコストがあれば支払います(01/7/28).  攻撃するために条件を満たす必要があるクリーチャが攻撃したとき,このあとにその条件を満たさなくなったとしても,やはり攻撃したままです.それは通常にダメージを与えます(00/10/22).  「攻撃クリーチャ」はこの宣言時から,戦闘終了時までにしか存在しません.これを対象にとる呪文/能力は,戦闘中にしか使用できないわけです.  その後,メインフェイズにしか使用できない呪文/能力を除いて,自由に呪文/能力を使用することが可能です. 3)防御(ブロック;block)クリーチャ宣言ステップ  自分に対して攻撃をしかけてきたクリーチャに対して,自分の支配しているクリーチャで迎撃させる段階です.  この時点でアンタップしているクリーチャだけが,防御に参加できます.このあとに,防御クリーチャがタップしたりアンタップしたとしても,戦闘の結果には関係はありません(第6版ルールによる逆転).  クリーチャは防御に使用しても,タップしません.  普通のクリーチャでも,1体の攻撃クリーチャを複数のクリーチャでまとまって防御することが可能です.1体のクリーチャが,複数の攻撃クリーチャを防御することはできません(例外あり).  「防御クリーチャ」はこの宣言時から,戦闘終了時までにしか存在しません.これを対象にとる呪文/能力は,戦闘中にしか使用できないわけです.  このステップ内でいったん防御することが決定したクリーチャが場を離れた場合,ちょうど0/0のクリーチャで防御されたような具合になります.トランプル能力(後述)を持つクリーチャならそのままダメージがプレイヤーに与えられますし,持たない場合にはダメージを受けません.  防御したクリーチャが,防御できなくなった(攻撃クリーチャが飛行を得るなどして)としても,ダメージを与えあわなくなるわけではありません.そのまま普通にダメージ配分が生じます.  防御宣言の後,メインフェイズにしか使用できない呪文/能力を除いて,自由に呪文/能力を使用することが可能です.  パワーを増強する呪文/能力を使用するならば,この「防御宣言後,ダメージ割り振り前」が最も適したタイミングです(99/7/10).  防御を宣言した時点ではまだ,ダメージはスタックに載せられていません(00/10/22). 4)戦闘ダメージステップ(combat damage step)  このステップの開始時にすべての戦闘によるダメージが割り振られ,スタックに載せられて解決されます.  まず,アクティプレイヤーの側から,ダメージをどう割り振るかを決定し,そのあとでアクティブでないプレイヤーがダメージをどう割り振るかを決定し,スタックに載せます(00/10/22).  ダメージがスタックに載るタイミング,解決されるタイミングはどのプレイヤーが支配するクリーチャによるものであっても,完全に同一です(00/10/22)  ダメージの与え方に選択範囲があるならば,ダメージを与える側のプレイヤーがどのように与えるかを決定します(例外あり).防御クリーチャのタフネスを越えるダメージを与えるようにすることもできます.  ダメージはスタックに載りますので,普通のインスタント呪文や能力で対応することが可能です(第6版ルールによる逆転).  この時点でのダメージをどう与えるかという決定は絶対的です.このあとどう状況が変化したとしても,ダメージの量や与え方が変化することはありません.  たとえば,ダメージが一旦スタックに載せられてダメージを与えられることが確定した後で,そのクリーチャが手札に戻るか墓地に行くかなどして場を離れたとしても,やはりそれはそのクリーチャのパワー分のダメージが与えられるわけです.  また,パワーが変化した場合などでも,やはり与えるダメージ量はスタックに載せられた値のままです.その後に変化したからといって与えられるダメージ量が変化するわけではありません.  互いのダメージを解決した後,メインフェイズにしか使用できない呪文/能力を除いて,自由に呪文/能力を使用することが可能です. 5)戦闘終了ステップ(end of combat step)  「戦闘終了時に生じる」と書かれたすべてのことが自動的にスタックに積まれます.  その後,メインフェイズにしか使用できない呪文/能力を除いて,自由に呪文/能力を使用することが可能です.  どちらのプレイヤーも呪文/能力を使用しないことを宣言した段階で戦闘フェイズが終了し,マナバーンのチェックを行い,第2メインフェイズに移行します.  4−3.戦闘フェイズ指南(01/11/23)  戦闘関連において,攻撃側プレイヤー(A)と防御側プレイヤー(B)について,呪文/能力を使用したほうがタイミングについて解説します.  なおこれは「一般的な方針」であって,状況によってはこれ以外のタイミングに使用したほうが良い場合もあります. 0)戦闘フェイズ前メインフェイズ  (A)攻撃クリーチャを増強するソーサリー/パーマネント呪文.  (A)防御クリーチャを除去するソーサリー/パーマネント呪文.  (A)その他,防御側プレイヤーを不利にするソーサリー/パーマネント呪文.  (A)攻撃参加に条件が必要なクリーチャがいる場合,参加を可能にするような呪文/能力の使用.  (B)なし. 1)戦闘開始ステップ  (A)なし.  (B)攻撃しそうなクリーチャをタップする呪文/能力.  (B)攻撃参加による誘発型能力を持つクリーチャがいる場合,その除去.  (B)攻撃参加に条件が必要なクリーチャがいる場合,参加を不可能にするような呪文/能力の使用. 2)攻撃クリーチャ宣言ステップ  (A)防御しそうなクリーチャの除去/タップ.  (A)攻撃クリーチャに回避能力をつける呪文/能力の使用.  (A)防御参加に条件が必要なクリーチャがいる場合,参加を不可能にするような呪文/能力の使用.  (B)防御参加に条件が必要なクリーチャがいる場合,参加を可能にするような呪文/能力の使用. 3)防御クリーチャ宣言ステップ  (A)(B)自分の支配する攻撃・防御クリーチャのパワーを増加させるような呪文/能力の使用.  (A)(B)相手の支配する攻撃・防御クリーチャのパワーを減少させるような呪文/能力の使用.  (A)(B)上の呪文/能力に対応する呪文/能力.  (A)複数体で防御された場合,その一部を破壊するような呪文/能力. 4)戦闘ダメージステップ  (A)(B)ダメージ軽減・移し変え呪文/能力.  (A)(B)攻撃・防御クリーチャを再生する呪文/能力.  (A)(B)自分が支配する攻撃・防御クリーチャを手札に戻す呪文/能力.  (A)(B)自分の支配する攻撃・防御クリーチャのタフネスを増加させるような呪文/能力の使用.  (A)(B)相手の支配する攻撃・防御クリーチャのタフネスを減少させるような呪文/能力の使用. 5)戦闘終了ステップ  (A)なし.  (B)なし. 5.呪文/能力の諸ルール  5−1.打ち消す(counter(動詞))  「カウンター」といっても,相手にその効果をそのまま跳ね返すわけではありません.ただ単に,その呪文/能力を「なかったことにする」だけです.  呪文/能力に支払ったコストはそのまま失われ,もどりません.呪文を打ち消した場合には,その打ち消された呪文は,そのまま墓地へと向かいます.  相手の打ち消し呪文やクリーチャ呪文を打ち消すこともできます.  すでに場に出たり,墓地にいったりしてしまったカードを打ち消すことはできません.  5−2.キャントリップ(00/10/22)  呪文や能力の効果の一部として,「カードを引く」という効果を備えたカードの総称です.  「カードを引く」というのが主な能力である場合,それは「キャントリップである」とはみなされません.  何か他の呪文によって打ち消されたり,解決時に対象不適切になっているなどして立ち消えになったり(打ち消されたり)した場合には,カードを引くことはできません.  5−3.形態を持つ呪文/能力(modal effect)(00/10/22)  「一つを選ぶ(Choose one)」という,何種類かの使用方法をもつ呪文/能力のことです.この場合,呪文/能力の宣言の段階で,どの形態で使用するのかを決定し,宣言しなくてはなりません.  「AまたはBに〜する(do 〜 A or B)」と書かれている場合には,「形態を持つ」とは考えません.宣言時に「どちらの形態を使うか」ということを宣言する必要はありません(第6版ルールによる逆転).  キッカーコストを支払うかどうか,代替コストを用いてプレイするかどうか,(あるいは古い能力である「バイバック」を使用するかどうか)も,「形態」の一種であると見なされます(00/10/22).  形態を選択する時点において,それらの宣言を行ってください(00/6/9).  「分割カード」の呪文選択は,「モードの選択」であるとはみなされません(00/10/22).  5−4.Cycling/サイクリング(02/11/3)  カードに書かれた「サイクリングコスト」を支払いそのカードを捨てることによって,カードを1枚引くことのできるカードです.  自分の手札以外の場所にある場合にはこのカードを使うことはできません. 「手札として扱う」場所にあるときですら,です.  この能力はインスタントのタイミングで処理されます.何かに対応して使うことも,これに対応することも可能です.  「マナの支払い」と「カードを捨てること」がコストで,効果としてカードを引きます.  カードを引けない場合,直ちにそのゲームに敗退します.  これは土地カードなどが持つ,起動型能力です.  「カードの起動型能力」を打ち消す呪文/能力があれば,打ち消すことが可能です.  手札以外の領域,場などにあるときでも,そのカードは「起動コストを持つ能力を持つ」とみなされます.  ただし,その能力を起動することはできません.  この能力を使用することは呪文を使うことではありませんので,「呪文を唱えるためのコスト」を軽減することのできるカードによってサイクリングのコストを軽減したり,「呪文を打ち消す」呪文によって打ち消すことはできません.   「あなたが(このカード)をサイクリングしたとき」と書かれている能力は,正式には「あなたが(このカード)のサイクリング能力をプレイしたとき」に誘発されます.  この能力は,サイクリング能力によってカードを引く前に解決されます.  なんらかの効果によってサイクリング能力を打ち消した場合でも,この誘発型能力はきちんと解決されます.  誘発型能力が対象不適正により打ち消された場合でも,きちんとカードを引きます.  5−5.Morph/変異(02/11/3)  カードを伏せた(裏返した)状態でプレイし,場に出すことができる能力です.  変異を持っているカードは,本来のマナコストではなく,無色3マナを支払って呪文としてプレイすることができます.  変異を使ってプレイしたあと,打ち消されることなく成功した場合,そのカードは 「無色,2/2,マナコスト0,テキスト・名前・クリーチャの種類・エキスパンション・シンボルを持たない」 クリーチャとして,場に伏せた状態でおかれます. (スタックにある間,このカードは上記の性質を持つクリーチャ呪文カードとして扱われます)  無色クリーチャであり,アーティファクトクリーチャではありません.  伏せて置かれたカードは,そのテキストに書かれた変異コストを支払った場合,オープン(表返え)されます.  オープンは,マナ能力とほぼ同じタイミングで処理されます.  スタックに乗らず,ただ単純にオープンされます.オープンに対応して何かすることもできません.  そのコントローラーだけが変異コストを支払えます.コントロールしていないプレイヤーは,変異コストがわかっていたとしても支払うことはできません.  変異のオープンは起動型能力として扱われません.  「手札として扱う」場所からであれば,たとえば墓地からでも変異としてプレイすることができます.  変異能力を持たないカードを,伏せてプレイすることはできません.  大会で誤って変異でないカードを変異として伏せてプレイしたことが発覚した場合,相応のペナルティが与えられます.  伏せられた状態からオープン状態になったとき,そのカードは「引き続き場にある」とみなされます.  「場に出たときの能力」を誘発させません.  伏せられた状態で召喚酔いが終了している場合,オープンしても召喚酔いは終了しています.  伏せられたカードが場に出たとき,(それが実際にクリーチャではなかった場合でも)「クリーチャが場に出た」として扱われます.  オープンされた場合/伏せられた場合,それまでに受けていたダメージや効果,タップ/アンタップなどの状態も,そのまま保持し続けます.  表向きのパーマネントがなんらかの呪文/能力で裏返された場合,それは「無色2/2」などを含めて変異クリーチャと同様に扱われます.  伏せたカードのコントローラーは,いつでもその内容を確認することができます. 伏せたカードをコントロールしていないプレイヤーは,呪文/能力の効果がなければ,その内容を確認することはできません.  伏せたカードにエンチャントをつけることも可能です.  つけられたエンチャントは,オープンされたあとも引き続きエンチャントしています.  オープンされたクリーチャが,該当するプロテクションを持っていた場合には,そのエンチャントは墓地にいきます.  オープンされたクリーチャが「呪文や能力の対象にならない」能力を持っていた場合には,そのエンチャントは墓地に行かずそのままついたままになります.  伏せたカードがフェイズアウト領域以外の領域(手札・墓地・ライブラリ・ゲーム外)に移動した場合,そのカードの内容を公開しなければいけません.  ゲームが終了した時点でも,公開しなければいけません.  フェイズアウト領域に移動する場合,伏せられたカードは伏せられたままです.  それは伏せられた状態で移動し,伏せられた状態で戻ってきます.  伏せられたカードがいったんゲームから取り除かれ,戻ってくる場合,それは表になった状態で戻ってきます.  伏せられたカードに対し,効果によって色・クリーチャの種類・パワーおよびタフネスの修正を与えることは可能です.  呪文/能力の効果によって直接オープンされる場合,変異コストを支払うことはできません.  ブロックが可能かどうかのチェックは,ブロック宣言のときにだけチェックされます. 変異クリーチャを地上クリーチャでブロックし,そのあとオープンした変異クリーチャが飛行を持っていた場合でも,ブロック関係は成立しています.  伏せたクリーチャ呪文は,呪文を打ち消す呪文/能力によって,通常通り打ち消すことが可能です.  本来黒いクリーチャが伏せられた状態で墓地におちたとき,「黒いクリーチャが墓地に落ちた」ときの能力は誘発されません.  本来黒いクリーチャ呪文が伏せられた状態で打ち消された場合,「黒いカードが墓地に落ちた」ときの能力を誘発させます.  5−6.カードテキストの「お約束」(00/2/19) ・異なるカードテキスト  すべてのカードは,「オラクルの文章に,公式な訂正を加えたもの」として扱われます.誤訳や,版の変更および公的な訂正によって異なるカードテキスト(やカード名)を持つカードは,このルールに従って読みかえられることになります.  オラクルはインターネットを使用できる方でしたら,以下のウェブページ http://www.wizards.com/  から取得できます.  以前の「すべてのカードは最新版の英語のカードに,訂正を加えたもの」として扱われる,というルールは撤回されました.現在ではすべて,オラクルの記述に従って処理されます.ただし,オラクルが取得できない環境にいるかたでしたら,以前のルールに従ってもかまいません. ・すべて/それぞれの(all/each)  カードテキスト中に,「すべての」と書かれたものは,それに該当するものは文字どおり「すべて」に影響を与えます.ほかに限定が無い限り,敵味方関係ありません.  「すべて」に影響を与える呪文/能力は,すべてを対象にとるわけではありません.カードテキスト中に「対象にとる」と書かれたものだけを対象にとります.「呪文/能力の対象にならない」と書かれたカードも,こういったカードの影響を被ります.  「すべて」と「それぞれの」はゲーム的にはまったく同じ意味です. ・カード中のカード名  カードテキスト中に,自分自身のカード名がでてきた場合には,それは(場にあるかもしれない)別の同じ名前のカードではなく,必ず自分自身を指します. ・「あなたの(your)」  カードテキスト中に「あなたの」と記述があった場合,それはそのカードの(またはその能力の)支配者を示します.所有者をさしません(99/12/19変更). ・持続時間(00/2/19変更)  「ターン終了時まで」などの持続時間の限定がされていない場合には,その呪文/能力の効果は,その影響をうけるものになんらかの変化が起こらない限り,ゲーム終了時まで維持されます.  そう書かれていない場合には,その持続時間は制限されていません. ・「A であるかのようにB できる」(00/2/19)  この書式の場合,「A」は必ずマジックにおける「状態」や「能力」を示す言葉であり,「B」はマジックにおける「行為」を指しています.  このカードテキストは,「Bが可能である」という非常に限定された意味においては,そのカードを「A」であるかのように取り扱っても良い,ということを示しています.それ以外の行為や他のテキストの相互関係においては,そのカードは決して「A」であるとはみなされません.  たとえば「飛行を持つかのように防御できる」とある場合には,「防御する」という限定された意味のみにおいて「飛行」を持つかのように扱われます.これは実際には飛行を持ちませんので,「飛行を持つクリーチャ」に影響を与える効果の影響を受けることはありません.  また,「手札にあるかのようにプレイできる」とある場合には,「プレイする(=呪文として宣言する,土地を場に出す)」という行為に関してのみ,それは「手札にある」かのように扱われます.他の行為に関しては,一切それは「手札にある」とは見なしません.  5−7.フラッシュバック/Flashback(01/10/26)  一度使用した呪文を,もう一度だけ使用可能にするものです.  フラッシュバックを持つカードが墓地に存在する場合,そのカードは「フラッシュバック」の後に書かれたコストを支払うことにより,手札にあるかのようにプレイすることが可能です.  フラッシュバックコストによりプレイされた呪文は一度スタックに載り,普通に解決されます.  ただし,解決したり,打ち消されたりして墓地などに移動するとき,代りにゲームから取り除かれます.  このときでも,「マナコスト」は変化しません.それは常にカード右上の値を参照します.  「呪文をプレイするためのコストを増減させる効果」が存在する場合,それはフラッシュバックによってプレイするコストを同じように増減させます.  フラッシュバックコストは,代替コストと同じタイミングで支払われます.  ただ単純に,「墓地からプレイする」ことを許可するだけです.  ソーサリー呪文を,インスタントと同じタイミングで使用できるようになったりしません.  フラッシュバック呪文が打ち消された場合にも,同様にゲームから取り除かれます.  フラッシュバックは,「墓地に落ちる代りに」ゲームから取り除きます.「カードが墓地に落ちたとき」に誘発される効果を誘発しません.  「呪文がプレイされたとき」に誘発される能力を,きちんと誘発させます.  フラッシュバック可能な呪文には,カード名称の前に墓石マークが記入されています.  墓地には順番があります.これを勝手に変えることはできません.  フラッシュバック呪文のみ集めて,墓地の上に置いておくようなことは,一応許可されていないということです.  5−8.スレッショルド/Threshold(01/10/26)  状況によって,そのカードの持つ効果を増幅するものです.  自分の墓地にカードが7枚以上ある場合,そのプレイヤーは「スレッショルドを持った」状態になります.  その瞬間から,「スレッショルド」の後に書かれた文章がカードテキストにあるものとして扱われます.  それ以外の場合,「スレッショルド」以下の文章はカードテキストにないものとして扱われます. 墓地が6枚以下になった瞬間に,そのプレイヤーは「スレッショルド」を失います.  パーマネントになる呪文(クリーチャ,エンチャント,アーティファクト)や土地が場以外の場所にある場合,自分がスレッショルドを満たしていたとしても,スレッショルドのテキストは持たないものとして扱われます.  常在型能力のスレッショルドを持つ場合,条件を満たした瞬間にその能力を獲得します. 条件を満たさなくなった瞬間に,その能力を失います.  「スレッショルドかどうか」が関係する場合,「それが必要とされた段階で」墓地の枚数を数えます.  スレッショルドを持つソーサリーかインスタントがある場合,その呪文の解決の最初の時点でのみ,スレッショルド条件を満たすかどうかを確認します.  呪文をプレイする時点,解決の途中などでチェックすることはありません.  スレッショルドを持つクリーチャなどが,起動型能力をプレイする場合,そのプレイ時点でのみスレッショルド条件を満たすかどうかを確認します.  解決前にスレッショルド条件を満たさなくなったからといって,打ち消されたり,能力が縮小されるわけではありません.  スレッショルドの文章中に「代りに(instead)」という文字がある場合,スレッショルド条件を満たした場合に,それ以外のテキストを失います.  その文字がない場合には,スレッショルドを達成しても引き続き能力を持ちつづけます.  スレッショルド以外の能力を使用することも可能です.  タイムスタンプルールにおいて,スレッショルドによって得た能力は,そのパーマネントが場に出たときから持っていたとみなされます.スレショルド能力を得たときからではありません.  5−9.マッドネス/Madness(02/3/2)  手札からカードが捨てられようとしたとき,そのカードを呪文としてプレイできるようにする能力です.  正式なテキストは,以下のように記述されます. 「いずれかのプレイヤーが、自分の手札からこのカードを捨てようとする場合、そのカードは捨てられるが、そのカードを墓地に置く代わりにゲームから取り除いてもよい」 「この方法によりこのカードがゲームから取り除かれるたび、そのターン中、次にそのカードのオーナーがインスタントをプレイできる時に、マナ・コストではなく『マッドネス』のあとに書かれたコストを支払うことで、そのカードが手札にあるかのようにプレイしてもよい。その時点でそのプレイヤーが優先権を放棄したなら、そのカードをそのプレイヤーの墓地に置く」  自分で捨てたのであれ,相手によって捨てられたのであれ,マッドネスは使用できます.  コストとして捨てたのであれ,効果として捨てたのであれ,マッドネスは使用できます.  マッドネスによってプレイする場合,本来その呪文をプレイできる時点でなくても使用できます.  マッドネスコストを持つクリーチャカードを,相手のターンの間にも使用できるということです.  クリンナップステップ中,手札を7枚にする時点でマッドネスカードを捨てた場合,そのカードをマッドネスでプレイすることも可能です.  そのとき,その呪文に自由に対応することも可能です.打ち消すことも可能です.  さらにその呪文が解決したあとに,呪文/能力をプレイすることも可能です.  それらの呪文/能力がすべて完了したあとで,再び手札を7枚以下にするところから処理を行います.  クリンナップステップ中,手札を7枚にする時点でマッドネスカードを捨てた場合,その捨てたプレイヤーがもし望むならばその捨てたマッドネス呪文をプレイしなくても,それ以外の呪文/能力をプレイすることが可能です.  呪文をプレイするコストを増減させる効果は,マッドネスによるプレイのコストも減少させます.  マッドネスによってプレイされたカードは,墓地に落ちます.  マッドネスによってプレイされたとしても,マナコストはカード右上の値です.  マッドネスによってプレイされた場合,「手札からプレイした」とは見なされません.  マッドネスによってプレイした場合でも,「呪文をプレイした」と見なされます.  マッドネスによってプレイした場合でも,「カードが捨てられた」と見なされます.  マッドネスを持つカードが複数枚同時に捨てられた場合,1つ目のマッドネスカードによるスタックが終わったあとで,初めて次のカードについてマッドネスで使用するかどうかを決め,スタックに乗せます.  何も手札を捨てさせる効果がないときに,「マッドネスで使いたいから」といって勝手にカードを捨てることは許されません. 6.パーマネントの諸ルール  6−1.破壊(destroy),再生(regenerate),および「ゲームから取り除く」(remove from game)  破壊されたパーマネントは,カードに別な指定がない限り再生することが可能です.再生できなければ墓地へ行きます.  「ゲームから取り除」かれた場合には,再生を試みることはできません.墓地にもいかず,直接「ゲーム外」に行きます.  6−2.登場能力  「Aが場に出たときにBする(When A comes into play B)」と書かれた能力を,正式な名称ではありませんが,「登場能力」と呼んでいます.  Aを場にだすための呪文か能力が解決されたときに自動的にスタックに乗せられ,解決されます.  Aがどのような手段によって場に出たとしても,この能力は発動されます.すでに場にあった他の何かから条件をみたすものに変化した場合にも,それは「場に出」ていませんので,適用されません.  「Aが場にでたあとに」能力が発生するということに気をつけて下さい.自分自身もこの能力の対象になり得ます.  エンチャントなどの効果などによってそのカードが変化する場合には,その変化が生じたあとでそのカードの特性をチェックし,それによってこの「登場能力」が生じるかどうかが決定されます.「クリーチャが場に出た場合に」発生する能力と,「土地をすべてクリーチャに変える」という能力があるときに土地を場に出した場合には,それは「クリーチャが場に出たとき」の登場能力を発生させる,ということです(第6版ルールによる逆転).  「Aが場に出たときにBする(When A comes into play B)」と書かれていた場合には,選択権はありません.Bが可能であれば,かならずそうして下さい.ただし,出来なかったとしてもなんらペナルティはありません.  「Aが場に出たときにBするか,Cする(When A comes into play B, or C)」と書かれている場合には,Bを行うことが可能であっても,Bをしないことによって,Cをすることを受け入れることも出来ます.  いずれの場合にせよ,Aが実行できないときにそのパーマネントを場に出すことが可能です.  6−3.レジェンド/伝説の○○(legend/legendary)  同じ名前のレジェンドが場にでた場合,あとからでた方がすぐさま生け贄にされます.同時にでた場合には,両方とも生け贄にされます.  別の名前であれば,問題はありません.  「レジェンドの召喚」「伝説の土地」「伝説のアーティファクト」などがこのルールに従います.  6−4.カウンター(counter(名詞))  「打ち消す」意味のカウンターと,パーマネントなどに与えられた変化などを示す「カウンター」は区別されます.  カウンターには,「毒カウンター」など名前を持つものと,「+1/+1カウンター」など,名前を持たないものがあります.  名前を持つものは,同じ名前のものであれば,互いに交換可能です.同じものとして扱われます.  名前を持たないものは,同じ値の修正を加えるものの間では交換可能です.  土地などに「+1/+1カウンター」などが載ることは可能です.それは,土地が土地である間はなんら意味をもちませんが,クリーチャになった場合には,すぐさま効果を発揮できるようになります. 7.クリーチャの諸ルール  7−1.タフネス(toughness)とパワー(power)とダメージ(damage)  クリーチャはすべて,固有のパワー/タフネスを持っています.これは,カードの右下に書かれています.パワーかタフネスが「*」である場合,文書中にその決定方法が書かれています.クリーチャ以外のパーマネントをクリーチャにするような呪文/能力があった場合には,その呪文/能力のカードテキストに書かれた値が,そのクリーチャの固有のパワー/タフネスとなります.  「パワー」とは,そのクリーチャが持つ攻撃力です.戦闘中に,このパワー分のダメージを,相手プレイヤーか,防御クリーチャに与えます.  「タフネス」とは,そのクリーチャの「最大HP」だと考えて下さい.「HP」ではありません.4点のタフネスを持つクリーチャに,2点と1点のダメージが与えられた場合,そのクリーチャは,1点のタフネスを持つクリーチャではなく,「3点のダメージを負った,タフネス4のクリーチャ」になります.  これらのダメージは,それぞれのターンの終了時に,(敵味方関係なく)すべて自動的に取り除かれます.  先ほどのクリーチャに,タフネスを-1するエンチャントなどがついた場合,「3点のダメージを負ったタフネス3のクリーチャ」になりますので,すぐさま死亡することになります.  また,タフネスが0になった時点で,そのクリーチャは破壊され墓地に行きます.このとき,再生することはできません(第6版ルールによる逆転).  マイナスのパワーを持つクリーチャをうけたとしても,ライフは回復しません.単純に「ダメージをうけなかったもの」として扱われます.  なにかで,「パワー」もしくは「タフネス」を参照する,とあった場合,カードの右下にある値ではなく,エンチャントなどの修正を加えた,現在の「パワー/タフネス」を参照します.  クリーチャは,自分のタフネス以上のダメージを受けることが可能です.  7−2.召喚酔い(summoning sickness)  自分のターンの最初から,続けて自分の支配のもとにないパーマネントは,「召喚酔い」という状態にあります.  ただし,実際に「召喚酔い」の影響を被るのは,クリーチャ(クリーチャとアーティファクトクリーチャ)だけです.それ以外の,土地,アーティファクト,エンチャントは「召喚酔い」の影響は受けません.  普通にクリーチャを召喚した場合,「召喚酔い」は呼んだターンと,相手のターン中続き,自分のターンに入ってからようやくその状態を抜け出します.  「召喚酔い」状態のクリーチャは,「タップ」を起動コストに含む能力を使用できず,攻撃に参加できません.「タップ」を含まない能力や,防御のためならば使用できます.  自分のターンをクリーチャ以外のパーマネントとして迎えたものが,そのターンの途中でクリーチャになったとしても,召喚酔い状態を抜け出していますので,攻撃やタップを起動コストに含む能力の使用が可能です.  (「速攻」能力の注意書きの記述がまずいため勘違いしやすいかもしれませんが)「召喚酔い」は,自分自身以外のものによってタップされることを禁じません.「〜をタップする:〜する」と書かれている場合などには,召喚酔い状態のクリーチャをタップすることによって,そのコストとすることができますし,何らかの効果によってタップされることは可能です.  ちなみに,第6版ルールからこの用語は正式なルールからとりのぞかれています(が,この簡易ルール集ではわかりやすさを優先するためにこの用語を用いています).  7−3.クリーチャの種類(creature type)  カード中央部,「クリーチャーXXX(Creature - XXX)」あるいは「アーティファクトクリーチャーXXX(Artifact Creature - XXX)」と書かれたものか,カードテキスト中に「XXX として扱う(Count as XXX)」と書かれたものが,そのクリーチャの種類です.  「アーティファクトクリーチャ」や「アーティファクト」「土地」は,クリーチャの種類ではありません.それらがクリーチャになったとしても,クリーチャの種類をもちません.「XXX として扱う」などと,カードテキストにかかれているのであれば別です.  「XXX として扱う」という記述は例外的に,墓地やライブラリなど,場に無い場合でも効果を発揮します.  「赤クリーチャである」「飛行クリーチャである」などは,「クリーチャの種類」として認識されません.  複数のクリーチャの種類を同時に持つことができます.レジェンドであり,かつエルフである,ということも可能です.  7−4.壁(wall)(00/6/9)  「壁の召喚(Summon Wall)」および「壁として扱う(Count as wall)」と書かれたクリーチャは,壁です.攻撃することができません(例外あり).  壁もやはり「クリーチャ」として勘定されます.クリーチャを対象にしたり影響を与える呪文/能力やエンチャントは,すべて普通に効果を現します.  「壁」である,というクリーチャの種類を獲得したクリーチャは,やはり攻撃に参加することができません(00/6/9).  7−5.先制攻撃(first strike)(01/2/14)  戦闘ダメージステップに,先制攻撃を持たないクリーチャよりも先に,先制攻撃の能力を持つクリーチャはダメージをあたえることができます.その時点で防御クリーチャが死亡した場合,このクリーチャはダメージを負うことはありません.  この能力は,攻撃時にも防御時にもはたらきます.  戦闘ダメージステップの開始時に,この能力を持つクリーチャが戦闘に参加していた場合には,特別に先制攻撃を持つクリーチャ専用の戦闘ダメージステップが発生します.  まず戦闘ダメージステップに入った段階で,先制攻撃を持たないクリーチャがダメージを与えられない,という一点を除いては,普通とまったく同じように戦闘ダメージステップが発生します.このときスタックに載せて呪文や能力を使うことも,通常通りまったく問題はありません.  この戦闘ダメージステップが完全に解決された後,先制攻撃を持たないクリーチャによる戦闘ダメージステップが解決されます.  先制攻撃を持つクリーチャの戦闘ダメージステップ中に,先制攻撃を持たないクリーチャに対して先制攻撃を与えた場合,続く通常の戦闘ダメージステップ中にきちんとダメージを与えます.  ダメージを与えない,という奇妙な現象は生じません.  「先制攻撃を持つかどうか」というのは,先制攻撃の戦闘ダメージステップの開始時にチェックされます.それ以降の時点ではチェックされません(01/2/14).  7−6.飛行(flying)  飛行を持つクリーチャを,飛行を持たないクリーチャで防御することはできません(例外あり).  飛行を持つクリーチャは,飛行を持たないクリーチャを防御することができます(例外あり).  7−7.渡り(landwalk)  防御側が,それの土地を1枚でも支配していた場合,その土地を渡ってやってくるクリーチャを防御することは不可能です.  たとえ,おなじ渡りの能力を持つクリーチャがいたとしても,です.  この能力は,防御時にはボーナスを与えません.  7−8.プロテクション(防護)(protection)(00/10/22)  プロテクションは,以下の4つの部分から成る能力です. 1)その属性をもつ呪文や,その属性を持つ発生源からの能力の『対象』にならない(00/6/9). 2)その属性を持つダメージは,自動的に0に軽減される. 3)その属性をもつクリーチャには防御されない. 4)その属性を持つエンチャントを付けることができない(99/10/11).  「すべて」に影響をもたらす呪文/能力や,対象を持たない呪文/能力の場合,その属性のプロテクションを持っていたとしても,その影響を受けます.ただし,「すべて」にダメージを与えるような呪文/能力の場合,2の能力によりダメージを受けません.  「場」以外の領域にクリーチャカードがある場合には,プロテクションは効果を発揮しません.たとえば,墓地からその色の呪文/能力によって場に出されることもあり得ます.  なお,第6版の日本語のルールブックにあるプロテクションに関する記述は誤りです.この能力はただ単に「対象にならない」という効果を与えるだけであり呪文の影響を無効化したりしません.  能力の場合,発生源となるカードの属性だけを確認します.起動コストなどの属性を確認しません.たとえば,起動コストに赤マナが必要な緑クリーチャの能力は,プロテクション(赤)のクリーチャを対象に取れるということです(00/10/22).  呪文/能力の解決時点での,発生源の属性を確認します.それがスタックに積まれた時点の属性を調べません.たとえば「すべてのクリーチャにダメージを与える」という能力を持った黒いクリーチャとプロテクション(赤)のクリーチャがいるとき,能力発動後に前者のクリーチャの色を赤に変えた場合,プロテクション(赤)は後者のクリーチャをダメージから守ります(00/10/22).  7−9.トランプル(trample)  通常,クリーチャによって防御された攻撃クリーチャはプレイヤーにダメージを与えることができませんが,トランプルを持つクリーチャの場合にはダメージを与えることが可能です.  トランプルを持つクリーチャが,クリーチャによって防御されなかった場合,及び防御したクリーチャがすべて戦闘ダメージステップよりも早くに場や戦闘から取り除かれた場合には,そのままプレイヤーに対してダメージが与えられます.  トランプルを持つクリーチャが,クリーチャによって防御された場合には, 1.まず最初に,トランプルのダメージを対戦相手に与えるかどうかを選択します.  ダメージを与えないと決めた場合には,防御クリーチャの間で自由にダメージを与えることが可能です. 2.ダメージをプレイヤーに与えたい場合には,その致死ダメージ(そのクリーチャのタフネスから今までの累積ダメージを引いたもの)分のダメージを全ての防御クリーチャに与えなければなりません.その後で,残ったダメージをプレイヤーと防御クリーチャの間で自由に与えられます.  防御クリーチャの中に攻撃クリーチャの特性に相当するプロテクションを持つクリーチャや 「戦闘ダメージをうけることがない」能力を持つクリーチャがいたとしても,それは考慮されません.プロテクションによるダメージ軽減能力が発揮されるよりも前に,全てのダメージ分配を終わらせてしまいます.それは単純に,同じタフネスと累積ダメージを持つ普通のクリーチャと同様に扱われます.  言い換えると,プロテクションを持つクリーチャでトランプルクリーチャを防御した場合でも,プレイヤーにダメージは行くということです.  ただし,ダメージが与えられたあとには当然そのダメージは自動的に軽減されますので,そのクリーチャはダメージを実際に受けることもなく生き残ります.  7−10.再生(regenerate)(02/3/2)  これは,「墓場に行くこと」を防ぐ能力です.  この能力を使用すると,そのクリーチャの前に特殊な「盾」が発生します.これは,ターンが終了するか,そのクリーチャが破壊されるまで持続します.  この「盾」が存在する時点でクリーチャが死亡するに十分なダメージを受けたときか,「破壊(destroy)」とかかれた効果の及んだときにはそのクリーチャは再生し,そのクリーチャが受けていたダメージがすべて取り除かれ,何事もなかったかのようにそのまま(タップ状態で)場に残ります(02/3/2修正).  「墓地に行ったクリーチャを場に戻す」能力ではありませんので,墓場に行ってしまったあとでは,もはやこの能力を使用することはできません.  また,再生した場合には「場を離れた」「場に入った」とは見なしません.  再生の能力は,いつでも宣言することが可能です.その効果を受けたクリーチャがそのターン内に,クリーチャが死亡するのに十分なダメージを受けたときか,「破壊(destroy)」とかかれた効果の及んだときに,「死ななかった」ことになり,そのクリーチャが受けていたダメージがすべて取り除かれ,タップ状態でそのまま場に残ります.  1回の再生能力の使用は,1回の再生しかしません.2回以上再生したい場合には,2回以上再生能力を使用して下さい.  タップ状態でも再生できますが,再生をしたあとにはクリーチャは必ずタップ状態になります.  7−11.速攻(Haste)  速攻を持つクリーチャは,召喚酔いに影響されません.  場に出たそのターンに攻撃したり,タップをコストに含む能力を使用することが可能です.  7−12.呪文や能力の対象にならない  まれに,「呪文や能力の対象にならない」と書かれたクリーチャなどが存在します.  マジックにおいて「対象にとるかどうか」というのは,カードテキストに「対象(target)」という文字があるかどうかだけが判断基準となっていますので,テキストに「対象」の文字がない呪文や能力であれば,このクリーチャに対して影響を与えることが可能です.  個別エンチャントだけはこのルールの例外で,これはカードテキストに「対象」の文字は普通存在しませんが,それでもこれを呪文として唱えるときに,エンチャントするパーマネントを明確に対象にとります.このため,この能力を持つクリーチャに対して普通に個別エンチャントをつけることはできません.  ただしすでに場に出たエンチャントは対象を選択することがありませんので,すでにエンチャントのついたクリーチャがあとでこの能力を獲得した場合には,そのエンチャントが破壊されるようなことはありません.ただ単純に,そのあとにエンチャントをプレイしてつけることができないだけです.  エンチャント呪文をプレイする以外の方法で場にもたらしたりした場合には,この能力を持つクリーチャをエンチャントさせることが可能です.  「すべて/それぞれの(all/each)」という言葉がときどきテキスト中にでてきますが,「すべて」に影響を与えるカードは,普通「対象」を持ちません.この能力を持つクリーチャに影響を与えることが可能です.  この能力は(も),墓地や手札,スタックなどにある時点では効果を発揮しません.墓地にある「呪文や能力の対象にならない」カードを,墓地から拾ってくることや打ち消すことが可能であるということです.  7−13.Amplify/増幅(03/2/23)  この能力を持つクリーチャが場に出るとき,そのクリーチャと同一の種族を持つクリーチャカードを手札から対戦相手に見せることによって,そのクリーチャを増強する能力です. 見せたカード1枚につき,「増幅-」のあとに書かれた数値個数の+1/+1カウンターを獲得します. <処理>  どの場所から場に出た場合にも,カードを見せることができます.  これは,誘発型能力ではありません.カードが場に出す効果の一部として処理されます.  クリーチャが場に出たときあと,カウンターが載せられるまでの間に行動をおこすことはできません.  それはスタックにも載せられません.  カウンターが実際に乗せられる前には,状態起因効果もチェックしません.  たとえば「すべての場のクリーチャを-2/-2する」常在型能力があるとき,1/1の増幅1を持つクリーチャをプレイし,2枚のカードを見せた場合,そのクリーチャは墓地に置かれません. <見せる>  何枚見せるかは完全に自由です.手札にあるにも拘わらず,1枚も見せないことも可能です.  見せるのは必ず手札からです.「手札として扱う」場所から見せることはできません.  条件に該当しないカードを見せることはできません.(見せてもペナルティはありませんが,当然それによってカウンターを得ることはできません.  見せることが可能なのは,そのクリーチャのコントローラだけです.他のプレイヤーは見せることはできません.  このカード自身や,これと同時に場に出るほかのカードを見せることはできません.  増幅を持つクリーチャが2体同時に場に出た場合,同じカードを2回みせることが可能です. <クリーチャの種類>  見せるクリーチャカードは,そのクリーチャと同じクリーチャの種類を持っていなければなりません.  複数のクリーチャの種類を持つ場合,そのうち1つでもあっていれば条件を満たします.  たとえば「鳥・兵士」を出したときには, 「鳥」「兵士」「鳥・ウィザード」「鳥・兵士」「兵士・クレリック」「鳥・兵士・レジェンド」  のどれでも見せることができます.  見せたカードの枚数だけをカウントします.重複分をカウントしません.  増幅-1の「鳥・兵士」が場に出るときに「鳥・兵士」を1枚見せた場合,獲得できるのは+1/+1だけです.  そのクリーチャが呪文としてスタックがあるときに書き換えることによって,見せるクリーチャカードの種類を変えることができます.  場に出たあとに書き換えても,意味はありません. <そのほか>  仮にクリーチャが2つ増幅能力を持っていた場合,それらは別個のものとして扱います.  1回目に1枚を,2回目に2枚見せて3枚分の修正を得ることも可能です.  これをもつクリーチャがゲームから取り除かれた場合,カウンターはすべて取り除かれます.  また場に出ることがあったならば,再びカードを見せることができます.  7−14.Double Strike/二段攻撃(03/2/23)  先制攻撃のタイミングと,通常の戦闘ダメージのタイミングの両方で,ダメージを与える能力です.  この能力を持つクリーチャが戦闘に攻撃した場合,まず先制攻撃のタイミングで戦闘ダメージを与えます.  先制攻撃のダメージを処理したあと,この能力を持つクリーチャが場にある場合には,再び戦闘ダメージを与えます.通常,パワーの2倍のダメージを与えるということです.  先制攻撃と二段攻撃はまったく別の能力です.先制攻撃を取り除く効果は,二段攻撃を取り除きません.  二段攻撃を2つ,または先制攻撃と二段攻撃を重複して持つ場合,特に意味はありません.普通の二段攻撃として扱われます.  先制攻撃を持つクリーチャと,二段攻撃を持つクリーチャが1回目のダメージを与えるタイミングは完全に同一です.  二段攻撃とトランプルを同時に持つ2/1の攻撃クリーチャを2/3のクリーチャでブロックした場合,結果として通常1点のトランプルダメージがプレイヤーに与えられます. (このときブロッククリーチャが対応するプロテクションをもつような場合には,1点も与えられません)  二段攻撃の最初のダメージがスタックに載った後で,クリーチャの二段攻撃能力をなくした場合,通常の戦闘ダメージは与えません.  先制攻撃を持つクリーチャが先制攻撃のダメージを与えた後,通常の戦闘ダメージがスタックに載せられるよりも前にそのクリーチャに二段攻撃能力をつけた場合,それは通常の戦闘ダメージを与えます.  7−15.Provoke/挑発(03/2/23)  攻撃プレイヤー側がブロッククリーチャを指定する能力です.  これを持つクリーチャが攻撃したとき,そのクリーチャのコントローラが望むのであれば,これの能力がスタックに載せられます.その時点で防御側のプレイヤーがコントロールするクリーチャを1体対象に選択し,能力の解決時にアンタップします.  対象にされたクリーチャは,可能であればそれを対象に取ったクリーチャをブロックしなければなりません.  アンタップ状態のクリーチャも対象にできます.ブロックできないクリーチャも対象にできます.対象にされた以外のクリーチャもブロックに参加できます.  不可能であれば,ブロックしません.たとえばアンタップさせたあとにクリーチャをタップさせれば,ブロックは不可能ですのでブロックしません.ブロックするために(たとえ0マナであっても)コストが必要であれば,それを支払わないことによってブロックしないことが可能になります.  現在ブロック不可能で,なんらかの呪文/能力を使えばブロックできるようになる状況の場合,その呪文/能力を使うことは強制されません.飛行を持つブロッククリーチャが地上クリーチャを挑発した場合,地上クリーチャに飛行を持たせる呪文/能力がある場合でも,それを使用しなくてもかまわないということです.ただし,ブロックのためのコストを支払った場合には挑発したクリーチャをブロックしなければなりません.他のクリーチャをブロックすることはできません. 複数の挑発能力を持つ場合,その個数分のクリーチャを対象にできます.  クリーチャが対象に取ります.対象として不適正なものを選択できません.  1体のクリーチャが複数のクリーチャの挑発対象になった場合,どれをブロックするかは防御側プレイヤーが選択します. 付録.似ているが違う,間違えやすいルール. ・呪文(spell)と能力(ability)  「呪文」とは,手札(あるいは,「手札として扱われる」場所)にあるカードを,マナコストなどを支払って,使用することです.  「能力」とは,(カードに異なることが書かれていない限り)場にある場合にのみ使用できる,あるいは発揮されている能力のことです.マナコストではなく,起動コストなどの支払によって生じます.  この2つは,明確に区別されます. ・呪文(spell)とパーマネント(permanent)  「呪文」は上にあるように,手札などから使用されている,土地以外のカードのことを指します.  「パーマネント」とは,その呪文,あるいは能力によって場におかれた状態のカードを指します.(場以外の領域にあるカードは,パーマネントと認識されません)  場におかれたカードは,パーマネントであり,もはや呪文とはみなされません. ・カードを引く(draw)とカードを手に入れる(put into your hand)  どちらも,カードを手札に取る行為ですが,カードを引く場合には,カードが引けなかった場合にはそのままデュエルに敗北します.手に入れる場合には,カードを手札に入れられなくても,まったく問題はありません. ・土地をプレイする(play land)と土地を場に出す(put land card)  どちらも,土地を場におく行為ですが,土地をプレイするほうは,自分のメインフェイズにのみ,1ターンに1度しか行えません(例外あり).「土地を場に出す」のほうは,他の呪文/能力によって,土地カードを直接場におく行為です.これは,「土地のプレイは1ターン1回まで」の原則を無視します.  なんらかの効果により1ターンにプレイできる土地の枚数が増える場合がありますが,これは単純に土地のプレイの回数を増やすだけであり,プレイの仕方などをかえるわけではありません.やはり,相手のターンや自分のアップキープなどには土地をプレイすることはできません. ・土地のプレイと土地の能力のプレイ  「土地をプレイする」とは,自分のメインフェイズにのみ,自分の手札から1ターンに1度,なんらかの効果によってではなく場に土地をだすことです(例外あり).  「土地の能力をプレイする」とは,場にある土地の持つ,マナソースなどの能力を使用することを指します. ・ライフを失う/支払う(lose/pay life)とダメージを受ける  ダメージを受ける場合には,それを軽減できますが,支払ったり失ったりする場合には,それは不可能です. ・コストとしてのタップと効果としてのタップ  コストとしてタップを行う場合には,すでにタップ状態のものをタップさせることができません.効果としてタップさせる場合には,(「対象」という形で制限が入らない限り)タップ状態のものをタップさせようとすることは可能です.  アンタップでも同様です. ・所有者(owner)と支配者(controller)  カードの「所有者」とは,そのカードをデッキの中にいれて,対戦をはじめたプレイヤーのことをさします.変化することはありません(古いカードに例外あり).カードの「支配者」は基本的には「所有者」と同一ですが,そのあと呪文/能力によって変化することがありえます. ・森のカードと緑のカード  「森のカード」とは基本地形で,カード名が「森(Forest)」で,タップすると緑マナを出すカードのことを指します(過去に例外あり).  「緑のカード」とは,マナコストに,一部でも緑マナを含むカードのことを指します.  ほかの,「赤/山」「黒/沼」「青/島」「白/平地」でも同様です. ・召喚酔いとタップ  「召喚酔い」の影響下にあるクリーチャは,タップを起動コストに含む能力を使用できませんし,攻撃にも参加できません.これは,タップ状態のクリーチャと同じような条件ですので,この2つを混同する人もいます.  しかし,「召喚酔い」状態のクリーチャは防御できますし,外部の呪文/能力によってタップされることもあります.この両者を区別するようにして下さい. ・強制的なディスカードと強制的ではないディスカード  なんらかの「コスト」として行われるディスカードは,強制的ではありません.それ以外の,呪文/能力の効果として生じるディスカードは,必ず強制的なものです.  「どのカードを捨てるか」について,自分に選択権があったとしても,カードを捨てること自体は強制されたものとみなされます. ・マナコスト(mana cost)と点数で見たマナコスト(converted mana cost)  「マナコスト」は,色マナを含む,カードの右上にある数値そのものを指します.  「点数で見たマナコスト」は,色マナを1とした合計数と灰色の数字を足した,マナコストの総マナ数を指します.  Xが含まれる場合,唱えている最中はそれに費やした分のマナ数,場や墓地にある場合には0,と数えます. ・ターン終了時までとターン終了時に(99/10/11)  第6版ルールにおいて,この2つはまったく異なる概念として扱われます.  テキストに「ターン終了時に」と書かれている場合,その能力はその次のターン終了ステップの開始時に自動的にスタックに載せられて解決します.  このとき「スタックに載せられるタイミング」というのは1ターンに1度しか発生しません.もしそのあとに「ターン終了時に」処理される能力が発生した場合には,その次のターンの終了に処理されることになります.  テキストに「ターン終了時まで」とある場合,その効果はクリンナップステップの最中まで続き,そしてスタックに載せられることなく「ただ終了します」.どうやっても,この効果を次のターンまで持ち越すことはできません.