風の十二方位-(Autumn 98' Issue掲載)

タニス・リー



夜話を紡ぎ出すブリテンのシェハラザード姫、
第二回はタニス・リーです。


Graphical Story Digest「平たい地球シリーズ」

(画像をクリックするとストーリーダイジェストをオリジナルグラフィックとともに紹介します。グラフィックは 800X600ドット・SVGAモニターのフルサイズウィンドウに最適化していますので、ウインドウサイズを調整下さい。)

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平たい地球シリーズ(ハヤカワFT45、86、89、121、122、140)
内容: 平たい地球を舞台とした、妖魔と人との夜と黎明の物語。昔語りのような擬古調の文体を使って、闇の残酷さに満ち溢れる物語が次々と繰り広げられて行きます。

(内容はストーリーダイジェストをご覧ください。)

寸評: 千夜一夜物語に引き比べられる圧倒的な物語性。登場人物達は己が運命のまま、夜の物語を一つ、また一つと紡ぎだしていきます。物語は次の物語を生み続けます、やがてくる黎明まで、、、
この物語性こそファンタシーの真髄と言うべきものでしょう。そして、登場する妖魔の王、人間達も、役割としての運命を演じきって、苦悩しながらも気高さを失いません(ぐじぐじと悩むだけの内面告白が何ページも続く某国産大河ヒロイックファンタシーとは大違い(^_^!))。事実(Fact)としての人間を追い求め続けるノンフィクションや自然派小説に対して、「人間にとっての真実(Truth)は物語の中にあるのだ」というファンタシーの存在意義を見事に示した、純正ファンタシーの傑作です。

真説キャラクター紹介

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幻魔の虜囚(ハヤカワFT51)
内容: 愛のファンタシー作家タニス・リーを決定づけた記念碑的作品。

_ 「奴隷娘シャイナ。攫われて奴隷に落ちた身でありながら、彼女は運命に対して誇りを失わなかった。しかし、彼女は恋に落ちた。想った相手は旅芸人の一座の黒髪の王子、そして恐るべき黒き魔術師ヴォルクハヴァールの人形。
_ 昂然と一人で生きてきたシャイナが初めて頼ったのは、村外れに住む魔女であった。魔女はヴァルクハヴァールによって魂を奪われた黒髪の王子ダジエルの事を語り、取り引きを持ち掛けた。ダジエルを奪い返す手段と彼女の血の一部、、、
_ 愛に捉えられたシャイナの旅が始まる。
_ シャイナの愛とヴォルクの憎しみが繰り広げる双面の神を巡っての戦い。
_ そして、その果てに待っていたのはシャイな自身も思いもよらぬ運命であった。」

寸評: _ 愛のファンタシー作家タニス・リーを決定づけた記念碑的作品。
_ 時として、初期の作品にその後の作者が展開させていくものがぎゅっと詰め込まれている胚芽のような作品ががあります。この作品もそんな作品です。ここで示されたテーマ「人の魂こそ魔術師にして神秘、そしてその魂を導くものは愛。」、これこそ、その後のリーの作品を一貫して流れる響きとなりました。 そして、この言葉の裏返しとして提示されている「あらゆる神神は人の祈り(恐れ)の影にすぎない」というテーゼこそ凡百の幻想作家からリーを際立たせているポイントです。
_ 作品に戻ってみましょう。物語は黒髪の美青年ダジエルへのシャイナの恋から始まります。そしてシャイナはダジエルを開放するために魔術師ヴォルクハヴァールと対決することを決意します。
_ そして、まるで舞台劇のようなクライマックス。
_ ヒロイン・シャイナは愛の神ソヴァントヴァジナット、敵役・ヴォルクは恐怖の神タカーナの名において魔術をふるい争います。しかし、この二つの名を持つ神は本当は一つの神であり、真の闘争はシャイナの「愛」とヴォルクハヴァールの「憎しみ」との争いであったのです。そこでは神は、その二人の命をかけた祈りが形を取るための触媒にすぎません。人の想いが持つ強さこそ魔法であり、故にこそ魂は魔術師なのです。それはシャイナの祈りと魔法がヴォルクを打ち負かした時、今まで黒き神タカーナであった神像が白き神に変身することに良く現れています。白と黒、光と影、そして愛と憎しみ。この作品はそんな劇的な視覚効果がふんだんに使われていて、まるで壮大な劇場でのオペラを見るようです。
_ ただし解説にもありましたが、キャラクターが類型的すぎるという見方はあるでしょう。特にヒロインシャイナは、普通の基準からすれば充分ひねりが入っているものの、リーのキャラクターとしてはややいい子ちゃんという感じがするのは事実です。その辺は好みの問題ですが、私にはこのテーマをさらに肉付けするために、平たい地球がかかれたような気がします。なぜなら、やはりそのクライマックスで黒き神アズュラーンは白き娘アズュリアズによって闇から光へ、恐怖から愛へその姿を変えられてしまうのですから。 _ /Next _ /Top 
タマスターラ(ハヤカワFT96)
内容: インドを舞台とした幻想連作短編集
「ナーガ(龍)の都」:インドの強烈な光の中で、繊細なイギリス人の少年デイビットは脅えてくらしたいた。しかし、そこにアグニーニと名乗る美しい女が現れたことで、彼のインド神話への旅が始まる。英雄としての生を体験した少年に何が起こるのか。

「炎の虎」:濃密なジャングルの中、ペターサンは虎に引き裂かれたように殺されていた。その小屋に残された謎の詩をたどって彼の死の謎を追い続けた「私」の前に現れたのは、一対の光る目を持った燃える霊虚の姿であった。最後の詩の真の意味とは。

「タマスターラ」:暴虐なテロリストルナールと、密林に不時着した彼の前に現れた謎の娘タマスターラ。仲間からの処刑によって彼の最後が迫る。彼にしか見えないその娘と彼との真の関係が見出されたのは、その死の瞬間であった。タマスターラ、暗黒の星、魂に刻まれた影、、、
他四編

寸評: _ インドの熱く湿った夜。その夜を舞台にリーの夜話が繰り広げられて行きます。
「ナーガ(龍)の都」:何もかも溶かし尽くすようなインドの暑さの中、繊細な北国の少年デイビットはいつもその居場所を探していました。そこに現れた成熟した美しい女(ひと)アグニーニ。彼女に導かれて少年は神話世界の冒険に旅立ちます、類まれなる英雄として、、、なさずに終わる中でありながら、この二人の関係には濃厚なエロティシズムが漂い、そしてインド神話のディーバとアスラの戦いの世界を蘇らせた佳作です。

「炎の虎」:一人の男が死に際に残した謎に満ちた詩。「私」はその謎に強く引きつけられて密林の夜を歩き、ついにはその森の霊に出会ってしまいます。同じインドの密林でもジャングルではなくデカン高原辺りが舞台でしょうか。その静まり返った木々がもつ霊的な雰囲気が全編に溢れ、詩に隠された謎を追うというミステリー的な緊張感も感じさせてくれる一作。

「タマスターラ」:タマスターラ、暗黒の星。それを作品ではこう説かれています。あまりにも強い光を見た時に目に残る残像の影、見ることのできなくなった黒い点。もし、これが肉体でなく魂に起こったとしたら、魂は自分でも見えないその影を背負って幾つもの生をわたっていくことになります。その影が結び付けた、男と女。これも一つの恋物語なのでしょうか。 _ /Next _ /Top 

冬物語(ハヤカワ文庫FT43)
内容: 追うものと追われるもの。リーの語りが堪能できる1対の佳作による中編集。

_ 「冬物語」:海辺の巫女オアイーヴ。産みの響きのする名前を持った少女は、聖なる骨を納めた祭壇に仕えていた。満ち足りた祈りの日々に突然訪れた灰色の髪をした男グレイ。彼はオアイーヴにも優る魔法の力によって聖なる骨を盗み出した。暖かい日々に訪れた突然の隙間風のような男の訪れ、それはオアイーヴを旅へと駆り出した、聖なる骨を取り戻すために、、、オアイーヴを待ち受ける魔法と時が織り成すゲーム。そのゲームの果てにオアイーヴが選択した運命とは。

_ 「アヴィリスの妖盃」:アヴィリスは陥落した。その火と瓦礫の中で傭兵ハヴォルに見出された盃は金色に輝き妖しい宝玉の光に満ちていた。それを奪い去った三人の男達。しかしその内二人までは、すでに夢の中で訪れる亡霊の呪いにより無残な死に様を遂げた。残るハヴォルの逃亡のたびが続く。怪しげな色彩に満ちた世界。ハヴォルの逃亡の旅に終わりは来るのか。

寸評:
「冬物語」
_ 満ち足りた祈りに日々に訪れる突然の運命。ジュブナイルとして発表されたこの作品は、魔法に満ちた少女時代から目覚めというジュブナイルらしいテーマを持っています。しかし、リーの語りの織り成す世界は、そのテーマをありきたりの成長物語から美しいファンタシーの小品に変えてしまいました。リーの語りは、少女が選び取った世界を、色彩の鮮やかな対比によって描き出しています。それは、巫女として孤独に生きるオアイーヴの世界が冬の白で満たされているのに対して、最後に女としての運命を選び取ったオアイーブの世界が色彩、特に瑞々しい青に満たされていることに最も良く現れています。この物語一応ハッピーエンドですが、そこはタニス・リーなかなかひねりの効いたどんでん返し待っています。

「アヴィリスの妖盃」
_ ホラーです(^_^)。呪われた盃に触れて逃亡を続ける男達。なかなか姿を見せない影に潜む敵。そして、仲間は次々に惨殺されていく。見事にホラーのお約束のストーリーでありながら、リーに語らせればこれほどまでに妖しい色彩に満ちた物語となりました。陥落する都アヴィリスの黄金の炎と闇の黒、妖盃と亡霊達が見せる緑や赤の光がきらめく世界。そして、この物語は「冬物語」を裏返すように、雪の白い世界につつまれることによって浄化されて行きます。
_ まあ、最後の結末は少し「リー様それはあまりに都合が良いのでは」という部分もありますが、やはり、少年少女にはハッピーエンドは必要なのでしょう。 _ /Next _ /Top 

銀色の恋人(ハヤカワ文庫SF725)
内容: 近未来を舞台としたタニス・リー流のピュアなラブストーリー
_ 「銀色の肌、赤い髪をしたシルバー、彼は鮮やかに少女ジェーンの前に現れた。そして少女はシルバーに恋をする。しかし彼は人間のコンパニオンとして開発された、ロボットであった。彼の魂の存在を信じる少女は、シルバーに愛を語り続ける。時に優しく、時にエゴイスティックに。ナルチシズムを乗り越えて少女が彼への愛を確かめた時、奇跡は起きる。タニス・リーの描く狂気に満ちたそしてあまりにもピュアーなラブストーリー。」
寸評:ファンタシーと物語(春号より再録) 我々の心はどこにあるのでしょう。幾兆もの脳の細胞のインパルスの中でしょうか。もしそうなら、エレクトロニクスのインパルスを体に収めたロボットが心を持つのは不可能なのでしょうか。

_ シルヴァー・イオナイズド・自動制御・人間型・エレクトロニックロボット:「シルヴァー」。彼に恋した少女ジェーンは彼を愛し続けることで、シルヴァーが彼女を愛せることを証明してしまいます。そう、すなわち彼に心があることを、、、

_ アンドロイド、近未来都市といった設定にもかかわらず、この作品には物語の魔法が満ち満ちています。「アヴァロンの霧」とは裏返しの意味でこの作品は完璧にファンタシーなのです。ヒロイン・ジェーンはシルヴァーへの愛の物語を信じきっています。時に見せる彼のロボットとしての反応に、真剣に怒り残酷に彼を傷つけるほどに。そこには理性による妥協はありません。しかしも、仮にももない、この物語(運命)に対する圧倒的ピュアさこそがファンタシーの本質です。

_ また、この物語は少女ジェーンの成長の物語でもあります。シルヴァーが愛することをおぼえ人間になっていくにつれて、少女ジェーンも他人を愛することをおぼえて大人になっていきます。その事は、巻頭にジェーンが母親の可愛がられたお人形として、まったく未発達の自我をもって登場することに予告されています。

_ 未発達の自我で恋をしたジェーンの愛は、最初ナルチシズム(自己愛)の裏返しにすぎません。その事がナルチシズムの変形である人形愛と重なって妖しく描かれています。自分にとっては真摯な愛でも、ナルチシズムから来る愛は、自分と異なる愛の形を許しません。何故なら他者は他者でなく自分の影にすぎないのですから。そんな子どもの愛は非常に残酷なもので、最初ジェーンは、シルヴァーのロボットとして反応に対して激しくシルヴァーを罵倒し、傷つけようとします。その度にシルヴァーは言います。「私をありのまま受け入れて下さい。」そう、自分の思い通りにならない他者の心の存在を受け入れること、これこそが自我を成長させ、真の統一した自己になる第一歩なのです。 
_ 逆に奉仕するものとして生まれたシルヴァーには、このナルチシズムがすっぽりと欠け落ちています。このナルチシズムがないかぎり、悲しみに血を流し、恐怖をおぼえ、溢れる喜びを知る真の心を手に入れることができません。なぜなら、自己愛がないかぎり自分のために生きることができないのですから。

_ 二人はお互いの心の欠けた部分同士であったのです。

_ そして、ジェーンがシルヴァーのありのままを受け入れて愛した時、シルヴァーも自分の中で生き生きとジェーンを愛する自分を発見するのです。そうした愛の絆を持った二人は、さらに外の世界の人間へと心を開いていきます。

_ この上なく幸せな二人、、、

_ そして訪れる悲劇、、、

_ もうこの先は申しますまい。その悲劇の果てに見る新たな奇跡、このラストシーンが名作「アルジャーノンに花束を」に匹敵するものであることは保証します。

_ 読み取ろうとすれば、この物語は幾つものメタファーで満ちています。シルヴァーは、統一した自我を持たずばらばらの感情(機能)を持って生まれてくる人間の象徴であり、また創作者が命を吹き込もうとする創造物のメタファーでもあります。しかし、そうしたメタファーに還元されることをこばむ強烈な物語がこの作品にはあります。

_ 様々な狂気に満ちていても、これはシルヴァーとジェーンの稀有のラブストーリーなのです。 _ /Next _ /Top 

ゴルゴン・幻獣夜話 (ハヤカワ文庫FT217)

内容: 幻獣をテーマにファンタシー、SciFi、ホラーと広いジャンルの幻想ストーリーを集めた短編集
_ 表題作ゴルゴン:「エーゲ海が洗うギリシアの島々。しかし、沖に離れた緑の孤島については誰も語りたがらない。そんな謎に引かれた作家は驚くべき話を耳にする。その島にはゴルゴン(メデューサ)がいるというのだ。作家はその謎を追うべく誰一人近づかないその島に渡る。そしてその作家が目にしたのは一人の女性の姿...日常の世界に待ち受ける残酷な運命という名の恐怖を描いたホラー」

寸評:
 ちょっとこんな想像をしてみてください。
月夜、テーブルの上にはランプの明かり、そしてワイン。ソファーにもたれたリーが、あの猫のような瞳であなたを見つめながら語る物語。次々と物語は紡ぎ出されていきます、時には恐ろしく、時には皮肉な結末に満ちた、そして時には悲劇の愛がきらめく話の数々。「こんな話はどうかしら...」そんな声が聞こえそうな夜話を集めた作品集です。

  表題作「ゴルゴン」は、ホラー作家リーの真骨頂。何一つ超自然の存在が姿をあらわさないのにもかかわらず、そこに運命という名の残酷さが世界を支配しています。まるで、何気なく語られる、おとぎ話の残酷さの前に立ち尽くした時のように...

  「マグリットの秘密情報員」は、ほんの時たまこの世界に姿を見せる異世界、そして異形のものに魅せられた女の話。リーにしては珍しい等身大のこのヒロインは、リーにダブって見えて、まるでリーその人から自らの神秘体験を語られているようです。

  「白の王妃」は白と黒の対比の鮮やかな世界に語られる悲劇の愛。白の世界に閉じ込められた白い王妃に訪れる黒い影、愛と残酷、そして開放...清浄な世界の中淡々と流れる時と迎えるドラマチックな結末がモノクロームの世界に展開されていきます。

  その他、佳作のSciFiショートショートやコメディータッチの作品などリーのストーリーテリングが楽しめる短編集です。 /Next _ /Top 

その他の作品
「血のごとく赤く」(ハヤカワ文庫FT234) 
_ グリマー姉妹による闇の童話集。お馴染みの昔語り、「ハーメルンの笛吹き」、「赤頭巾」、「美女と野獣」がリーの手によって妖しく美しく蘇る。リーの語る闇と悪に満ちた世界に、忘れられていた昔語りの真の姿が一つ、また一つと現れていく。
「黄金の魔獣」(ハヤカワ文庫FT224) 
_ インドからイギリスへ、退廃と美と血に満ちた人狼ストーリー。 どこか、アン・ライスのインタヴュー・ウィズ・ヴァンパイアを思い出させるような、旧世紀のエレガントさに満ちています。(いつもどおり超絶美形キャラが闊歩するリー作品ですが、主人公のダニエルとその敵ハイペリオンの関係は、敵対するが故に愛よりも深い絆に結ばれていて、やXいファンが喜びそうな雰囲気が濃厚(^_^))。
「闇の城」 (ハヤカワ文庫FT53)
_ 荒れ果てた丘の上に立つ闇の城。その中で養われかつ閉じ込められた少女リルーン。真の竪琴弾きであり呪歌歌いでもあるリアは、その城の呼び声に引き付けられてリルーンを助け出します。しかし、リルーンにはかつてその城を悪に染めた邪悪な力が潜んでいたのです。
_ ちょっとダークなジュブナイルファンタシー。囚われのわがままなお姫様と世慣れた竪琴弾きというまあ、リーとしては比較的お約束的なストーリー展開ですが、その闇の描写はストーリーに充分精彩を与えています。
「白馬の王子」 (ハヤカワ文庫FT48)
ストーリー: 荒野を行く白馬の王子、待ち受けるは巨大な真鍮の龍、魔物、妖術使い。そして、王子には使命を果たすという燃えるような決意が...無かった!? 記憶をすっかり無くして愚痴をこぼしまくる王子と、彼を支えるしゃべる馬のコンビ繰り広げるラプソディー。この最悪の無気力コンビは、ファンタシーランドを救えるのか。ブリテンのシェハラザード姫、タニス・リーが放つ、面白うてやがて悲しきユーモアファンタシー。

コメント: もし、あなたがファンタシーファンを自認し、数多くのファンタシーを読んでいるなら、この本は是非ともお勧めです。恐らくあちらこちらに「にやり」とさせられるような、いわゆるファンタシーをおちょくったシーンを見つけ出すと思います。この無気力王子の「やってられないよ」というつぶやきとともに... 
 しかし、さすがはタニス・リーそれだけでは終わらせません。「ジュウェルスター!」のときの声が響くクライマックスでは、ファンタシーファンなら誰でもこの王子愛さずにはいられないような結末が待っています。
「月と太陽の魔導師」 (ハヤカワ文庫FT42)
_ (未読) 
「死霊の都」 (ハヤカワ文庫FT50)
_ 森には死人が現れる。それに触れた人間は悪に染まる。閉鎖された村に住む少年ショーンは森の闇の中に置き去りにされた。彼が触れた死人、鴉の一族とは。ショーンは村を追放され死人の都を目指す。死人の王と対峙するために...
 どちらかと言えば
エピックファンタシー、最終章のタイトルが「王の帰還」ですからねえ。リー様としてはこういうのも書けるんだぞということが言いたかったのかなという程度の出来でしょうか。特に珍しくヒロインが類型的で、あまり魅力的とは言えないですね。ショーンは元気で良いですけれど。
「影に歌えば」(ハヤカワ文庫FT83) 
_ (未読) 

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