第四巻「熱夢の女王」
(妖魔・精霊)
アズュリアズ(ソーヴァズ、アトメ)
解説: アズュラーンとドウニゼルの娘。魔術師ソーヴァズとしてチャズとの恋に生き、妖魔アズュリアズとして世界を血に染める。そして永生を投げ捨てた人間の女アトメとして、魂の永遠を得た。
闇と月光の娘アズリアズは、アズュラーンの復讐の願いより生まれ、その復讐に秘めた真のアズュラーンの望みをかなえたのであった。
平たい地球の朝に、アズュラーンがその悪を脱ぎ捨てるという、、、
コメント: タニス・リーが生んだ数々のヒロインの中でも、最も美しくデーモニッシュで、そして最も可憐なヒロイン、アズュリアズ。彼女の闇に潜む残酷な微笑と、その裏にあって愛を求める小さな娘の心。アズュラーンは、かつて生まれてくるアズュリアズをドウニゼルにこう語った。

「外見はそなただが、子の本性は闇の君の一人。夜の公子にして妖魔の王アズュラーンが女と化したものだ。」

アズュリアズこそ、アズュラーンの真の願いが、ほうき星より天空の精を受け、人の子より永遠の魂を授かり、子宮の中で人の形として生まれたものであった。
豪華な悪を身に纏って女神として君臨したアズュリアズ。彼女は世界の果ての混沌によってその悪を剥ぎ取られ、幼子ソーヴェとして生まれ変わる。目覚めたソーヴェのアズュリアズが、父に見捨てられた子供として泣くシーンは、何度読んでも切なさがあふれる。
そして、時を経たアトメのアズュリアズが今度は父アズュラーンをかき抱き、こう囁くシーンも。

「お言葉の一つ一つが涙でございましたよ。」

彼女は父アズュラーンの願いよりいでて、最後にその父と一つになった
ヴァシト
解説: ヴァズドルーの姫君にして、アズュラーンのかつての愛妾。アズュラーンの怒りにより塵と化し、その想いが蝶と化してドルーヒムヴァナーシュタを舞う。
コメント: 愛する男に見捨てられた悲しい女の想いが、蝶と化して舞うというと、あしべゆうほ氏「ディモスの花嫁」のヴィーナスを思い出してしますな。でも踏みつけられちゃうなんて、、、、合掌
リリウ
解説: 食人鬼の姫。人間の男ジャドリードに嫁いで子種を得、子を生すも、夫に見破られ殺される。
コメント: 旧約聖書の最初の女吸血鬼リリスがモデルだそう。しかし、アズュリアズによって封じ込められ、不死の体の食人鬼達が互いを食い合う姿というのなかなか凄惨な情景
ケシュメト
解説: 四番目の闇の君は運命の君ケシュメト。柑子色のぼろを纏った乞食姿で人々に宿命を運ぶ。アズュリアズに天使の来訪の宿命を、ダッタンジャには己が全うすべき一人のまったき人間としての道を伝えた。
コメント: 襤褸を纏った乞食といういかにも宿命の使者という感じのケシュメト王
メルカール
解説: 最後に太陽より生まれた天使(マルキーム)。純白に輝くその姿で、アズュラーンその人と一騎打ちをした後、山の頂に結晶化して永遠にひざまずく。
コメント: 末弟にして最も力のある天使メルカール。頂に永遠い凍り付いたその姿は、戦闘機械として生まれた寂しさを全身に漂わせている
ヤヴァエル
解説: 2番目に太陽より生れたマルキーム。銅色に燃えるその姿でアズュリアズを追い、混沌に飲み込まれて燃える海のほうき星と化した。
コメント: 最も悲惨な運命。ただ何者かを倒すという使命以外の全てを忘れて、燃えさかる火の玉として海を巡る。目の前のものを抹殺しながら渡り歩くというはた迷惑な存在。ほとんど人類補完機構シリーズ第六ドイツ帝国の戦闘機械!「ドイツ語を正しい発音でしゃべってみろ」「できませーん」「滅殺!」
エヴリエル
解説: 最初に太陽より生れし天使。金色に染まったこの天使は、アズュリアズの行く末を監視しアズュリアズとの一騎打ちの中、彼女が魔性を脱ぎ捨てたことを見届けていずこかへ消え去る。
コメント: 真の永遠の魂に目覚めたアズュリアズの神秘。それに触れた者は、例え天使マルキームと言えども変わらずにはいられないのか。戦闘機械として生まれたマルキームにも愛は生まれるのか。
でもエヴリエル君、足の裏が汚れてるかどうか見るようになるまで落ちると、天使力が落ちちゃうぜ。某ラファエルのように(^_^)
ハズロンド
解説: アズュラーンについで美しいと言われたドルーヒムヴァナーシュタのヴァズドルーの公達。アズュラーンがメルカールとの戦いにより傷ついた際に、ドルーヒムヴァナーシュタをアズュラーンより簒奪しする。
コメント: でました。超ど級の愛の形。アズュラーンさまからの都の簒奪という暴挙!愛されないのなら愛したものの全てを奪い、そして愛したものの手滅ぼされたい、、、、ああなんて破滅的。さすが愛のファンタシー作家タニス・リー(こればっかだな)。そう言えば前出の妖魔漫画でこういう奴が出てきてたね。)
(人間)
ラク
解説: 力を持つ黒き魔術師。しかし、オルローであるチャズにたばかられ、彼をドルーヒムヴァナーシュタに運ぶ役目を負わされて、妖魔の猟犬達によって引き裂かれる。
コメント: やっぱり触らぬ妖魔に祟りなし。しかしこいつの場合、むやみに処女狩りをするという某ヴァンパイア伯爵のような悪癖があったので自業自得かも
オルロー
解説: 美しき若者にして魔術師ラクの従者、オルロー。しかし、それは狂気の君チャズがアズュラーンの追手を逃れるためにまとった仮の姿であった。そして術の強さによって自らがチャズであることも半ば忘れて、アズュリアズとの恋の日々を過ごす。アズュラーンの手がそこに届くまで。
コメント: チャズ様ったら見栄っ張り。やはり化ける時は美しいほうが良いのね。でも実はオリジナルのオルロー君がいるのですが、彼は森の中でチャズ様を見てしまった後、いったいどこに行ったんだろう?リー様もしかして忘れちゃったんですか
ジャドリード
解説: シュドムの裕福な商家の息子。旅で見初めたリリウと結婚するが、その彼女は食人鬼であった。影を切り取り妻を封じ込めるも、生まれた息子を殺せず結局食人鬼達の下僕となる。
コメント: 「ごく普通の家庭、ごく普通の奥様(でもないか)、でも奥様は食人鬼だったのです。」
すみません。また、しょうもないネタをふりました。反省、、、
ダタンジャ(ジレム、ジレク)
解説: かつてジレクと呼ばれ、強大で冷酷な魔術師であった男。しかし、彼の不死身さは、彼を幾つもの歳月の先に立たせた。全ての悪を洗い流し、再び生を学びはじめたダタンジャとして。彼は混沌より吐き出され、幼子となったアズュリアズを拾い、養い子として育てる。そして、二人は限り在る生の中にある喜びを学んだのであった。
コメント: そりゃあいきなり身に覚えもないのに、18の娘にパパと呼ばれては、彼でなくても狼狽するわな。すっかり悪を洗い流して、さっぱりとしたメシアとして復活したダタンジャことジレム君。無垢になったアズュリアズを育てるなど、結構美味しいところをさらっていってます。でも、最後にシミュに会えて良かったね
タヴィール
解説: 海の都ティルゾジュムの公達。アズュリアズと共に都を落ちて、シミュラッドに赴くが、前世の生であったタブロシャラクにたぶらかされて、魂を奪われる。
コメント: アズュリアズの愛人No2。不死人にして海の魔法を使う強大な魔術師にしても、アズュリアズ嬢を満足させることはできなかったのであった。え、なにをって(*^_^*)
タヴロシャラク
解説: シミュラッドに住んだ魔術師。タヴィールの魂を奪い珊瑚の牢獄から脱出し、ダタンジャ、アズュリアズとともに旅をする。
コメント: 魂をタヴィールに奪還された後に残った、未来永劫愚痴を言い続ける体っていうのも面白いやね。先ごろ引退した某野球監督座ってたりするすると恐いかも(と書いたらまた監督に復帰してしまった)
キーラス
解説: 死の侍女カザフェに仕える魔女。
コメント: いや、コギャル・カザフェも出世したものだ。でもキーラスって他にどこに登場してたっけ?