シジュウカラの子育て 観察日記           
5年間庭にあっても誰も見向きもしてくれなかった古い巣箱。
 掃除して、釘を打ち直して、かける場所と角度と向きを変えてみたら…
 よく庭にやってきていたシジュウカラのペアが子育て用の家に決めて くれた様子です。
 無事に卵を産んで雛が巣立つまで、邪魔をしないようにと観察した記録です。
第1週

4月19日〜

 

 

巣箱に入る

2〜3日前から巣箱を覗いたり、つついたりして点検していたシジュウカラのペアが、どうやら子育てルームとして、古い巣箱を選んでくれた様子。

雨の日にも少しずつ巣材を運び入れたりしていましたが、雨のあがった21日朝、本格的な巣作り開始。早朝から、コケや棕櫚の樹皮の繊維などを一生懸命に運び入れています。
巣材を運び込むのはメス。オスは必ず一緒に来て、巣箱のそばの枝で見張りをしています。時おり、おーい大丈夫か?というように巣箱を覗いたりもしています。
 夕方には動物の毛も運んできました。

こけが土台のようです

  ←棕櫚の繊維 何かの動物の毛 

今日も朝からせっせと巣材運び。

仕上げにはいったのか、今日はコケではなく犬(?)の毛を中心に運んできます。
そこで、我が家の犬の毛をプレゼントすることにしました。そのままだと風に飛んでしまうのでテニスボールにくっつけておきました。
ちゃんと運んでくれました。

 あとからわかったのですが、どうやらこの日
(22日)から一日ずつ順に卵を産み始めた様子です。
 犬の毛も、巣座としてでなく、卵の上にかぶせておくために使っていたようです。

第2週

4月24日〜

 

一番多いときには10分おきくらいに巣材を運んでいたのに、庭にやってくる間合いが長くなってきました。
 何か気に入らないことがあって放棄されちゃった?と心配すると夫婦でやってくる。という日々。

 抱卵を開始したのかと思うとメスも巣箱から飛び出して行ってしまうので、まだの様子。
 嫌わないでね、といつもこっそり陰から見ています。
( 実はシジュウカラは、すべての卵を産み終えてから、抱卵すると、後で知りました。)

 オスのさえずりは
 静かに見張っているときは ピピツー ピピツー
 (音階で言うとシシソーと下がるパターン)

 何か訴えたい?ときには ツーピーツーピーツーピー
(ソーシーと上がるパターン)

 雀など他の鳥が来て威嚇するときには ピッジュルジュルジュルジュル

 心配そうに覗き込む前にはピーツーピー (シーソーシー)

 こんな感じでヴァリエーションに富んでいます。

メスが作業している間、近くの枝で囀りながら見張るオス。

 

 メスがなかなか出てこないと、何度も何度も心配そうに巣箱を覗くオス。

第3週

5月1日〜 

 
 巣箱に入りだして10日あまり。
 メスが出入りする姿があまり見られなくなりました。
 今日は朝から10〜30分おきにオスがやってきて、巣箱のある木のとなりのモチの木で、5分くらいさえずってはいなくなる、ということを繰り返していました。
 途中、違うシジュウカラが来ると、威嚇の声で追い払っています。

 午前中はオスがいくらやってきても、メスがまったく出入りしていない様子だったので、いよいよ抱卵か、と思ったのですが、お昼頃にメスが出て行く姿を見た後には、オスもやってこなくなりました。
  24時間暖め続けるのではないようです。
 この抱卵の長さが孵化までの日数に影響するのだとか。

 

     

巣箱に入る前に必ず周囲を長い時間確認してから入るようになったメス。 出るときももちろん周囲をしっかり確かめてから。

 オスの不思議な行動。
梅やモチの木の新しい枝をくちばしでくわえてゆすって折り、どこかへ運びます。近くにねぐらを作っているのでしょうか・・・

オスは餌を運んでくると巣箱に入り、メスに渡すと出てきてすぐにどこかに行きます。 メスは中で食べたり、くわえて外に出てきて食べたり、一緒に出かけたり。

 卵はどうなったのか、巣箱を覗きたい気持ちになりますが、我慢がまん!

  くわえて折って   
  くわえなおして運び去る

第3週

5月7日〜

 

 

2日ほど前から、本格的に抱卵した様子。
 
 オスが日に何度か餌を運んできます。青虫だったり、白っぽい太った何かの幼虫だったり。

 昨日、ジュルジュルとすごい声がするので見てみると、巣箱の隣の木で雀が虫を捕っていた様子。特に悪さをするわけではないけれど、ひたすらジュルジュルという警戒の声を出し続け、根負けした雀が飛び去ると、オスもどこかへ行きました。

 その後、猫がやってきて巣箱の下で狙っているのを発見。手をたたいて大きな音を出して追い払いましたが、だんだん心配も増えてきました。
 
 

 

 8日、メスのために餌を運んで来たオス。
  1時間に一回くらい来るようです。
  オスの顔つきが、だんだん厳しくなってきたような
  気がするのは気のせいかな?  

 順調に抱卵している様子。
 雨が降らない日は犬を外に出しているので、猫もやってこないため、安心。
 メスはオスが運んでくる餌を食べるだけでは足りないのか、時々そっと巣箱を出て、庭の木にいる虫を食べています。

オスはメスが卵を産んでいた頃には、巣箱のある木の隣の見晴らしの良い木でキョロキョロと見張りをしていましたが(右写真)、今は餌を持ってくると、葉の繁った梅の木に隠れて、小さめの声でツツピーと合図。そして巣箱の前で一旦止まって、再度ピーツツ、と鳴いてから巣箱に入ります。
 そしてメスに餌を渡すとどこにも停まらず巣箱から一直線に飛び去ります。

 そして大失敗!
 朝、巣箱が傾いているのを発見。特に風が強かったわけではなかったのに。
 雨も降りそうなので心配になり、メスも出て行ったことを確認して、巣箱を元に戻し針金で木の幹に補強。 ところが作業にもたついていたせいで、直し終る直前にメスが戻ってきて、私のすぐ横の枝に!
 むこうもびっくりしたでしょうけれど、私のほうもびっくり。慌てて巣箱から手を離し、その場を離れたものの・・・
 大丈夫かな。放棄しないでくださいね、お願いだから。

 

第4週

5月14日〜

 

 どうやら、雛が誕生した様子。
 オスが餌を運ぶ回数がとても多くなった。
 メスはほとんど外に出ないが、時おりそっと出て、近くの梅の木で虫を捕り、また巣箱に戻る。

 雛らしい声は聞こえないが、16日には巣箱に餌を運びこんだオスが、雛のものらしい糞をくわえて出てきて、運び去る様子を観察できた。

 オスの運んで来る餌は、アオムシ、ハゴロモ類らしい羽虫、小さな蜘蛛、といったところ。
 
  糞をくわえて、巣箱から出るオス
雛の声はまだ聞こえないけれど、オスは7分おきくらいに餌を運んでくる。メスも時々外に出て餌をくわえて巣箱に戻る。オスはピピツーと小さな声で鳴いてから巣箱に入るが、メスは声を出さずにそっと出て、そっと入るので、出入りを確認しにくい。
 運良く餌を運んできたところに出会えたが、「何かしたら許さないわよ!」と言わんばかりににらまれてしまいました。ゴメンナサイ・・・

第5週

5月22日〜

 雛がほとんどかえったのでしょうか。
 今朝は親鳥が餌を運んでくると巣箱の中からニイニイ、チイチイと声が聞こえてきました。

 オスとメスが交代で餌を運びこみます。
 メスが長く巣箱を離れるときは、巣箱から身体を半分出して、周りを丁寧に見渡し(なんとその間4分!)その後出て行きます。

 オスも声を出さずに餌を運びこむようになりましたが、巣箱の前の枝で餌をくわえ直していると中から雛の声が聞こえます。
 オスは餌をあげると一旦巣箱の外に出て周囲を見渡し、もう一度巣箱に入ると雛の糞をくわえて飛んで行きます。
 

 運び出す糞も前より大きい。
 慎重にあたりを見回すメス。 
運んでくる虫も大きなものになってきた。
 
 餌の種類は色々です。 
アブ? クモ?
 
  青虫の類が一番多い。
28日のお昼過ぎ、オスのチーチージュルジュルという警戒の鳴き声が、あまりにも大きく長いので、心配になって覗いてみると、巣箱の下でネコがじっと巣箱をねらっているではないですか。
 窓を開けてシッと言っても動じないので、庭に出て、追い払いましたが、巣立ちの時が心配です。 
第6週

5月29日

 29日のお昼過ぎ、用を済ませて帰ると雛が一羽外に出ていると家族に教えられ、慌ててカメラを用意する。
ニイニ最初の雛が出てから1時間ほどで、6羽の雛が出揃うと、親鳥のあとについて、一羽、また一羽と
お隣の家の木に移動、そして、ニイニイという声は遠ざかり、そのうちに聞こえなくなってしまいました。
 そのあと2時間ほどの間、何度か親鳥は交代で庭にやってきて、残っている子がいないか確認したのでしょうか。
 4時過ぎにはまったくやってこなくなってしまいました。
 オスが枝を折って運んでいたのは、この日のねぐらづくり?
 明日から、かわいい姿が見られないかと思うと、とても寂しく悲しい・・・
 ネコやカラスにやられずに、無事に育つことを祈るのみです。

 
 最初に孵った子でしょうか、一番しっかりしています。    巣箱から出る瞬間
 
 一羽が巣箱の前で、次の子が穴から覗いています。          産毛が残っているのが飾りみたい

 巣立った後の巣。土台は苔が中心
 棕櫚の樹皮繊維、獣毛で巣座が作られています。スポンジのかけらなんかも。
そして、残念ながら孵らなかった卵が2個。
(画面上)
 
 孵化しなかった卵。ほぼ実物大。
 比較のために50円玉を置きました。
 こんなに小さいのですね。

 

 

第7週

6月6日

 巣立ちから一週間。
  羽の色が濃くなり、尾羽もすっかり伸びて  姿は親鳥とほとんど変わらなくなりました。
  でも、くちばしはまだ黄色く、飛び方も少し  頼りないです。
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