いちごみるくの様に甘くて蕩ける様においしい
恋はいかが?
少し不器用で、でも優しくて・・
そんな恋を・・。
ITIGOMIRUKU
いちごみるく
ITIGOMIRUKU
――――ザワザワザワ・・
ここの世界は何かと騒がしい。
何かに追いかけられているように、皆せかせかと歩いている。
でも、何かと心地よいのはあいつ・・・花梨がいるからだと思う。
「ゴメン・・っ!遅れちゃった・・」
空の雲色の『すかーと』ってやつをはたはたとはためかせながら、あいつは走ってきた。
何かとこの世界の服は奇妙なものばかりだなと俺はいつも思う。
でも・・・それよりも、気になるのがこの世界の女という女は肌を出しすぎている。
京の女達はは肌が出ていたら、「はしたない」だの「人目を避けろ」だの、
言うのに、ここの奴ら、花梨も肌の露出が多い。
「・・?イサト・・君?」
花梨は俺の顔を大きい瞳で見ている。
それと同時にもやもやとした気持ちが胸の中に渦巻いた。
「あんまり、肌を俺以外のヤツに見せんなっ!!」
花梨はきょとんとしていた。
俺は何を自分で言ったのか少しの間忘れてしまった。
その・・白い綺麗な肌を・・俺以外のヤツに見せたくない・・・
これじゃ・・幼いヤツが考える事と一緒じゃん・・U
俺は、あいつを・・花梨を独り占めしたい、我侭な子供だ。
「え?何で?」
「・・・」
言えるわけ無いじゃん・・
――――お前を独占したいからだっ!!
ってさ・・///
「これ・・そんなに似合わないかなぁ・・」
「ばぁっ、ちげっ/////」
・・・不器用だからさ・・・
気持ちを素直に伝える事・・・
「に・・に、似合ってんに決まってんじゃん///だから・・他のヤツの所に・・」
「行かないよ?私、イサト君の傍が一番安心するし・・・////」
嬉しい事言ってくれんじゃん・・・
俺も・・花梨の傍が一番安心する場所だ。
花梨の温かい手と俺の手を取り合って、一緒に歩んで行く。
「で?何処行くんだ?」
花梨は片手を顎に当て、しばらく考えていた。
「んっと、少し疲れたから、公園に行こう?」
俺が少し顔色が優れない花梨に気付いたのはその時だった。
少し木陰で休ませた方が良いのかもしれない。
「よっしゃ、何か冷たいもん買ってくるわ。」
俺は、この間使い方を教えてもらった『ジドウハンバイキ』ってヤツの所まで、
風を切って走って行った。
―――ピッ・・ガラゴロゴトン・・
花梨が好きな飲み物を迷わず俺は買った。
「ふぁっ・・!」
花梨はびくんっと体をびくつかせ、右頬を手で押さえた。
俺は花梨の後からにぃっと笑い、ほらよっと冷たい飲み物を花梨に渡した。
「ん、ちょっと…昨日寝てなかったから疲れたのかも・・・」
なんで・・寝なかったんだ?
今日は俺と『でぇと』だったんだぜ?
なのに、お前が体調崩してたら意味無いじゃん・・・
「ごめんね・・・、折角のデートなのに・・。
あーぁ、昨日課題やらなきゃ良かった・・」
「かだいぃ?そんなもんやってたのかっ!第一に自分の体を考えろッ!」
ったく・・、いつもいつもいつもっ!!
お前は無理してでも、頑張るヤツだモンな・・;
京に居た頃も、京を護る為に、いっぱい大変な想いしたんだよな・・・。
俺は後から花梨を力一杯抱きしめた。
「きゃっ、もーイサトくんっ、ここ公園だよ////皆見てるよう////」
「ちょっ、まっ、て・・」
「もう、無理して頑張らなくていいんだぜ・・だから・・」
「ん・・、私、もう、イサト君に心配掛けないね・・」
花梨はしゅんっと肩を落として、ゴメンナサイと小さく呟いたのに俺は後悔した。
違う・・・こんな顔をして欲しくない・・。
「ちがっ、無理はしてもいい、でも、俺がその時は傍に居るから・・」
「//////」
花梨は、俺の胸の中で、いちごみるくの様に
頬が苺色になっていた。
「あ゛ーー!!すっげ、緊張した!!」
「へ?」
花梨は赤くなっていた顔が一瞬、
きょとんとしたような、惚けているような顔になって、俺は吹き出してしまった。
「だってよ〜・・俺、素直に気持ち伝えれねぇから、
こんなにあっさり言えるモンなんだな。」
花梨は口元に手を当てて、微笑んだ。
俺は、その笑顔が・・・
見たかったんだ。
何時も・・俺に笑顔をくれてありがとよ。
いちごみるくのように
蕩ける様にあまく、優しい気持ちになれるひとときを。
END