『問答』

「なあ、景麒。」
陽子は無表情で奏上する麒麟におもむろに声をかける。
「はい。」
「王を探していた時、どうやって蓬莱なんかにいるとわかった?」
いくら延王という前例があるとしても、王が蓬莱にいるなど、こちらの常識ではあまり類をみないだろう。
「王気を頼りに。」
「・・・・・・・・・。」
それだけか!と突っ込みたいのを陽子は堪えた。
「じゃあ、なんで初めて会ったときあんなに不親切だったんだ?逃げながらでももっと親切に説明してくれればよかったのに。」
「説明したところであなたは素直になるような人ではないでしょう。」
「・・・・・・・・・。」
これにも、陽子はとりあえず堪えた。
「おかげでお前に対する印象は最悪だったぞ!」
「ご安心下さい。私もあなたに対する印象は最悪でしたから。」
無表情で平然と言う景麒を目の前にし、陽子が剣の柄に手をかけたのは言うまでもない。




                                                   

(終)