VOL.9 1999.12
TOPIX
超音波検査大特集
 
 
↑ちょっと口を開けた赤ちゃんの横顔です
おなかの中の赤ちゃんの様子がリアルタイムでみられる超音波検査。かわいいしぐさを見せてくれると、感動もひとしおですね。超音波検査の仕組みや、プリントしてもらった超音波写 真の見方をマスターして、この感動をパパにも伝えてあげましょう。
超音波検査で何をみているの?
妊娠初期では、妊娠の確定、正常妊娠かどうか、単胎か双胎か、胎児心拍の確認、妊娠週数の確定と予定日の算出などをします。妊娠中期には、胎児の発育具合、異常や奇形の有無、胎盤の位 置の診断など。妊娠後期には、中期にチェックする項目に加えて、羊水の量 、胎児の体の向き、推定体重を計算して、発育の様子を確認します。
  経腹超音波と経膣超音波
おなかの上にゼリーを塗って検査するのが経腹超音波検査で、おなかに当てているものを経腹プローブといいます。妊娠12週頃から出産まぎわまで使います。内診室で経膣プローブを用いて検査する経膣超音波は、経腹プローブより格段に精度が高い上に、子宮により近い位 置から検査できるので、妊娠初期の胎児の状態がよくわかります。また、子宮口の状態もよくわかるので、切迫早産などの検査にも力を発揮します。
超音波写真の原則
超音波は、かたいものに当たると反射する性質を持っています。プローブから出た超音波が胎児に当たって、はね返ってきたエコー(反射)が画面 に映し出されます。かたい物に反射すると白く映るので、頭や背骨、手足などの骨は白く、反射しない液体(羊水や心臓の中の血液、膀胱の中の尿など)は黒く映ります。
超音波写真読解のポイント
1.白い大きな丸は頭かおなか。
短い小さな丸は手、足。 超音波画像は、胎児の体の表面ではなく、真上や横から見た断面 が映し出されます。右の写真のように、頭やおなか、手足など、一つでもパーツがわかれば、まわりに映っているものも、何となく想像がつき、全体像がわかります。
 


↑妊娠8週。右側の丸い部分が顔です。胎児の周囲の黒い部分は羊水です。

↓妊娠14週。胎児を横から見たところで、右の丸い部分が頭で、左がお尻から足になります。

 

2.魚の骨のように映るのは背骨、何本もの線は肋骨。
頭の丸い骨から体の位置をつかんでいくと、体部分に白い線の連なりが見えることがあります。魚の骨のように見えるのが背骨、何本かの等間隔の線が並んでいたら肋骨です。
3.20週頃までは全身が映るけれど、それ以降は一部分。
胎児の姿勢にもよりますが、一つの画面内で全身が映るのはせいぜい20週頃まで。それ以降は胎児が成長して大きくなり、画面 に全身が入りきらず、体の一部分のアップが映ります。
4.後期は頭の大きさ、大腿骨長などから、発育状態や体重を推定。
BPD、FL、APTD、TTDから胎児の推定体重が算出できます。ただし実際の体重とは15%程度の誤差があるので、あくまで目安程度に考えて下さい。下の写 真のように1932g(白抜き文字で表示)ということは、1642g〜2222gくらいということです。このため、10ヶ月に入り毎週推定体重を計測すると、前の週より推定体重が減少することもあります。

↓妊娠31週。胎児の胴体の断面です。

 


↑妊娠17週。右から頭、腕、肋骨、腰、そして膝を曲げた脚が見えます。
↑妊娠31週。鼻の穴と唇です。

 


  ↑赤ちゃんの顔です。

 


↑Vサイン?

 

 
  超音波写真の記号の解説

日付・時間超音波写真の右上には、検査を受けたときの日付と時間が表示されています。 +マーク体の部分の大きさをはかるときは、2つの+マークや×マーク間の長さを算出します。
BPDこれは児頭大横径といって、頭を真上からみて左右横幅の一番長い部分の直径を測ったもの。頭の大きさのことです。胎児の発育の目安になります。経腹超音波で先生が画面 に映る丸いものをはかっていたら、たぶんBPDです。
FLこれは大腿骨長、ふとももの骨の長さのことです。大腿骨は体の中で一番長い骨で、BPDとともに発育の目安になります。
APTD腹部前後径。おなかの前後の厚みを測って、胎児の推定体重を算出するのに使います。
TTD腹部横径。おなかの横幅の長さ  を測って推定体重を算出するのに使います。
  FWBPD、FL、APTD、TTDの数値から算出した胎児の推定体重です。EFBWと表示することもあります。
CRL頭殿長といって、頭からお尻までの長さのこと。7〜11週頃まではどの胎児も同じような発育をするので、月経不順や最終月経があいまいな人など、予定日が確定しにくい場合に、CRLの  数値を使い、妊娠週数や予定日を修正・確定します。
GS胎嚢(たいのう)という胎児の入っている袋のことで、その大きさです。経膣プローブなら妊娠4週半ばから見え始めます。これが見えれば子宮内妊娠。
  ○W○D測定した数値から、それが何週(W)何日(D)に当たるのかを割り出したもの。ある程度の誤差が生じるもので、CRLで約7日間、BPDやFLでは約14〜40日以上の誤差のこともあり、その週数の数字の後に±33dというように表示されます。この○W○Dの後に続いて表示される日付は、妊娠週数から計算した予定日ですが、やはり同様に誤差がありますので、参考程度に考えて下さい。
 
 
院長から一言
 
  頭の痛い季節になりました。理由は年賀状です。もともと筆無精なので、あまり多くの人に年賀状を出していませんでしたが、結婚を境におつきあいの範囲が急に広がり、がんばって宛名を書いていました。がんばったのは宛名を書くことだけではありません。年賀状のデザインにも力を入れて制作していました。例えば、まず年賀状に使用する写 真を撮ります。天気のいい日に、イメージにあった写真を撮るために家族で何回かロケに行きます。フィルム2〜3本撮影し、その中から使用するものを選びます。そして、何枚か写 真を選んだ後、それを大きな台紙に配置し、さらに「あけましておめでとう」という文字や、住所、名前をレタリングして台紙に書き込みます。こうして、何枚かの写 真が貼ってある画用紙2枚分  くらいの大きさの年賀状原稿ができます。それをさらに、写 真に撮ります。変な影やシワができないように原稿を大きな平らな板(たいていはふすまです)に貼り、また、きれいな色になるように、天気のいい太陽の下で撮影するのです。こうしてできた写 真を写真屋さんに持っていき、写真の年賀状にしてもらいます。今のようにコンピューターで編集し、カラー印刷するなど夢のような時代でしたから、年賀状原稿ができるのに1ヶ月くらいかかり、結構時間と労力を必要としました。こんなことを何年か続けると、友人達からは「今年はどんな年賀状になるのか楽しみにしてるヨ」などとおだてられ、ますます張り切って年賀状のアイデアを練り、制作に多くのエネルギーをかけていました。最近では、簡単な出来合いのものにしていていますが、手抜きをせずにちゃんとアイデアを練って丁寧に年賀状を作らなければという思いが、心の奥底ではありますから、新聞の折り込みに年賀状の広告が入る季節になると、反射的に頭が痛くなるのです。
 
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