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…Black-Requiem…

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真っ暗な部屋に鳴り響くけたたましい、電話の着信音
それに静かに出る、応対の声

「はい、こちら月光探偵事務所ですが。」
『もしもしっ、依頼があるんですが!』

電話先の相手はとても慌てていた
声が震え、息も上がっている
そんな相手にも関わらず、応対の声は常に冷静であった

「はい、それでは一体何をお望みですか?」
『もう私は駄目です、どうか、、、どうか、宝石を探し出して下さい』
「宝石の名前は?」
『Black-Requiemで、、?! きゃぁぁぁ!!』

電話は女性の悲鳴の声と共に切れてしまった

「”Black-Requiem”ですか、、、。」

電話を置き、パソコンに向かう少女
しばらくすると、パソコンのプリンターから数枚の宝石についてのデーターが出てきた
少女はそれをぱらぱらとめくり、くすくすと笑った

「面白い、是非電話先の貴女のためにも引き受けましょう。」
「だから今だけは、静かにお眠り下さい。」

そう言うと、少女は手を組み黙祷した

それから数日後のこと
又電話の着信音が、あの部屋に鳴り響いた
少女は電話をとった

「はい、こちら月光探偵事務所ですが。」
『もしもし、水鶏さんですか?』

電話先の相手はまだ幼い女の子のようだ
水鶏と呼ばれた少女は静かに応対した

「はい、私が水鶏ですが何か?」
『先日、宝石を探せという依頼を受けませんでしたか?』
「その辺のことはお客様には関係ないと思うのですが。」
『関係なくありません、あたしはその依頼者の妹なんです。』

そう聞くと、水鶏は口を閉じた
そして、すぐに相手にこう質問した

「お客様が本当に妹様なら、依頼の宝石名をご存じかと思いますが、、、?」

水鶏の質問に対し、答えはすぐに出た

『”White-Requiem”』
「どうやら人違いのようです、お引き取り下さい。」
『そんな、、、、。』
『確かにこれであってるはず、それに実物だって見たことあるし、、、。』
「そうですか、まぁとにかく他を当たって下さい。」

そう言うと、水鶏は電話をすぐに切った
そして、又パソコンに向かう
カタカタとターピングの音が響く が、それを邪魔するかのようにドアをノックする音が聞こえた

「すいません、誰か居ませんか?」

水鶏はその声を聞いた瞬間、ドアに掛けようとした手を止めた

「先ほどのお客様ですね、お引き取り下さい。」
「、、、、、、嫌です。」
「そうですか、こんな所で良ければどうぞゆっくりしていって下さい。」

水鶏はドアを開け、来客を部屋に通した
来客はやはり幼い女の子だった

「あの、、、、。」

幼い来客はパソコンに向かおうとする水鶏を呼び止めた
水鶏はにこりと笑い、椅子に座る

「どうかしましたか?」
「姉の様子はどうでしたか?」

水鶏はプリンターから次々と出る紙を見ながら答えた

「とても慌てていました。」
「でも、ほんの少しですが何処か落ち着いた感じもしましたよ。」
「、、、、そうですか。」

それを聞くと来客は涙をこぼした
水鶏はそんな来客に見向きもせず、相変わらず紙を見ていた

「良かったら明日も又来ても良いですか?」
「はい、お客様がそう望むならどうぞ。」
「あ、その前にお客様の名前を聞かせて下さい。」
「あたしの名前は李菜。」

水鶏は李菜と答えた来客をじっと見た
李菜は涙を拭き、にこりと笑った
すると、水鶏もにこりと笑った

「それでは、又明日。」

李菜は部屋から出ていき、水鶏はTVを付ける
TVからは最新のニュースが流れた

[・・・たった今入りました、ニュースによると]
[又若い女性の遺体が路上にて発見されました]
[死因は射殺によるもので、ほぼ即死状態のようです]

水鶏はそんなニュースを聞くと、くすくすと笑い始めた

「全く困った方ですね、一体何を考えてるんだか。」

水鶏はTVと部屋の明かり消し、暗やみに消えた


「水鶏さん居ますか?」


翌日、早朝から李奈の声がした
水鶏はドアを開けた

「ようこそ、李菜さん。」

李菜は部屋にはいるとすぐにTVを付けた
TVからはやはりニュースが流れる

[昨夜未明、又若い女性の遺体が見つかる事件が2件ありました]
[死因はやはり射殺で即死状態のようです]

李菜はそのニュースを聞くとすぐに、顔を曇らせた

「一体誰があんな事をやってるのでしょうね。」

そう言い、李菜は涙ぐむ
水鶏はその様子を平然と見ていたが、すぐに違うことを始めた

いくつかの輝かしい宝石と、ただの薄汚れた石1つを見比べている

「水鶏さんは何をしているんですか?」

気が付くと、水鶏の後ろには李菜が居た

「目利きの訓練を。」
「目利き?」
「はい、その物の価値をこの目だけで測る技術です。」
「何で、そんなただの石と宝石じゃ一目瞭然じゃないですか。」

水鶏は李菜の言葉に反応した
くすくすと笑いながら、水鶏は李菜の前に石と宝石を置いた

「李菜さん、例えばこの中に”White-Requiem”が入っていたとしたら。」
「貴方はどれを選びますか?」

李菜はすぐに真っ黒な宝石を選び出した
水鶏はそれを見て、又くすくすと笑った

「”White-Rquiem”は名前とは反対に黒い色をした宝石なんですよ!」

李菜は自信あり気にそう言った
そうですか。と小声で答え水鶏は拳銃を取り出し李菜に向けた
李菜はとても驚き、固まる

「もうそろそろお終いにしませんか、私は貴方の存在が邪魔なんです。」

水鶏はにこりと笑った
李菜は後ずさりをする

「そんな、、、何で、水鶏さん嘘でしょ?」
「嘘は貴方ですよ、いい加減消えて下さい。」

水鶏はそう言い、引き金を引いた
李菜はそれを素早く避ける

「李菜という名前だって偽名でしょう。」

それを聞くと、李菜はくすくすと笑い始めた
そして、小さな手とは対照的な大きな銃を取り出す

「ばれたならもういいや、李菜を演じるのも飽きたし。」
「李菜って言うのはね、水鶏さんの所に依頼をしてきた女性の名前。」
「可愛い名前だし、しばらく借りてたの。」

子供は銃口を水鶏に向け、睨み付ける
水鶏はにこりと笑う

「貴方からは偽りと血の匂いが気持ち悪いくらいするんです。」
「そう、じゃあ今すぐにその気持ち悪さを消し去ってあげる。」
「あたしの殺した人達と会えるよ。」
「本物の李菜ともね。」

李奈は引き金を引き、銃を何度も発砲した
部屋は硝煙に包まれ、しばし静寂に包まれる

「すいませんが私は死に損ないなので、そう簡単には逝きませんよ。」

水鶏の手からはぱらぱらと銃弾が落ちた
それを見て子供は驚き、拳銃を落とす

「最後に忠告してあげましょう。」
「”White-Requiem”についてです。」

「”White-Requiem”は貴方の言った通り名前とは正反対に黒い宝石です。」
「でも、普通の宝石とは全く違いただの薄汚れた石にしか見えないのですよ。」
「月光を浴びたときだけ真っ白な宝石に姿を変えるそうです。」
「それと、貴方も知らないでしょう別名もあるんです。」

水鶏は李奈の額に銃口を当てた

「”Black-Requiem”と。」

水鶏は銃口を李奈から一瞬遠ざけた
李奈はそれを確認するとにやりと笑い、水鶏の腹部にナイフを突き刺す
水鶏の腹部からは真っ赤な鮮血が吹き出した

「あははは、あなたが悪いのよ、油断なんかするから。」

血を浴び真っ赤に染まる李奈は
目の前の水鶏を突き飛ばし、壊れたように笑い始めた




「そうですね、注意一秒・怪我一生ともいいますし。」

水鶏は起き上がり腹部に突き刺さったナイフを抜いた
そして何もなかったかのようににこりと微笑する

「あなた変。 何で? 何で、こんなに血が出たのに・・・!!?」

突如、李奈は悲鳴を上げた

「手が、、、あたしの手が、、、。」

水鶏の血で真っ赤に染まった李奈の手は
どろどろとした液体状になり、床に溶け落ちた
水鶏はその光景を見て、何かを思いだしたかのように口を開いた

「言い忘れてましたが。」
「私の血は何でも溶かせる性質を持ってるんです。」
「痛みは伴いますが、綺麗に全部溶けて無くなってしまうんですよ。」
「面白いでしょ?」

水鶏はにこりと笑う

「いや、、助け、、、、。」

李奈は跡形もなく溶けて無くなってしまった
部屋は又静寂に包まれた



[今日午後・・時頃、連続射殺事件の犯人が逮捕されました]
[犯人はまだ幼い子供で、路上で倒れている所を発見]
[事件現場に残された諮問と子供の諮問は一致し]
[警察署で話を聞くと、自分が犯人と泣きながら答えたそうです]

満月が空に浮かぶ頃、TVからはそんなニュースが流れた
水鶏はTVを付けたまま、部屋を後にした

”Black-Requiem”と真っ白な花束を手に

「やはり依頼品を届けるときは、こんな綺麗な月夜に限りますね。」

水鶏は明かりも持たぬまま、闇に包まれた街に消えた
それから水鶏が何処へ行ったかは、空に浮かぶ月さえも知らない

【END】


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