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けむりの花…

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灰色の花冠をつけた彼女は
いつもと同じように冠と同じ色した花畑にいた

彼女とは言葉を交わしたことはない

ただ、この花畑で出会うと子供っぽい無邪気な笑顔を向けてくれる

ある日
どうしても声が聞いてみたくて
ふらりと花畑に出かけた

やはり彼女はそこにいて
いつもと同じように花冠をつけていた
でも今日は もう1つ手に持っていた

「この花が好き?」

そう聞くと彼女はにこりと笑う

「この色のは好きじゃないわ。」

そう言い、彼女は僕の頭に花冠を被せた
ありがとう。と小さくお礼を言うと
返答の代わりに彼女は又笑った

その日から
僕は必ず花畑に向かった
すると、彼女は
花冠を2つ作って待っていてくれた

「この花の色はなんで灰色か知ってる?」

彼女はぽつりとそう言った

「空気に関係してるのよ。」
「この花が白ければ白いほど空気が綺麗な証拠なの。」
「逆に。」
「この花が黒ければ黒いほど空気が汚い証拠。」
「ここの花は黒ずんだ灰色だから。」

空気が汚いのね。彼女はそう笑いながら言った

「私はこの花がいつか白くなればなぁって思うの。」

彼女は灰色の花を一輪摘み、花と同じ色した街に向けた
黒ずんで
灰色で
色味のない煙を吐き続ける
ただ
電子音や機械の眩しすぎる光が行き交う
そんな街に

「街が壊れれば。」
「街が壊れれば、また0に戻せば、花は白くなるの。」
「でも街が壊れたら私達も壊れちゃうのよ。」

彼女は悲しそうにそう言った
彼女の頬には深く「還」の文字が刻み込まれている
これはいわゆる
機械人形の識別番号

彼女は・・・


「でもいつか街も私達も壊れる日がくるの。」
「人間のあなたは。」
「白い花をちゃんと見てね?」

冷たい彼女の手が頬に触れた
蒼い硝子玉の両眼が小さく揺れる

彼女がいつもするように
僕は返答の代わりに笑うと
彼女もにこりと笑ってくれた


「いつか私や街が壊れたら。」
「あなたが花冠を作ってね。」
「白い白いけむりの花で。」

出来れば私のためだけに。
彼女が小さくそう言った気がした

【End】

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