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…涙色の蝶々…

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+青い月のでる日には+
+涙色の蝶々を探しましょう+

深夜放送のラジオからは優しい詩が流れる
これに聴き入る子供・水鶏は
大好きな南瓜のパイを食べていた

「とても良い歌。」
「貴方もそう思うでしょう、金平糖。」

金平糖、とそう呼ばれた黒い子猫は興味が無いようで
にゃあ。と一回だけ鳴くと水鶏の側を離れた

+夜空を飾る星はランプに+
+薄荷の砂漠で探しましょう+

「本当に良い歌なのに。」

水鶏はそう言うと、南瓜のパイの最後の一切れをぱくりと食べる
そしてラジオの音量を少し下げると
冷めたミルクティを眠たそうに飲んだ

+涙色の蝶々は夢に飛び+
+貴方の遠く近い場所で宙を舞い踊る+
+ただ見えない涙を求めて+

水鶏は寝転がり、近くにあった毛布を被った
すると、金平糖は水鶏の側に戻ってくる
小さな小さなくしゃみをひとつして

「そういえば、金平糖。」
「この歌詞にある”見えない涙”とは何のことかわかりますか?」

金平糖は丸くなり尻尾を振る
水鶏はそれを確認するとゆっくり話し始めた

「私が昔読んだ本には”悲しみや喜び”のことだと載ってたんですよ。」
「なんでも、悲しみや喜びといった感情は”心が泣く”から発生し。」
「心は泣いても涙を出せないから。」
「だから心は、”悲しみや喜びといった感情”を涙の代わりとして発生させるんですって。」

一段落話しを終えると水鶏はくすくすと笑う

「本当に変な話です。」

水鶏は金平糖を撫でた
金平糖は少しだけ尻尾を振る

「さて、今日のおやつは何にしますか?」
「私はやはり南瓜を使ったお菓子が良いですね。」
「そうだ。 金平糖も好きな南瓜プリンにしましょう。」

そう言うと、水鶏は静かに寝息をたて始めた
と、その時金平糖は何かに反応した

ひらひらと舞い降りた
淡い光に透ける羽根
薄荷のにおいのする
それは
蝶々

+涙色の蝶々を探しましょう+

金平糖はその蝶々をしばらく目で追っていた
が、すぐに飽きてしまい金平糖も寝息をたて始める

+涙色の蝶々を探しましょう+
+涙色の蝶々をさガシ・・しょ・・+

ラジオがノイズに飲み込まれる頃には、蝶々は姿を消していた
薄荷のにおいを少しだけ残して

そして、1人と1匹が眠る部屋の中では
ただの雑音となり果てたあの詩が
五月蠅く五月蠅く響き続ける

やがて、それは夜明けを知らせ、目覚ましとなる

【END】

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