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…月夜の仕事人…

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−4:猫の朝食−

「ニャー!!」

突如、金平糖が店に飛び込んできた
朝から何となく暇な水鶏は半分眠りかけていたが、金平糖のおかげで目が覚める

「何ですか金平糖、そんなに慌てて、、、、。」

水鶏はまだ眠たそうに目を擦る
金平糖は何故か水鶏の後ろに隠れ身を震わせている

「待てぇ、にゃんこー!」

バタンと大きな音を立て、小さな女の子が勢い良く店に入ってきた
見た感じ、12歳くらいの子だ
それに気付いた金平糖はさらに身を震わせる

「ようこそ、お客様。」

水鶏は金平糖の様子を尻目に女の子を見てにこりと笑った

「あ、お姉さんこれくらいの黒い子知らない?」

女の子は水鶏を見上げながら空中で子猫の大きさを表した
水鶏はそれを見てすくさまその子猫が金平糖と確信した

「その子猫はこれのことですか?」

そう言い水鶏は女の子の前に金平糖を出した
金平糖は相変わらず震えていた
女の子はそんな金平糖に、とても嬉しそうに抱きついた

「お客様は猫が好きなんですか?」
「うん、にゃんこ好きなの。」
「これお姉さんの猫?」
「はい。」
「名前は?」
「金平糖といいます。」
「金平糖かぁ、お菓子の名前だねぇ。」

女の子は金平糖をぽいっと空中に投げた
もはや金平糖は半泣き状態(にみえる)
水鶏はくすくすと笑いながら、店の奥に入っていった

「お客様、よかったらそちらに座ってて下さい。」
「はぁ〜い。」
「あのね、あたしは貴季っていうの。」
「みんなはね、ききにゃって呼ぶよ。」
「ききにゃですか、可愛い名前ですね。」

水鶏はにこりと笑う
貴季は頬杖をつき、水鶏の声のする方向を見ている

「お姉さんの名前は?」
「水鶏といいます。」

そう言い、水鶏は大きなトレイにカップ2つとクッキーを皿一杯持ってきた
貴季はそれを見て嬉しそうに目を輝かせる

「はい、少し熱いから気を付けて飲んで下さいね。」

カタンと貴季の前に湯気の出るカップを置いた
貴季はそれを一目散に飲む

「おいしィ〜*」

貴季はとても幸せそうに笑っていた
そして、ちょこちょことクッキーもつまみその度に幸せに笑う
水鶏はその光景をくすくすと笑いながら見ていた

「水鶏お姉さんは、ココのお店の店長さんなの?」
「はい、ここ”アンティークショップ音屋”の店長です。」
「お店って楽しい?」
「はい、それなりに。」
「今までで何か嫌なこととかあった?」
「はい。」

水鶏は表情ひとつ変えず相変わらずにこにこしていた
貴季はしばらく水鶏の顔を見ていた

「水鶏お姉さんは、何で目隠ししてるの?」
「特に意味はありませんよ。」
「あえて言うなら、お呪いみたいなモノです。」
「オマジナイ?」
「こうしていたら、昔見た悪夢が少しだけですが頭から離れるんです。」
「って、言ってもただの気休めですよ。」
「ふぅ〜ん。」

クッキーをくわえ、貴季は何かをポケットから取りだした

「名刺?」
「あたしね、ココで情報屋やってるの。」

名刺にはHPのURLと ”情報屋:京極堂”と何かの名前が掲載していた

「お店はネット上にあるってことなんですね。」
「うん、まだちゃんとしたお店は持ってないの。」
「いえ、HPでも立派なお店ですよ。」
「ホント? そう言ってもらえるとなんか嬉しいよ。」

貴季は少し照れながら、カップを握る
水鶏は首に手をかけ、何かを外した
そして、それを貴季の小さな手のひらにのせる

「ネックレス? 、、、いや、にゃんこの指輪だ!」

貴季は手の中に収まる銀色のアクセサリーを興味深そうに見た

「それは、昔私を可愛がってくれたお婆様に頂いたお守りなんです。」
「自分は目が見えないからと言ってね、、、玩具なんですが綺麗でしょう。」
「まぁ、私も目は悪いので同じことなんですけどね。」
「それ持ってるととっても元気になれるんです。」
「貴季さん、貴方もそれを頼りに夢実現頑張って下さいな。」

水鶏は飲みかけのぬるいココアに手を伸ばし、飲み干した

「水鶏お姉さんて結構、占いとか信じるほうなんだね。」
「? はい。」
「何となく現実的な人でそんなの全然信じてないように見えちゃったよ。」
「でも、幻想的って感じで。」
「あたし、水鶏お姉さんスッゴク大好きぃ*」

貴季はにんまりと笑った
水鶏は少しだけ顔を赤くして嬉しそうに笑った

「ありがとうございます、好きなんて言葉を聞いたのは本当久しぶりですよ。」
「え、なんでぇ〜。」
「水鶏お姉さん、優しいし綺麗でかなり魅力あるのにぃ*」
「こんなお姉さん見過ごしてる人達ってホント目ぇ節穴かも。」
「そんなことないですよ、、、でもとっても嬉しいです。」

そう言い、水鶏はとっても嬉しそうに笑った
貴季は皿に残っていたクッキーの最後の一枚を口に入れ、立ち上がる

「それじゃぁ、そろそろあたしは帰るね。」
「そうですか、では今日はこれで閉店にしましょう。」

貴季は水鶏の手を握り、嬉しそうに笑う

「水鶏お姉さん、今日はホントありがとね。」
「お姉さんと一緒にお話しできてとっても楽しかったよ*」
「それと、金平糖にもよろしくね。」
「あ、後ね。」
「お守りありがとう大切にする*」

水鶏も嬉しそうににこりと笑った

「それでは、又のご来店お待ちしております。」
「まぁ、又会えたら、、、の話ですがね。」

そう言い、水鶏ははさみを取りだし何かをプツリと切った
その瞬間、貴季はバタンとその場に倒れる

「ニャー。」

しばらくすると、金平糖が恐る恐る物陰から出てきた
水鶏は金平糖に気付き、片手で抱き上げる

「『猫の朝食』今では、数千億の値打ちが付くアンティークの指輪です。」
「売ればきっと、死ぬまで遊んで暮らせ続けるでしょう。」
「その代わりに、売ればそれなりのリスクがかえってきますがね。」
「まぁ、貴季さんなら、あの指輪の価値を知らず大切にしてくれるでしょう。」
「金平糖、貴方はどう思いますか?」



「・・・ニ関スル・・・デー・・・ター収集終・・・了。」
「?」

目を開けると大量の紙に溺れる

「わぁ、パソコン付けたままだった!」
「ちょっと、ちょっと、ばいおくん、家を紙だらけにするつもり?!」
「プリンタノ電源ヲOFFニシテ下サイ。」
「はいよ*」

貴季はそう言い、バイオ君のキーボードをパチパチ打ち出した
しばらくすると、勢い良く動いていたプリンタも嘘のように静かになる
貴季は辺りに散らばる紙を拾い上げ、一枚一枚目を通す
そして一枚の写真付きの紙に目を止める

「これ、、、。」

紙には音屋と言う何かの名前と
それと少し不思議な少女と黒い子猫が写っていた

「、、、、、、。」
「このこ、可愛い〜*」

貴季は黒い子猫に釘付けだ
そしてバイオ君を見てぽそりと何か呟く

「、、、やっぱ、ばいおくんも猫型にしよっかな。」
「ピガ!?」
「何てね* 嘘だよ〜。」

貴季はくすくす笑い、手にしていた紙を机に置いた
その時、紙の下敷きになっていた指輪『猫の朝食』に貴季はまだ気が付かない

「良かったですね金平糖、貴季さんにとても気に入られて。」
「こうなったらやはり、貴季さんの所へ行きますか?」
「フギャー!」

水鶏は楽しそうに金平糖を撫でた
金平糖は少し迷惑そうに耳を伏せた

「そういえば、今日はまだ朝ご飯も食べてませんね。」
「このままだと、金平糖は『猫の朝食』じゃなくなります。」
「もうブランチにしますか?」
「ニャ!」
「わかりましたよ、朝も昼もちゃんとバラバラで作ります。」

水鶏はそう言い、少し遅めの朝食作りに取りかかる
金平糖は日の当たる窓際でうとうと眠り始めた
でも、目玉焼きの美味しそうな匂いが金平糖の眠りを時折妨げた


【END】


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