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独りぼっちの雪兎…

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−小さな雪兎がいました

−でもある日突然、雪兎は溶けてなくなってしまいました
−最初から存在していなかったかのように、普通に自然に

気が付くと朝がきていた。
皮肉なほど晴れた真っ青な空。
見上げると、目から雫が溢れる。

「、、、、桜花。」

何も考えたくない。
ただ、真っ白な頭に浮かぶ1つの名前。
私の妹。
消えてえてしまった雪兎、、、。

「雪花ちゃん。」

聞き慣れた声。
でも、今の私にはそれが誰なのかが分からない。
唯一分かるのは、その声がとても優しいということ。

「緋、、見ちゃん、、、?」

雪花はそう言い、声がした方向を見上げた
そこには、喪服の緋見が立っている
緋見はしゃがみ、雪花の目線をあわせにこりと笑った
互いに言葉は交わさない

「はい。」

緋見は小さな布切れを雪花に渡した
雪花は特に反応せず、緋見の目を見た
雪花の目からは相変わらず雫が溢れる

「雪花ちゃんらしくないなぁ、ほらこっち向いて。」

そう言い、緋見は雪花の顔を手荒く拭いた
雪花は目を閉じた、目からは雫がぽたぽた落ちる
緋見はその雫を黙ってふき取った

「、、、、ねぇ、緋見ちゃん。」
「なぁに?」
「私は、、、。」
「私は誰のために泣いてるんだろ?」

緋見は雫をふき取っていた手を一瞬止めた
雪花の目から溢れる雫は日見の手を伝った

「桜花のため? それとも、私のため?」

何も考えたくない。
何も認めたくない。
何も信じたくない。
桜花はまだどこかにいるんだ。
きっと、大好きなかくれんぼでもしてるんだ。
きっと、もう一度瞬きすれば目の前で笑っているんだ。

雪花は小さく身を丸め、顔を俯かせた
緋見は黙ってその場から立ち去った
でも、緋見はすぐに帰ってきた
手には水がたっぷり入った桶を持ってきた
と、次の瞬間緋見はその水を雪花に思いっきりかけた
雪花は吃驚し、顔を上げる

「冷たいのはわかるみたいだね。」

雪花は何も言わず、目からは又雫が落ちた
それは涙なのか、それとも水なのかが分からない
ただそれはぽたぽたと落ち続ける

「きっとね、桜花ちゃんも今雪花ちゃんと同じ気持ちだよ。」
「でも、緋見ちゃん!」
「桜花は今、独りぼっちなんだよ?」

緋見は何かに押しつけられるように胸が苦しくなった
雪花は顔を伏せる

「私はみんながいるけど、、、。」
「桜花は独りぼっちなんだ。」

「、、、じゃあ。」

緋見の声が震える

「私達が独りぼっちにさせなければいいでしょ?」
「桜花ちゃんはちゃんといるよ。」
「直接は話したり会ったりは出来ないけど。」
「でも、ちゃんと桜花ちゃんはいるよ。」

緋見の目からは雪花と同じ雫が溢れた
落ちても落ちてもまだ落ち止まない

「、、、、、、、。」

雪花は立ち上がり、手にしていた布切れで緋見の顔を拭いた

「雪花ちゃん、、、、。」

雪花は黙って緋見を撫でて、そのまま顔も見ずに何処かに行った
緋見は呆然と立ち尽くす

−小さな雪兎は流れ星になりました
−みんなの悲しみを少しでも和らげたいから
−みんなを少しでも幸せにしたいから
−そして、みんなに時々思い出してもらえるようにと
−そんなことを考え小さな雪兎は、流れ星になりました

「ありがとう。」

そんな言葉が緋見の耳に入る
そら耳なのか、それとも雪花の声なのかそれを少し考え緋見は立ち尽くす
緋見は目から溢れ出る雫も拭かず、布切れを顔に押しつけた


「あ、緋見さん。」

緋見は慌てて溢れ出る雫をふき取り、声のする方向に向いた
そこには喪服のさざれが立っていた
手には何かのつぼみのついた枝が顔を覗かせる

「綺麗な花ですね。」
「はい、まだ少し早いんですが桜の花を貰ってきたんです。」
「桜、、にしては不思議な色ですね?」
「突然変異でこんな色になったそうです。」

さざれは桜の枝を少しだけ折った
そして緋見の目の前にそれを差し出し、にこりと笑った

「笑って下さい、雪花さんなら大丈夫ですから。」

緋見は黙って桜を受け取った
頭を小さく下げ、嬉しそうに笑う

「それでこそ、緋見さんです。」

さざれはそう言い、台所の方へ行った
緋見はまだ見ぬ桜花をしばらく眺めた

「黄色い桜か、、、、。」

その桜の色は日溜まりの色のようで
何もかも包み込み、何もかもあたたかくする色のようで
誰かのようにいつも元気をくれる色

「私もこんな色になれるかな、、、?」

そう言い、緋見はゆっくり目を閉じた

『おかえり。』

そんな言葉を夢で会えるあの子に言いたいから


【終】


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