書籍感想記録(1999-06)


06-Jun-1999

【文庫】「トンデモ ノストラダムス本の世界」山本弘 宝島社(宝島社文庫)
 題名だけで既に説明は不要と思うが「と学会」の送る ノストラダムス本への突っ込みの本である。
「ノストラダムス本」といえば本屋のそういうコーナーにいけば、 山のように関連書籍があるのだが、それらのうち「トンデモ」と思われるもの (実際そういうのが多いが)に対してはほとんど全てに 突っ込みいれているものと思われる。
 著者は「あとがき」の中で 「『ノストラダムスの大予言』というのは一種のロールシャッハテストだ」 と言い切っているが、ほぼ同感。
 多くのノストラダムス本の筆者はノストラダムスの詩句を読み解き、 その内容を発表しているわけだが、 その「読み解く」方法が「自分にしかわからない」ものが多くて、 冷静にみるととても信じられるものではないことから、 「自分がこうあったらいいな」と思ってることを 「ノストラダムス」印の包装紙に包んでさも立派そうに(見えるかどうかは別にして) しているだけなのだ。
 このことを再認識してかつ、それらの本の内容に爆笑できたことを考えると、 700円は安かったかも。 ここ最近ストレス溜っていたので、気分転換に読んでみたのだが、 十分にその目的は果たされたように思う。完全ではないが))
 時期が時期だけに「1冊くらいノストラダムス本でも読んどくか」 と思われていて、かつおおらかな気持ちで笑いを求める向きにはお薦め。


07-Jun-1999

【文庫】「真・天地無用!魎皇鬼 参の巻《鷲羽》」 黒田洋介 梶島正樹 富士見書房(富士見ファンタジア文庫)
 「天地無用!魎皇鬼」の裏設定の小説化第3弾。
 中小のネタをまとめて1冊にした感のあった1巻・2巻と違い、 鷲羽の過去に焦点を絞ってあってある。  OVA8話「こんにちわ赤ちゃん」をみてないと、 話に入っていけないので不親切といえば不親切だが、 逆に話を知ってれば鷲羽「さん」の過去と感情が良く分かるのではないだろうか。
 鷲羽ちゃんファンは読んでおくべきだろう。
 鷲羽の過去に絞った分だけ「裏設定」としての楽しみは少な目であり、 鷲羽ちゃんと美星の「関係」が明かされた程度しかなかったので、 期待していたものとはやや異なっているかという気がする。
 次の4巻では「第1シリーズのラスボス」の話が語られるらしいので、 「裏設定」はそれに期待したい。


12-Jun-1999

【文庫】宇宙英雄ローダン・シリーズ<220>  オヴァロン制御ステーション」早川書房ハヤカワ文庫SF
 「オヴァロン制御ステーション(Schaltzentrale Ovaron)」 クラーク・ダールトン(松谷健二訳)
 「過去界漂流(Der Ring des Verderbens)」 ハンス・クナイフェル(松谷健二訳)
を収録。
 オヴァロンに捕らえられたローダン一行はグッキーらに救われる。 一方失脚したオヴァロンはローダン達に協力する決意を固め、 彼らの助力を得てメルセイレを救出、その一行に加わるのであった。
 カピンサイクルの重要人物オヴァロンが仲間に加わり話もいよいよ佳境か。 サイクル完了まで読むのを封印していたので、まとめ読みできるが、 日本の発行ペースではこれがBetterではないかと勝手に思っている。 さてあと30冊か。


13-Jun-1999

【文庫】宇宙英雄ローダン・シリーズ<221>  惑星ツォイトの野獣」早川書房ハヤカワ文庫SF
 「火星と木星のあいだ(Zwischen Mars und Jupiter)」 H.G.エーヴェルス(松谷健二訳)
 「惑星ツォイトの野獣(Die Bestien von Zeut)」 ウィリアム・フォルツ(松谷健二訳)
を収録。

【文庫】宇宙英雄ローダン・シリーズ<222>  エクシロットへの奇襲」早川書房ハヤカワ文庫SF
 「エクシロットへの奇襲(Überfall auf Exolit)」 クラーク・ダールトン(松谷健二訳)
 「不安におののく惑星群(Welten in Angst)」 ハンス・クナイフェル(松谷健二訳)
を収録。

【文庫】宇宙英雄ローダン・シリーズ<223>  タイタン遠征隊」早川書房ハヤカワ文庫SF
 「タイタン遠征隊(Das Kommandogehirn)」 H.G.エーヴェルス(池田香代子訳)
 「時の兄弟(Die Zeitbüder)」 H.G.エーヴェルス(池田香代子訳)
を収録。

【文庫】宇宙英雄ローダン・シリーズ<224>  冥界からの漂着者」早川書房ハヤカワ文庫SF
 「冥界からの漂着者(Der Terraner und der Gläserne)」 ウィリアム・フォルツ(松谷健二訳)
 「老提督(Der alte Admiral)」 ハンス・クナイフェル(松谷健二訳)
を収録。

【文庫】宇宙英雄ローダン・シリーズ<225>  ダブリファ帝国の崩壊」早川書房ハヤカワ文庫SF
 「ダブリファ帝国の崩壊(Das Ende des Diktators)」 クラーク・ダールトン(松谷健二訳)
 「《マルコ・ポーロ》の発進(Aufbruch der MARCO POLO)」 K.H.シェール(松谷健二訳)
を収録。


19-Jun-1999

【文庫】合本版・火星シリーズ第1集  火星のプリンセス」 エドガー・ライス・バローズ(厚木淳 訳) 東京創元社(創元SF文庫)
 長らくの間、絶版にこそなっていなかったものの、 品切れ状態が長く入手が困難になっていたのだが、 東京創元社の文庫創刊40周年記念出版として合本版が店頭に並んだ。
 第1集には、
  「火星のプリンセス(A Princess of Mars)」
  「火星の女神イサス(The Gods of Mars)」
  「火星の大元帥カーター(The Warload of Mars)」
の初期3部作を収録。
 これは古くからのSF者としては非常に喜ばしい。 今の時代からみれば、火星に人間がいるとか、戦争するのに剣を用いるとか、 荒唐無稽以外の何者でもないが、「センス・オブ・ワンダー」に満ち溢れた面白さは 今でも色褪せていない。 この本の書かれた時代にはまだ「SF」とか「スペースオペラ」とかいった概念は まだ確定されていなかったわけだが、バローズの豊かな創造力はこのシリーズを 史上屈指の「スペースオペラ」に仕上げている。 訳は厚木淳氏の新訳で、今の時代にあわせて、 英語の発音にあわせたと思われる固有名詞の変更 (「プタースのスビア」→「タースのサビア」等)や、 文章の修正がみられ、昔からのファンとしてはいささか違和感を感じなくもないが、 基本的な面白さは損なわれてはいない。
 古き良きスペースオペラを愛する人、 まだ読んだことはないが興味ある人は是非読むべきだ。 「スペースオペラなんて」とひいている人も恐れず読んでみてほしい。 1700円(税別)というのはいささか高いが、 武部本一郎氏の華麗な絵…表紙、口絵、挿絵をすべて収録して、 文庫3冊分と思えば決して高くはないはずだから。
 なお、火星シリーズは全て、全4冊の合本版として復活が決まっており、 これもまた喜ばしい。 この調子で「古典」のSFを続々復活させてくれれば、 ファンとしてはありがたい限りであるのだが…


23-Jun-1999

【文庫】「妖女のねむり」 泡坂妻夫 角川春樹事務所(ハルキ文庫)
 大学生柱田真一はある日、 反故紙の中から樋口一葉の手になると思われる紙片を見つける。 その真贋を確かめるべく上諏訪に向かう真一は謎の美女、麻芸に出会う。 彼女は彼に驚くべき事実を告げるのだった…
 「前世で2人は恋人同士だった」という「輪廻転生」ネタで始まり、 輪廻転生を裏付ける「証拠」としてあげられるのがティプトン夫人の話や、 エドガー・ケイシーだったりして「怪しさ大爆発」で、 「おいおい推理小説でこんなネタつかうんかい」と突っ込みいれたくなる。 しかし、読み進めるうちにふと気が付くと(この作品世界内においてだが)、 主人公たちの「前世」というのが確かなものではないかと思いはじめ、 それが頂点に達した頃に明かされる真相。 この結末には賛否があると思うが、個人的には「お、そうきたか」と感心した。 奇術家としても知られる作者が書くものだけあって、 うまい奇術をみせられたような気がする。 この作品はトリック云々より、 敢えて作者の巧みな術中にはまって、それを楽しむべき作品だと思う。

26-Jun-1999

【ハードカバー】「そして二人だけになった」 森博嗣 新潮社
 巨大な海峡大橋を支えるコンクリートの塊「アンカレイジ」に集まった 科学者、建築家、医者、そして科学者のアシスタントの6人は、 突発的な事故によって「アンカレイジ」に閉じ込められてしまう。 その完全な密室の中次々と殺人がおこり、 最後に残ったのは科学者とそのアシスタントだけだった…
 「すべてがFになる」でデビューした作者の小説としては初めての単行本。 2000円という値段がネックだが、DVDハード&ソフトを購入した 物欲モード爆走時だったので、特に迷わず購入した。 題名の、多分元ネタとなった小説も含め、「密室内での殺人」というのは数多く 発表されており、大抵はその「密室」状態というか 世間とは隔絶された状態を作りだすのに苦労しているが、 この作品の舞台はかなり非現実的であるはずだが、あまあり「嘘くさくない」 と感じるのは作者が建築のプロだからだろう。
 内容は作中人物の「手記」という形で語られ、 盲目の科学者…実はその人物の腹違いの弟と、 科学者のアシスタント…実はその双子の妹の2人に交互に語られる形である。 それぞれの手記を信用するならばどちらも犯人ではありえないのだが…。 オチは以前どこかで読んだか観たかしたような記憶がある (もしかして気のせいかもしれないけど)のだが、それでもやはり驚いた。 まさかああいうオチとは思わなかった、というのが正直なところか。
 「黒猫の三角」がシリーズものの最初ということで やや抑え目だったような気がしていたのだが、 これは本当に「単行本」なだけ、キャラクターの制約がないだけすごい。 「天才」書かせるとうまい。 値段は張るが読んでみて損のない作品だと思う。

27-Jun-1999

【文庫】宇宙英雄ローダン・シリーズ<226>  偽りの神々」早川書房(ハヤカワ文庫SF)
 「偽りの神々(Die falschen Götter)」 H.G.エーヴェルス(松谷健二訳)
 「平和主義者たちの惑星(Planet der Pazifisten)」 ウィリアム・フォルツ(松谷健二訳)
を収録。
 モリタトール、ショルショヴォの証言からガンヤス帝国の痕跡を求めて ローダンたちはグルエルフィン銀河をさまようが…
 グラミック候補生のロボット、フォリー・ウッターの引き起こす騒動は このシリーズでよくお目にかかるパターンだが、 なかなか変なロボットで面白かった。


30-Jun-1999

【文庫】宇宙英雄ローダン・シリーズ<227>  星の掠奪者」早川書房(ハヤカワ文庫SF)
 「警戒……放射能!(Vorsicht−Radioaktiv!)」 ハンス・クナイフェル(松谷健二訳)
 「星の掠奪者(Plünderer der Sterne)」 クラーク・ダールトン(松谷健二訳)
を収録。
 ガンヤス族の痕跡を求めるローダンは50の小戦隊を偵察にだす。 その一つを指揮するアトランはかつてのガンヤス帝国の通称拠点へ向かうが、 そこにいたのは突然変異した原住民のみだった…
 この巻に至ってようやく敵…の手先の連中が登場。 これほどの長期シリーズになると平気で 1巻や2巻は探査の話に費やしたりするので、 かなり気を長くもっておかないとついていけない。 個人的にはまあ許容範囲内の長さだったかと思う。

【文庫】宇宙英雄ローダン・シリーズ<228>  闘技場惑星」早川書房(ハヤカワ文庫SF)
 「闘技場惑星(Auf der Arenawelt)」 ウィリアム・フォルツ(松谷健二訳)
 「偽装決闘(Der Schaukampf)」 ウィリアム・フォルツ(松谷健二訳)
を収録。
 グルエルフィンの掠奪種族から タケル族要人の集まる闘技場惑星の存在を知ったローダンは タケルの要人誘拐を警戒するが…
 シリーズでもお馴染みの「偽装」「変装」「ミュータント」な話。 八万隻もの懲罰艦隊があっさり誘拐されるなよ… などと野暮なことを考えてはいけないのだろうな、やっぱり。 敵性種族がようやく現れ、いよいよローダン一行が争乱に巻き込まれる 序章としてはこんなものだろう。


Author : suita@terra.dti.ne.jp