書籍感想記録(1999-08)


01-Aug-1999

【文庫】「たそがれに還る」 光瀬龍 角川春樹事務所(ハルキ文庫)
 辺境星区へ向かう途中、緊急任務で金星へ赴いた調査局員シロウズは、 異星文明の手になると思われる巨大な尖塔群を目にすし、謎の声を聞く。 さらに冥王星と地球でも1200万年前の地層から異星文明と思われる 巨大な宇宙船が発掘される。一体この事件は何を示しているのか…
 「東キャナル市」などの設定を「宇宙年代記」と共有する長編。 古代の異星文明の遺産がでてきたり、 なぞの声などが聞こえてきて「滅び」を暗示したりと、 短編と異なりかなりスケールが大きくなっている。 しかし光瀬龍のいうところの「歴史もの」としてのラインはきっちり守っており、 大艦隊による戦争があるわけでも、派手な政治劇があるわけでもなく、 政府の高官などがでてくるものの主役はあくまで調査局の一局員であり、 「裏面史」的な印象を受ける話ではある。 壮大な話ではあるのだが、 黄昏の中を歩いているようななんともいえない虚無感のようなものを感じる 話の展開が光瀬龍的な味わいであり、 「東洋的SF」とでもいうべきものであるなぁ、と思う。


07-Aug-1999

【新書】「日本の神々」 谷川健一 岩波書店(岩波新書)
 日本の神々が現在のような人格(神格?)をもった存在ではなく、 自然界にあるものを畏れ敬っていた。 この本はその源流を探る、という本である。 日本全国を回って、それぞれの風習などから源流をたどっていたわけだが、 どちらかというと沖縄などどの南方の風習からの考察が多い。 実は代表的な神々の来歴を明らかにしてくれると期待して購入したので、 日本神界のアニミズム部分の説明の本であったので「ちょっと違うか?」という感じ。 「…にちがいない」という断定部分が目立つが「…ほんと?」という部分がある。 恐らくはページ数の関係か、やや考察部分が少なくなってしまったせいであろう。 どれか1章分… たとえば第6章「神概念の拡大」あたりの考察を深くして書いて欲しかったな、 という気がする。


08-Aug-1999

【文庫】グイン・サーガ67風の挽歌」 栗本薫 早川書房(ハヤカワ文庫JA)
 グインついに中原に還る。シルヴィアを救出したグインはキタイから ノスフェラスを越え、モンゴールの都トーラスに入った。 グインにはトーラスの<煙とパイプ亭>の主人ゴダロとその一家に 伝えるべきことがあったのだ…
 しばらく「グイン・サーガ」は読んでいなかったが、 「主役」が久しぶりに「本編」に復帰したのと、 「ハンドブック」で一応筋は確認できていたので読んでみた。 1巻でグインを助けたオロの流れで出てきて いまやすっかり「庶民の代表」になってしまったゴダロ一家に オロの伝言をもたらすという話。 ありきたりだがなかなかおもしろかった。 やはり「主役」が出ると話が締まること。 やはりこのシリーズは群像劇ではあっても、 あくまで「グイン・サーガ」なんだな、と実感する。 マリウス一家が貧しくとも幸せなゴダロ一家との生活を離れ、 ケイロニアへ赴くのも、いよいよこのシリーズも佳境に入ってきたことを思わせる。
 5巻以降すっかり忘れ去っていたフェルドリックなんぞがでてきて、 イシュトヴァーンの過去が暴かれることでゴーラもきな臭くなってきて、 またしばらくは「ドロドロ」な世界が描かれるのでは? とちょっと不安だが、「主役」がいるからまあなんとかなるだろう。 どうでもいいが、あれは確かにイシュトヴァーンの犯罪かもしれないが、 彼はあくまで実行犯で、主犯はグイン。 そう考えると彼がオロとその一家には「良い人」であるのと同時に、 ノスフェラス侵攻軍に壊滅的打撃を与えたのも彼なんだよなぁ…。


11-Aug-1999

【文庫】宇宙英雄ローダン・シリーズ<1> 大宇宙を継ぐ者」早川書房(ハヤカワ文庫SF32)
 「スターダスト計画(Unternehmen Stardust)」K.H.シェール(松谷健二訳)
 「《第三勢力》(Die dritte Macht)」クラーク・ダールトン(松谷健二訳)
を収録。
 ペリー・ローダン少佐以下4名の合衆国宇宙軍将校らが乗り込んだ 人類初の有人月宇宙船スターダストは、 着陸直前になって強力な妨害電波によって誘導波を絶たれ危機に陥る。 かろうじて月面に不時着した彼らが発見したのは 月面で妨害電波の元である異星の巨大宇宙船であった…
 「世界最長のシリーズ」なを欲しいままにする「ペリー・ローダン」シリーズの 記念すべき邦訳第1巻。 日本語版500話突破記念+「第三勢力」サイクル収集完了ということで読み直し。
 東西ブロック+アジア連合という「冷戦」華やかかりし頃の世界情勢を反映した シチュエーション下で、強大な異星文明の力を手に入れたローダンとその仲間が 《第三勢力》を打ち立て、人類の統合を促すために活動を開始する、というところだが、 500話まで進むと人類は銀河における強大な1ファクターとなっており、 「ああこんな時代もあったのか」という懐かしさが込み上げてくる。 ローダンとその仲間が銀河はおろか地球での弱小勢力(技術は段違いだが…)で、 他の強大な陣営が虎視耽々と狙っているという緊張感がなかなか良い。 主役の陣営がある程度以上に強力になるとやはり、緊張感がうしなわれていくのだなぁ、 と実感したわけで、「ああ、最初はこんなにハラハラできるのか」と思った。
 「初の有人月宇宙船」が発進した年が現実と違うとか、 出てくる機械が「重力消去装置」や「精神干渉装置」などという 最早「古色蒼然」という他ないようなものであったりするわけだが、 原典が刊行されたのが1961年(日本語版の初版は1971年)ということを考えれば、 刊行時点では「未来予測」であったわけで、「まあこんなもんか」と思う。 「古き良きスペース・オペラ」にそうそう目くじらたててはいけないし、 ここは「昔はこういうことをかんがえてたんだなぁ」と海のように広い心で楽しむべきだろう。
 ここは、あせらずじっくり読むとしよう。 なにしろ人類に与えられた時間は「二万年」なのだから。

【文庫】宇宙英雄ローダン・シリーズ<2>  銀河の神々のたそがれ」早川書房(ハヤカワ文庫SF40)
 「ドームの危機(Die strahlende Kugel)」K.H.シェール(松谷健二訳)
 「神々のたそがれ(Gotterdämmerung)」クラーク・ダールトン(松谷健二訳)
を収録。
 《第三勢力》の脅威の前に、 かつては敵対しあっていた地球の三大陣営は連合を果たした。 三大陣営はその持てる力を結集し、月面のアルコン宇宙船を破壊、 続いてゴビ砂漠のローダン達を抹殺すべく活動を開始するが…
 トーラの施した反中性子フィールドをすり抜ける方法を見つけ、 月面のアルコン船破壊のために宇宙船を飛ばす三大陣営が 「そんなこと出来るならもっと前向きに動けよ」とツッコミいれたくなるほどで、 でもそういう行動にでるのもわからなくはなくて、 なかなか風刺が効いてるな、と感心してしまった。
 ゴビ砂漠の《第三勢力》拠点の破壊活動のために三大陣営が動く中、 後の《ミュータント部隊》のメンバーとなる面々を含めて、 協力者がぼちぼちと出てくるあたり、ページ数が多く使える長期ものはいいな、 という気がする。

【文庫】宇宙英雄ローダン・シリーズ<3>  ミュータント部隊」早川書房(ハヤカワ文庫SF45)
 「非常警報(Atom-Alarm)」クルト・マール(松谷健二訳)
 「ミュータント部隊(Das Mutanten-Korps)」W.W.ショルス(松谷健二訳)
を収録。
 破壊されたアルコン船からは救難信号が発せられていた。 しかしその信号に受け、やってきたのはアルコン人ではなく、 滅びかけた帝国の一部を支配するファンタン星人。 ローダンによってその侵攻は阻まれ、 世界は《第三勢力》の力を認めたが、その基盤は未だに脆弱だった。 ローダンは《第三勢力》を強化するために世界各地からミュータントたちを集めはじめる…
 昨日の敵は今日の友、というわけでもないが、 「都合良く」やってきた敵性異星人の侵略であっさりと《第三勢力》を 認める世界各国の姿がまさに「君子豹変」であり、その変わり身の早さに笑うやら、納得するやら。 前巻からミュータントたちがでつつあったが、 この巻で「ミュータント部隊」の初期メンバー18名が出揃った。 それぞれの活躍は以降描かれるとして、 メンバーの大半が放射能の影響でミュータントとなった人々…ということで、 「放射能」といえば「原爆」というわけでもないが、 その記憶がまだなまなましかったのか隊員には日本人が多い。 海外もので日本人(のキャラクター)が活躍するとなんだかうれしいのだが、 大体において奇妙奇天烈な名前が多かったりするが、ローダンシリーズも例外ではない。 タコ・カクタにイシ・マツ、ウリウ・セング、ソン・オークラ、タナカ・セイコ、 ドイツ・アタカ、キタイ・イシバシ、ノモ・ヤトゥヒンにタマ・ヨギダとならべてみると 一体どんな漢字当てるんじゃあというツッコミはお約束。 ちなみに「タナカ・セイコ」は姓が「セイコ」で名が「タナカ」の男性だったりする… まだまだ日本文化というのは「遠い東洋の果て」に存在するものでしかなかったのだな、 と思った。


12-Aug-1999

【文庫】宇宙英雄ローダン・シリーズ<4>  謎の金星基地」早川書房(ハヤカワ文庫SF61)
 「宇宙からの侵略(Invation aus dem All)」クラーク・ダールトン(松谷健二訳)
 「謎の金星基地(Die Venusbasis)」クルト・マール(松谷健二訳)
を収録。
 世界各地で異常な事件が頻発した。アルコン船の救難信号を受信して 地球のポジションを知った昆虫型宇宙生物…IVsの仕業だ。 《精神寄生体》と呼ばれる彼らは地球人の体を乗っ取り、 地球を破滅させるつもりなのだ。 ローダンは新たに結成されたミュータント部隊を率いてこれに立ち向かうが…
 IVsの侵略で一気に統一への道を進みはじめた地球と、 ミュータント部隊のお披露目となる前半と、 《第三勢力》の基盤を強化するため金星に基地を築こうとするローダンたちの冒険を描く後半。 出てきていきなりといっていいほど唐突に「どっかにいってしまった」エラートがなんとも…。 彼は後に要所要所で出てくるのだが、やはりあの能力をテレキネシスやテレパシーなどといった、 ある意味「わかりやすい」超能力と同列に扱うのが困難だったのか?と思う。 後半部分は金星に人類が呼吸できる大気があるわ、 アザラシはいるわ、猿はいるわ、恐竜はいるわ、 果ては古アルコン人の築いた秘密基地はあるわで、 1960年代に至っても、太陽系の諸惑星はまだ謎に包まれていて、 想像力の翼をはばたかせる余地があったのだなぁ、と思った。


13-Aug-1999

【文庫】宇宙英雄ローダン・シリーズ<5>  決戦!ヴェガ星域」早川書房(ハヤカワ文庫SF71)
 「地球救援(Hilfe für die Erde)」W.W.ショルス(松谷健二訳)
 「決戦!ヴェガ星域(Raumschlacht im Wega-Sektor)」K.H.シェール(松谷健二訳)
を収録。
 古アルコンの金星基地とその装備を手中に収めたローダンは地球へ戻り、 第三勢力の総力を結集して侵略者IVsとの決戦に臨むが…
 作品世界内では「古今未曽有」というの事実なのだろうが、 あまりにもあっさりIVsとの決着がついてしまった。まあ「虫」だしねぇ…。 後半は搭載艇《グッド・ホープ》によるヴェガへの進出。 超光速推進が「遷移」であったりするのでなんとも懐かしい。 「虫」の次の敵は「トカゲ」のトプシダー。 アルコン船の救難信号をたどってきたら27光年ずれたヴェガ星域に侵攻してくるなど、 「虫」のほうが能力上じゃないかと疑う(笑)。 地球のポジションを知らせないために自らをアルコン人と偽るローダンたちに 弱小勢力(当時)の悲哀を感じないでもないが、 「ずぶとい」テラナーとして堂々と開き直ってるあたりがいっそ潔く思ったりもする。

【文庫】宇宙英雄ローダン・シリーズ<6>  時間地下庫の秘密」早川書房(ハヤカワ文庫SF78)
 「ミュータント作戦(Mutanten im Einsatz)」クルト・マール(松谷健二訳)
 「時間地下庫の秘密(Das Geheimnis der Zeitgruft)」クラーク・ダールトン(松谷健二訳)
を収録。
 トプシダーが地球と誤認したヴェガ星系フェロル。 その侵略行為に抵抗するフェロル人を救援するため介入したローダンであったが、 《グッド・ホープ》をトプシダーの操る アルコンのインペリウム級戦艦に撃墜されてしまう。 ローダンはそのインペリウム級戦艦奪取を計画するが…
 ミュータント部隊を投入して、トプシダーがアルコンから掠め取った戦艦を さらに奪取するローダン。まさに「泥棒の上前をはねる」行動ではあるが、 なかなか痛快。奪取したインペリウム級戦艦でトプシダーのフェロル侵攻を食い止めて、 「太陽よりも長命」な「不死者」の手がかりもつかんだので、しばらくは「不死者」探しか。

14-Aug-1999

【文庫】「蛇神」 今邑彩 角川書店(角川ホラー文庫)
 住み込みの少年に父と夫そして息子を惨殺された 老舗蕎麦屋の若女将の倉橋日登美の元に彼女の従兄と称する男が現れる。 日の本神社とよばれる神社の禰宜である彼に 信州にあるという母の里への里帰りを勧められた日登美は娘の春菜とともに その村へ赴いた。彼女はそこで古代から続くといわれる奇妙な風習に戸惑うが…
 天照が「男神で蛇体」で、日の本村は物部の子孫で…などなど、 なかなか大きな風呂敷きを広げてくれているのが楽しい。 風習も閉鎖された山村では「ありそうな」ものっぽくて、 その分実際こういうところがあったら…と想像するとちょっと恐くてよろしい。 「日登美の部」「日美香の部」と2部構成で、両方ともその出生の秘密を探るうちに… という二重写しのようで徐々に変わってくるという形をとっていて、 「蛇の脱皮」を思わせる…というところまではいいのだが、 せっかく構築した「奇妙な風習」や「蛇神」といったものが十分には使いこなせてないような気がした。 最近やたらと定義が拡大している「ミステリ」として出してもいいところを あえて「ホラー」としてだした割には恐怖がやや竜頭蛇尾に終わっているように感じるのが残念。 ほんとに道具立てはよかったんだけど、あのオチはホラーとしてねぇ…

【文庫】宇宙英雄ローダン・シリーズ<7>  六つの月の要塞」早川書房(ハヤカワ文庫SF81)
 「六つの月の要塞(Die Festung der sechs Monde)」K.H.シェール(松谷健二訳)
 「銀河の謎(Das galaktische Rätsel)」クラーク・ダールトン(松谷健二訳)
を収録。
 ローダンらの活躍でフェロルから掃討されたトプシダーであったが、 ヴェガの外惑星の衛星に基地を設け、復讐の機会を窺っていた。 フェロルとの条約締結を睨み、ローダンはミュータント部隊を用いて トプシダーの無血掃討を計画するが…
 無血掃討というのは主役のローダンのキャラクターからして当然だろうが、 やっぱり「甘い」なぁ。汚れ訳はクレストとトーラが引き受けてるので、 後に相対的不死性を確保して長い時を生きるローダンもまだまだ若いな、という印象。 後半はいよいよ「不死者」の課題…結果的には不死者のゲームなのだが…に挑戦を開始する話。 一筋縄ではいかない「それ」のゲームはまだまだ続く。


15-Aug-1999

【文庫】宇宙英雄ローダン・シリーズ<8>  銀河の時空を越えて」早川書房(ハヤカワ文庫SF87)
 「銀河の時空を越えて(Die Spur durch Zeit und Raum)」クラーク・ダールトン(松谷健二訳)
 「ゴルの妖怪(Die Geister von Gol)」クルト・マール(松谷健二訳)
を収録。
 不死者の残した暗号を解読したローダン一行は一端金星に戻り、 一万年前のアルコン探検隊隊長の名前を調べる。 それを手がかりとしてヴェガの赤宮殿地下に向かったローダンたちは 一万年の過去界に旅立つことになるのだが…
 不死者のシュプールを追って一万年前のフェロルへ飛び、 蛮族、古アルコン人それぞれに対して身分を偽って シュプールの手がかりを入手するトリック作戦の前半と、 強大な重力の惑星での怪現象に挑む後半。 前半部分で探検隊隊長ケルロンをだまくらかして金星に送ったのが タイムパラドックスにならないというのがちょっと納得できないが、 5次元も6次元も平気で操る不死者にはどうということはない、 といわれればそれまでというのがこのシリーズのお約束なのか、やっぱり。

【文庫】宇宙英雄ローダン・シリーズ<9>  死にゆく太陽の惑星」早川書房(ハヤカワ文庫SF97)
 「死にゆく太陽の惑星(Planet der sterbenden Sonne)」 クルト・マール(松谷健二訳)
 「ツグランの反徒(Die Rebellen von Tuglan)」 クラーク・ダールトン(松谷健二訳)
を収録。
 フィクティヴ転送機によっていずことも知れぬ星系に飛ばされた 《スターダストII》一行。赤く輝く恒星を巡る火星に似た惑星に着陸した面々は 機械がひとりでに飛び回ったり、見えざる手に突き飛ばされたり、 ミュータントが行方不明になったりという怪現象の数々。 一体この星には何があるのか…
 ネズミ=ビーバー、グッキー登場。いたずら好きなネズミ=ビーバーたちと、 それとは別に存在する異文明のロボットたちの繰り広げる騒動の数々の前半と、 グッキーのいたずらでアルコン帝国版図のツグランにやってきた一行が巻き込まれる 叛乱騒動の後半。「ネズミ=ビーバー」といいつつ、この時期の口絵などみると、 どちらかというと「ビーバー」なグッキー。文中では「ミッキーマウス」 といわれているので、現在の口絵の方が本来のイメージに近いのか?

【文庫】宇宙英雄ローダン・シリーズ<10>  宇宙の不死者」早川書房(ハヤカワ文庫SF128)
 「宇宙の不死者(Der Unsterbliche)」K.H.シェール(松谷健二訳)
 「金星の危機(Venus in Gefahr)」クルト・マール(松谷健二訳)
を収録。
 ヴェガ星系に到着したローダン一行は、 今にも爆発しそうな恒星ヴェガを目の当たりにする。 これも不死者の課したテストだったのだ。フェロン人を救うため、 不死者のシュプールを追う一行は…
 宇宙の不死者こと、「それ」登場。分かる人にしかわからないユーモアで 一行を翻弄してきたが、ここに至って相対的不死性を約束する 「細胞シャワー」の使用が認められる。 これで主要人物達が(期限付きだが)不老不死になったので、 今後余裕をもった展開ができるようになる。 まあ使用を拒否されたアルコン人2名は哀れだが…

【文庫】宇宙英雄ローダン・シリーズ<11>  核戦争回避せよ!」早川書房(ハヤカワ文庫SF130)
 「核戦争回避せよ!(Der Atomkrieg findet nicht statt)」クルト・マール(松谷健二訳)
 「トーラの逃走(Thoras Flucht)」クラーク・ダールトン(松谷健二訳)
を収録。
 不死性を確保して、「二万年のチャンス」を得た ローダン一行が戻った太陽系では、東ブロックのクーデターによって 統一政府の成立に支障が生じていた。ローダンは平和裏に地球統一を成し遂げるべく、 デリングハウスを工作員として派遣するが…
 浦島太郎かリップ・ヴァン・ウィンクルか、地球に戻ると4年の月日が流れていた。 東ブロックは金星に軍隊を送るわ、トーラは逃げるわと、 故郷に戻っても騒動は治まらない。 果ては自分の設定した安全機構のおかげで援軍も呼べないとなると、 ローダンも間が抜けてるというかなんというか。 まあ、厭きないからいいけど。


16-Aug-1999

【文庫】宇宙英雄ローダン・シリーズ<12>  秘密スイッチX」早川書房(ハヤカワ文庫SF137)
 「秘密スイッチX(Geheimschaltung X)」W.W.ショルス(松谷健二訳)
 「金星のジャングル(Im Dschungel der Urwelt)」クルト・マール(松谷健二訳)
を収録。
 逃亡したトーラとそれを追うローダンの駆逐艦の侵入により、 金星基地のポジトロン脳は何人の侵入をも拒むバリアを張り巡らせた。 衛星軌道上にいるブリーとミュータント部隊の支援も得られないまま、 1年前に侵入した東ブロックの将兵とその反徒達とお互いに入り乱れながら 金星基地を目指すローダンであったが…
 ローダン自慢のミュータントで近くにいるのはテレパスのマーシャルと「視覚」のオークラのみ。 テレポーターもテレキネシスもいないなか、数百kmにも及ぶ金星基地までの長い道のりを 「アザラシ」の助けを借りながらも地道に進み、かつ、 武装の整った将兵および反徒らを欺くのが結構おもしろかった。 万能(かならずしもそうでもないけど)のカードが沢山あると、 結果はわかりきっているとしてもスリルに欠けるというのがよくわかる。 オチもお約束の範疇だが、もう一ひねりはほしかったような…とはいえ1960年代ならこんなもんかも。


18-Aug-1999

【文庫】宇宙英雄ローダン・シリーズ<13>  超ミュータント出現!」早川書房(ハヤカワ文庫SF140)
 「オーヴァヘッド(Der Overhead)」クルト・マール(松谷健二訳)
 「超ミュータント出現!(Duell der Mutanten)」クラーク・ダールトン(松谷健二訳)
を収録。
 アルコン反応炉の爆発、駆逐艦の強奪そして科学者の誘拐など 《第三勢力》の首都テラニアで不可思議な事件が頻発するが、 それは<オーヴァヘッド>と呼ばれる人物がローダンに対抗すべく組織した 彼のミュータント部隊によるものだった。 オーヴァヘッドはその圧倒的なヒュプノで、 ローダンと《第三勢力》を危機に陥れようとするが…
 オーヴァヘッドことクリフォード・モンタニーは この時点におけるローダン側ミュータント部隊のヒュプノよりも強力なヒュプノであるが、 後に出てくる<スーパー・ミュータント>リバルド・コレッロと比べたら 見た目も能力も段違いなので「超ミュータント」というのはいささか煽り過ぎ。 しかし、《第三勢力》の施設の破壊やGCCの経済的破綻を実施しようとするなど、 なかなか現実味を帯びた工作をするので、 初期の敵としてはなかなか「強大な」と言っていいと思う。 それはいいが、これを奇貨として(るようにしかみえない)、 各国首脳に「世界統一」を迫るローダンがあざといというかなんというか。
 この巻から後の太陽系元帥、ティフラーが登場するなどキャラクターますます増大中。


20-Aug-1999

【文庫】宇宙英雄ローダン・シリーズ<14>  ヒュプノの呪縛」早川書房(ハヤカワ文庫SF142)
 「ヒュプノの呪縛(Im Banne des Hypno)」クラーク・ダールトン(松谷健二訳)
 「宇宙のおとり(Der kosmische Lockvogel)」K.H.シェール(松谷健二訳)
を収録。
 火星に逃亡したオーヴァヘッドであったが、 捜索隊の指揮官デリングハウスを支配下に置き、ローダンへの最後の反撃を試みる。 彼には最後の切り札となる13番目の秘密のミュータントがいたのだ…
 双頭のミュータント、「点火装置」と呼ばれるイワン・イワノビッチ・ゴラチン登場。 ミュータント部隊メンバーで最も異形な人物の一人(グッキーjは除く)であるが、 その能力も炭素やカルシウムを核爆発させることができるという物騒なもので、 ある意味、最強のミュータントであるが、ベティ・タウフリーにつられて正道に復帰。 可愛い女の子は無敵であるなぁ、と思う。 オーヴァヘッドも小惑星帯で最後は人間らしく世を去ったかと思えば、 後半になると引き続き「宇宙商人」スプリンガー登場。 「平和な商人」と自称し、ヴァイキングを思わせる彼らが次の敵だが、 とりあえずはティフラー活躍の巻といったところ。 候補生たちの学生っぽいやりとりがなかなかよい。


21-Aug-1999

< 【文庫】「ターザン(Original Title:Tarzan of the Apes)」  エドガー・ライス・バローズ(Edgar Rice Burroughs:厚木淳 訳) 東京創元社(創元SF文庫)
 若き英国貴族グレイストーク卿がその夫人を伴って任地に赴く船で反乱が発生し、 2人は人跡なきアフリカの浜辺に取り残された。やがて2人の間に子供が生まれるが、夫妻は死亡。 しかしその遺児は類人猿カーラに拾われる。 ターザンと名づけられた彼がカーラを始めとする類人猿の中で逞しく成長した頃、 浜辺に白人の探検隊が上陸するが…
 ターザンをして、20世紀に生み出されたヒーローの中で最も名高いヒーローの1人といって否定する人はさほど多くなであろう。 なにしろ現在でもアメリカには作者バローズの住んだ街が「ターザナ」という名前で存在しているほどなのだから。
 ハリウッドにおいて数多くの映画が製作され、それによって人口に膾炙して抜群の知名度を得ているわけだが、 制作された映画は大体において原作に忠実とはいえるものではない。 類人猿の中で文明と隔絶され成長し、 人間離れした敏捷性や体力を身につけるところまではいいのだが、 知性という面があまりクローズアップされてない、というよりも「野蛮人」というイメージが強すぎるのである。
 原作においても確かに「野蛮人」であり、少年ターザンとジャングルの獣たちとの決闘など 息も付かせぬシーンもあるものの、むしろ注目すべきは 高貴な血筋に生まれながら「類人猿」として育つものの、 本当の両親の残した絵本や辞書などから英語を身につける部分、 またそこから芽生えた知性によって「仲間」の類人猿と決別して、 本来自分の属するべき「人間」を捜し求める過程、 そしてやっと現れた自分の「同族」の女性ジェーンに対する愛情と そのために苦悩してそれに立ち向かう姿勢のほうであろう。 決して単なる「密林冒険もの」ではないのだ。
 1917年に発行された小説であるから、アフリカの部族に対する偏見など、 一部で気になる部分がないではないが、 最後の最後では本来ターザンのもつべき称号と資産を持ち、 そして愛する女性すらも得ようとしている従弟ウィリアム・セシル・クレイトンに対して 潔くそれらを譲る(後にそれらを全て手にするのだが…) 20世紀初頭の基準での「快男児」の姿を見ることができ、すがすがしい。 未読の人はぜひ1度は読んでほしい作品である。
 なお、「ターザン」は早川書房からも「類猿人ターザン」として高橋豊訳が発売されているが、 創元版はバローズの訳者としては現在第一人者の厚木淳氏を起用。 固有名詞など一部英語の発音に近いものに変更したりしている。 個人的には前者のほうに慣れているのでいささか違和感がないでもない。 読み比べてみるのもまた一興かと思う。


22-Aug-1999

【文庫】宇宙英雄ローダン・シリーズ<15>  宇宙商人スプリンガー」早川書房(ハヤカワ文庫SF145)
 「宇宙商人スプリンガー(Die Flotte der Springer)」K.H.シェール(松谷健二訳)
 「パルチザン、ティフラー(Tifflor, der Partisan)」クラーク・ダールトン(松谷健二訳)
を収録。
 地球に関心を寄せはじめた異星知性体は、 銀河の通商交易権を独占するアルコン人の末裔の一派、スプリンガーだった。 彼らの意図を探るため「囮」となったティフラーとその仲間たちは スプリンガーに捕らえられるが脱走。ある氷惑星に漂着するが…
 「平和な商人」スプリンガーはテラナー…ローダンの知る 「永遠の命の星」のポジションを知るべく、「囮」ティフラーを追いかける。 知らずに囮になっている候補生チームのやりとりやチームワークもいいのだが、 同等の技術をもった敵性知性体との遭遇は初めてで、 技術より頭脳戦となってくるので、 スプリンガーとテラナーの直接ではない駆け引きが結構おもしろかった。


27-Aug-1999

【文庫】宇宙英雄ローダン・シリーズ<16> ロボット皇帝の反乱!」早川書房(ハヤカワ文庫SF149)
 「ロボット皇帝の反乱!(Der Kaiser von New York)」ウィリアム・フォルツ(松谷健二訳)
 「無限への散歩(Ausflug in die Unendlichkeit)」クラーク・ダールトン(松谷健二訳)
を収録。
 ティフラーらの活躍で、地球で捜索していた敵側工作員は 密かに侵入したスプリンガーによってプログラムを変更されたロボットだと判った。 急遽地球に戻ったローダンはテラニア全市にロボットの停止を命ずるが、 その時テラニアを始めとする世界の主要都市ではロボットの反乱が始まっていた…
 ミュータント部隊のルーキー、 双頭の「点火装置」イワン・イワノビッチ・ゴラチン活躍の巻。 ロボットは強力だが、ほとんど反則ともいえるその超能力の前ではただの鉄屑であった。 それはいいのだが、既にスプリンガーの侵入を許してるようじゃ、 まだまだ防衛体制甘いんじゃない?
 後半は強大なスプリンガーに対応すべく、 ワンダラーの<それ>の下へ赴いたローダンの奇妙な「散歩」。 スプリンガーの戦闘種族「超重族」および、謎の種族バルコン人登場。 銀河のヒューマノイド種族の父祖と自称する彼らとローダンの 奇妙な遭遇は<それ>の遊びの一環ではあるが、 銀河の全ヒューマノイド種族の父祖と称する彼らは非常に興味深い。


28-Aug-1999

【文庫】聖刻1092黒き僧正編3 戦慄の黒太子」 千葉暁 朝日ソノラマ(朝日ソノラマ文庫)
 エヌマの死によって《月狼の操兵》アビ・アルタシャールを暴走させたクリシュナは、 決闘の末、《西部の飢狼》テルガー・カムリの庇護を受けることになった。 一方、フェンとジュレ、メルの一行は《神人》の里を求め山岳地帯に分け入るが、 そこには《土》の練法師ダロトの魔手が…
 フェンの助けがあったとはいえ、あっさりと《木龍の操兵》を従えたガルンと異なり、 クリシュナが本当の意味でアルタシャールを手中に収めるのはまだまだ難しそう。 このあたり「あとがき」にもあるが、やはりかなり作者が苦労して書いてるのが伺える。 題名にもなった<黒太子>を抱えるヒゼキア御一行様は、 ガシュガルがその強さを見せ付けてくれるのがいい。 話の展開上、カッシートのような小物がうろちょろしてるのは仕方ないが、 早く<黒太子>が本領を発揮してほしいところである。


29-Aug-1999

【文庫】宇宙英雄ローダン・シリーズ<17> 燃える氷惑星」早川書房(ハヤカワ文庫SF153)
 「燃える氷惑星(Eiswelt in Flammen)」クラーク・ダールトン(松谷健二訳)
 「裏切り者レヴタン(Levtan, der Verräter)」クルト・ブラント(松谷健二訳)
を収録。
 氷惑星に残された、ティフラー達候補生たちとグッキーは、 エツタクの猛攻さらされていた。。 一方、太陽系に戻ったローダンは超重族トプトルから地球を守るため、地球を離れることができない。 苛立つエツタクはついに惑星上で原子火災を発生させ宇宙から葬り去る事を決意する。 地下に逃れたティフラーらの運命は…
 登場当初、テレパシーとテレキネシスしかなかったグッキーが何故テレポーテーションを獲得したのか 疑問であったが、「ミュータント部隊に混ざっている内に覚えた」という説明があった。 納得できるようなできないようなものだが、 作家チーム内部でも整合をとろうという意図がなんとなく見えてくる。 一見、変種のチューリップにしか見えない「半睡人」のアイディアはいいのだが、 氷惑星の原子火災で大半が滅び、地球に「移植」した連中だけになってしまった。 もう出てこないのだろうか?
 後半は、ローダンに恨み重なるエツタクを含むスプリンガー全族長を集めた 族長会議をスプリンガーのはぐれ者レヴタンを利用して、ミュータント4人を潜り込ませることで 粉砕しようという話。とどめが会議の会場に爆弾しかけるという、 ほとんどテロリストな行動だが、「やられる前にやれ」ってことなのかな?

【文庫】宇宙英雄ローダン・シリーズ<18> 忘却兵器極秘作戦!」早川書房(ハヤカワ文庫SF154)
 「神々の国(Im Land der Götter)」クルト・マール(松谷健二訳)
 「忘却兵器極秘作戦!(Die Seuche des Vergessens)」クラーク・ダールトン(松谷健二訳)
を収録。
 ゴスルの住民はアルコン人の末裔ではあったが、 スプリンガーの介入により地球の17世紀のレベルの技術と知識しかもたなくなっていた。 この惑星にスプリンガーは「神」として君臨して搾取を続けていたのだ。 惑星ゴスルのスプリンガー族長会議を粉砕したマーシャル以下4名のミュータントはグッキーと合流し、 ゴスル人の反スプリンガー組織とともにスプリンガー支配を覆す作戦を開始するが…
 技術レベルの低い惑星を異星人が「神」として統治する。 こういうプロットはSFではよくある話である。 神だかなんだかわからないとんでもない連中がぞろぞろ出てくるローダン・シリーズでも そのプロットを1度はやらなければ気がすまなかったのだろうか? ゴスル人に対してマーシャルが「神はただひとつ。それを見た者はなく、全能なのだ…」 という一神教の西洋では当たり前で、よく使われるロジックであるのだが、 どうも違和感がある。ワンダラーの「それ」に遭遇してもまだそう信じてるなら 大した信仰心があるのだなぁ、とちょっと感心する。

【文庫】宇宙英雄ローダン・シリーズ<19> 望郷の宇宙帝国」早川書房(ハヤカワ文庫SF158)
 「発狂惑星(Ein Planet spielt verrückt)」クラーク・ダールトン(松谷健二訳)
 「望郷の宇宙帝国(Vorstoss nach Arkon)」クルト・マール(松谷健二訳)
を収録。
 「忘却爆弾」を用いたトリックでゴスル星からスプリンガーを放逐したローダンであったが、 その星にはスプリンガーが極秘に開発した宇宙船が隠されていた。 その回収のためゴスルにやってきた超重族のトプトルを欺くため、 ローダンは一大トリック作戦を敢行するが…
 謎の球体生物ハルノ登場。とりあえずここでは「顔見せ」といった感じであったが。 前半部分は惑星住民総出で「忘却病にかかったフリ」をするのとミュータントをつかった トリック以外は前述ハルノの顔見せくらいであったが、 後半はスプリンガーの極秘宇宙船を奪取したローダンらがついにアルコンへと進出する、 大きな転機となっている。アルコンについたら、いきなり戦争やってるわ、 別の惑星に足止めされるわで散々な目にはあってないが、 アルコン遠征編の開幕はこんなものだろう。 まだ明示されてはいないがアルコンの実権を<大調整官>ことロボット摂政に譲りわたしたアルコンで、 かつての権力家の家柄のトーラとクレストはまたしても哀れな目にあってしまった。 なんだかかわいそうである。


31-Aug-1999

【文庫】六道ヶ辻 大導寺一族の滅亡」 栗本薫 角川書店(角川文庫)
 平安時代から続く名家、大導寺家の一人息子である静音は、 恒例の虫干しの行事で奇妙なノートを発見する。 それは彼の曾祖父の時代、大導寺を名乗りながら系図にも記されていない人物の記した、 一族を滅亡寸前にまで追いつめた事件の記録であった。 ノートを見つけた直後から静音の周りで奇怪な事件が発生し始める。 それはノートの記述と全く同じ事件であった…
 栗本薫の「推理小説」といえば、個人的には名作だと思っている「絃の聖域」から、 「どこがミステリやねん」と思った「怒りをこめてふりかえれ」までいろいろあるわけだが、 これはどちらかというと前者の系統の作品。 大昔から脈々と続く家柄の一族とその周辺で起こる奇怪な事件と、 それによって浮かび上がる人間関係を描いており、 「推理」小説というより古典的な「探偵」小説といったところか。 実は「怒り〜」で大外しされたので、栗本作品には手を出していなかったのだが、 これは面白かった。 犯人やその動機は読み進める内に分かる…というか、 道具立ては凝っているが基本的には単純な構造なので、分かるように仕向けているのだろうが、 そこに至るまでの過程がなかなか恐くてよかった。 「現代」の部分の事件がいささか「軽い」ものになってしまったので、 画竜点睛を欠くような気がしないでもないが、「旧弊な一族」という枠の中で、 おどろおどろしい一族の因縁やら、邪な人間関係やらを書かせると栗本薫もなかなかいいなぁ、 と再認識してしまう。 伊集院大介ものもいいけれど、読みやすい文章でこの手の作品を書ける人は まだそう多くはないと思うので、栗本薫にはこの系統の作品をもっと書いて欲しいなぁ、と思う。
 作品とはあまり関係ないのだが「あとがき」で 「わたしはもともとこっち側(推理小説とか探偵小説とか)の人間」 というのを表明するのはいいが、SFやファンタジーがなんだか「世に出るための露払い」的 扱いのように感じてちょっとイヤだった。 そういうつもりじゃないのかもしれないのだけれど、 グイン・サーガにも多くのファンがいるわけだから、こういう言い方しなくても、と思った。


Author : suita@terra.dti.ne.jp