STAR TREK : DEEP SPACE NINE ─スタートレック ディープ・スペース・ナイン 2nd SEASON |
#21 "THE HOMECOMING"─帰ってきた英雄 パート1
ベイジョーにおける偉大なレジスタンスのリーダー、リー・ナラスがカーデシアの収容所に捕らわれていることを知ったキラは
連邦のシャトルを借り出してリーを救い出す。英雄の帰還に沸くベイジョー人たちだったが、
DS9ではベイジョー人以外を追い出そうとする「サークル」と呼ばれる急進的な組織が動き出していた…
第2シーズンに最初はいきなり連続もので、TOSにもTNGにも例のない3話連続もの。
リーの存在やそれを利用しようとする存在など、少しありがちな展開で、3話ある余裕からか描写に随分時間をかけて、
少しのんびりしすぎでは?という感じもします。
DS9におけるベイジョー人の代表、そしてシスコの副官というポストから解任されたキラはベイジョーに降り、
バライル司教の下にいたが、「サークル」の構成員に誘拐されてしまう。
そこで「サークル」の指導者の正体と目的を知ったキラはシスコらに救出されるが、事態はさらに悪化しつつあった…
地上に降りて髪形が変わったキラが別人のようで驚きます。
バライル司教の吹き替えの声かわってるのに気付いて慣れるまで時間がかかりました。
ベイジョーにおけるクーデター計画とその裏に潜む陰謀というすごいエピソードなのですが、3連続の真ん中ということで、
少し緊迫感に欠けるような気がします。結局は3話目にすべてがかかっている、というところです。
第2シーズンの最初を飾る3部作の最終話。
ベイジョー全体を巻き込んだ陰謀によってDS9からの撤退を余儀なくされる連邦の士官たち。
しかしシスコら数名は密かに残り、機会をうかがっていた…ということで前回の続きなわけですが、
率直にいって、これだけの話に3話も費やす必要があったのか、という疑問が残ります。
邦題の「帰ってきた英雄」のもととなっている、伝説の指導者、リー・ナラスは途中と最後で見せ場をさらっていますが、
ベイジョーのクーデターとその裏にからむカーデシアの陰謀、リーの存在、DS9メンバーの活躍などが、
本来うまくミックスされているべきなのですが、どうもチグハグな印象があります。
わざわざ出てきている割に結局立場のよくわからないウィン司教などもいて、
もう少し演出やエピソードをシェイプアップして2話くらいに収めればすっきりと楽しめるものになったのではないか、
という気がしました。
クワークの怪しげな行動の後、DS9に収容された宇宙船から乗り込んできた面々はDS9士官を人質に取り脅迫を行った。
その内容はジャッジア・ダックスの共生生物の引渡しだった。しかし、共生生物を渡せばジャッジアは生命の危機を迎える…
第1シーズンの「DAX(邦題:共生結合体"トリル族")」に続く、トリル族に関するエピソードです。
「DAX」においてはホストが変わることでトリル族の存在を問うものでしたが、どうも消化不足でした。
このエピソードにおいても、結局「ダックス」がジャッジアからヴェラードへ移ったとき、
「ダックス」という存在とそのホストとの関係があいまいなまま決着を迎えた、という感じがします。
スタッフはいろいろ考えているのでしょうが、トリル族についてはわざと曖昧な部分を残しているのかもしれません。
面白い素材なので使い易くはあるのでしょうが、扱いは難しいようです。
ベシアと一緒にいたガラックはカーデシア人の少年を見かけて声をかけたが、少年は突然ガラックに噛み付いた。
少年ルーガルはカーデシアのベイジョー撤退時に取り残された戦災孤児でベイジョー人に育てられていたのであった。
そのことを知ったガル・デュカットは思わぬ親切心をみせるが…
戦災孤児、言い換えれば残留孤児というものは、最近の報道では見かける頻度が減りましたが、
日本ではかなり身近な話題でありました。そういう記憶があるのでこの話題はかなり重い話と感じました。
カーデシア人の一部の陰謀が2シーズン最初の三部作に関係しているなど、シリーズとしての関わりを感じる部分を
楽しめはしましたが、やはり基本的に「重」くて純粋に楽しむには少し遠い。
結末も少しあっさりしすぎで、もう少し突っ込むか、
むしろ割り切ってもっとあっさり流したほうが良かったのではないか、と思ったエピソードでした。
DS9に新たに配属された士官は連邦初のエレージアン星人のメローラ・パズラー少尉だった。
エレージアン星人の故郷は低重力の星で、標準とされている重力環境では非常に不自由となってしまう。
そんな彼女に興味を持ったベシアは彼女のために治療を施すが…
エピソード内での言及されていますが、一種の「人魚姫」です。
24世紀の、それもトリル人まで知っているというのはアンデルセンの凄さか、話の都合かはさておき、
何かを得るために何かを捨てるということについて、考えるエピソードであります。
派手ではありませんが、こじんまりとして悪くないエピソードだと思います。
ただ、地球人には標準の重力は強すぎるという異星人がいるように、
地球よりはるかに強い重力の星出身の連邦メンバーもいる…バルカンは確か倍くらいだったはず…のに、
何をいまさら、という気がしないでもないですが、これを突っ込むのは野暮というものでしょう。
メローラとベシアの低重力遊泳は「SFドラマ」という感じがして画面的には面白かったです。
DS9にやってきたグランド・ネーガスはクワークにガンマ宇宙域におけるフェレンギの交渉役に任命した。
そしてその任務に就く際に同行したペルという若いフェレンギ人は有能で的確にサポートするが実は…
前2話が重い話だったのと打って変わったトーンの話です。
「男尊女卑」の伝統のあるフェレンギで、本来こういうのも重い話になりそうなものですが、
なにしろ主役がフェレンギ人なので全然そういうことはなく、軽いイメージの強いコメディになっています。
最後のオチにもう一捻りほしかったところですが、全体として結構面白かったと思います。
ベイジョー人の婦人にDS9のとある場所にある思い出の品を取ってきて欲しいと頼まれたクワークは、
その品を入手したところでトラブルに巻き込まれ重傷を負ってしまう。
事件の調査を始めたオドーはかつてカーデシアの占領時代に当時テラック・ノアと呼ばれたDS9で起こった事件を思い出す…
現在の事件と過去の事件が交互に描写され、同じ場所のはずなのに全然違う雰囲気なのがなかなか面白かったです。
ストーリー的には「オドー保安主任事始」といろいろな人々とのファーストコンタクト、特にキラとの出会いが描かれたもので、
後々のことを考えるとかなり興味深いエピソードでありました。
エピソードタイトルの邦題は「殺しの密告者」と実も蓋もないもの…ST日本語版の伝統みたいなもんですが…ですが、
原題は「NECESSARY EVIL」−必要悪とでも訳せばいいのでしょうが、なかなか深い意味が読み取れて格好いいです。
シスコはフェナと名乗る女性と出会い、恋に落ちる。しかし彼女は目を離すといつも消えてしまう。
その頃、DS9ではセイエティク教授による恒星再生計画の準備は行われており、
教授に招待されたシスコはそこでフェナと瓜二つの女性と出会う。彼女は教授の夫人でシスコのことを知らないという…
主人公のはずなのに何気に出番の少なかった(ような気がする)シスコ司令官主役のエピソードです。
出会ってすぐに恋に落ちるというのは1時間枠の作品では時間の余裕がないので仕方ないのでそれはいいとして、
フェナの正体とその存在により巻き起こる危機、そしてその解決に至る手段と結末まで、
少し物悲しい展開となっています。ただ、解決手段があまりにも安直で、ひねった展開をうまく演出できなかったので、
あの方法にたどり着いたのではないかと考えているのですが、実際のところはどうなんでしょうか。
ワームホールの向こう側から出現した宇宙船は故障しており、そのままでは危険であったため、乗員を転送して救出するDS9司令部。
救い出した乗員とのコミュニケーションに苦労しつつ、彼ら(というか彼女ら)から得られた情報によると、
彼らはスクーリア人で、300万人もの同胞がワームホールを越えようとしているというのだった…
DS9には生々しい話がいくつかあるのですが、このエピソードもその類で、今回のは難民問題でした。
突如大量に現れた難民がDS9で騒動を起こすだけでなく、彼らの目標と定めた星がベイジョーであったためにさらに騒動。
難民であるスクーリア人に素直に同情できないというのが妙にリアルな演出であるという気がしました。
わざわざ連邦の領域に可住星まで見つけてもらったのに、それでもベイジョーに拘った挙句に
キラを責める女指導者が「なんなんだこいつは」とも。
ベイジョーがスクーリアでいうところの伝説の場所であることを証明する何かがあればまだよかったのでしょうが、
星系図をみていきなり「あれがそうですっ」というのは短絡的というか視聴者に対する説明義務の放棄のような。
詐欺師といわれるマータスはオドーに拘束された際、たまたま同じ部屋となった男からあるゲーム機を譲りうけた。
それで自分の「ツキ」が換わったと思ったマータスはクワークの店の前にバーを開店する。
一方、DS9ではツいてる者・ツいてない者が極端に発生し、密かにだが確実に騒ぎが広がっていた…
原題の「RIVALS」というのはクワークとマータス、オブライエンとベシアというのを表していると思いますが、
前者よりも小さな争いでですが、ラケットボールでムキになるオブライエンというのが面白くて、
そっちのほうが楽しめました。マータスはエル・オーリアン人という設定のようですが、エル・オーリアンといえば、
TNGのガイナンやジェネレーションズのソランといった面々がいますが、非常に長命で思慮深いあるいは狡猾という印象が
あります。しかしマータスはそういうエル・オーリアンの属性があまり感じられなくて、「人の話を聞く」くらいの
芸しかなかったので、地球人でもベイジョー人でも別に問題ないような。
既出の種族を出したからにはもう少し上手く使いこなしてほしいものです。
かつてオドーを研究していた科学者、モーラ博士がDS9を訪れた。
ガンマ宇宙域のある惑星にオドーに似た流動体生物らしい痕跡を見つけたというのだ。
オドーは博士らと共に惑星に赴き、そこである種の生物(のようなもの)を発見するが噴火事故に巻き込まれ、
九死に一生を得てDS9に戻る。その後、DS9は怪しげな事件が…
邦題に反してるというかなんというか全然「秘密」は明かされませんし、結局見つけたアレはなんだったんだ、
とか、一緒に拾ってきた遺跡はなんだったんだ、とかいろいろ思いました。
いろいろ考えていたのでしょうが、使いこなせなかった、あるいは使わなかった小道具が少々多すぎのような。
基本はモーラ博士とオドーの、ある種の「親子関係」の問題解決なんでしょうが、それにしても、
もう少しやり方というものがあるような。
長く対立していた2つの種族の和解が成立した。
それぞれが持っていた最終兵器「ハーヴェスター」の解体のため訪れていた
ベシアとオブライエンは、全ての解体作業が完了したと同時に武装集団に襲われる。
間一髪で地表に逃げ延びた二人だったがオブラインがハーヴェスターに感染していた…
ベシアとオブライエン主役のエピソード・
なんとも傍迷惑な動機から危機に陥ったベシアとオブライエンには気の毒ですが、
それぞれ独身と妻子持ちの二人が危機的状況にも関わらず、その談義をするのが少し微笑ましかったです。
事故として報告がなされながらも夫の癖から不合理を見出したケイコ・オブライエンと
それを足がかりに行動を開始するシスコたち、というのも良かったのですが、
やはりケイコの最後の「え?飲むの?」という台詞と表情が最高です。
遺伝子崩壊を促す最終兵器が「ハーヴェスター=収穫者」というのも皮肉ですが、
勘違いも貫けば力になる、というか夫婦関係をモチーフにした強烈なジョークが印象深いエピソードです。
ガンマ宇宙域から戻ったオブライエンは周囲に違和感を抱く。皆から疎外されているような気がするのだ。
オブライエンは彼を拘束しようとするDS9のメンバーから逃れるため、シャトルでDS9から逃げ出すが…
突然周囲の人々が反転したように疎外され、挙句に拘束されようとする状況におかれたオブライエンの
不審や焦りが十分に描写されており、異様な雰囲気と緊迫感があるエピソードですが、
最後の最後で明かされる真実には驚かされます。
TVシリーズ、それも長く続いたものであればあるほど、主要な登場人物の人格や行動、周囲との関係
というものがある程度決まってきますのでそれを逆手にとり、
SF的設定をうまく生かした好エピソードだと思います。
本物と全く同じ(「心」まで!)に作られた存在がオリジナルに向かって「愛していると伝えてくれ…」
というのもいい締めだったと思います。
植民可能な惑星調査に来ていたシスコとオブライエンは、惑星に降下したものの、
その惑星上では機械が使用不能でありシャトルに戻れなくなってしまう。
その惑星には10年前に遭難した連邦の船のクルーが機械に頼らずコミュニティを築いており、
シスコたちはそこで歓迎されるが…
エピソード開始しばらくして、コミュニティの女性リーダーの言動などから、
なんとなくコミュニティの成立についての疑惑がありまして、実際その通りだったのですが、
最後の最後で村人がシスコらと共に連邦領域に戻ることを選択しないというのが理解の外でした。
真相を知ってなお残留を選ぶ、という選択もあるでしょうが、全員が全員居残るというのは、
いくらなんでもリアリティに欠ける気がします。
TOSやTNGに比べてシビアな面の強いDS9ですから、あのように甘い結末になるとは予想外でした。
スタッフは「自然回帰=善」と位置づけており、多少狂信性があったとはいえ、
指導者の考え方が正しい、という前提で話を作っていたのか、それともある種の皮肉だったのか。
画面からは前者としてしか受け取れません。
理想のためには犠牲も欺瞞も厭わない指導者と、最終的にはそれをほぼ無批判に受け入れた村人たち。
いずれにも全く感情移入できない、後味がよくないエピソードでした。
ダックスとオドーはガンマ宇宙域を探索中、オミクロン粒子を発する惑星を発見した。
彼らが興味を抱いて地上に降下した所には村があり、その中心部にオミクロン粒子を発生させる
機械があった。そしてその村では不可思議な失踪事件が多発しており、オドーたちは調査することになるが…
はっきり言って実も蓋もない邦題でネタバレしまくってますが、それはそれとして原題の
「Shadowplay=影絵芝居」というのはいいタイトルだと思います。
村に隠された秘密と老人の苦悩、そして少女とのふれあいの中で見せるオドーの優しさ。
例えそこにあるのが幻影だとしてもそれを消し去るのは是か非か。
「ちょっといい話」に見せてなかなか深いエピソードであると思います。
ただ、DS9はそれぞれのエピソードを「横糸」とするとシーズンあるいはシリーズ全体を通した「縦糸」があり、
その部分の描写がグランドホテル形式を借りて現出したりします。
今回もシスコ親子の進路問題やキラとバラエル司教の関係などといったものが入り込んでいますが、
前者は「父と子」という面で意味がありそうでしたが、後者はこの時点ではエピソードを散漫にするだけで、
流れを阻害していたような気がしました。意味をもってくる要素なのですが、もう少し工夫があってもよかったのかもしれません。
若いトリル人で合体候補生アージンが実習のためにジャッジア・ダックスの下にやってきた。
アージンはギャンブルやレスリングが好きなジャッジアを見て驚く。
彼らのガンマ宇宙域の調査の途中、シャトルに不思議な物質が付着する。
調査の結果、それは初期状態に近い「宇宙」であった…
因果応報、というのとは違いますが、若いアージンの言動とそれに対するジャッジアの言動が、
かつてのジャッジアとクルゾンの関係にオーバーラップしていく姿がなかなか皮肉な演出になってます。
若い教師と生徒がそれぞれ対応に苦慮してうまい関係を築けない、というのは洋の東西問わない模様です。
合体したトリルはヒューマノイドのホストと共生体によって構成されるため、
原語では一人称が、例えばダックスがジャッジアのことを「She」、ダックスのことを「He」などと使い分けてますが、
日本語では全部「私」となってるので、その妙がよくわかりません。字幕の勝利。
ジャッジアとアージンの関係はさておき、「宇宙の原型」ということで、微小宇宙をどうするか考えるという、
E.ハミルトンの「フェッセデンの宇宙」を思わせる緊迫した部分が少し適当とも思える扱いになってしまい、
ネタとしては面白そうだったのに残念な扱いになっております。
DS9に故障したカーデシア船が保護された。その船に登場していた3人のうちの1人はクワークのかつての恋人、ナティマであった。
実はナティマとその教え子二人はカーデシアにおける反体制勢力の指導者であり、
カーデシアの中央司令部は彼らの引渡しを要求してきたが…
邦題の通り、クワークのロマンスです。
突然現れたかつての恋人は素気無く彼を拒絶するものの、実はカーデシアの新しい未来を構築するための活動に
その身を捧げていたため。しかし、カーデシアとベイジョーの政治的取引のためにナティマとその仲間に危機が迫ったとき、
必死になってオドーに助けるクワークの姿が印象的です。
基本的にはフェレンギは拝金主義的な存在であり、それが強調されていたために、敢えて愛のために全てを捨てようとする姿が
うまく浮かび上がっているように見えます。さらに「正義のためだ」と称して協力することとなるオドーがいい感じです。
この他、謎めいた存在であるガラックの秘密が少し明かされたような明かされないような、という部分も興味深いですが、
やはり最後のクワークとガラックの会話がいい締めになっています。
DS9を訪れた3人のクリンゴン人、コール、コロスそしてカーン。彼らは80年程前にクルゾン・ダックスと「血の盟約」を
結んでいた。しかし、彼らの前に現れたのは、クルゾンとは似ても似つかぬジャッジア・ダックスだった。
クリンゴン人たちは復讐に赴こうとするが、その時ジャッジアは…
共生生物を介していくつもの生を生きるトリル人。
ジャッジアはその共生生物ダックスを介してクルゾンその他、多くの人生の記憶や感情を持つが、
クリンゴンたちから見れば別人。しかしダックスを介して血の盟約を果たそうとする、
ということでトリルの特性を描くエピソードかと思ったら、むしろクリンゴンの元気爺大活躍、といった感じの話に仕上がってました。
それぞれが面白そうなキャラクターだったので、1話限りで退場というのは少し寂しい感じがします。
DS9に停泊していたカーデシア船が出港と同時に爆発した。
非武装地帯の連邦側代表、ハドソンと共に調査することになったシスコだが、
そこへガル・デュカットが現れ、犯人を知っているという。疑いを持ちつつも非武装地帯に赴いたシスコが見たものは…
基本的にスタートレックはある種の「御伽噺」でした。少なくともTOSとTNGの途中までは。
しかしそれ以降は政治色・宗教色など徐々にリアルな情勢を描くようになってきました。
これまでにもシビアな話はいくつかあったのですが、今回のは連邦内の一部勢力、
マキがカーデシアに対してテロを行い、連邦に所属してるシスコや仲間たちがそれを追及する、という形になり、
またさらにシビアになっています。本来、敵ともいえるデュカットを救うために同胞と争う局面に陥り、
そのいいところで前編は終わっています。
政治的決着が必ずしも末端の市民の決着には結びつかない、というのは現実社会にも往々にして存在する話なのですが、
ドラマでこういうのを見せられるとかなり重い気分になります。
誘拐されたデュカットを探すシスコたちは降下した惑星上でマキのメンバーに拘束される。
そしてそれを指揮していたのはシスコの旧友カル・ハドソンだった。
宇宙艦隊の制服を捨て去ったハドソンはカーデシアを攻撃するという。シスコは阻止しようと動き始めるが…
2話連続の後編。
本来はお互い争いたくない旧友同士が敵となり、敵といってもおかしくない存在と共闘せざるを得ないシスコ。
デュカットは自分を見捨てようとした中央司令部に報復を目論む。
それぞれが皮肉な立場で、それでもそれぞれの正義のために活動する。
とにかく全面戦争阻止はなったものの、シスコの言うとおり「(問題を)先送りにしただけ」という気配が濃厚なエピソードでした。
決して悪い話ではないのですが、前編では感じられたシビアな部分が「先送り」となった感じがあって、
もう少し深くつっこんでもよかったのでは、という気がしました。
ベシアと食事を共にしようとしていたガラックが突然苦痛に倒れる。ベシアは治療しようとするがガラックは拒否。
ついに倒れたガラックを診察したベシアは脳内に埋め込まれた装置が原因と知る。
しかしそれは絶対に取り外せないものだった…
謎めいた仕立て屋ガラック。ただひとりのカーデシア人。
今回は中毒症状を治すために治療をしたりしますが、その部分はよくある不正薬物中毒の治療を軽く描写されているだけで、
その部分はありきたりでしたが、ガラック自身が自分について、
これまでもさまざまな事柄を煙に巻いていましたが、今回は彼自身が生命の危機にさらされることで、
追放処分になった原因がついに明らか…になったのかどうかよくわからず「全て本当。嘘は本当」などと
さらに謎が増えていってしまっているような。
スタッフは敢えて狙ってこうしているのだと思いますが、謎は謎のままでも悪くないです。
ベシアとガラックの奇妙な友情も。
調査を終えてDS9へ帰還しようとするキラとベシアだったが、
ワームホールを抜けたところでクリンゴン船に拿捕される。
連行されたDS9でキラとであったのはDS9を支配するもう一人のキラだった…
TOSの頃からお馴染みのパラレルワールドものです。
「お馴染み」というよりはキラとベシアの迷い込んだ世界が、かつてTOSの
「イオン嵐の恐怖(原題:Mirror, Mirror)でカークらが遭遇した世界で、その際の干渉の
結果歴史が変わってしまった、という設定で、
DS9がTOSから始まるSTの1シリーズであることを如実に示しているところがいい感じです。
TOSでは干渉した結果、平和な世界を目指す、ということになってエンディングでしたが、
実際には勢力が衰退してしまった、というのが妙にリアリティがあります。
並行世界の存在も「こちら」の世界の存在と本質はあまりかわらないのに状況が違うと、
という展開はパラレルワールドものの醍醐味で、その点十分楽しめました。
カイ選出のための選挙を前にヴェデック・バライルは発光体からの不可思議なイメージを
見ていた。次のカイの有力候補であるバライルであったが、DS9を訪れたベイジョーへの
帰還者によって疑惑をかけられることになり…
これまでのST世界と異なり、DS9においてはトップに立つのが必ずしも善人とは限りません。
それは宗教界であっても例外ではなく、視聴者としてみたときに善人であるバライルが
とある秘密のために競争者であり、過激派とも関係のあるヴェデック・ウィンにその席を
渡さざるを得なくなる、というプロットが、STがもはや「御伽噺」でなくなったことの
証明なのかもしれません。
先代のカイであるオパカは指導力と善意に満ちていましたが、
悪意、とまではいかなくても権力欲に満ちて見えるウィンがカイとなることで、
DS9にどのような影響を与えるのか。このエピソードではそこまで描かれていませんが、
最後のキラとバライルの微笑みが一筋の光をみせているようで、不快な気分や暗い気分に
なることはありませんでした。
数年ぶりの休暇を妻と過ごすこととなったオブライエンはかつて同僚であった男と出会う。
旧交を温める暇もなくDS9を出発したオブライエンはカーデシアの船に拿捕される。
彼には重要な嫌疑がかけられており、カーデシアで裁判にかけられることになるが…
オブライエンの受難エピソード。
カーデシアにおける裁判が、容疑者の逮捕の時点で判決まで決まっている、というのは
既出のエピソードでも語られていますが、逮捕時に「死刑」と定められたオブライエンを
いかに救うのかというのがなかなかスリルある展開で描かれています。
ただ、エンタープライズをはじめ、近傍の艦を国境付近に配置して緊張感を高めているにも
関わらず、カーデシアの裁判があまりにもバカバカしく進められ、
最後のほうでその理由が明かされますが、それでも「こいつらバカなんじゃないか」と
思わせるような法廷運営というか描写が少し気になりました。
そういった意味ではこのエピソードに対して評価が低めにならざるを得ません。
あの程度で執政官だか裁判官だかになれる、というのは
「クワークの愛(Profit and Loss)」にてガラックが言ったように、
「カーデシアの人材は払底している」のを裏付けているようで少し複雑な気分です。
シスコ親子とノーグ、そしてクワークは少年たちの課題のために旅行をかねて
ガンマ宇宙域のとある惑星に降り立ったが、彼らの前にガンマ宇宙域の住人が現れた。
彼女は「ジェムハダー」という存在に追われているといい、彼女とシスコ、そして
クワークがとらわれてしまう…
これまで政治にしろ経済にしろ、あくまでベースはアルファ宇宙域であり、ワームホールの
先は未踏の世界というだけでしたが、このエピソードに至って、ついに「敵」が登場です。
それもドミニオンという存在に率いられた強力な種族ジェムハダー。
シールドをものともせず転送し、思いもよらない方法でギャラクシー級の艦すら沈める
彼らがまさに「新たなる脅威」として出たところで2ndシーズンがしめくくられています。
シーズンの締めという意味ではいい感じで緊張感が高まっていますが、単一のエピソードとして
みた場合、クワークが人類の歴史上における問題点を指摘して、シスコがそれについて
一言も言い返せなかったのが興味深いです。
これまで金儲けしか興味のないという面が強かったフェレンギの別の面が見えてきてるのと、
人類はただ高潔なだけではない、というダークサイドも描こうという意図があるのかもしれません。