STAR TREK : DEEP SPACE NINE ─スタートレック ディープ・スペース・ナイン 4th SEASON |
#73 "THE WAY OF THE WARRIOR"─クリンゴンの暴挙
DS9の近傍に突如クリンゴン艦隊が現れた。DS9に上陸した彼らの真意を知るべくシスコは艦隊唯一のクリンゴン、
ウォーフ少佐を呼び寄せた。ウォーフはあらゆる方法を用いて調査を行う。その結果得られたクリンゴンの真意とは、
彼らが可変種に支配されたと信じるカーデシアを武力制圧することだった。
シスコは情況を打破すべく活動を開始するが…
第4シーズンの最初は2話分使った(枠によっては前後編)エピソードで、第3シリーズの最終話で
「我々はどこにでもいる」という言葉を残して死んだ可変種の言葉を伏線として、
アルファ宇宙域における大規模な情況変動が描かれています。
TOS時代はいざ知らず、TNG以降骨抜き、といってはいいすぎかもしれませんが、
名誉を声高に口にするものの、どこかコメディリリーフ的な存在に堕した気配すらあったクリンゴンがついに立つ!
ということですが、これまでの経緯からクリンゴンらしい単純さから来たのではないのでは…という
雰囲気がありありと感じられます。狙ってるんでしょうか。それはそれとして連邦と同盟関係にあったクリンゴンが
カーデシア、そして連邦とも対立することでアルファ宇宙域の情勢が不安定となる、ともなると
全体に緊迫した感じが流れます。そんな中、TNGよりウォーフがゲストではなくレギュラーとなってDS9に登場し、
いっそうシリーズとしてのリンクが強まったように思います。
どうにか最悪の事態は回避するものの、不安定な情況は変わらず、今後の展開に影を落とすことになるわけですが、
このエピソードではなんと言ってもクリンゴンの大艦隊が圧巻です。
CGをフルに活用したバード・オブ・プレイですが、数十隻もあると物凄いものがあります。
ある雨の日、森の中の家にいる老人。それは小説家として名を成したジェイク・シスコだった。
彼を訪れた作家志望の女性に彼が筆を絶った理由を語り始める。それはジェイクが18のときに失った父ベンジャミンに関わることだった…
アバンタイトルで多少は未来風な装置があるものの、普通の家にいる老人が彼を訪れた女性に「ジェイク・シスコ」と
言われて驚いたのも束の間、「18の時に父を失った」というつかみから始まるこのエピソードですが、
なんといっていいやら言葉が難しいのですが「なんといういい話だ!」というのが主な感想となります。
ワームホール内の現象を調査していたディファイアント内部の事故でシスコは亜空間に飛ばされ、
ジェイクの生涯の中で数度しか出現できなくなっている、というSF的設定がうまく生かされています。
少年から大人そして老人へと徐々に成長あるいは年老いていくジェイクと変わらない父ベンジャミンの会話がなんとも切なく、
二人の間の親子の愛がなんとも染み入ってくる「いい話」です。正直な所、不覚にも泣きそうになりました。。
最後の最後で明かされるジェイクの真意と決意、そしてその結果の「second life」を受け入れるベンジャミン。
原題の「THE VISITOR」がいろいろな「掛詞」となっていて、その味わいもすばらしい。
外国、特にアメリカの「親子もの」のエピソードはなかなか難しいものですが、これは掛け値なしにすばらしいエピソードでした。
ガンマ宇宙域の調査から戻る途中のベシアとオブライエンはある惑星上に難破船から出される磁力線を感知してそこへ向かう。
しかし、そこにはジェムハダーが待ち構えており、二人は捕虜となってしまう。
ジェムハダーの指揮官はベシアに思いも寄らぬ申し出をしてくるが…
ガンマ宇宙域で捕虜となるベシアとオブライエンのエピソードと並行してDS9内の保安体制を巡り、ウォーフがオドーのやり方に
疑問をはさむという二重の構成となっています。立場が違う二人がそれぞれの考えによりすれ違い対立する、
という面は共通していますがあまりにも情況が違いすぎてやや散漫な感じになっている気がしました。
基本はベシアとオブライエン、そしてジェムハダーの流れとなるのですが、
これもまたミクロとマクロの考えの差があって、最後はカタストロフに陥るとなるわけですが、
1エピソードでは少し消化しきれてない感じです。
かつてベイジョー人捕虜の移送を任務としていたカーデシア艦が行方不明になっていた。
その船の痕跡が発見され、キラは探索に出発しようとするが、ガル・デュカットが同行を求める。
デュカットにはある目的があり…
ドミニオンの出現ということもあるのですが、和平協定を結んでからカーデシアとベイジョー関係のエピソードは
どうしても影がうすくなりがちなので、この手のエピソードが随分久しぶり、という印象を受けました。
今回は占領下におけるカーデシア人とベイジョー人の関係とそこから派生した結果が問題になるわけですが、
なんとも難しい話で盛り上げようとすればもっと盛り上がりそうなところですが、
随分あっさりとまとめてしまった、という感じでした。
トーラ・ジヤルという存在はこれからちょくちょく出てくるわけですが、こんなあっさりしたのが初出だったかな。
人工的なワームホールを作る実験のため、トリルから科学者チームがやってきた。
シスコはダックスに休暇を薦めるが、それは科学者チームのリーダー、カーン博士がかつてダックスの妻であり、
ホストが変更された後に再び恋愛関係となるのはトリルの掟に背くことになるからだった…
TNGで初めて登場したトリル族ですが、その時はホストが替わっても(性別すら替わってましたが)平気で
前のホストの時の恋愛関係を続行しようとしました。しかしDS9となるとそれが変更されたのか、
それともトリル同士では不可なのか、そのあたりがよくわかりませんが、突然禁忌が追加されて戸惑ってしまいます。
ベクトルはTNGの時とは違うのでそれなりのドラマにはなっていますが、TNGがホストが替わることで相手となる
地球人が戸惑うというものだったので、我々にもわかりやすかったのですが、このエピソードでは、
トリル同士の再恋愛ということがいまいち伝わってこなくて分かりにくかったです。
いよいよノーグが艦隊アカデミーに入ることとなった。折りしも従兄弟から船を手に入れたクワークは、
ロムとノーグとともに地球へ向かう。しかしその船には罠が仕掛けられており、その結果、クワークたちは
1947年のアメリカに飛ばされて現地の軍に捕らえられてしまう…
タイムスリップネタですが、今回はレギュラーの中で活躍するのがクワークら異星人だけで、
それも舞台が過去の地球ということでメインの視点が結構異なってみえる、ということでしょうか。
シスコら、見るからに地球人が登場して救出、となると安直で退屈、といいたくなりますが、
今回はクワーク家の面々が口八丁手八丁で情況をどうにかしようとし、さらに幾分戯画的なところのある頑迷な軍の連中が
事態をややこしくしていいて「ファーストコンタクト」というのをかなり笑える「X-Files」のパロディとして
仕上げています。こういうアホらしい(ほめてます)エピソードも肩の力入らなくて楽しめます。
カレマ人との貿易に関してガンマ宇宙域に赴いたシスコらであったが、突然ジェム・ハダーの攻撃を受ける。
その攻撃の結果、ディファイアントは重大な損傷を蒙り、シスコは負傷、ダックスとベシアはターボリフトに隔離されてしまう。
センサーも映像装置も働かない惑星の上でジェム・ハダーとの静かな戦闘が始まる…
「潜水艦もの」?という感じのエピソードで、TOSやTNGでも似たような感じの話があったような気もします。
極限状態の艦内での軋轢、じわじわと迫る敵軍ということで非常に緊迫した話なのではありますが、
時間的制約、例えばあと何時間かで船が圧壊、とかいうのがカウントダウンされればもっと盛り上がるのですが、
そういう描写があまりないので画面からの緊迫感はいまいちでした。
もっと画面を暗くして閉塞感を表せばもうすこし怖くておもしろかったような気がします。
DS9を訪れていたコールは驚くべき話をした。
クリンゴンの初代皇帝カーレスの剣の手掛かりを掴んだというのだ。
ダックスとウォーフを誘いガンマ宇宙域へ向かった3人は首尾よく剣を手にするが…
光年単位を越えた領域を持つ星間帝国を築き、レプリケーターによるほとんどの物質を生成できるほどの
科学力を備えた存在でありながら、1000年以上も前の象徴的な剣をもってしてしか民族の統一ができない、
という情況を時代錯誤と見るか、魔法に近い科学力を持つからこそ「本物」に拘るのか微妙なところです。
冒険の果てに手にいれた剣を巡って争いを始めるコールとウォーフがあまりにもいつもの彼らと異なっている
…コールについてはまあこんなキャラかもしれないとは思いつつも…ので、
スタートレックにも時々でてくるオーバーロード種族の介入かあるいはある種のウィルスによる戦闘衝動の膨張などの
理屈が付くものかと思ったらダックスにあっさりやられてから目覚めたらあっさり元に戻っていたので拍子抜け。
名誉欲の果ての争いとは…あまりに人間的すぎます。
ホロスイートのプログラムを愉しんでいたベシアのところにガラックが現れた。
一方、シャトルにてDS9へ帰還しようとしていたシスコらは転送された際のトラブルで
ベシアのホロスイート・プログラムの人物として取り込まれてしまう…
まず、アバンタイトルのガラックのタキシードコスプレで笑ってしまいました。
そして「1964年の英国情報部員」役になりきってるベシアにも。
転送事故により実体化できずにDS9のコンピュータメモリになってしまったシスコらが
ベシアのプログラム上の存在と同化(というか上書き?)されて、プログラム上のこととはいえ、
彼らを殺せば実体化不能となってしまうという、よく考えると物凄いシリアスな話のはずなのですが、
全編通しての007パロディ色が強すぎてコメディ以外の何物でもありませんでした。
最後の最後で「Jashir (中略) WILL RETUEN」で締めるところはコメディとしてよく考えられていたと思います。
こういう軽い話もたまに入ると結構楽しめます。ベシアとガラックはいいコンビかもしれません。
素っ頓狂な邦題をつける日本語版スタッフですが、今回のサブタイトルの付け方はなかなか良かったと思います。
ガンマ宇宙域へと続くワームホールが不自然な開閉を繰り返す。
折りしも可変種の仕業と思われるテロが発生し、可変種の対策のため、オドーと共に地球に呼ばれた
シスコは旧知のレイトン提督に地球の保安担当となるよう命じられる…
セクター001、連邦の中心である地球に可変種の魔の手が忍び寄る…ということで、
安全な後方と思われた地球ですら危機に瀕する、という筋立てで、連邦内部が疑心暗鬼に陥ってたりします。
よく考えると、TNGの「CONSPIRACY(邦題:恐るべき陰謀)」の時に艦隊首脳たちが乗っ取られてド偉いことになった
ことがあったなあ、ということを思い出し、それからほんの数年しか経ってないのになんだかのんびりしているなあ、
という多少の違和感を感じました。
大統領がいくら平和時に選ばれたとはいえ、ロミュランもいればカーデシアもいる、さらにガンマ宇宙域の件など
問題が山積しているのにいくらなんでも平和ボケしすぎでしょう。
最後の最後で戒厳令が発せられますが、地球全土に派遣できるほど艦隊士官というのは多いのでしょうか?
可変種の脅威の前についに地球に戒厳令が発せられた。
地球全土の停電とその復旧が進む中、シスコとオドーは不可思議な転送ログを見つける。
それは今回の事件の真相に迫る手掛かりだが…
戒厳令が発せられた地球。サブタイトルの「PARADISE LOST」−失楽園という名が示すように、
武器もなにも必要でなかったある種の「理想郷」であったはずの地球が武力による保護を必要とし、
結果的に「楽園」ではなくなったということなのですが、画面からの描写では人々は思ったよりのんびりしていて、
少々緊張感に欠けるような気がしました。
そうしておけば、戒厳令下にも関わらず店を開けて普通の生活をしようとするシスコの父ジョセフの姿とが
良い対比となって話的にも盛り上がったように思います。
陰謀の真相などうまく使えばかなり面白い話になったような気がしますが、最後の最後があっさりしすぎて
かなり勿体ないと思いました。こういう展開とオチならもう少しエピソードをシェイプアップして1話で収めた方が
スピードと緊張感が盛り上がってよかったのではないでしょうか。
DS9にベイジョーの首相、シャカールがやってくる。テロリストの暗殺予告を受けてオドーとウォーフは警備を強化する。
そんな中、仲の良いキラとシャカールを見たオドーは…
「crossfire」すなわち「十字砲火」ということで反政府組織とかカーデシアの反動勢力とかとの丁々発止の政治劇かと思いきや、
ある意味もっと「激しいやりとり」が行われた回でした。厳密には「やりとり」というのは少ないのですが、
種族の違いと自分出自ゆえに自分の思いを素直にいえないオドーの心情が伝わってくる切ないエピソードであります。
「ジェラシー」という邦題は少し直接的に過ぎるような気もしますが、オドーの心の多くはそれが占めているのは確かなので
強ち外れてはいないというところでしょうか。ウォーフと気が合いそうだったり、どちらかというとバルカン人系だった
オドーがやるせなさから自室で暴れるのところがなんともいえず悲しい。
それから、何気にオドーを思いやるクワークがいいです。いつもいがみ合っているようでもいざとなったら、
というキャラクターはお約束ですが、やはりおいしいキャラです。
戦争状態にあるカーデシアとクリンゴンの情況を話し合う会議に参加することになったキラを迎えにきたのはデュカット。
彼はベイジョー人との間に生まれたジヤルを処理できなかったため輸送船の船長に左遷されていた。
会談の場の星域に到着した彼らはそこがクリンゴンに破壊されたことを知るが…
ジヤルを受け入れたことで母に縁を切られ、妻子は去り、挙句に左遷されたデュカット。
しかし残ったジヤルに癒されて平穏な日々を…というわけもなく、辺境の輸送船船長という地位にいながらも、
復権の機会を狙っているというのは追い詰められた悪役っぽいですが、何故か妙に前向きに見えるのは不思議です。
ある意味お手本にすべきなのかな、と思う私は平サラリーマンなわけですが、それはそれとして、
強大な敵であるクリンゴンを前にして歴史的経緯を越えて協力を持ちかけるデュカットの姿は思ったより真摯であり、
それを拒絶するキラのほうが頑な、という印象がありました。
それにしても普通なら「悪役」な種族というかキャラクターが独自で歩き出すというか、
それぞれ主役が張れるほどになるというのはDS9という作品の懐の深さでしょうか。
DS9にやってきたクリンゴン人。それはウォーフの弟カーン。
ウォーフがガウロンに反抗したため、カーンは最高評議会の議席を失い、事実上の放逐状態となったのだった。
カーンは名誉ある死をもたらすようにウォーフに頼むが…
なんというか、ものすごく後味の悪いエピソードでした。
名誉か命かに肉親の愛情というバイアスかけて、秤に載せると…ということになっていて、
最後の決断が命は救うが記憶も過去も失うという結果になってしまいました。
クリンゴンが「名誉」を重視し、命を軽んずるというのはこれまで幾度となく描かれていますが、
後者を重んじたのはいいけど結局だれも幸せになっていないような気がしました。
いつか思い出すかもしれない、という希望はないでもないですが、
「武士の情け」という言葉のあるわが国においてはなんとも割り切れないエピソードだと思います。
ベイジョー人の浄化の儀式のため、クワークの店の儲けは極端に落ち込んだ。
その結果、クワークはロムら従業員の給与を下げると申し渡した。ロムはそれに反発し「組合」を作るが…
コメディともシリアスとも取り辛い、少々判断に困るエピソードでした。
労働組合という組織がフェレンギにおいてタブーなのは分かりますが、それを組織させないというのが
経営者の技能として取り入れられててもよそそうなものでして、それに触れないFCAというのも片手落ちというか。
ただ、これまでうすのろというイメージの強かったロムが兄に反抗して組合を組織して、
要求貫徹を行う姿勢、そして最後の決断などはこれまでの溜飲が下がるような気がして爽快感がなくもなかったです。
ワームホールから突然現れた数百年前のベイジョー船。その船に乗っていたのは200年前の詩人であり、
彼は自分こそが「選ばれし者」だというが…
ベイジョーにおける「選ばれし者」は「聖なる神殿を見つけ、予言者たちと出会う」という前提のものであり、
これまではワームホールを発見したシスコがそうだとされていましたが、ここでは200年前のベイジョー人が
先に予言者と出会ったといい、2人の「選ばれし者」が並存してしまいます。
しかしシスコがその資格を譲ったことからベイジョーに新たな混乱が…ということなのですが、
「選ばれし者」アクレムがある種の身分制を復活させようとして露骨に反動勢力にように描かれているのが
少し気になりました。45分ほどの作品ではある程度のステレオタイプにしないとまとまらないのは十分分かりますが、
一般ベイジョー人の困惑などをもう少し挿入したほうがわかりやすかったように思います。
ワームホールにてカイ・オパカの姿をした「予言者」がシスコに「あなたはベイジョーに属している」というのは
なかなか深いです。この時点ではわけわかりませんが。
ウォーフを襲う悪夢。それは任務中にクリンゴンの非武装輸送船を沈めてしまったという後悔によるものだった。
クリンゴン側は連邦に対し、ウォーフの引渡しを求め、DS9において審議が行われることとなった。
おなじみ「法廷もの」ですが、それぞれの証人が証言をする際に「回想シーン」を思わせる情況で
普通に証言をする、という画面構成が舞台的な演出法とでもいいますが、なかなか変わっていてよかったです。
ただ、肝心の法廷闘争のほうは、クリンゴン側の代表の言動や、そもそもウォーフが裁かれる原因となった事件の
ありようがあからさまにクリンゴン的ではなく、妙に違和感がありました。
どちらかというとロミュランとかカーデシアのやりそうな手法であったため、
事件の真実が却って遮蔽されていたのはわざとかそれとも単に手違いかよくわかりませんが、
「名誉」とか声高にいってればクリンゴンという描写がやや単調でした。
牢獄に捕らわれ20年が過ぎたオブライエン。しかしそれは誤解からオブライエンに植えつけられた記憶だった。
偽りとはいえ20年の生活と現実世界のギャップに苦しむオブライエンの前に現れたのは…
現実と仮想の二つの世界のギャップに苦しむ…ベトナム戦争後、このような兵士あがりが多く出た、
という話を聞いたことがありますが、少しそれを思い起こさせます。もっともそちらは実体験からくるものであり、
オブライエンの場合は刑罰として与えられた記憶。いずれにしても恐ろしい「記憶」によって
実生活に影響が出るという意味ではかなり悲惨なことです。
ある意味楽天的であったTNG以前のSTAR TREKならベシアあたりが治療法を開発したりしそうなものですが、
あえてその手段を採用しなかったところがDS9らしいといえると思います。
しかしベシアは科学的ではないにしても、家族とすら上手くやっていけなくなり、最後に死を選ぼうとしたオブライエンを救いまして、
だからこそ感動は大きかったように思います。「友達じゃないか」…いい言葉です。
自室に戻ったジェイクの前にいた女性、それは並行世界のジェニファー・シスコだった。
母ではないが、母とそっくりな女性を前に舞い上がるジェイク。
しかし、ジェニファーがジェイクとともに並行世界へ赴いたことでシスコは彼らを追うことにたった。
なんとも便利な並行世界だなあ、というのが感想です。
DS9では都合3度にわたり同じ並行世界と行き来しており、ここまでくると並行世界も一種の「探索先」として
連邦や各種勢力が手を伸ばすんではなかろうか、という疑問が湧いていきます。
シスコらが秘密にしているのかもしれませんが、こうも頻繁に行き来するとありがたみがないというか反則というか。
ジェニファーとの2度目の別れ、激しい宇宙戦闘などいろいろ見るべきところはあったのですが、
便利なカードも使いすぎると効き目が減ってしまい、感動が減少してしまうというところでしょう。
ただ、並行世界のクリンゴン…あちらのウォーフ初登場…はこちら側のよりも猛々しく、TOS時代のクリンゴンを思わせます。
というか、こっちのほうが「らしく」ていい感じがするのは私だけでしょうか?
プロムナードで人物観察をするジェイクの前に現れた一人の女性。彼女に誘われ、ジェイクは作品を仕上げていく。
一方、オドーの所に現れたラクサナは夫に追われているといい…
DS9に2度ばかり現れたラクサナはその度にオドーを追っかけまわしていましたが、
いつの間にか結婚していた…ことよりも妊娠していたほうが驚きます。ベタゾイドってすごい。
話としては怪しい女性に誘われるジェイクとラクサナのために尽力するオドーという2つのエピソードが並行していますが、
特にリンクすることもないのでややチグハグな感じをうけました。
ただ、ラクサナとの結婚式に際してのオドーの演説はなかなか心情がこもっていてよかったです。
しかし、オドーというのはつくづく恵まれない星に支配されているようで、哀れというか同情したくなるというか。
連邦からカーデシアへレプリケーターが供与されることとなった。
マキの暗躍が予想され警備が強化されるが、DS9にマキのメンバーがいるという疑いが持ち上がった。
そしてそれはイェイツ船長だった…
エディングトンがついに本格的に活動開始。最初の時点でどうも胡散くさいキャラクター造形がなされていましたので
そう驚きはないものの、TNGの"Coming of Age"(邦題:宇宙戦士への道)に登場したレミック少佐のような例もあるしな、
とほんの少し期待はしてたのですが、まあこんなものでしょう。
相手が相手なので仕方ないのですが、このエピソードのシスコはいつものように果断とはいえず、
感情に流されすぎているような気がして少し興ざめです。
ある意味リアルなのかもしれませんが、シスコがエピソードの最後でエディングトンに対したとき、
エンディングトンの方が少なくとも口げんかには勝ったような印象があり、
シスコだけでなく全体にレギュラーメンバーが調子悪かったような感じです。
DS9へ帰還したシスコらが見たのはパイロンの破壊されたDS9の姿だった。
それは突如出現したジェムハダーの仕業であり、シスコはディファイアントにて追撃を開始する。
そしてガンマ宇宙域で出会った別のジェムハダーは彼らを裏切者と呼び、追っているというが…
ドミニオンの創設者に絶対の忠誠を誓っているはずのジェムハダーの反逆、ということで
いよいよガンマ宇宙域で大規模な変革が起こるのか、と見せかけて思ったほどではないというやや判断が難しいエピソードです。
「ゲイトウェイ」という武器を入手して反逆を試みるのはいいとして、ジェムハダーは一部の例外を除いてケトラセルホワイトがないと
生きていけないわけで、しばらくほっとけば死滅するからそんなに大騒ぎしなくても、という気がしてなりませんでした。
そのあたりの説明が不足しているのでどうもしっくりこないエピソードでありました。
ガンマ宇宙域を探査していたキラ、ダックスそしてベシアは救難信号を感知して、その惑星に向かう。
その星には謎の病が満ちており、誰もそれから逃れられないという。ベシアは彼らを救うべく活動を開始するが…
ベシア主役のエピソードで、彼の使命感というものが描かれます。
使命感とハッピーエンドだけで終わらないDS9の例に漏れず、ある種の希望は得られますがそれも完璧ではなく、
みんな直ってめでたしめでたし、ではなく少し苦いエンディングとなっています。
一度は失敗し、冷たい目で見られながらも必死に治療法を見つけようとするベシアの姿は前向きで、
躓きかけても激励してくれる仲間がいるというあたりの描写もよかったです。
フェレンギナーから戻ってきたクワークは不自然なほど陽気だったが、実は不治の病の宣告を受けていた。
先物取引に自分の遺体を売りに出したところ、破格の値段でヒキがきたので彼はそれを受けるがそれは
FCAのブラントによるもので、期日通りにクワークの体をよこせというが…
DS9版「ヴェニスの商人」かと思ったら、ちょっと違うけど「賢者の贈り物」というか、
「ちょっといい話」になってました。
フェレンギ人同士の話なので連邦及びベイジョー関係者は口を挟まないということでしょうか。
そのかわりにオブライエン夫妻の赤ちゃんをキラが引き受けることになったりという話が挿入されてますが、
やや突然すぎる感が否ませんでした。もっともキラ役のNANA VISITORが妊娠したのでそれにあわせたという話を
後で聞いてなんとも言い難い気分でした。
それはそれとして、全てを失ったと思えたクワークのところに続々現れて援助しようとするDS9クルーは
「ありがち」といえばそれまでですが、なかなか爽やかでありました。
突如体調を崩すオドー。分子変動が激しくなり人間型を保つのが困難になっていたのだ。
彼を救うため、シスコらはガンマ宇宙域に赴き「創設者」を探すが…
4thシーズンファイナルエピソード。
久しぶりにガウロンが出てきてアルファ宇宙域が緊張状態にあるとか、ガンマ宇宙域のドミニオンが居て危険満載ということを
思い出させてくれます。その割には何の躊躇もなくドミニオンに接触しようとするDS9クルーが少々脳天気に見えなくもないですが、
それだけオドーが大事なのだと好意的に解釈するようにしています。
ただ、ポジションは分からなくてもドミニオンの支配者である創設者の本拠地に武装状態でいるのならば、
ガラックでなくとも攻撃を加えようと思う連邦士官の一人や二人出てきてもよさそうなものですが、
妙に皆行儀がよい。少なくともウォーフはちょっとは迷うかと思いましたが。
オドーは「偉大なつながり」に「罰」を受けて人間になってしまいますが、「固形種」としては
そのデメリットが少々分かりにくかったりもします。