父、母、夫、私の4人家族。
昼食は両親を交え4人での食事。 夕食は夫婦のみの食事である。 昼食は忙しい農作業の合間にサッと食べる、味には保守的な両親のことを思った料理。 夕食は夫婦でゆっくりと酒を呑みながら食べるので酒の肴でもある料理だ。 二つの台所を行き来し、二つの食事の傾向を行き来している。 |
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2003/9月 | |
●色のついた料理の名前をクリックすると作り方のページに進みます | |
生のタコの刺身に塩コショウとオリーブオイルをふりかけて食べるのは旨いです。 |
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9月1日 | ひる |
9月になった。気づけば日も短くなっている。秋が来るのだ。たまらないほどの暑さを経験しないまま秋が訪れるというのは、さみしいものだ。夏の暑さの蓄積があるからこそ長い冬を越えられると思い込んでいる私にとっては、この先が不安である。 |
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「そうめん瓜」をご存じだろうか。冬瓜ほどの大きさの瓜で、中がなんと「麺状」になっているのだ。実家の母の田舎で小さい頃によく食べた私の大好物だ。もう一度食べたいと思いながらもあれ以来出会ったことがなく、東京はもちろん群馬でも誰も知らなかった。その「そうめん瓜」を近所に住む農家の人が持ってきてくれた。
嬉しい。「生きているといいことあるよな」というほどに嬉しい。 |
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9月2日 | ひる |
今日は蒸し暑い。例年、残暑には辟易するものだが、暑さをほとんど体感していないこの夏だったので「残暑だ残暑だ!」と大喜びである。 |
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よる |
午後、来客があり畑へ出向くことができないお母さんの代わりに、久しぶりに畑へ行ってみた。茄子の木は乾き気味で疲れが出ているようだ。それでもたわわに実っている。 |
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9月3日 | ひる |
5時に目覚めてしまった。せっかく起きたので庭に出てみると、薄くもやのかかった朝日に照らされている朝顔のなんと美しいことか。朝顔はこのくらいの時間に見るのがいいのだな。朝早くに起きるようになりたいものだ。個展のたび、40代や50代の先輩作家さんたちに「早く起きて午前中に制作するのがいいのだよ」と言われ、夜型の私には「それは難しい」と思っていた。ところが最近、早い時間に目が覚めることが増えてきた。歳をとってきたからだと思うのだが、なかなかいいものである。このままじっくりと自然に早起きできる人間になれるのだろうと期待している。 |
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東京へ行くと必ずといっていいほど立ち寄る『酔娘』という店がある。店というのは大嘘で、実際は友人の「ようこ」ちゃんの家である。趣味がよく居心地のよい室内や、彼女がさらっと作る料理や酒の旨さがまるで店のようなのである。先日その『酔娘』で出されたものをまねて作ってみた。 |
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9月4日 | ひる |
先日、東京の友人宅で宴会があり、参加者それぞれが台所を借りて料理を作った。使い勝手や道具の違う台所で料理をするのは、やりにくいようでいて実は新鮮で楽しい。いつも同じ場で作っていると「いつものようにこうしなくては」などと頭の中が固くなり体の動きも固くなるのだが、たまに違う場で作ると臨機応変になり、頭と体の動きが柔らかくなるように感じる。守備範囲が広がるような、フットワークが軽くなるような、閉じていたものが開くような、すがすがしい感触がある。そしてその感触はしばらくの間続くのだ。 |
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●茄子とトマトのスパゲッティ(参考●ホタテとエビのさっぱりしたトマトソーススパゲッティ
) ●きゅうりとみょうがの酢のもの(参考●きゅうりとキャベツとみょうがの酢のもの) |
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9月5日 | ひる |
早起きし朝顔を眺めた後、繁っている大葉を摘んだ。大葉を活用するこの料理を作る。カラッと晴れた暑い日なので、さわやかなこの料理が似合った。 |
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よる |
朝顔と夕顔の生長が著しく、その重みで垣根がグラグラとしている。この先どう対処しようかと思いあぐねる。今が7月や8月であれば、高さ2メートルほどの垣根の先端を軒先につなげて棚のようにしてみたい。でも、もうすぐ秋が来て朝顔も夕顔も枯れてしまうのかと思うと、そんな壮大な計画を実行するところまではいかない。食卓にも秋の風が。サンマの登場である。 |
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9月9日 | ひる |
お父さんが牛肉を3キロ買ってきた。要望によりねぎと一緒に煮る。はじめのうちは牛肉を煮て食べることに抵抗があった。こんなにいい肉は塩コショウでサッと焼いて食べた方がおいしいのに…と心の中でつぶやいていた。しかし、近頃ではそんな自分のこだわりも薄れてきた。人が食べたいと思うものを作るというのが快いのだ。 |
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テレビ東京で『男はつらいよ、48作大放送』というのをやっている。放送のある日はお母さんに「寅、録っておくれ」とビデオ録画を頼まれる。そうして録ったビデオの数が20本近くたまっている。我々も試しにひとつ見てみると予想を越えて楽しめた。それ以来、食事時に寅のビデオを見る日々だ。 |
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9月10日 | ひる | ●そば(夏の薬味) | |||
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大相撲秋場所が始まっている。あいかわらず横綱の朝青龍に冷たい目が向けられているようだが、なぜだろう。品格が問題だのととやかく言う前に、まずは横綱を敬ってみてはどうか。…なんていうことを酒を呑みながら話す夕食だ。 |
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9月11日 | ひる |
こともあろうに、夫が床屋で「タコ社長みたいにしてくれ」と言って髪を切ってきた。お母さんは笑いをこらえた不思議そうな顔で夫をじろじろと見つめている。私はあの髪型を見るとどうにも悪態をつきたくなってしまう。「おい、こらタコ」 |
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●かつおのたたき(夏の薬味) |
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9月12日 | ひる |
隣町の養鶏所から卵をもらった。驚くほど小さい。普通の卵と繭玉の中間ぐらいの大きさだ。これは、若い鶏が鶏の一生において初期に産む卵だそうだ。これまで考えたこともなかったが、言われてみればそうなのだろう。 |
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よる |
今日は図書館で『男はつらいよ』の第一作目を借りてきて見た。今から34年前の作品だ。さくら役の倍賞千恵子が驚くほど可愛く美しく、一瞬見ただけで涙が出てきた。美しいものは涙腺をゆるめるものだ。 |
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9月13日 | ひる |
S家へ着き、お父さんに「今日は何がいいですか」と尋ねると「牛肉でいいよ」という答えが。毎度毎度同じものを作って食べている。 |
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よる |
厳しい残暑が続いている。おかげで、畑のいんげん豆や茄子が活気を取り戻し、収穫量が増え品質もよい。 |
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9月19日 | ひる |
「敬老の日」も過ぎ、もうすぐお彼岸だというのに残暑は厳しい。おかげで茄子やいんげん豆がこれでもかとばかりに大量に収穫できた。忘れていた夏を取り戻したかのようだ。 |
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よる |
生のまぐろが500gで100円。といっても刺身を取ったあとの血合いやアラの部分である。なんとか形を整えて、竜田揚げにした。残りはしょうがと醤油で煮た。 |
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9月20日 | ひる |
長いこと残暑が続いていたが、今日は手のひらを裏返したかのように涼しくなった。涼しいどころか寒いくらいだ。早くもホットカーペットやフリースのお世話になる。暑さ寒さも彼岸までというが、まさにそのとおりだ。 |
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よる |
大相撲放送を見ながら「ちゃんこ鍋」の料理本を眺めていた。数々の「鍋」の写真を見ているうちに、むしょうに食べたくなってきた。秋の味覚を先取りだ。 |
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9月21日 | ひる |
●牛肉の姿はないけれど牛肉味のじゃが芋と昆布の煮もの+いんげん豆 ●きのこのオムレツ ●ぬか漬け ●みそ汁(じゃが芋・にんじん・みょうが・わかめ) |
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よる |
大相撲秋場所も今日で千穐楽。この時期になると午後6時には外は真っ暗である。今年は茄子を酢醤油びたしにばかりしていたが、こう寒くなってくると気が進まず、秋らしい茄子の食べ方を考える。 |
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9月22日 | ひる |
朝起きると肌寒い。ストーブをつけた。 |
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よる |
台風一過。しっかり雨の降った後の晴天の今日は、さわやかな風が吹き、東西南北の山がくっきりと姿を現している。山の細部までよく見えるので、どの山もとても近くにあり、迫ってくるようだ。台風の影響か、変わった形をした雲が所々にあり、神業のような見ごたえのある風景だ。外にいるのが楽しい一日だった。 |
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9月26日 | ひる |
数日降っていた雨が上がってよかった。今日はお彼岸の墓参りの日なのだ。お彼岸の墓参りには団子を持ってゆく。上新粉で作った直径2センチほどの団子だ。これを墓石の上に供えてゆくのだ。50ばかり並んだ墓石の上に、白くて小さな団子がちょこんと載っている光景は微笑ましい。 |
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よる |
今度は福島からサンマが届いた。まずは刺身である。 |
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9月27日 | ひる |
残りのサンマを煮た。新鮮なサンマは煮て食べてもさわやかなおいしさがある。 |
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よる |
大根の煮ものが登場するようになると、秋や冬の訪れを覚悟しなければならない。寒いのは苦手だが、今度の冬は寒さと仲良くして楽しもうと思う。 |
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