父、母、夫、私の4人家族。
昼食は両親を交え4人での食事。 夕食は夫婦のみの食事である。
昼食は忙しい農作業の合間にサッと食べる、味には保守的な両親のことを思った料理。
夕食は夫婦でゆっくりと酒を呑みながら食べるので酒の肴でもある料理だ。
二つの台所を行き来し、二つの食事の傾向を行き来している。
 
 2003/9月
●色のついた料理の名前をクリックすると作り方のページに進みます    
 
   

生のタコの刺身に塩コショウとオリーブオイルをふりかけて食べるのは旨いです。

 

9月1日   ひる  

9月になった。気づけば日も短くなっている。秋が来るのだ。たまらないほどの暑さを経験しないまま秋が訪れるというのは、さみしいものだ。夏の暑さの蓄積があるからこそ長い冬を越えられると思い込んでいる私にとっては、この先が不安である。
●かつおのたたき(大葉とみょうがのせ)
●塩トマト
●ゆでオクラ
●ぬか漬け
●みそ汁(じゃが芋・茄子・いんげん豆・しめじ)
食卓に上ったものはかつおを除いてすべてがS家の畑から採れたものだった。ありがたいことだ。

 

    よる  

「そうめん瓜」をご存じだろうか。冬瓜ほどの大きさの瓜で、中がなんと「麺状」になっているのだ。実家の母の田舎で小さい頃によく食べた私の大好物だ。もう一度食べたいと思いながらもあれ以来出会ったことがなく、東京はもちろん群馬でも誰も知らなかった。その「そうめん瓜」を近所に住む農家の人が持ってきてくれた。 嬉しい。「生きているといいことあるよな」というほどに嬉しい。
… …と昨年は7月30日に書いたが、今年は1ヶ月遅れの今日、同じ農家の人に「そうめん瓜」をいただいた。去年は20年ぶりの出会いで天にも昇る嬉しさだった。そして1年ぶりの出会いの今日も同じように嬉しい。
ゆでて、水にさらし、酢醤油で食べる。「そうめん瓜」といっても麺状になっている中身は黄色く透きとおっている。「ラーメン瓜」と呼びたいところだ。
●そうめん瓜の酢醤油和え
ラム肉をにんにくと塩コショウで焼き、焼き上がりに醤油を少したらす。皿に盛り、大葉の千切りを散らし、さらにブルサンチーズを散らす。高級感のある味になった。

●ラムの塩コショウ焼き
●トマトといんげん豆のサラダ
●ゴーヤーのしらす和え
●オムライス


9月2日   ひる  

今日は蒸し暑い。例年、残暑には辟易するものだが、暑さをほとんど体感していないこの夏だったので「残暑だ残暑だ!」と大喜びである。
●牛肉とじゃが芋とねぎの煮もの
(参考
●牛肉とねぎのすき焼き風煮もの ●フライパンで作る肉じゃが
●塩トマト
●ぬか漬け
●みそ汁(茄子・みょうが・にんじん)

 

    よる  

午後、来客があり畑へ出向くことができないお母さんの代わりに、久しぶりに畑へ行ってみた。茄子の木は乾き気味で疲れが出ているようだ。それでもたわわに実っている。
庭にはみょうがが姿を現しはじめた。自分で収穫するのは今年が初めてだ。みょうがが生えている姿を見るのも初めてのことだ。お母さんに教わりながら「私は知らないことがたくさんあるなぁ」とつぶやいたら、「いいんだよ。少しずつで」と言われた。
●茄子とみょうがのみそ炒め
●銀むつの塩焼き
●そうめん瓜の酢醤油和え
●卵入りとろろ芋ごはん
都会の生活に慣れ親しんでいた私が田舎に暮らすようになり、初めのうちは生活の違いに戸惑い困惑しているだけだったが、興味を持って田舎の生活に触れ始めると、初めての経験や新しい発見がおもしろい。そして知らないことの多さに気がつくのである。


9月3日   ひる  

5時に目覚めてしまった。せっかく起きたので庭に出てみると、薄くもやのかかった朝日に照らされている朝顔のなんと美しいことか。朝顔はこのくらいの時間に見るのがいいのだな。朝早くに起きるようになりたいものだ。個展のたび、40代や50代の先輩作家さんたちに「早く起きて午前中に制作するのがいいのだよ」と言われ、夜型の私には「それは難しい」と思っていた。ところが最近、早い時間に目が覚めることが増えてきた。歳をとってきたからだと思うのだが、なかなかいいものである。このままじっくりと自然に早起きできる人間になれるのだろうと期待している。
●目玉焼き
●焼きトマト・アスパラガス
●みそ汁(しじみ・みょうが)
7月に作った朝顔と夕顔のための垣根は幅は約6メートル。はじめは高さ1メートルの垣根だったが、生長に伴い延長し、今は高さ2メートルほどになっている。そこに朝顔と夕顔のツルがこれでもかというほどにからまり、葉と花がぎっしり。緑の壁のようでなかなか見ごたえのある姿になっている。

 

    よる  

東京へ行くと必ずといっていいほど立ち寄る『酔娘』という店がある。店というのは大嘘で、実際は友人の「ようこ」ちゃんの家である。趣味がよく居心地のよい室内や、彼女がさらっと作る料理や酒の旨さがまるで店のようなのである。先日その『酔娘』で出されたものをまねて作ってみた。
●ゴーヤーの肉詰め
●しいたけの肉詰め(参考●しいたけの肉詰め焼き
●焼き茄子とオクラの酢醤油びたし


9月4日   ひる  

先日、東京の友人宅で宴会があり、参加者それぞれが台所を借りて料理を作った。使い勝手や道具の違う台所で料理をするのは、やりにくいようでいて実は新鮮で楽しい。いつも同じ場で作っていると「いつものようにこうしなくては」などと頭の中が固くなり体の動きも固くなるのだが、たまに違う場で作ると臨機応変になり、頭と体の動きが柔らかくなるように感じる。守備範囲が広がるような、フットワークが軽くなるような、閉じていたものが開くような、すがすがしい感触がある。そしてその感触はしばらくの間続くのだ。
●焼き餃子
●塩トマト
●ゆでオクラ
●刻みみょうが
●ぬか漬け
●みそ汁(大根・にんじん・しめじ・ねぎ・わかめ)

 

    よる   茄子とトマトのスパゲッティ(参考●ホタテとエビのさっぱりしたトマトソーススパゲッティ
●きゅうりとみょうがの酢のもの(参考●きゅうりとキャベツとみょうがの酢のもの

9月5日   ひる  

早起きし朝顔を眺めた後、繁っている大葉を摘んだ。大葉を活用するこの料理を作る。カラッと晴れた暑い日なので、さわやかなこの料理が似合った。
●いかの明太子和え
●塩トマト
●納豆
●ぬか漬け
●みそ汁(茄子・にんじん・オクラ・しょうがの千切り)

 

    よる  

朝顔と夕顔の生長が著しく、その重みで垣根がグラグラとしている。この先どう対処しようかと思いあぐねる。今が7月や8月であれば、高さ2メートルほどの垣根の先端を軒先につなげて棚のようにしてみたい。でも、もうすぐ秋が来て朝顔も夕顔も枯れてしまうのかと思うと、そんな壮大な計画を実行するところまではいかない。食卓にも秋の風が。サンマの登場である。
●サンマの塩焼き(みょうがの酢漬け添え)
山芋を輪切りにして網で焼き、わさびと醤油をつけて食べる。焼いた山芋の食感は表面がカリッと中身がホクッ
としていて楽しめる。
●焼き山芋
蒸し茄子にもわさびをつけてみたら、しみいる旨さだった。
●蒸し茄子と蒸しオクラの酢醤油漬け


9月9日   ひる  

お父さんが牛肉を3キロ買ってきた。要望によりねぎと一緒に煮る。はじめのうちは牛肉を煮て食べることに抵抗があった。こんなにいい肉は塩コショウでサッと焼いて食べた方がおいしいのに…と心の中でつぶやいていた。しかし、近頃ではそんな自分のこだわりも薄れてきた。人が食べたいと思うものを作るというのが快いのだ。
●牛肉とねぎのすき焼き風煮もの
●塩トマト
●ゆでオクラ
●ぬか漬け
●お吸いもの(茄子・にんじん・オクラ・とろろ昆布)

 

    よる  

テレビ東京で『男はつらいよ、48作大放送』というのをやっている。放送のある日はお母さんに「寅、録っておくれ」とビデオ録画を頼まれる。そうして録ったビデオの数が20本近くたまっている。我々も試しにひとつ見てみると予想を越えて楽しめた。それ以来、食事時に寅のビデオを見る日々だ。
『寅さん』はこれまでまじめに見たことがなく、ワンパターンで年寄り臭く、つまらないのではないかと勝手に思いこんでいた。だが、ちゃんと見てみるとすばらしくよくできた映画だ。絵が美しく、活気があり、心のひだにしみる味わいがある。前半寅は身近にいたら迷惑だろうなぁという人間だが、次第に
大笑いし、最後の方には決まって涙が出てきてしまう。なによりも、見終えたあとに爽快な楽しい気分になるのがよい。だから人気があったのだろう。私も歳をとったのだろうか。
●ブランボラーク
●冷や奴(夏の薬味+ちりめんじゃこ
●牛肉といんげん豆のオイスターソース炒め
●きゅうりの塩もみ


9月10日   ひる   ●そば夏の薬味  

    よる  

大相撲秋場所が始まっている。あいかわらず横綱の朝青龍に冷たい目が向けられているようだが、なぜだろう。品格が問題だのととやかく言う前に、まずは横綱を敬ってみてはどうか。…なんていうことを酒を呑みながら話す夕食だ。
●じゃが芋の香味焼き
●まぐろのカルパッチョ
●ゆでオクラ
●トマトとパセリのサラダ
●明太ポテト


9月11日   ひる  

こともあろうに、夫が床屋で「タコ社長みたいにしてくれ」と言って髪を切ってきた。お母さんは笑いをこらえた不思議そうな顔で夫をじろじろと見つめている。私はあの髪型を見るとどうにも悪態をつきたくなってしまう。「おい、こらタコ」
●塩トマト
●チャーハン(梅肉・大葉・しょうが・にんにく・ちりめんじゃこ・おかか)
●ぬか漬け
●みそ汁(茄子・にんじん・オクラ・しょうがの千切り)

 

    よる  

●かつおのたたき夏の薬味
●トマトとオレガノのサラダ
●いんげん豆のごま和え
●ソーセージ


9月12日   ひる  

隣町の養鶏所から卵をもらった。驚くほど小さい。普通の卵と繭玉の中間ぐらいの大きさだ。これは、若い鶏が鶏の一生において初期に産む卵だそうだ。これまで考えたこともなかったが、言われてみればそうなのだろう。
●牛肉とじゃが芋とねぎの煮もの

(参考
●牛肉とねぎのすき焼き風煮もの ●フライパンで作る肉じゃが
●卵焼き
●納豆
●ぬか漬け
●みそ汁(茄子・にんじん・いんげん豆・しめじ)

 

    よる  

今日は図書館で『男はつらいよ』の第一作目を借りてきて見た。今から34年前の作品だ。さくら役の倍賞千恵子が驚くほど可愛く美しく、一瞬見ただけで涙が出てきた。美しいものは涙腺をゆるめるものだ。
●焼き茄子とオクラの酢醤油びたし
●明太ポテト
●銀むつの塩焼き

●挽き肉入り卵焼き(エスニック風)
●ササミフライ


9月13日   ひる  

S家へ着き、お父さんに「今日は何がいいですか」と尋ねると「牛肉いいよ」という答えが。毎度毎度同じものを作って食べている。
●牛肉とねぎのすき焼き風煮もの
●塩トマト
●ゆでオクラ
●ぬか漬け
●みそ汁(じゃが芋・茄子・にんじん)

 

    よる  

厳しい残暑が続いている。おかげで、畑のいんげん豆や茄子が活気を取り戻し、収穫量が増え品質もよい。
汗まみれついでに庭の手入れをし、シャワーを浴び終えるとちょうどNHKで相撲放送中だ。まだ4時だけれども「ビールを呑んでしまおう」ということになり、急きょ ●ブランボラーク を作った。
その後、今夜も『寅』を見ながらの夕食だ。
●鯛の刺身
●いんげん豆のごま
醤油マヨネーズ和え
●焼き茄子とオクラの酢醤油びたし
●ポーチドエッグ(山椒のせ)


9月19日   ひる  

「敬老の日」も過ぎ、もうすぐお彼岸だというのに残暑は厳しい。おかげで茄子やいんげん豆がこれでもかとばかりに大量に収穫できた。忘れていた夏を取り戻したかのようだ。
●麻婆茄子
●いんげん豆の醤油煮
●ポテトサラダ
●ぬか漬け
●みそ汁(じゃが芋・にんじん・わかめ)

 

    よる  

生のまぐろが500gで100円。といっても刺身を取ったあとの血合いやアラの部分である。なんとか形を整えて、竜田揚げにした。残りはしょうがと醤油で煮た。
●まぐろの竜田揚げ
●焼き茄子とオクラの酢醤油びたし
いんげん豆は醤油で煮たりごま和えにするよりも、塩ゆでしてマヨネーズをつけながら食べるのがいちばんおいしい。このとき、マヨネーズにパルメザンチーズを混ぜ込むとなかなかよろしい。
●ゆでいんげん豆
+マヨネーズ


9月20日   ひる  

長いこと残暑が続いていたが、今日は手のひらを裏返したかのように涼しくなった。涼しいどころか寒いくらいだ。早くもホットカーペットやフリースのお世話になる。暑さ寒さも彼岸までというが、まさにそのとおりだ。
●茄子のトマトソーススパゲッティオクラのせ
●きゅうりの塩もみ

 

    よる  

大相撲放送を見ながら「ちゃんこ鍋」の料理本を眺めていた。数々の「鍋」の写真を見ているうちに、むしょうに食べたくなってきた。秋の味覚を先取りだ。
●鶏ごぼう鍋(鶏肉・豚バラ肉・里芋・ささがきごぼう・厚揚・しめじ・にら・たたきつぶしたにんにく・しょうがのすりおろし・みそ)
●昆布の佃煮

●まぐろのしょうが醤油煮
●焼き茄子とオクラの酢醤油びたし
●ゆで里芋(塩をかけて食べる)
ごぼうと里芋を久しぶりに食べた。なつかしい、しみいる旨さだ。これから寒くなってゆく。苦手な季節が訪れる。けれども、ごぼうや里芋の味と香りを楽しむことができる。そう考えるとまんざらでもない。


9月21日   ひる   ●牛肉の姿はないけれど牛肉味のじゃが芋と昆布の煮もの+いんげん豆
●きのこのオムレツ
●ぬか漬け
●みそ汁(じゃが芋・にんじん・みょうが・わかめ)
 

    よる  

大相撲秋場所も今日で千穐楽。この時期になると午後6時には外は真っ暗である。今年は茄子を酢醤油びたしにばかりしていたが、こう寒くなってくると気が進まず、秋らしい茄子の食べ方を考える。
●茄子の田楽
●スモークサーモン
●プチトマトのマリネ
●ゆでいんげん豆+マヨネーズ
●和風オムライス


9月22日   ひる  

朝起きると肌寒い。ストーブをつけた。
岩手の友人からサンマが届いた。大船渡で水揚げされた新鮮なサンマだ。まずはさばいて刺身にする。
一方、S家の畑からは間引きした白菜が採れた。まだ若い葉なのでさっとゆでておひたしにする。
今日はみんながご飯のおかわりをした。
おいしいと感じる食材が変わってゆく。あぁ秋だなぁ。
●サンマの刺身
白菜のおひたし
●ぬか漬け
●みそ汁(茄子・いんげん豆・しめじ)

 

    よる  

台風一過。しっかり雨の降った後の晴天の今日は、さわやかな風が吹き、東西南北の山がくっきりと姿を現している。山の細部までよく見えるので、どの山もとても近くにあり、迫ってくるようだ。台風の影響か、変わった形をした雲が所々にあり、神業のような見ごたえのある風景だ。外にいるのが楽しい一日だった。
残りのサンマは、もちろん七輪で炭火焼きだ。外は思いのほか寒く、炭火の暖かさがじんわりと体にしみる。オリオン座も見えた。あぁ秋だなぁ。
●サンマの炭火焼き
●里芋の炭火焼き
●エリンギの炭火焼き
●茄子の田楽


9月26日   ひる  

数日降っていた雨が上がってよかった。今日はお彼岸の墓参りの日なのだ。お彼岸の墓参りには団子を持ってゆく。上新粉で作った直径2センチほどの団子だ。これを墓石の上に供えてゆくのだ。50ばかり並んだ墓石の上に、白くて小さな団子がちょこんと載っている光景は微笑ましい。
●かつおの刺身(みょうが・穂しそ・にんにくのせ)
●まぐろの刺身
ゆでキャベツ
●ぬか漬け
●みそ汁(にんじん・いんげん豆・みょうが・しいたけ・わかめ)

 

    よる  

今度は福島からサンマが届いた。まずは刺身である。
●サンマの刺身(みょうが・穂しそ・しょうがのせ)
●里芋の梅干し煮

●ゆでいんげん豆+マヨネーズ
●きゅうりのピクルス
(参考●即席ピクルス


9月27日   ひる  

残りのサンマを煮た。新鮮なサンマは煮て食べてもさわやかなおいしさがある。
●サンマの山椒煮
きゅうりとみょうがの酢のもの
ゆでキャベツ
●ぬか漬け
●みそ汁(里芋・にんじん・ごぼう・いんげん豆・しめじ)

 

    よる  

大根の煮ものが登場するようになると、秋や冬の訪れを覚悟しなければならない。寒いのは苦手だが、今度の冬は寒さと仲良くして楽しもうと思う。
●鶏肉と大根の炒め煮

●ホタテと納豆とオクラとみょうがの和えもの
●プチトマトのマリネ
●ゆでいんげん豆+マヨネーズ