父、母、夫、私の4人家族。
昼食は両親を交え4人での食事。 夕食は夫婦のみの食事である。
昼食は忙しい農作業の合間にサッと食べる、味には保守的な両親のことを思った料理。
夕食は夫婦でゆっくりと酒を呑みながら食べるので酒の肴でもある料理だ。
二つの台所を行き来し、二つの食事の傾向を行き来している。
 
 2005/3月
●色のついた料理の名前をクリックすると作り方のページに進みます    
 
   

◆これまですべての献立を記してきましたが、当面はその日の“これは”という料理を記すという試みにしてみます◆

 

   

インフルエンザなんて他人事だと思っていたが、2月下旬、ついにインフルエンザにかかってしまった。大人になってからかかるのは初めてだ。フラフラの体で病院へ行くと、待合室には花粉症の患者さんも含め、マスク人間が大勢佇んでいた。その光景は圧巻であった。お医者さんに勧められて点滴を受けたが、点滴ベッドも子供から大人まで満員だった。病院から出る際には、全員にうがい薬の入った紙コップが渡され、うがいをして帰るように言われた。
ただの風邪だと思い込んでいて、普通の風邪薬を飲んで数日を過ごしていたのがよくなかった。回復までに時間がかかっている。(どうやら、発熱から48時間以内に薬を飲むのと飲まないのとでは大きな差があるそうだ)
そんなさえない2月下旬は布団の中であっという間に過ぎ、もう3月がはじまった。

 

3月3日      

祝・インフルエンザ全快!とばかりに、週明けの2日間、勢い勇んでキャンバス張りと地塗りに精を出したのがいけなかったのだろうか。昨日から再び熱を出して寝込んでいる。病み上がりの体にとっては泣きたくなるほど風が強く、寒い。
せっかく並んだたくさんの真っ白いキャンバスに何も出来ないのが口惜しい。

●かきと豆腐とごぼうの味噌鍋

 

3月4日      

雪が降っている。私の熱は下がらない。
お母さんの作ってくれた太巻きをありがたく頬ばりながら、いつまでも体がシャンとしない自分を情けなく思う。


まぐろの黒胡椒だれ

 

3月5日      

最近の私のお気に入り。小林旭。

 
 
 

ことに1960年制作の『アキラの童謡集』や、同年頃に録音された民謡調の曲の数々(おもに『Complete Singles Vol.1』のdisc2に収録)に強い魅力がある。
小林旭といえば、突拍子ないように飛び出してくる高音。その伸びやかさがすがすがしく気持ちよい。このあたりの曲のアキラの歌声はやんちゃでハツラツとしていて、聴いていると、わくわくしてくる。歌うこと、声を出していることを実に楽しんでいると感じる。素朴で牧歌的で、肉体労働をしていそうな青年の声(当時のアキラさんは20代前半)にも感じる。そのせいか、私の住む田園風景にもよく似合う。iPodに入れたアキラの曲を聴きながら、畑や枯れた田んぼの間の道を歩いていると、とても爽快だ。
ひょっとして、私の熱が下がらないのは、ず〜っと聴き続けているアキラのせいだろうか。

●わかめ湯豆腐

『ひばりちゃんの童謡集』もかわいらしいうえに色っぽく、素晴らしい。
ライナーノートによると、昭和の初め頃、これらの童謡はみんなが歌える“
新民謡”とよばれて大衆に支持されていたそうだ。楽しそうだ。


3月12日      

たいへんなことになったー。
渥美清主演のテレビドラマ『泣いてたまるか』のDVDが月2回のペースで合計27回発売されるのだ。1回あたり1,890円。×27…、計算したら頭が痛くなってきた。食費を削るか…。

まぐろの刺身を粗挽き黒胡椒で食べるのが旨い。夕方になるとこの味を思い出し、やみつきになっている。


まぐろの黒胡椒だれ

 

3月14日      

期限が明日に迫った確定申告の計算をあわてて片づける。例年、確定申告の時期ともなれば、矢野顕子の曲を聴きながら桜餅を食べたくなるような、春めいた気候になっているものだが、今年はまだまだ寒い。最高気温が10℃を切るなんて真冬ではないか。一週間ほど前にとても暖かい日があったので、この寒さがなおさら残酷に感じる。

●鶏の旨み鍋

 

3月16日      

しばらく出来なかった車の運転を再開する。車の運転は去年の夏、島根の田舎道を走って以来、群馬においては1年以上ぶりだ。去年はつねに微熱と猛烈な眠気があったので運転を控えていたのだ。
久々の運転で緊張したせいか、筋肉痛だ。車で行った場所まで歩いて行ったかのような筋肉痛である。なぜ車の運転にこれほどまでに緊張するのかといえば、我が家の車のせいである。買ってから2年、ローンの支払いがまだまだ残っているその車に対する夫の愛情の注ぎぶりを見ていると、
ヘタなことはできないぞと緊張するのである。古い軽自動車だったら私もどんなに気が楽だろうといつも思う。
でも、確かにいいである。運転する私を受け止めてくれるかのような信頼ある安定した操作感。走りだせばタイヤが路面に食らいついているような感触。結局、なんだか自慢になってしまった。

●アボカドと豆腐の和えもの

 

   


東京へ出かけてきた。音楽のライブ、歌舞伎。活き活きとした表現と出会うと、“よっしゃやるぞー”という気持ちになる。“やるぞー”というのは、日々の生活を気持ちよく味わおうという楽しい気持ち。そして制作に向かう姿勢がひき締まる明るい気持ちである。いいものを見聴きしているその時だけでなく、自分の立つ場所に帰ってきてからもそんな気持ちでいさせるなんて、表現というものはすばらしい。
今月の歌舞伎座は、18代目中村勘三郎襲名披露。勘三郎はいちばん好きな歌舞伎役者という訳ではないのだが、彼の芸を見ていると段々わくわくしてくる不思議な力がある。勘太郎の踊りも楽しかった。彼らの芸には、家に帰ってからマネしたくなるような躍動感と親しみやすさが満ちているのだ。 …私なんざぁには決してマネすら出来ないのだけれど。

 
 

3月27日      

“よっしゃやるぞー”という気持ちですぐさま制作に取りかかりたいのだが、あいにくデータ入力の内職が待っている。そんなものである。
大相撲春場所も本日で千穐楽。
15日間、“時間”になると息を止め食い入るようにテレビ画面に集中し、時には胃が痛くなり、時には口から心臓が出そうになり…、疲れた。

いつもの“まぐろの黒胡椒だれ” にアボカドを加えてみた。

まぐろの黒胡椒だれ

 

3月28日      

先日、友人から小林旭の映画を薦めるメールが届いた。アキラの歌声は毎日のように聴いているが、実は私はアキラの映画を一本も見たことがないのだった。アキラ映画のDVDも続々と発売されているのである。
友人お薦めの『東京の暴れん坊』を買い、さっそく見た。
友人が言うには「内容はバカバカしいけどホントにハッピー」。ほんとにそのとおり。とくに最後のシーンは若々しくてステキだった。そしてアキラはカッコイイ。眩しいほどの風格がある。別の友人が「あの声は生まれてから常に体を鍛えていないと出ない声なのだ」と言っていたが、ハガネのように鍛えられた体とその所作、そこから出てくる声にマイッタ! ナイフを持った奴らが襲いかかってくるシーンがあるけれど、アキラの体はナイフを弾いてしまいそうだもの。
1960年(45年も前!)の作品。アキラ22歳、ルリ子20歳、森川信40代後半、当時の人はずいぶんと大人っぽかったのだなぁ。
(アキラについて書く時にカタカナを使いたくなるのはどうしてだろう)

●ジャガイモの香味焼き
にウインナーを加えてみた。

 

3月29日      

デアゴスティーニの策略にまんまとはまり、『泣いてたまるか』のDVD・第2号を購入。アキラもいいけれど、渥美清にはあらがいがたい魅力がある。画面にパッと映ると、少しドキドキしつつも、とても居心地のよい懐かしい場所に帰ってきたような気持ちになる。『男はつらいよ』をさんざん見たことの条件反射だろうか。きっと『泣いてたまるか』も全部揃えてしまうのだろうなぁ。
第2号には山田洋次脚本の『男はつらい』(映画『男はつらいよ』
の原型である)が収められている。泣いちゃったなぁ。

●ポテトサラダ・ツナ味