父、母、夫、私の4人家族。
昼食は両親を交え4人での食事。 夕食は夫婦のみの食事である。
昼食は忙しい農作業の合間にサッと食べる、味には保守的な両親のことを思った料理。
夕食は夫婦でゆっくりと酒を呑みながら食べるので酒の肴でもある料理だ。
二つの台所を行き来し、二つの食事の傾向を行き来している。
 
 2006/3月
●色のついた料理の名前をクリックすると作り方のページに進みます    
 

 

     

今月末、小品展に参加する。
小品展とはいえ“普段描いているもののミニチュア”にはならないようにしたいと心がけつつ、1月頃からコツコツと制作していた。あとは完成に向かって進むのだ…というところだった。
が、先月末から突然、別の画面にいつもと違う画材で遊び始めてしまった。使い慣れない画材に翻弄され、“これ、どうなっちゃうのだろう”と心配になりつつも、楽しんでいた。
遊んだことはきっと活きるだろう。さて、どうなることやら。

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■ GALLERY HINOKI ART FAIR ・  3月20日〜25日

 

3月8日      

この20日間ばかり猛烈に眠くけだるかった。今日、思いたって熱を計ってみたら37℃を超えていた。もしかするとずっと微熱があったのかもしれない。これでは一昨年の漢方薬を飲みはじめる前の状態だ。厳しい寒さが原因だろうと思うが、落ち込んでしまう。

体の調子が悪いと“料理を作ることは体力と気力を相当使うものだ” と気がつく。近頃は、下ごしらえの手際の悪さ、煮たり炒めたりする時のタイミングの悪さを感じる。そして、食べる頃にはくたびれて眠くなってしまうのだ。

●かぶのとろ煮

 

3月9日

 

     

長く続く寒さに飽きるのでくたびれる、ということもあるのだろう。都会に暮らしていれば気分をまぎらわすようなことがたくさんあるのだろうが、田舎暮らしはそこがつらい。それでも庭にふきのとうの姿を見つけるとちょっと嬉しくなる。

ゆでふきのとうの醤油和え

 

3月10日      

今日もまた寒い。昼食を作っている途中で眠くなってしまい、食後に5時間ほど昼寝してしまった。こんなに寝てばかりいると体が大きくなりそうだ。起きるともう夕方、外が明るいうちに制作したかったが残念だ。

生協の宅配で注文した“島らっきょう”が届いた。塩もみをしてカツオ節をかけて食べた。ものすごく旨い大好きな味だ。
残った緑の茎の部分は3センチ程度に切り揃えて挽肉と炒めてみた。これもまた旨い! 届いた分を一晩で食べきってしまった。あぁ、もっとたくさん食べたい。

●冷や奴(梅ねぎ)

 

3月11日      

搬入まで1週間となった。この数日で、描いている作品たちが楽しそうになってきたことを感じる。

苦肉の策だ、今日からご近所の薬局のすすめる1本1,000円もするドリンク剤を飲み始めることにした。体調をおかしくして3週間ほどだが、ドリンク剤の存在をすっかり忘れていた。もっと早くから飲み始めていればよかったのかもしれない。
明日からはまた忙しくなる。体調を整えなくては!

●まぐろのわさび醤油・とろろかけ

 

3月12日      

驚くべき西風の強い日だった。
S家での昼食作りを終え、西に800メートルほど離れたの我が家へ自転車を漕いで帰るのだが、自転車はほとんど進まない。そして曲がり角に来るたびに、自転車が勝手に南方向へ曲がって進んでしまうのだ。おかしくて仕方ない。何度自転車を降りて歩いたことか。

 
 
       

大相撲春場所が始まる。
鬢付け油の香りを嗅ぎながら見ると臨場感が増す。

●厚揚げのしょうがあんかけ
 (近頃は「あん」にしいたけやなめこを入れる)

     

3月14日      

確定申告に慌てる。一年に一度だけの作業、計算の仕方や記入方法をすっかり忘れているので億劫になり、なかなか手を着けられずに後回しになっていた。締切り前日の今日やっと提出できた。

ふと思いつき、挽肉とトマトのスパゲッティにウスターソースを加えてみた。活気ある食の進む味になった。また作ろう。

●挽肉とトマトのスパゲッティ(ウスターソース入り)

 

3月15日      

制作の最終段階。気になる箇所の詰めの制作をする。いつものことだが、このあたりまでくると作業量も減り、さみしいような気持ちになる。時間が足りないんじゃないか…と心配になりつつも、時間をかけて格闘している時がいちばん楽しいのかもしれない。

 
 
       

今夜の夕食は夫が全部作った。
料理をほとんどしてこなかった夫は、つい最近までは料理本を見ても「なにが書いてあるか意味がわからない」と言っていた。だが近頃、本を見たり私に質問をしたりしつつ、コツコツと作り出すようになったのだ。
今夜、私の出る幕はなかった。若い奥さんをもらった気分だ。
 
 ●サーモンのマリネ
 ●ブルスケッタ
 ●トマトとピーマンとクリームチーズのサラダ
 ●ボンゴレロッソスパゲッティ

   

   

  小品展にいらしてくださった皆様、
ありがとうございました
 
 
   

小品展を終え、群馬へ帰ってきたら春になっていた。

一週間ほど東京に滞在していたのだが、“どこか違う次元の不思議なところ”へ行っていたような気がしている。
以前にも書いたが、展覧会をするのは“旅”のようなものなのだ。終わって帰って来て以来、目に入ってくるものの見え方が変わっているような気がする。あたらしい何かに出会っている感じだ。
2月半ばから低迷していた体調も(確か搬入の頃くらいまで不調だった)いつの間にか治っている。これも“旅”のおかげか。不思議なものだ。

ここ数日をふり返ってみる。

 

3月23日      

鎌倉へ出かけた。小学校の遠足で訪れて以来、ここに住んでみたいなぁと憧れていた町でもある。東京に住んでいた頃には一年に一度は訪れていたが、今回は実に5年ぶりだ。
久々に訪れてみると、あらためて「あぁ鎌倉は観光地なんだなぁ」と感じる。町を歩く人から伝わってくる気分や佇まい、時間の流れ方が他の町とは違うようだ。
他の町の感覚でいくと“これからだ”という時間、夕方になると、パタパタと店が閉まってゆく。夜の町に繰り出すことの多い私には驚きで、少しさみしく感じてしまった。一昨年に出かけた柴又の帝釈天参道の夕方を思い出した。

しかし、この日は観光に訪れたわけではないのだ。画廊にご挨拶に出かけたのだった。
今年の秋、鎌倉の画廊で個展をすることが決まった。

 

3月25日      

小品展最終日。
今回の出品作家さんたちは皆、私より10歳や20歳先輩の方々であったこともあり、私にとってはじっくりと勉強になったような感触がある。制作するうえでも生活するうえでも、である。
人は、歳を重ねるにしたがい“自分のためだけに使える時間”が減ってゆく。そんななかでも先輩の方々は制作を続け、“凝縮した輝き”をそれぞれに生み出している。
私も、もっと若い頃には“自分のためだけに使える時間”がたっぷりあったのに、いったい何をしていたのだろう。もったいなかったと感じることがよくある。
でもきっとそういうものなのだろう。“自分のためだけに使える時間”が減ってゆくなかで“凝縮した輝き”を生み出してゆくということが、きっと醍醐味なのだろう。
歳を重ねるということは美しいことなのだと感じたのだ。

 

3月26日      

朝起きると全身が筋肉痛だ。とくに変わった体の動きをしたわけでもないのに、一週間の疲れがまとめて出たのだろうか。体を動かすのが億劫で、群馬への帰り支度にかなりの時間がかかってしまった。
大相撲春場所千穐楽、結びの三番に間に合うようにと、奮発して新幹線に乗って群馬へ帰ってきた。
興奮の春場所も今日で終了。結びの時間(午後6時頃)を過ぎても窓の外はまだ明るい。いよいよ春である。

●ししとうと鴨肉の炒めもの(参考●芹と鴨の炒めもの

 

3月27日      

伯母が突然亡くなってしまった。義母の姉。なので知り合って6年ぐらいなのだが、私にとても優しくしてくれた伯母だ。
葬儀に集まった親戚の人たちも伯母のように、にこにことして暖かい人たちばかりだった。
この人たちと接するたびに、日頃感じている“義母がざっくばらんで愛嬌のある人であること”が揺るぎない大きな塊のように伝わってきた。
ここでも私は年少者だったようだ。再び、歳を重ねるということは美しいことなのだと感じたのだった。

 

3月29日      

贔屓の力士・白鵬が大関に昇進した。
歳を重ねるということは美しいことなのだ、と書いてきた一方で、“相撲に身も心も自分のすべてを捧げる”ことのできる21歳の白鵬の若さもいいものだなぁと思った。
ニュース番組のインタビューで『自分の相撲を信じて、前へ進んでゆく…』と言っていた。いい言葉だ。
美術作家は誰でもそうなのだろうが、 私の制作のこれからもそうしてゆきたい。

 

3月30日      

久しぶりに畑へ行くと光景が変わっている。
“つみ菜”の季節である。
ほどよい苦味が爽快な味だ。
こういうものが摘み放題、食べ放題なのは嬉しいことだ。
庭のふきのとうはトウがたっていた。
これを食すのは、この季節最後なのだろう。

ゆでふきのとうの醤油和え

   

   

3月ももう終わる。
秋には鎌倉にある画廊で個展をすることが決まった。毎回、個展が決まるときは興奮気味になる。
初めての画廊で個展をするのは6年ぶりだ。しかも初めての町だ。ドキドキする。
緊張のドキドキではなく、ワクワクした楽しみな感じである。
とはいえ、まずは部屋の片づけだ。いらないものは捨ててしまおう。
そしてその前に、たっぷり眠ろう。