2008/7月
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ほんの数日前まで、ストーブを点けるような肌寒い日もあったので実感が湧かないが、もう7月なのである。
7月といえば、もういっぱしの夏ではないか。
そういえば、日射しも強くなっていて、晴れた日に外へ出ると、目が痛くなる。小さな我が家は太陽にジリジリと焼かれるようで、ひどく暑い。家の中にいても日焼けしてしまいそうだ。

急に暑くなったせいか、だるくて眠い日々である。

 
 
7月4日   

夏は茄子が旨い。ご近所からももらう時季になった。
香ばしい 焼き茄子 も楽しいが、最近は蒸し茄子をよく作る。蒸した茄子は旨味が凝縮され、こってりぽてっとした感があり、まるで肉でも食べているかのような、ふくよかさがある。

●蒸し茄子・めんつゆごま味

 
 
7月5日   

午前中は爽やかでギラギラした晴天。午後からはぐっと蒸し暑くなり、湿度が飽和状態。そして、夕方には激しい雷雨。夏そのものの一日だ。
雷がやってくると、用心のため、パソコンやオーディオのコンセントを全部抜くことになる。

夏の香りの一品。
●焼きパプリカのごま酢和え

 
 
    

  7月だ。
午前中からのギラギラと強い日射しに「ナツー!」と叫んでしまう。
 
7月6日   

今日から、S家の一階の床の修繕のため、職人さんが入っている。
部屋が使えないので、土間の上がり端でお盆や厚紙をテーブル代わりに、職人さんと共に昼食を食べる。花見のようなピクニックのような、非日常の楽しさがある。
今日は畳を外し、床を剥いだ。床下は湿ってボロボロで、束石から、束、大引、根太、床板、そして畳を総取り替えするそうな。
床下のかび臭い土の匂いが漂う中での食事であった。

●和風ポテトサラダ
昨今の物価高。ポテトサラダには、ハムやベーコンよりも安価に済む“カニ風味かまぼこ”を使うことがほとんどだ。

 
 
7月7日   

職人さんは御年70歳くらいの大工さんだが、すべてを一人でやってのけている。力仕事でありながら、緻密な仕事。その働きぶりに惚れ惚れする。
冬に腰を痛めて以来、今でも整形外科のリハビリに通っている私は、束石を土に埋め込む作業を見て、つい「腰痛くならないですか?」と訊ねた。すると「まぁ、痛くないこたないけど、30・40代の頃がいちばん痛かったなぁ、無茶するから。」と、年を重ねてゆくことが誇らしくなるような滋味深い返答である。

まだ、部屋が使えないので、土間の上がり端でお盆や厚紙をテーブル代わりに昼食を食べる。

メインディッシュは日によって、鰻や牛ステーキや寿司。それに添える煮物や和え物を前日夜に仕込んでおく。
新しく組まれた根太の爽やかな木の香り
が漂う中での食事であった。

一方、我が家の仕事部屋では、ホットカーペットの上に筆洗の水を派手にこぼしたのを機にホットカーペットを片付けた。部屋が明るくなった。
子供の頃から気にしているが、七夕の日は必ず雨か曇天だ。

●蒸し茄子・めんつゆごま味

 
 
7月8日   

まずは両親の寝室の8畳に畳が敷かれた。ぷーんと香ってくる新しい畳の匂いは気持ちよい。
ほかの部屋には床板が新しく敷かれ、爽やかな木の匂いが漂う中での食事である。

●もやしのごま和え
いんげん豆も茹でて加えた。緑と白で涼しげだ。

 
 
7月9日   

今日は畳職人さんが16畳ぶんの畳を敷く作業を見た。手際よく丁寧に、これも一人でやってのけている。こういった作業のなんと美しいこと。

●茄子の揚げびたし

オクラとシメジも揚げて加えてみた。旨い。

 
 
7月11日   

最後に残った8畳の畳が新しく敷かれる。合計32枚もの新しい畳。S家じゅうに畳の香りが充満している。気持ちよすぎて、クラクラする。
部屋が使えるようになったので、食事は部屋で食べる。土間の上がり端で食べるのも楽しかったのだけれどなぁ。

畳の上に、元あったように家具が設置されたので、中身を戻す。ときおり、見つけ出された昔の写真を見ては、母と笑う。
大きくて重い美術全集40数冊を運ぶ時には慎重に気をつけていたのだが、その後、小さな本を持ち上げる時に、腰を痛めてしまった。気が緩んだな。

●ミニトマトの酢漬け

 
 
7月12日   

今日は上がり端の床板の張り替えだ。あっという間にぴたーっっと張られる。
これまで、畳の上にも上がり端にもカーペットが敷かれていたこともあって、より一層、新しい畳や新しい床板が気持ちよくてならない。「掃除だ」「片付けだ」といって、S家に長居してしまう。
3時のお茶に加わり、両親や職人さんと世間話をするのも楽しい。

今日は今年初めてのセミの鳴き声を聞いた。ミンミンゼミではなくアブラゼミだったけれど、夏の嬉しい気分が盛り上がった。早くミンミンゼミやヒグラシの音を聞きたいものだ。

●ピーマンとちりめんじゃこの煮びたし

 
 
7月13日   

大相撲名古屋場所が始まる。まず初日は、二ヶ月ぶりの土俵や土俵周りの風景や顔ぶれを懐かしく味わうのだ。

そういえば、先月東京に出かけた際に、どこだかの駅で顔見知りの年配の女性が前方から歩いてきた。知人だと思い挨拶しようにも誰だかが思い出せず、なんとなく会釈をしてすれ違った。彼女は私には気づかない。その後、ご近所やら画廊関係やら、かつてのアルバイト先やら、順繰りに交友関係を辿ってゆくのだけれども、思い出せない。しばらく経ってから思い出した。国技館の西のタマリにいつもいる人だ! テレビで控え力士の肩越しにいつも映っている人だ。私はよーく知っていても、彼女は私を知るわけがない。

●モロヘイヤとちりめんじゃこの醤油和え

 
 
7月14日   

最後に風呂場の脱衣所の床を張り替えて、今日で職人さんともお別れだ。お名残惜しい。

●焼きちーちく
これは、
かつて私の実家で晩酌をしようというとき、父が作ってくれたものの改良版である。
料理などいっさいしなかった父が、定年となった数年前から、初心者向けの料理本を買ってきたり、行きつけの飲み屋で教わってきたりと、いくつかの料理を作るようになった。ぎこちなく作っている姿が胸にしみる。なかでも、これは泣けるほどチープなおつまみに映る。娘としては父を超えるべく、シュレッドチーズを使い、大葉を加えることにした。

 
 
7月15日   

近所の商店に宮城県産殻付き生牡蠣が! 
もちろん買ってきた。せっかくなので、日本酒も買ってきた。
当然ながら生牡蠣は美味しく、食べ終えた後は牡蠣の殻から漂う磯の香りを嗅ぎながら、ちびりちびりと飲んでみた。牡蠣の香りはつねに嗅いでいたいものだ。

●焼き茄子の煮びたし

 
 
    

ここのところ、明け方に暑さで目が覚める。
皮膚呼吸できていないような苦しさを感じ、ロフトベッドから降り、水を3杯ほど飲み、畳の上にしばらく寝そべる。というより、伏している。
寝不足だ。
部屋の温度は午前中から30℃を超えている。

 
 
7月20日   

南西に向いた私の寝室件仕事部屋は、熱気がこもってあまりに暑い。これまで、隣の部屋にあるエアコンをかけ、サーキュレーターで風を送って凌いでいたのだが、近頃の強烈な暑さにはまるで歯が立たない。キャンバスに向かっていると頭がボーッとして、眠気が強く襲ってくる。まったくもって効率が悪い。
部屋にモノが増えるのが嫌で、エアコンを導入するのをずっと躊躇していたのだが、一昨日、友人に言われた「だってそこで仕事をするんでしょ」という言葉が大きな力となり、エアコンを導入することを決意した。
本日、ヤマダ電機へ急ぐ。エアコンもずいぶん安くなっているものだ。しかも、工事費込みなのだ。
しかし、設置は10日後だそうな。それまで無事でいられるだろうか。

●モロヘイヤとちりめんじゃこの醤油和え

 
 
7月22日   

この夏、初めてのミンミンゼミの鳴き声を聞く。

●焼き茄子の煮びたし

 
 
7月31日   

待ちに待ったエアコンが設置される。
始動させた瞬間、「人間」という文字と「文化」という文字が頭に浮かんだ。
「この暑苦しい部屋にこれ以上モノが増えるのは嫌だ」とエアコン導入を躊躇していたけれど、クーラーをかければ、暑苦しい部屋は、モノがたくさんあっても涼しくなるのであった。
そして、クーラーをかけていると、行動も頭の中もきめ細かくなるような気がする。

●焼きパプリカのごま酢和え