2008/11月
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11月1日   

この秋になって初めての里芋掘りをする。まだ時期尚早だとわかってはいるが、食べたいから掘る。地下足袋に履き替え、畑へ出かける。
やはり、里芋はまだ小さかった。一ヶ月ほどしたら、また掘ろう。

里芋の煮もの

 
 
    

近頃、化粧水の減りが著しく速い。
たとえば、飲み過ぎた翌日に、喉が渇いていくらでも水を飲み続けることができるように、肌が化粧水をぐびぐびと吸い込んでゆく。
空気の乾燥を思い知る。

   
 
    

12月の小品展に出品する作品を制作している。
下描きの行程を過ぎ、油絵の具を使い始めると、ぐわっとした何かを感じる。決して望み通りではない絵の具の質感や、思うままにはならない筆の動きが、私に何かを感じさせ、次の行動が発生する。
絵は「形」でもないし、「構図」でもないし、「色」でもないし、「マチエール」でもないなぁ‥何なのだろう‥なんていう思いが時々頭をよぎりつつ、体を動かしてゆく。

 
 
11月3日   

保坂和志さんの新著が出ていることを知り、読んでいる。
『小説、世界の奏でる音楽』(新潮社)

 
 
    

よく“小説論”と紹介されているが、それだけでは済まない内容だ。表現すること、読むこと、見ること、聴くこと‥そして生きてゆくこと。読んでいると、そんなことについて、簡単に答を出すというやり方ではない冒険を一緒にしているように感じる。
ハードカバーでないざくっとした装丁が、共に冒険している感をさらに高める。
読んでいる日々はわくわくするのだ。

●わかめ湯豆腐

   
 
11月5日   

日頃の私は本を読まない方だと思う。きっと、絵を描くのに目を使うので、そうでない時にはできるだけ目を休ませたいと思っているからだろう。
でも、保坂和志さんの本で取り上げられているいくつかの本を読みたくなり、Amazonで注文しまくる。ここのところ、ホットカーペットの上に座り、読書にどっぷり浸かる日々である。

●挽肉とトマトのスパゲッティ(ウスターソース入り)

 
 
11月13日   

我が家の東と南にはすぐに道路があり、道行く人の会話がよく聞こえてくる。目の前の曲がり角には大きな石が並んでいて、そこで立ったり座り込んだりして、話をしていることも多い。
登下校の小学生、男子は高いトーンで「うんこ!」「しょんべん!」などとしょうもないことを言って、この上なく楽しそうにはしゃいでいる。一方、女子は小学生ながらも学校での人間関係のことやら、大人びた会話をしている。
老人は耳が遠いのだろうか、やたらと声が大きい。
今日、聞こえてきた会話。老人二人が、共通の知り合いの老人の話をしているようだ。
「○○さんはさぁ、朝起きちゃぁ、コタツに入って新聞読んでるだけだよ、それで一日が終わるんさ。それじゃあ生きていてもしょうがない」
「そーだいのう、新聞読んでるだけじゃなぁ」
「そんなんじゃ生きていてもしょうがないさ」
「それだけじゃなぁ、生きててもしょうがないなぁ」
「あぁ、しょうがない、生きてるだけじゃなぁ」
きっと働くことが出来なければ生きている甲斐がないということなのだろう。なんて働き者なのだろう! と感心してしまった。
私はここ数日、ホットカーペットの上に座って本を読んでいるばかりだ。そのうえ、幸せだなぁ、ずっとこうしていたいなぁ、などと思っていたというのに。
働き者のお年寄りには頭が下がる。

●モツ煮込み

 
 
11月17日   

  空気の澄んだカラッと乾いた季節である。
外に出て自転車に乗ったり、歩いたりしていると、とても空っぽになる感じがしてくる。
空っぽで満ちているようだ。

 
 
    

この「満ちている」という言葉のさすものが、これまで感じていた「満ちている」とはまるで違うように感じる。「満ちている」というと、たっぷりとした重さや手応えがあるようなものだったのだが、今は、しいていえば、軽い。なんてことないほどに、どうでもいいほどに軽い。軽いということすらも感じないほどだ。こんな「満ちている」もあるのだな。
うまく言葉では言い表せないが、そんなことを体で感じるのだ。


私がどこかへいってしまって消えて無くなったように、空を見れば空になり、山を見れば山になり、草を見れば草になり、葱を見れば葱になる。ブロッコリーを見ればブロッコリーになる。
空っぽで大満足で気持ちがいい。

家の中に入っても、その感覚はずっと残っている。

 
 
    


ブロッコリー畑

 

 

 

 
11月22日   

S家の隣組の誰それさんの四十九日とか何回忌とかいった法事に参列することがある。
午前中にお宅で行われる法要に参列し、その家から少し離れた所にある墓を参り、昼頃に送迎バスに乗り、近所の料理屋へ行き飲食をし、午後3時くらいに散会というのが通例である。昼間から酒を飲むので、一日がつぶれる。飲まなければいいのだろうが、私は両親や夫の代わり行っているので、「ナオちゃん(父の名)の分だ、まぁ、飲みねえ」とか「これはマサルちゃん(夫の名)の分だ」などと、酒を注がれる。そのうち「いやぁ、この人は飲めるよ」「もっと飲んでくんねぇ」と、どんどん注がれる。酔う。これで一日がつぶれる。

それぞれのお宅での法要で、各宗派のお坊さんのお経を聴くのが楽しみである。ぽへーっとお経に身をゆだねていると気持ちがよいのだ。
今日伺ったお宅は創価学会だそうで、お坊さんは来ず、家族親類、信者さんがお経を唱えていた。「南無妙法蓮華経〜南無妙法蓮華経〜」の大ユニゾンが長いこと続いた。強烈で、ぼへーっとしていることができなかった。

●簡単ふろふき大根

明日は大相撲九州場所の千穐楽である。安馬はいよいよ大関昇進だ。大関になってほしいが、体が小さいから無理かなぁ、とかつては思っていたのだが、本当に大関になるとは。感慨深く、今日の取組では涙が出た。
千穐楽まで優勝の行方がわからないというのはドキドキする。横綱・白鵬か安馬か。弱っちょろくていつも心配しながら応援していた嘉風は、今場所とても強くなっていて、優勝争いにまで名を連ねている。

 
 
11月23日   

今日は大相撲九州場所の千穐楽。
嘉風は負けてしまい、優勝争いは白鵬か安馬かに絞られた。
いよいよ興奮の度合いが増す。本割りでは、二人とも鮮やかに勝ち、優勝決定戦と相成った。
こんなにドキドキするものを見られるというのは、なんと幸せなことだろうか、と相撲に感謝する気持ちでいっぱいになる。
その時を待つ間、とんでもなく緊張し、興奮し、いよいよ 優勝決定戦
の時がきた。
すごかった。

その後、何故だか筋肉痛になり、吐いた。


●焼きパプリカのごま酢和え