立石さんと一緒に中華料理屋に入って、餃子を食べた。私、餃子が大好きなんです、と立石さんは脂ぎった餃子を旨そうに食った。どうもこの食欲が立石絵画の基本らしい。たとえば旨そうなアイスクリームを見つけると、アイスを手に持ち、匂いを嗅ぎながら、その触感、食欲感覚を描いているらしいのだ。単一の色調や抽象的な描きかたからは、アイスは見えてこない。対象が見えなければ見えないほど、アイス食感覚は普段の意識から外されたものとして描かれ伝わってくる。
  立石さんはこの秋から群馬に移るという。群馬の畜産農家の息子さんとの結婚が決まって、しばらく群馬に住むことになるそうだ。牛乳が美味しいんですよ。こういうシンプルな食欲で結婚が決まってしまう立石感覚に、おめでとうと言いたい。


 普段の生活でも、素直に立石さんを実践している。アルバイトは洋食屋だったり、青汁スタンドだったり、とにかく食い物関係なのだ。
 すでに立石絵画と食い物屋との関係は深く、バーときでの個展は必然としか思えない節がある。 じゃ私の個展のおつまみは特製タレの冷奴/マグロの胡麻あえ/豚の角煮と頭の中は好きなメニューが渦巻くらしく、腕をふるってくれるそうだ。

(バー・ギャラリーとき/加島牧史)
[展覧会DMより引用]