□経緯台モードによる写真撮影(2004.11.21)

最近なかなか空がすっきりしません。今日も曇っていますが、南の方角に少し晴れ間が覗いています。天気図を見ながら、少しまてば晴れるかしらと思いながら、裏庭に機材を運び出しました。LX200GPS−25標準構成の経緯台モードによる写真撮影に初めてチャレンジします。

この季節は、一等星を含む親しみやすい星座が多く、星野はにぎやかです。おおいぬ座(Canis Major)のシリウス(Sirius)、こいぬ座(Canis Minor)のプロキオン(Procyon)、そして、オリオン座(Orion)のベテルギウス(Betelgeuse)を結ぶ冬の三角形は、他の星座を探すときのよい目印になりますが、今回はこの三角形の一角に位置するオリオン座を観察対象としました。

EOS20Dの標準ズームレンズEFS17-85mmのテレ端視野には、オリオンのベルトにあたる三ツ星(Alnitak、Alnilam、Mintaka)と両足(Saiph、Rigel)が程よく収まります(30s露光・固定撮影なので星像が流れてます)。これらの星に囲まれた中央付近に少し明るめの星(トラペジウムとよばれる4重星)があり、その周りにかすみが確認できます。これがM42、M43領域です。M42はオリオン大星雲として知られる、全天でも最も明るい散光星雲のひとつです。今回撮影を行うターゲットはこれに定めます。(近傍の領域にはIC434馬頭星雲やNGC2024フレームネビュラなど有名な散光星雲がありますが、これらはもっと暗いサイトで長時間露光をしなければならので、装備を整えてからですね。)

LX200は、水準器を用いて三脚の水平出しを大雑把に行った後、Easy Alimentを実行して、GPSによる観測場所・時間の自動設定、内臓磁気コンパスによる方位設定、明るい1つの恒星を使ったコーディネートのシンクロを行って、標準的なアライメント作業を終えておきます。

LX200とEOS20Dによる直焦点撮影のために、BORGパーツを以下のような組み合わせで使っています。

2"スリーブ→2"オスネジアダプタ(LX200付属) ⇒ シュミカセ→M57/60AD[7424] ⇒ M57回転装置[7351]

⇒ カメラマウントホルダーM[7000] ⇒ カメラマウントキヤノンEOS用[5005]

機材の接続など準備が出来たところで、ピント合わせのため明るい恒星を視野に導入します。ここでは、撮影対象の直ぐそばにあるリゲルを使いました。LX200のピントノブを使ってファインダーを通して見た星像で大雑把にピントを合わせたあと、ノートパソコンに接続したEOS20Dから画像を落として星像を確認しながら、マイクロフォーカサを使ってピントを追い込んでおきます。ピントがでたらM42を自動導入します。

EOS20Dは本体のみで30秒までの長時間露光ができます。パソコンによる外部コントロールでも最長は30秒です。バルブも可能ですが、任意時間の長時間露光を行うには、別売りのリモコンが必要となります。今回は経緯台モードによる撮影のため視野回転がありますし、ノータッチガイドによる撮影では追尾エラーも加わるため、30秒程度の露光が相応と思います。より長時間露光の撮影については、赤道儀モードでの撮影環境を整えたあと、別途トライすることにします。

LX200GPS−25-F10とEOS20Dによる直焦点画像を紹介します。以下に示すサンプルはISO800、シャッター30秒、ダークフレーム減算を自動的に行うノイズ低減モードで撮影を行ったものです。撮影時間はシャッタースピードの倍の1分を要します。

特別処理を行っていない画像では、トラペジウムに照らし出された白く明るい光芒と更にその外側に淡いピンク色の光が広がっているのを確認できます。肉眼では、このような着色はあまりよくわかりません。

LX200-25によるM42の眼視イメージを再現してみました。
肉眼でみると、色はほとんどわかりませんが、明るい中心付近にガスが広がっているようすが見えます。

(最初に観望を行っていた市原の光害地では、中心部より外側のガスの広がりは殆ど確認できませんでしたが、暗いサイトでは思った以上にもっと良く見えます。)

得られた画像に対して、レベル補正とトーンカーブ補正を行ってみました。低輝度部分の見え方を思いっきりストレッチするような処理を行うと、一見なにも写っていないように見えたトラペジウムより十分離れた領域には、暗黒星雲が羽を広げた様子が良く確認できます。より長時間の蓄光を行うためには、赤道儀ウェッジやガイド撮影に必要な機材の準備が必要ですが、短時間露光の画像でも、コンポジット処理などにより平均化処理を行えば、もっとスムースが画像が得られそうです。

この日はM42を何枚か撮影していましたが、そのうちの半数は星像が線状や三角形状にぶれた形になってしまいました。30秒の露光時間は散光星雲の撮影としては比較的短い設定ですが、経緯台モードによる2軸制御のノータッチガイド撮影では、追尾エラーがとても大きいことがわかりました。

経緯台モードでは、2軸制御しているそれぞれの軸にペリオディックモーションを伴うため、このような大きな追尾エラーを生じるのでしょう。同様の構成の機材から得られた素晴らしいイメージを多くの方が公開されていますが、そういう域に達するには、なかなか前途多難のようです。

 

次の撮影に向けた準備

アイテム

対策

@より長時間撮影を行うためには赤道儀モードによる追尾が必須

赤道儀ウェッジを入手する

Aガイド撮影をできるようにシステムを整備する

オフアキシスガイダ、レチクルアイピースを入手する

 


 Copyright (c) 2004-2006 Mujimuji All Rights Reserved.