□ 経緯台と小口径望遠鏡 (2006.7.15)

LX200の自動導入機能に頼ってしまうと、ファインダーを頼りに導入できる天体の数がなかなか増えません。メシエマラソンもコンピュータ任せでは、覚えないのもあたりまえです。基本に戻って手軽に持ち出して観望できるような経緯台と小口径の望遠鏡によるなセットを用意して、ファインダーチャートを頼りに天体を導入することに暫く取り組むことにしました。

手持ちの鏡筒には10cm屈折や15cmニュートンがあるのでこれを使うことができます。一方マウントは、VIXENのHFやテレビューのF2などのフリーストップ型の経緯台が新規に欲しいところですが、少々高価です。そんなとき、POLARIS-R10(古い10cmF10ニュートンと赤道儀のセット)のジャンク品を入手できたのでこれを使うことにしました(札幌の実家にニューポラリスの10cmもありましたが、帰省したときに何時でも外に持ち出せるようにそのまま置いておくことにしました。)。

POLARIS赤道儀は、赤経体を90°立てることが出来るため、経緯台として使用が可能便利な造りをしています(つまり、北極でも使用可能)。現在のVixen赤道儀とは鏡筒バンドの固定方法が異なりますので、手持ちの鏡筒と鏡筒バンドを使うには少々工夫が必要でした。そこで今回はセットの10cm反射鏡筒をそのままメンテナンスして使用することにしましたが、この鏡筒は蜘蛛の巣とカビで少々可哀想な状態でした。

主鏡は再メッキが必要か否かしらべるために、まずは主鏡セルを取り外してクリーニングしてみることにしました。主鏡セルを取り外すには、3箇所ある引きネジを完全にゆるめておきますが、このときミラーを落下させないように鏡筒は接眼側が下になるように傾けて作業すると安全です。主鏡セルを取り外すときは、押しネジをつまみながら引き上げると簡単に取り外せます。

 

主鏡はホコリとカビで悲惨な状態でしたので、固定リングを外して主鏡を取り外したのち、水洗いしてみました。流水のみでは殆どカビは落ちませんでしたが、ぬるま湯に主鏡を沈めてレンズ用のシリコンクロスをお湯に浸して、その重さのみで軽くなでてあげるとカビはうまく取れたようです。ブロアで水を吹き飛ばしたあと、乾いた別のクロスでごく軽くなでて残った水滴を吸い取ってあげると、見違えるように綺麗になりました。これなら使えそうです。

 

 

主鏡セルの組上げは、ゴムシート、主鏡、押さえリングの順にセルに落とし込んで、最後に固定リングをねじ込みます。リングにより主鏡を締めつける強さは、鏡が抜け落ちるのを防ぐ程度に本当に軽く締めるだけにした方が無難です。これは主鏡への過剰な圧力の付与を避けるためです。主鏡セルを鏡筒に取り付けるときは、3本の押しネジをフランジから出っ張らないところまで引いておいてから取り付け枠に押し付けます。そして、3本の押しネジを均等に押す方向に2.5回転ほど回し入れ、主鏡セルを浮き上がらせておきます。次に引きネジ用のネジ穴を合わせてから3本の引きネジを締めつけて、主鏡セルを固定します。

 

 

そのままは光軸が合っていないので調整する必要があります。光軸調整は、最初に副鏡の3本の押しネジを調整して主鏡全体が副鏡に写るように調整します。このときは主鏡に写っている副鏡やスパイだがずれて写ることがありますが、それは無視してきっちりあわせます。次に、主鏡に写る副鏡が主鏡の真中になるように、主鏡側の光軸調整用の押しネジと引きネジを使って調整します。大雑把な光軸調整は24.5mmの接眼アタブターから少し頭を離したところから覗きこみながらの調整で十分でますが、光軸のあわせこみに多少任意性が出てしまいます。より正確な調整には、覗き込む目の位置を制限するセンタリングアイピースがあると便利です。これは4,5千円くらいなのであった方が便利です。

 

 

この望遠鏡を使って梅雨の雲間からかすんだ空を通して今は西の空にいる木星を見ました。最初XW10mmアイピースで見ましたが、非常に良く見えるので、セットに付属していたカビカビのアッベオルソ5mmを急遽分解掃除して覗いてみました。このアイピースでは10cmの上限の200倍が得られます。その結果、木星表面の縞模様を良く分解して十分に良く見える鏡であることが分かりました。恒星像にも回折環が見えます。

 

月面をみてみました。流石に15インチには及びませんがこれも良く見えます。10インチでシーイングの悪いときにみる月面はボーっとしていて、がっかりすることもありますが、10cm(4インチ)ではもっと小さな空間周波数でじわじわした陽炎が見えます。しかし、悪いシーイングゆえか小口径でも、それなりに月面のディテールが十分に楽しめ暫く見入ってしまいました。

 

さて、肝心のマウントの状態ですが、グリス切れのせいか適当なフリクションがあり、フリーストップ風に使うことが出来ます。あまりよくないことですが、クランプを半締めにするとフリクションを調整できますので、低倍率の観望には楽に使えそうです。当初はこのような使い方を想定していたので、その目的には使用できることが分かりました。

 

しかし、惑星観望には、鏡筒バンドのたわみ(この方式はつくりがよくない)やマウント自体のガタに起因する粘っこいドリフトあり、フリーストップ的に使うのは無理のようです。三脚も付属のものはあまりにも華奢です。惑星観望では、もっとしっかりした三脚を準備して、赤道儀モードで使用するのが良いようです。幸いNP赤道儀用の手持ちのモータとMD5コントローラがあったので追尾が可能です。これなら、赤道儀や鏡筒に触れなくて済むので、アイピースからそっと覗けば落ち着いて惑星観望が出来そうです。

 

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